【臨床心理士監修】人間関係リセット症候群とは?原因や予防・対処法を紹介
目次
人間関係のあり方をあらわす言葉のなかに「人間関係リセット症候群」と呼ばれるものがあります。
人間関係リセット症候群は、衝動的に人間関係を断ち切ってしまう現象をあらわす言葉で、離職率が高いなどの特徴をもつ現象のため、ビジネスシーンにおいても注目を集めています。
この記事では、人間関係リセット症候群とはなにか、特徴や原因、対処方法について、わかりやすく解説します。
人間関係リセット症候群とは
「人間関係リセット症候群」とは、「現在の人間関係を衝動的に断ち切ってしまう傾向」のことを意味する言葉です。
具体的には、「突然連絡先を削除したり変更したりして、音信不通になる」「突然仕事を辞める」といった行動が、人間関係リセット症候群の人にはみられます。
人間関係リセット症候群は、2022年の冬ごろにSNSを中心に話題になった言葉です。
「人間関係リセット症候群」は、医学上の明確な定義がある言葉ではない点に留意しておきましょう。
人間関係リセット症候群の行動特徴
「人間関係リセット症候群」という言葉を聞いたことがない方も多いかもしれませんが、その行動を知ると、周囲に思い当たる人がいるかもしれません。
人間関係リセット症候群が引き起こす行動は、周囲の人に不安や不信感を与えてしまうものが多いです。
人間関係リセット症候群が引き起こす行動特徴についてみていきましょう。
繰り返し退職する
人間関係リセット症候群の人は、仕事でストレスを感じた際などに、衝動的に仕事を辞める傾向がみられます。
社会人にとって、仕事は1日の大部分の時間を使うものです。
そのため、ストレスを感じる機会も多く、うまく解決・対処できない場合には、衝動的な退職に走りやすくなります。
また、人間関係リセット症候群の人は、転職する際に、それまで一緒に働いてきた人ともう関わることがないように、連絡先を変更することもあります。
突然上司や同僚が退職し、連絡がとれなくなると、不安に感じてしまうでしょう。
突然連絡を断ち切る
人間関係リセット症候群の人は、突然連絡がとれなくなる傾向があります。
人間関係リセット症候群は、その名の通り「自分の人間関係をリセットする衝動に襲われてしまう」現象のため、連絡が来ても一切返さない、連絡先を変更する、着信拒否やブロックなどによって、人間関係をリセットしようとします。
突然引っ越しをして、郵便物も届かなくなるといったケースも少なくありません。
親しくしていた友人や知人と、急に連絡がとれなくなってしまうと、不安を感じるだけでなく、「体調が悪いのだろうか」「なにかあったのだろうか」と心配になってしまうケースも多いでしょう。
SNSなどを削除する
SNSが発展した現代では、多くの人がなにかしらのSNSアカウントをもっているでしょう。
人間関係リセット症候群の人は、現実生活だけでなく、SNSでの人間関係も、衝動的にリセットしたいという衝動に駆られることがあるため、突然アカウントを削除してしまうことがあります。
アカウント削除と新規開設を繰り返している人は、人間関係リセット症候群の可能性があるでしょう。
人間関係リセット症候群になりやすい人の特徴・原因
ここまで人間関係リセット症候群の行動特徴を確認してきましたが、周囲に思い浮かぶ人がいる場合や、自分が該当するかもと不安に感じた方がいるかもしれません。
では、なぜ人間関係リセット症候群はおこってしまうのでしょうか。
ここからは、人間関係リセット症候群の原因について確認していきましょう。
相談できる人がいない
相談できる人がいない環境というのも、人間関係リセット症候群を引き起こしやすいです。
周りに相談できる人がいないと、悩みをひとりで抱え、ストレスや孤独感を抱きやすくなります。
また、問題解決のために、人からの助言を得ることもできないため、人間関係で悩みを抱えたときなどに、うまく解決することができません。
結果として、問題を解決する方向ではなく、人間関係からのストレスから逃れる方向に思考が動き、「人間関係そのものをリセットしてしまえばいい」という考えに陥ってしまうのです。
ネガティブ思考
ネガティブ思考な人も、人間関係リセット症候群になりやすいです。
思考がネガティブになっていると、人間関係で悩んだ際に、「解決できる」というポジティブな気持ちをもつことができません。
そのため、苦手な人がいる、自分の言いたいことが言えないなど、人間関係やコミュニケーションにストレスを感じたときに、解決ではなく、関係性のリセットを選択してしまいがちです。
完璧主義
仕事やプライベートに完璧を求める人は、人間関係においても完璧を求めがちです。
しかし人間関係は、自分ではコントロールが難しい「他人」という要素が絡むため、自分が理想とする人間関係を完璧に実現するのは難しいでしょう。
そのため完璧主義は、常に現状の人間関係に満足できず、「いまの人間関係はもうダメだ」「イチから人間関係をやり直した方がいい」と考える傾向があります。
乱れた生活習慣
生活習慣が乱れていると、心身の不調を感じやすくなります。
心身に不調が生じると、日常的にストレスを感じやすくなり、考え方もネガティブになってしまいます。
思考がネガティブになってしまうと、心身ともに疲れやすくなり、人間関係の問題を解決するモチベーションもわかないため、人間関係のリセットに走りやすくなります。
人の目が気になりすぎる
人の目が気になってしまう人は、行動する際や発言する際に、自分の意思よりも、人からどう見られるかを気にしてしまいます。
このような傾向にあると、人からよく見られようとして、我慢することも多く、人間関係そのものをわずらわしく感じてしまいやすいです。
人目を気にすることに嫌気がさして、衝動的に人間関係をリセットしてしまうこともあるでしょう。
面倒くさがり
面倒くさがりな人も、人間関係リセット症候群になりやすい傾向にあります。
上述した通り、人間関係は、自分がコントロールできない他人という要素が絡むため、思い通りにならないことも多く、面倒くさいと感じることも多いでしょう。
そのため、面倒くさがりな人は、人間関係を維持することが難しく、衝動的に人間関係を断ち切ってしまいたくなることがあります。
人間関係リセット症候群の対処方法
ここまで人間関係リセット症候群になりやすい人の特徴について確認してきました。
もしかしたら、当てはまる特徴があった方もいるかもしれません。
しかし、人間関係は、仕事だけでなくプライベートも関わる要素のため、衝動的にリセットしてしまうと、後悔がともなうことも少なくないでしょう。
衝動的にリセットに走らないためにも、ここからは人間関係リセット症候群の対処法についてみていきましょう。
人に相談する
人に相談することは、人間関係リセット症候群の対策のひとつです。
悩みやストレスをひとりで抱えたままでいると、思考がネガティブになりやすく、ストレスを感じやすくなります。
悩みやストレスは、人に話すことで、気持ちが楽になる、違う見方ができるようになるといったメリットがあります。
相談する相手は、上司や同僚に限らず、友人や家族など、周囲の信頼できる人ならだれでも良いでしょう。
相談するとなると、大事のように感じてしまうかもしれませんが、言葉にしてみる、話してみるだけでも思考の整理になり、すっきりした気持ちになることができます。
人間関係で悩みがあるときは、ひとりで抱えず、人に相談するようにしましょう。
悩みや不安を書き出す
悩みや不安を書き出してみることも、人間関係リセット症候群の対処法として効果的です。
言葉にしてアウトプットしてみることで、自分がなににストレスを感じているのか、どんな不安があるのかを可視化することができます。
また、書き出してみたら、案外悩みや不安の数が少なく、安心できることもあるでしょう。
人間関係でしんどさを感じたときには、具体的な悩みや不安について、書き出してみましょう。
書き出す際は、自分の思考が整理できれば、形式は問いません。
紙や携帯のメモ機能など、自分がやりやすい形で実践してみましょう。
自分や人に期待しすぎない
人間関係リセット症候群に陥らないためには、自分や人に期待しすぎないことも大切です。
人間関係は、仕事やプライベートに関わらず、自分の思い通りにならないことも多いでしょう。
そのため、自分や他人に期待しすぎてしまうと、ストレスを感じやすくなります。
「人間関係では、思い通りにならないことがたくさんある」ということを念頭におき、考えすぎないことを意識しましょう。
人とは適度な距離感をもつ
人間関係を円滑にするためには、適度な距離感で、人と付き合うようにするのも大切なことです。
ひとりの人との関係に依存して距離感が近くなりすぎると、その人との関係が悪化したとき、大きなダメージをうけてしまいます。
近すぎる距離感で人と付き合うよりも、適度な距離感で付き合える人が多くいる方が、不安やストレスを感じすぎず、人間関係を円滑にすることができます。
自分も相手も快適に感じられる距離感をみつけて、適度な距離感で人と接することを心がけましょう。
生活習慣をかえる
人間関係リセット症候群に陥る原因のひとつとして、「乱れた生活習慣」があげられます。
そのため、生活習慣を整えることは、心身の不調を改善し、ストレスを軽減させる効果が期待できます。
心身の不調が改善できれば、人間関係のストレスも感じにくくなるでしょう。
睡眠時間の確保、起床・就寝・食事の時間を毎日そろえるようにする、休みの日も寝すぎないなど、規則正しい生活習慣を意識し、自分の心を守りましょう。
デジタルデトックスする
デジタルデトックスとは、スマートフォンやPCに触らない時間を一定時間設けることで、ストレスの軽減をはかるとりくみのことです。
当たり前のように触れているインターネットやSNSですが、常に大量の情報であふれており、知らず知らずのうちに、頭や心が疲れていることもあります。
毎日デジタルデトックスをするのが難しい場合は、週に1日など、可能な範囲でルールを決めて、とりくんでみましょう。
また、SNSのアカウントを頻繁につくり直してしまうタイプの人間関係リセット症候群の場合、SNSに依存しすぎている可能性もあります。
意識的にデジタルデトックスをおこない、SNSへの依存度を減らすことで、人間関係リセット症候群の改善にもつながるでしょう。
オンオフのメリハリをつけやすい「Chatwork」を活用しよう
人間関係を衝動的に断ち切ってしまう「人間関係リセット症候群」は、「自分にもあてはまる」「よくわかる」など共感する人も多く、近年注目が集まっている現象です。
しかし、プライベートや仕事でも、人間関係を突然断ち切ってしまうことは、相手を心配させたり不安にさせたりする恐れがあるため、改善すべきものでしょう。
また、人間関係をリセットすることで、孤独感が高まってしまい、人間関係に苦手意識が生まれてしまうなど、負のループにはまってしまう恐れもあります。
周囲の人に相談する、悩みや不安を書き出すなど、人間関係リセット症候群の対処法を実践して、意識的に改善を目指してみましょう。
ビジネスコミュニケーションに負担を感じている場合は、コミュニケーション手段を変化させてみることも、ひとつの改善策となります。
ビジネスチャット「Chatwork」は、ビジネス専用のチャットツールのため、プライベートと連絡手段をわけることができ、オンオフのメリハリをつけやすくすることができます。
プライベートと仕事が混在してしまうと、常に仕事の心配が頭をよぎったり、人からの見え方が気になったりなど、心身に悪影響を及ぼす危険性もあります。
まずは、ツールを切り分けることで、プライベートと仕事のメリハリをつけてみましょう。
また、「Chatwork」では、「マイチャット機能」という、自分専用のチャットがあるため、悩みや不安の書き出しなど、人間関係リセット症候群の対処方法の実践にも活用できます。
>Chatworkのマイチャットの効果的な使い方に関する記事はこちら
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人間関係リセット症候群の対処方法のひとつとして、また、ビジネスコミュニケーションの改善手段として、「Chatwork」をぜひご活用ください。
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記事監修者:山崎ゆうき
臨床心理士・公認心理師の資格を所持。司法・障害福祉領域などでの勤務を経て、独立開業。メンタルヘルス系の記事を中心に、心理学の知識をいかした記事執筆・監修を担当。心理学の知識をわかりやすく、日常でも実践しやすい形で発信しています。