キャリアアンカーとは?8分類の意味や活用方法、活用例をわかりやすく解説

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働き方改革
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キャリアアンカーとは?8分類の意味や活用方法、活用例をわかりやすく解説

目次

ビジネスなどのシーンで「キャリアアンカー」という言葉を聞いた経験がある人もいるのではないでしょうか。

キャリアアンカーは、将来における自身の判断軸を見つけるきっかけになるものです。

本記事ではキャリアアンカーの意味、8分類について、活用方法や活用事例などを解説します。

キャリアアンカーとは

キャリアアンカーとは、個人がキャリアを選択し形成していく上で、大切にしている価値観を指します。

キャリアアンカーは自身の譲れない価値観や欲求などで形成されており、働く上で軸となります。

一度形成されたキャリアアンカーは、年齢や環境の変化に左右されづらく、生涯におけるキャリアを決定づける要素となります。

キャリアアンカーの3つの要素

キャリアアンカーは「コンピタンス」「動機」「価値観」の3つの要素が組み合わさって、形成されています。

3つの要素を具体的に見てみましょう。

コンピタンス

才能や能力を示す「コンピタンス」では、自分自身が得意とする物事を指します。

一般的な能力というよりも、たとえ自分にとって不利益な状況下でも「目標達成に向けてタスク処理をし順応できるか?」という意味で使われます。

軸の形成には、「自身が何を得意としているのか」を基準にした考え方が大切です。

動機

「動機」では、「本当のところ、自分は何をやりたいのか?」を深堀りします。

漠然と「やってみたいこと」の存在は大切ですが、本当にやりたいことにフォーカスして動機を探る取り組みも必要です。

動機には「外発的動機付け(他者から影響を受ける動機付け)」と「内発的動機付け(自分の内側から湧いてくる動機付け)」の2種類があります。

価値観

「価値観」は、「何をやっている自分に意味や価値を感じるか?」という、自分の行動や意思決定における判断軸となるものです。

自分自身が意味や価値を感じる行動により、自分の選択に納得できます。

目標達成への意欲向上の要素となるでしょう。

キャリアアンカーの要素が必要になる理由

キャリアアンカーは「コンピタンス」「動機」「価値観」の3つの要素で形成されると紹介しました。

これらはキャリアプランニングの視点となる「Will」「Can」「Must」がベースになっています。

キャリアプランニングでは、「何がしたいか(Will)」「何ができるか(Can)」「何をすべきか(Must)」というように「What」を問います。

一方、キャリアアンカーでは人生においてキャリアの根本となる「どう働きたいか」という「How」に着目し、「自身の強み(コンピタンス)」「何がしたいのか(動機)」「やりたいことなのか(価値観)」という3つの観点から今後のキャリア形成について深く考えていきます。

キャリアアンカーが注目される背景

キャリアアンカーが注目される背景には、近年の働き方が多様化している状況が要因として挙げられます。

働き方の多様化により、正社員以外のフリーランスや個人事業主などの働き方が注目されるようになりました。

キャリアにおける正しい選択をするために、あらかじめキャリア形成を考える取り組みが必要となり、キャリアアンカーが注目されたと考えられます。

また、従業員の離職防止にも役立つとして注目されています。

従業員それぞれのキャリアアンカーが、いずれのタイプか明らかにする調査により、配置やマネジメントに役立てられます。

キャリアアンカーを知るメリット

働き方の多様化や企業の人材流動性が高まっている昨今、キャリアアンカーを知る取り組みにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

個人のメリット

キャリアの軸となるキャリアアンカーを知ると、満足度が高い働き方を選択しやすくなります。

この選択は転職や結婚など、その時々の節目で役立ちます。

キャリアアンカーを軸に考える取り組みにより、報酬や肩書などの外部情報に誘惑され、後から不満を感じるような就職や転職をするリスクを低減できるメリットがあります。

企業のメリット

企業が従業員のキャリアアンカーの把握により、人員配置の際に最適な采配が振るえるようになります。

組織に人材を定着させるためにも、個人に寄り添った人事はより重要性を増してきており、従業員のパフォーマンス最大化が注目されています。

企業・組織としての成果の向上が期待できるメリットがあるでしょう。

キャリアアンカーを調べる2つの方法

どのキャリアタイプに属しているのかを知るためには2つの方法が挙げられます。

それぞれの方法を見てみましょう。

方法(1):自己分析

キャリアアンカーを知るための方法に自己分析があります。

キャリアアンカーを構成する、「コンピタンス」「動機」「価値観」について、過去の自分の出来事などを振り返りながら分析してみましょう。

自己に問いかけて考えてみる分析方法もありますが、家族や親しい友人に聞いてみるやり方もひとつの方法です。

方法(2):分析ツールの活用

キャリアアンカーを分析できる分析ツールを活用する方法があります。

ツール上の設問に回答して、自分のアンカータイプを把握できます。

「現在の働き方に満足しているのか」「自身の目指す姿の実現のためには何をすべきなのか」を明確にします。

転職活動の際にも、自分に最も合う企業を選択できるでしょう。

キャリアアンカーの8分類

キャリアアンカーは個人を8つの特性別に分類しています。

それぞれの特徴と適職をご紹介いたします。

8分類 特徴 適職の例
(1)専門・職能別能力 「専門家」としての能力を発揮したい 技術職
研究職
(2)経営管理能力 出世欲が強い コンサルティング業界 投資ファンド業界
小売業界
(3)自律・独立 集団行動のための規則や手順、作業時間、服装規定などに束縛される状況が苦手 フリーランス
士業
研究職
エンジニア
(4)起業家的創造性 新しい製品や新サービスを開発したり、財務上の工夫で新しい組織を作ったりなど、リスクを恐れず、何か新しい物事を生み出す取り組みに楽しみや充足感を覚える 建築業界
広告業界
IT業界
(5)保障・安定 安定した仕事や報酬など、安定性を最も重視する 公務員 大企業の社員
(6)奉仕・社会貢献 自分の仕事を通じて「何らかの形で世の中を良くしたい」という欲求が強く、社会貢献に価値を感じる 医療業界
福祉業界
教育業界
(7)生活様式 個人としてどうしたいかだけでなく、家族や会社のニーズとの調和を大切にする 事務職
制度が整っている企業の社員
(8)純粋な挑戦 誰もが無理と思うような難題や、手ごわい相手に打ち勝つ状況に満足感を覚える スポーツ選手
パイロット
エンジニア

(1)専門・職能別能力

特定の分野で能力を発揮させ、自分の専門性や技術の高まりにやりがいを感じます。

才能をフルで発揮し、昇進し管理職になるよりも現場で活躍し続ける状況を好むタイプです。

知識やスキルを積み上げる職業に向いています。

(2)経営管理能力

組織下において集団を統率し、組織の中で責任のある役割を担う状況にやりがいを感じます。

出世思考が強いため、経営者やマネージャーを目指す傾向が強く、自分が組織を牽引するポジションを望みます。

他人の世話や問題解決を好み、責任を持つ経験で成長するタイプです。

(3)自律・独立

自分自身のスタイルで、独立したやり方で仕事を進める状況を望みます。

組織のルールに縛られる状態を嫌うので、スキルを習得してフリーランスを目指す傾向が強いです。

柔軟な働き方ができる環境で能力を発揮するタイプです。

(4)起業家的創造性

リスクを恐れず、新しいものを作り出す経験を望むタイプです。

新商品やサービスの開発など、クリエイティブな仕事に関心があるため、起業家や芸術家、発明家を目指す傾向にあります。

刺激的な仕事を好み、リスクを恐れずつき進みます。

(5)保障・安定

ひとつの組織に尽くして、社会的、経済的な安定を望みます。

大企業や公務員などの、将来が見通せる環境で堅実にキャリアを積む経験を好みます。

堅実な性格から、危機管理やリスクマネジメントの分野で能力を発揮する傾向にあります。

(6)奉仕・社会貢献

社会的に意義のある取り組みに尽くしたり、他人に奉仕する行動を望みます。

仕事において「世の中のためになるか」に価値を置き、人の役に立つ経験にやりがいを感じます。

医療や看護、教育系のほか、監査部門や福利厚生部門で能力を発揮する傾向が強いです。

(7)生活様式

個人や家族の欲求や願望、仕事とのバランスや調整に注力するタイプです。

仕事とプライベートの両立を重視するため、私生活を犠牲にしません。

プライベートの充実が仕事のモチベーションアップにもつながるので、フレックスタイムや育児休暇などの制度が整った職場が向いています。

(8)純粋な挑戦

困難な問題の解決や、ライバルとの競争にやりがいを感じます。

ルーティンワークは好まず、得意不得意に限らない難しい仕事に挑戦したがる傾向から、一貫性のない多様なキャリアをもつ人が多いです。

キャリアアンカーの活用方法

キャリアアンカーの活用により、どのような効果が期待できるのでしょうか。

個人と企業の両方から見てみましょう。

個人の活用方法

個人の場合は適職を知るきっかけになります。

予測していた結果と異なったとしても、キャリアアンカーの診断結果をそのまま受け入れないようにしましょう。

キャリアアンカーを参考に自分自身の理解を深めて、キャリアアップにつなげていく姿勢が大切です。

企業の活用方法

企業の場合は、従業員の仕事に対する価値観や希望の働き方を知って、「採用」「人材育成」「人事異動」に活用ができます。

キャリアアンカーの診断結果を参考にして、企業の要望と個人のニーズのマッチングを図りやすくなります。

従業員のエンゲージメントの向上や、離職防止、生産性の向上も期待できます。

>会社のエンゲージメントに関する記事はこちら

キャリアアンカーを活用する際のポイント

キャリアアンカーを活用する際に、考慮したいポイントがあります。

知っておくべき注意点をご紹介します。

分類に良し悪しはない

キャリアアンカーの診断結果はキャリアに対する価値観なので、どのタイプが「良い」「悪い」と判断できるものではありません。

企業側が必要とする人材はさまざまですが、タイプによって採用や不採用を判断する方法は望ましくありません。

「●●タイプである人の入社によりどんな活躍が期待できるか」「○○タイプの人にはどんな教育が必要か」を軸にした検討が適切です。

キャリアアンカーが全てではない

キャリアアンカーの診断結果が「自分にしっくりきていない」と感じる人もいるでしょう。

キャリアアンカーの診断結果だけが全てではないので、それだけで価値観を決めつけないようにしましょう。

8つの分類があるものの、それ以外のキャリアアンカーを持っている人もいる可能性がある点を念頭におき、ひとつの指標として活用しましょう。

キャリアアンカーの具体的な活用例

キャリアアンカーの具体的な活用例について解説します。

人事異動・人材配置

人事異動や人材配置は、本人の特性により成功も失敗もあり得る点を理解しましょう。

やりたい仕事が人事異動によりできなくなった従業員は、モチベーションが低下したり離職につながったりするケースがあります。

キャリアアンカーの視点から、どのように働きたいのかを従業員に考えてもらい、配属先で自分が活躍できるポイントを見出してもらいます。

キャリアアンカーを参考にした、やりがいを見出せる提案により、従業員の意欲向上につながるでしょう。

新入社員研修

キャリアアンカーは新入社員研修にも活用できます。

新入社員を育てる立場の社員は、キャリアアンカーの重要性を理解しておくと、事前に価値観のギャップを減らしたり、トラブルを回避させられたりできるでしょう。

社員が互いのキャリアアンカーを理解し合えるようになれば、チームを円滑にまとめることができるようになります。

キャリアアンカーの類語

キャリアアンカーには、似た意味を持つ類語が存在します。

類語の意味や違いについて解説します。

キャリアサバイバルとの違い

キャリアサバイバルとは、「自分のキャリアを組織のニーズに対応させて生き残る」という意味の言葉です。

社会の変化により働き方も変わりつつあり、個人のニーズに合った働き方が叶えづらくなりました。

キャリアサバイバルは、個人のニーズと組織のニーズの擦り合わせによる、良いキャリアの積み重ねが考え方の軸となっています。

キャリアアンカーもキャリア形成をする上で大切な考え方ですが、キャリアアンカーを満たすためにキャリアサバイバルで「組織の中でどう生き残るか」を考える姿勢が重要になってきます。

プランドハプンスタンスとの違い

プランドハプンスタンスとは、「計画された偶然」「偶発性理論」などのキャリア理論を指す言葉です。

キャリアアンカーは環境などの変化に左右されづらいものであるのに対し、プランドハプンスタンスは変化への対応を前提としている点で異なる意味を持ちます。

プランドハプンスタンスは、当初とは異なる方向に進んだキャリアを、意図的にキャリア形成に活かそうとする際に使われる考え方です。

キャリアアンカーの活用に「Chatwork」

キャリアアンカーを知る取り組みにより、キャリアの形成に役立ち、働く上の軸として活用できるというメリットがあります。

個人においても組織においてもキャリアアンカーの効率的な活用により、納得のいく選択に結び付けやすくなるでしょう。

部下やチームメンバーのキャリアアンカーを知っておくと、今後の育成やプロジェクトにも有効活用できます。

さまざまなタイプのキャリアアンカーと連携していくためにも、ビジネスチャットツールの「Chatwork」の活用がおすすめです。

ビジネスチャット「Chatwork」は、チャット形式でコミュニケーションがとれるビジネスツールで、会話のように気軽にメッセージのやりとりができるため、円滑なコミュニケーションを実現できます。

キャリアアンカーを知った上で、さらに相手を理解するためのコミュニケーションツールとして「Chatwork」の活用を、ぜひご検討ください。

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