セルフハンディキャッピングとは?原因や例、克服方法をわかりやすく解説
目次
セルフハンディキャッピングとは、自分でハンデを設けることで、失敗しても仕方ない状況を作る心理です。
自信を失わないで済むというメリットがある一方で、成功の可能性を減らしてしまうというデメリットもあります。
自分の足を引きずらないようにするためにも、克服方法を実践して、改善を図る取り組みが大切です。
セルフハンディキャッピングの原因や例、克服する方法を解説します。
セルフハンディキャッピングとは?
セルフハンディキャッピングとは、自分で自分にハンデを設けることで、失敗しても仕方ない状況を作る心理です。
人間は、なにかに挑戦して失敗すると、自分のプライドが傷ついて自信を失うときがあります。
このような事態に陥らないために、失敗しても仕方ない理由や言い訳をつくり、成功と失敗のどちらに転んでも、自分のプライドを守れるのが、セルフハンディキャッピングです。
セルフハンディキャップの種類と例
セルフハンディキャッピングは、主に2つの種類にわけられます。
- 主張的セルフハンディキャッピング
- 遂行的セルフハンディキャッピング
それぞれの例とともに、詳細を確認していきましょう。
主張的セルフハンディキャッピング
主張的セルフハンディキャッピングとは、失敗しても仕方ない理由を、自分から周りに伝える行為です。
たとえば、仕事の重要な企画会議があるときに、「昨日の夜、3時間しか寝ていなくて」と周りに伝える例があげられます。
この発言には、睡眠時間が少ない事実から、「当日に本調子を出せなくても仕方ない」と、周りに思ってもらいたい意図が隠されています。
主張的セルフハンディキャッピングは、周りを巻き込むという点が特徴です。
遂行的セルフハンディキャッピング
遂行的セルフハンディキャッピングとは、失敗する要因を自分に課す行為です。
たとえば、企業面接の前日に夜更かしをして、上手に志望動機と自己アピールを伝えられなくても仕方ない状況を作り出すという例があげられます。
面接がうまくいった場合には、「自分の実力があるからだ」という自信になり、面接に失敗した場合には、「夜更かししたから、本気を出せなかった」と思うようになるため、自信を失わずに済みます。
セルフハンディキャッピングの原因
自分自身にハンデを設ける行為で、自信を失わないようにするセルフハンディキャッピングは、なぜ起こるのでしょうか。
セルフハンディキャッピングの原因をみていきましょう。
自己防衛本能
自己防衛本能とは、自分を守るための本能です。
人間は、不安な感情を解消するために、回避や否認などをおこない、自身の心を守る言動をとる場合があり、セルフハンディキャッピングは、自己防衛本能のひとつに当てはまります。
自分の心を守るために、本人が気づかないうちに、言い訳の理由を作ってしまう場合があるのです。
自尊心が低い
自尊心とは、「自分の存在を尊ぶ心」を指します。
たとえば、自分には価値があるという感覚や、自分の人格や感性を受けとめるなど、ありのままの自分を受け入れられる人は自尊心が高いです。
一方で、セルフハンディキャッピングをしてしまう人は、自分自身を認められないという傾向があります。
「自分には価値や能力がないのでは」という不安があるため、先回りして自分の足を引っ張る言動をしてしまうのです。
過去の経験
過去に失敗した経験から、セルフハンディキャッピングをしてしまうケースもあります。
たとえば、会議の場で上司に怒られてしまい、プライドを傷つけられた経験があったとします。
過去の失敗が忘れられない経験になると、無意識の間に、「失敗してはいけない」という思考ができてしまい、自分にハンデを設けてしまうのです。
文化的な背景
セルフハンディキャッピングが美徳とされやすい国では、文化的な背景が理由で自分の足を引っ張る言動をとる場合があります。
たとえば、日本の場合、「○○の件ですが、あまり自信がなくて」という言い方をすると、周りから謙虚な人だと思われやすいと考えられています。
反対に、堂々と「○○の件ですが、自信があるので任せてください」と伝えてしまうと、周りからアピールしている人だと思われるかもしれません。
セルフハンディキャッピングは、人間関係の調和をとるために起きるケースもあります。
セルフハンディキャッピングの例
上記の本文中で紹介した例以外にも、セルフハンディキャッピングにどのような例があるのか見ていきましょう。
- テスト前に部屋の掃除をしてしまい、勉強ができなかった
- 締め切り前にあえて仕事を詰め込んでしまい、納品が間に合わなかった
- 体調が悪かったから、営業先で本気が出せなかったと周りに伝える
- 徹夜で遊んでしまったから、プレゼンが上手にできなかったと周りに伝える
セルフハンディキャッピングには、自分で失敗の理由を作る以外にも「ほかの人のせいでできなかった」と、周りのせいにして言い訳をしてしまうケースもあります。
セルフハンディキャッピングのメリット
自分の足を引っ張ってしまうセルフハンディキャッピングですが、メリットもあります。
どのようなメリットがあるのか詳細を見ていきましょう。
自信を失わないで済む
失敗しても仕方ない理由を作る行為により、「自分はまだ本気を出していないから」と思えるので、自信を失わずに済みます。
全力を出しきっていないと思えるため、失敗したときのショックが少なくなるというメリットもあります。
傷つかずに済む
自分にハンデを設けて、自分のせいではないと思えるメリットがあります。
失敗の経験にカウントされずに済むため、自身のプライドが傷付かずに済みます。
セルフハンディキャッピングのデメリット
セルフハンディキャッピングをおこなうと、損をしてしまうケースも多いです。
セルフハンディキャッピングのデメリットを見ていきましょう。
向上心が損なわれる
セルフハンディキャッピングで、言い訳のクセができてしまうと、向上心が損なわれてしまう恐れがあります。
現状のままでいいと思うようになると、自分で目標を設定したうえでの行動が難しくなるでしょう。
また、本気を出さない行動が続くと、「別の機会に頑張ればいい」と思い、物事を後回しにしてしまう癖もついてしまいます。
仕事やプライベートにおいて、自分の能力を高めたいのに努力ができなくなるという悪循環につながる恐れもあります。
成功の可能性が減ってしまう
失敗しないための言い訳を作ってしまうと、成功のチャンスを失ってしまう場合もあります。
たとえば同僚が、念入りな検討を重ねたうえで本気でプレゼンを行った結果、取引先から気に入られ新しいプロジェクトを任される場面に遭遇したら、「自分もあのとき本気でやっていれば」と後悔する場面もあるでしょう。
また、言い訳を重ねていると、挑戦する行為自体に恐怖を感じてしまうデメリットもあります。
周りからの印象が悪くなりやすい
周りを巻き込んで言い訳をしてしまうと、「予防線を張る人」という印象を周囲に与えてしまい、気づかないうちに周りからの印象が悪くなる場合もあります。
また、仕事で言い訳が多くなると、上司や取引先からの信用を失ってしまい、重要な仕事を任されなくなる可能性もあります。
自分の足を引っ張ってしまうと、周囲からよくない印象をもたれやすいため、自分の考え方を変えて、セルフハンディキャッピングを克服するようにしましょう。
セルフハンディキャッピングを克服する方法
自分自身にセルフハンディキャッピングを課すと、成功の機会を失ったり、向上心を失ってしまったりする恐れがあるため、適切に向き合い克服する取り組みが大切です。
セルフハンディキャッピングを克服する方法を4つ紹介します。
- 失敗を恐れすぎない
- 成功体験を増やす
- 言い訳をやめる
- 周囲に宣言する
セルフハンディキャッピングの自覚がある人は、自分に合った方法で、克服を目指しましょう。
失敗を恐れすぎない
新しい物事や慣れない物事に挑戦するのは怖さが伴いますすが、失敗を恐れずに挑戦する姿勢も、成長を目指すうえでは重要です。
行動したくても動けないときは、セルフハンディキャッピングのデメリットを想像してみましょう。
本気で挑戦しないときの損失を考えてみると、どのような恩恵を失うのかを把握しやすくなります。
ときには、「ここで行動しないと後悔する」「失敗しても学べることがたくさんある」など、ポジティブな思考に切り替えて、挑戦してみましょう。
>物事の捉え方を変えるリフレーミングとは?に関する記事はこちら
成功体験を増やす
成功体験の積み重ねにより、少しずつ自尊心を高められます。
成功の種類は、仕事やプライベートの趣味など、なんでも構いません。
打ち込めるものがあれば、技術を向上させるために挑戦してみましょう。
また、 なにかをはじめる際に、「失敗しそう」と感じるときは、成功したあとの姿をイメージするのもおすすめです。
少しでも不安を解消できるように工夫すると、少しずつ行動できる範囲が増えていくでしょう。
言い訳をやめる
セルフハンディキャッピングを克服するためにも、言い訳をやめましょう。
逃げたくなる思考が浮かんだ際は、5分だけやるべきことに挑戦してみるなど、はじめの一歩を踏み出す意識が大切です。
少しずつ前向きな行動ができるようになると、セルフハンディキャッピングの悪循環から抜け出せるようになるでしょう。
周りに宣言してしまう
逃げ道を作らないためにも、あえて周囲の人に「○○をやります」と宣言するのもおすすめです。
取り組み前の宣言によって、後に引けない状況ができるため、嫌でも行動しなければいけない状況を作れます。
宣言して実行する姿勢を見せれば、行動できる人という印象を与えられて、周りからの信頼を得られるでしょう。
セルフハンディキャッピングを克服して成功体験を増やそう
セルフハンディキャッピングを克服するには、言い訳をやめて行動する姿勢が大切です。
成功体験の積み重ねにより、自尊心を高められるため、少しずつ自分に自信がもてます。
失敗や周囲の目を恐れすぎず、挑戦する姿勢を大切にしましょう。
成功体験の積み重ねには、ビジネスチャット「Chatwork」のタスク管理機能を活用する方法もおすすめです。
「Chatwork」は、チャット形式でコミュニケーションがとれるビジネスツールで、社内外問わずに無料で活用できます。
チャット機能以外にも、業務効率化に役立つさまざまな機能が搭載されており、自分だけのチャット「マイチャット」機能と、タスク管理機能を活用すれば、成功体験を目に見えて蓄積していくことが可能です。
小さな目標ややるべき内容をひとつずつタスク設定して、終わるごとにタスクを完了していけば、成功体験を積み重ねられ、完了タスクの振り返りにより自信もつけられるでしょう。
コミュニケーション活性化や成功体験の積み重ねにも効果的な「Chatwork」を、ぜひご活用ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。