サマータイムとは?目的や制度導入のメリット・デメリットを解説
目次
「サマータイム」とは日照時間が長い期間に、活動する時間を1時間早めることをいいます。
これにより省エネ効果や節電効果が期待できるとされています。
現在、日本では導入されていませんが、海外では実施している国がいくつかあります。
留学や転勤などの可能性がある人は、現地のサマータイム事情について調べておくとよいでしょう。
また、日本でも過去にサマータイムが導入された事例があります。
本記事では、サマータイムの目的、導入するメリットやデメリットについて解説します。
サマータイムとは?
サマータイムとは、日の出が早まる時期に活動時間を1,2時間前倒しにする制度です。
これにより、日中の時間の有効利用・節約効果を目的としています。
サマータイムの導入は国単位での導入が一般的ですが、アメリカやカナダなど州によっては導入していない地域がある国もあるので、地域単位で確認する必要があります。
サマータイムはいつからいつまで?
サマータイムの期間は国によって変わり、北半球と南半球ではサマータイムが真逆になるという特徴もあります。
サマーという響きから初夏や盛夏を想像しがちですが、実は北半球では春先の3月から始まります。
南半球の春先は北半球と逆になるので、10月から開始となります。
代表的な国のサマータイムの期間は以下の通りです。
開始 | 終了 | |
---|---|---|
アメリカ合衆国・カナダ(一部地域を除く) | 3月の第2日曜日 AM2:00〜 |
11月の第1日曜日 AM2:00〜 |
ヨーロッパ各国 | 3月の最終日曜日 AM1:00〜 |
10月の最終日曜日 AM1:00〜 |
ブラジル | 10月の第3日曜日 AM0:00〜 |
2月の第3日曜日 AM0:00〜 |
サマータイムを導入している国とは
サマータイムは欧米を中心に60ヵ国以上の地域で導入されています。
また、赤道近くのエリアは1年を通して日照時間に変動がないため、導入している国は少ないです。
それぞれの国でどのように導入されているのか、廃止された国ではどのような背景があったのかなどを紹介します。
アメリカ
アメリカでは3月〜11月の期間にサマータイムが実施されています。
国土が広く、国内でも時差が生じるため、州によってサマータイムの設定時間が異なる点が特徴です。
アメリカではサマータイムのことを「デイライト・セービング・タイム」と呼んでおり、「太陽光(Daylight)」を「有効活用(Saving)」する「時間制度(Time)」という意味で使われています。
エシカルな要素が強く含まれた制度であると分かります。
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、3月〜10月の期間にサマータイムを導入しています。
エネルギーの節約や、日中の活動促進が期待されていますが、一時は「健康に悪い」「省エネ効果が乏しい」といった声から廃止の議論も発生しています。
ヨーロッパでの勤務を予定している場合は、最新情報をチェックしておきましょう。
ブラジル
南半球にあるブラジルは、北半球とは逆の10月〜2月の期間にサマータイムを導入していました。
しかし、国民生活の変化により節減効果が薄まったことや、体に負担がかかるという理由から2019年にサマータイム制度を撤廃しています。
日本におけるサマータイムの実施状況
現在の日本ではサマータイムは実施されていませんが、戦後間もないころにGHQの指示のもとサマータイムが実施されていた過去があります。
日本では労働時間が長引くことへの不満などの理由で、国民の理解が得られなかったため、4年で廃止されました。
2020年の東京オリンピックに向けた計画でもサマータイムの導入が検討されたものの、世論からの反対の声もあり、導入には至りませんでした。
サマータイム導入の目的・メリットとは
サマータイムの導入には、どのような目的・メリットがあるのでしょうか。
実際に導入した国で挙げられた目的・メリットを具体的に見てみましょう。
- 電力消費が抑制できる
- 通勤ラッシュを避けられる
- 余暇時間の充実
- 経済の活性化
それぞれ詳しく解説していきます。
電力消費が抑制できる
サマータイムを導入することで、電力消費が抑制できるメリットがあります。
涼しい時間帯に勤務時間を早め、冷房の使用時間を短縮が可能となります。
明るい時間帯での業務は照明の使用量も削減できます。
夏季は日照時間が長いため、サマータイムの導入によって照明や冷暖房の使用が削減され、エネルギーの節約効果が期待されます。
通勤ラッシュを避けられる
サマータイムの導入により、通勤ラッシュの回避ができます。
企業の多くが同じ時間に始業・終業するため、通勤時の電車や道路は混雑しやすく、ストレスを抱えやすい環境です。
サマータイムに合わせて始業・終業の時間を変化させることで、混雑に巻き込まれない時間に通勤できてストレスも軽減させられます。
明るい時間の通勤によって、交通事故の減少も期待できます。
余暇時間の充実
サマータイムにより1時間早く業務が終わるため、明るい時間にプライベートの充実が図れます。
これにより、日中の活動がさらに活発となり、アウトドアやイベントなど人の動きが盛んになります。
経済の活性化
余暇時間が充実することで、経済活動も活発になります。
終業後の新しい過ごし方の提案や、飲食店への経済効果など、その影響は多岐に渡ります。
これらの活動は個々の生活の充実だけでなく、観光業やレジャー産業などの経済活動の活性化にもつながります。
サマータイム導入のデメリット
サマータイムの導入には、メリットだけではなくデメリットも存在します。
これらデメリットが深刻化し、廃止した国や州も存在します。
デメリットには以下のようなものが挙げられます。
- 労働時間が増える恐れがある
- システムなどの改修が必要になる
- 健康状態に悪影響を与える可能性がある
サマータイムがある地域に行く予定がある人は、特にデメリットもよく理解しておく必要があります。
労働時間が増える恐れがある
サマータイムの導入により、労働時間が増える可能性があります。
自社でサマータイムを導入していても、取引先が導入していない場合、先方に合わせて残業を余儀なくされるケースがあります。
結果的に、早く始業しても残業をすることになり、1日の勤務時間が長くなってしまいます。
システムなどの改修が必要になる
サマータイムの導入により、関係するシステムの改修が必要になるデメリットがあります。
社内においては、人事労務で管理システムを見直す必要が出てきます。
また、公共の機関や学校、施設などでは多くのシステムを改修する必要があり、コストやシステムエンジニアの人手が求められます。
確実に運用できるシステムにするまでに、大きな負担がかかってくるでしょう。
健康状態に悪影響を与える可能性がある
サマータイムは、健康状態に悪影響を与える可能性があります。
時間をたった1時間早めるだけ、と思いがちですが、この1時間も体にとっては大きな影響があります。
起床時間や睡眠時間だけでなく、食事の時間や日々のルーティンを変えることで体に負荷がかかり、不調をきたすおそれもあります。
睡眠障害が出たり、注意力が散漫になったり、生活習慣病を引き起こす可能性も否めません。
じきに体は慣れてくるものの、社員の健康状態に配慮する必要があります。
サマータイムを導入する場合の注意点
サマータイムは電力不足の対策など、省エネ効果もあり、個別で導入している企業もあります。
しかし、導入するには前述したようにデメリットも存在します。
導入するにあたり、事前に注意しておく必要がある項目があります。
- 従業員から賛同を得る
- 取引先に告知する
- 勤怠管理を徹底する
- 従業員の健康管理を実施する
社内外に影響があるので、しっかりと理解しておきましょう。
従業員から賛同を得る
サマータイムを導入する場合、できるだけ全従業員から賛同を得るようにしましょう。
導入することによるメリット、デメリットを説明し、理解してもらったうえで賛同を得ることが重要です。
導入後も、従業員から問題や要望が出た際には解決に向けて最善を尽くす必要があります。
取引先に告知する
サマータイムを導入したら、取引先への告知が大切です。
サマータイムを導入したことを理解してもらっていなければ、時間外の勤務時間に電話やメールなどの連絡が入る場合があります。
時間がずれて連携しづらくなると、両者の関係性に亀裂が入ってしまう懸念も出てきます。
働き方を理解してもらえるように、勤務体系の変更告知が重要です。
勤怠管理を徹底する
サマータイムの導入にもとづき、勤怠管理を徹底しましょう。
就業規則の変更をもとにシステムやインフラを整備し直すことで、勤怠管理を徹底させられます。
従業員がサマータイムに準じた働き方ができているのか、細かな確認も重要です。
従業員の健康管理を実施する
サマータイムの導入後には、従業員の健康管理を実施しましょう。
生活リズムが変化することで、体調に支障が出るケースも少なくありません。
労働者が心身ともに健康に働けているかどうかを、きめ細やかな管理が大切です。
多様な働き方の推進に「Chatwork」
日本国外で導入されているサマータイムには、導入することによるメリットやデメリットが存在します。
今後、日本の企業でも導入を検討する場合には、注意点を意識することが重要です。
多様な働き方を促進するために、ビジネスチャットツール「Chatwork」の導入がおすすめです。
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