ボトムアップとは?トップダウンとの違いやメリットをわかりやすく解説
目次
「ボトムアップ」「トップダウン」は、企業や組織の中で意思決定をするための方式です。
トップダウンとは、企業の上層部、経営陣が意思決定をおこない、その決定を現場の従業員に伝えて実行させる意思決定のスタイルを指します。
一方、ボトムアップとは、現場の従業員に裁量や意思決定権をゆだね、彼らからの提案を上層部が承認するという意思決定のスタイルです。
2つの方式はそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが良いかは組織のスタイルに合わせて判断する必要があります。
本記事では、「ボトムアップ」「トップダウン」の違いやメリット・デメリットを解説します。
ボトムアップとトップダウンとは
「ボトムアップ」「トップダウン」はどちらも、組織における意思決定のアプローチ方法ですが、どのような意味の違いがあるのでしょうか。
それぞれの意味や仕組みについて解説します。
ボトムアップの意味
現場から出る意見やアイデアをもとにトップが組織としての意思決定をすることを「ボトムアップ」といいます。
参加している人たちが意見を出して意思決定をするスタイルです。
ボトムアップは、最初にプロジェクトの進行に関わるメンバーが意見出しや提案をしてトップ層とシェアし、その意見をもとにトップ層が承認することがプロセスになります。
トップダウンの意味
「トップダウン」は、上層部や経営層などのトップ層が意思決定をして、下の構成人員に指示を出すことで現場の人員が行動する管理方式です。
たとえば、プロジェクト運営の場合、はじめに上層部が目標を立て、プロジェクトの計画プロセスやアクションプランを決定します。
それらをチームメンバーに伝えることで実行に移すという流れがトップダウンのプロセスです。
ボトムアップのメリット
現場の意見を反映させやすく、柔軟性があるボトムアップは、革新性を求める業界で採用されやすい傾向にあります。
実際にボトムアップには、以下のようなメリットがあるといわれています。
- 主体的な従業員が増える
- 離職率の低下が期待できる
- 風通しのよい職場にできる
それぞれの詳細について見ていきましょう。
主体的な従業員が増える
ボトムアップで意思決定をすると、上層部が現場の意見を聞き入れてくれることが分かるため、従業員の士気が高まります。
声をあげることで改善される環境により、「指示待ち」ではなく常に「どうしたらより良くなるのか」と主体的に考える従業員が増えるでしょう。
常に自ら考えて行動できる姿勢により、従業員の成長につながるケースが多いことも期待できます。
離職率の低下が期待できる
ボトムアップにより、離職率の低下が期待できます。
新しいことにチャレンジしたい従業員は、自分の意見が受け入れられなければ不安を抱えてしまいます。
その結果、離職につながる可能性もあります。
現場の意見を柔軟に受け入れてくれる姿勢が感じられることで、優秀な人材の離職を食い止められるでしょう。
風通しのよい職場にできる
風通しのよい職場にできることもボトムアップによるメリットです。
組織の中で出た意見に耳を傾けてくれて改善につながることが分かっていれば、従業員も意見を言いやすい、風通しのよい職場になります。
働く社員のストレス軽減やモチベーションアップにもつながる風通しのよさは、会社全体の士気向上にもつながってくるでしょう。
ボトムアップのデメリット
ボトムアップを取り入れることで、得られるメリットをご紹介しましたが、デメリットも存在します。
- 意思決定のスピードが落ちる
- 従業員の能力に左右されやすい
詳細について解説します。
意思決定のスピードが落ちる
ボトムアップでは、意思決定のスピードが低下する恐れがあります。
上司に相談し、その上司が上層部にあげ、意思決定されたのちに実行するための準備を整えるプロセスには、一定の期間を要します。
重要な案件であればあるほど意思決定も複雑化するので、スピード感を求める案件には向いていないでしょう。
従業員の能力に左右されやすい
ボトムアップのデメリットとして、従業員の能力に左右されやすい点があります。
現場従業員からの意見が求められるので、幅広い視点で物事を考えられ、自立的に判断できる人材が必要とされます。
従業員の能力が高ければ、上層部のスキルが劣っていても組織を支えようとする働きかけが生まれますが、その逆もしかりです。
ボトムアップを成功させるためのポイント
ボトムアップには、メリットやデメリットがありますが、成功させるためにはメリットをより活かすことが重要です。
ボトムアップのメリットを最大化させ、成功させるためのポイントをご紹介します。
従業員の主体性を大切にする
ボトムアップを成功させるためには、従業員の主体性を大切にしましょう。
せっかく出した意見が却下されてしまうと、現場からの声はあがりづらくなってしまいます。
上層部は頭ごなしに否定するのではなく、現場から意見が活発に出る環境を整えるように意識しましょう。
挑戦しやすい風土をつくる
挑戦しやすい風土をつくることもボトムアップを成功させる鍵を握っています。
新しい挑戦をうながすことで、従業員の視野も広がり、現場からより具体的な意見が活発に出るようになるでしょう。
また、前向きな雰囲気がある組織では、自分の意見を言いやすくなるため、これまで意見を言い出せなかった従業員も積極的に発言しやすい環境となります。
トップダウンのメリット
ボトムアップと同様に、トップダウンにも以下のようなメリットがあります。
- 意思決定のスピードが速い
- 組織の意思統一がしやすい
それぞれについて詳細を解説します。
意思決定のスピードが速い
トップダウンはボトムダウンと異なり、意思決定のスピードが速いことがメリットです。
意思決定者は1人、もしくは数人のみのため、意思決定をしてから行動に移すまでの時間がスピーディーです。
スピード感が求められる事業はもちろん、新規事業を立ち上げる際などは、大勢で議論をするよりも、思いきったトップダウンの意思決定が功を奏するでしょう。
組織の意思統一がしやすい
トップダウンでは、組織の意思統一がしやすいです。
意思決定をする人数が少数に限られるので、方針のブレが少なく、組織の意思統一がしやすい特徴があります。
現場がトップを支えて組織全体が同じ方向に向かう動きをすることで、連帯感が生まれるメリットがあります。
トップダウンのデメリット
意思決定の速さや意思統一のしやすさなど、メリットの多いトップダウンですが、デメリットも把握したうえで取り入れましょう。
- 経営者の手腕に左右されやすい
- 現場と温度感がずれやすい
- 指示待ちの組織になりやすい
トップダウンのもたらすデメリットについて詳しく解説します。
経営者の手腕に左右されやすい
トップダウンには、経営者の手腕に左右されやすいデメリットがあります。
経営者が「経営に向いていない」「うまく指揮を出せない」といった場合、指示ひとつで組織が崩壊する危険性を秘めています。
現場のメンバーをうまく統率して指示が出せる、さらには現場から信頼されている経営者こそ、トップダウンには向いているでしょう。
現場との温度差が生じやすい
現場との温度差が生じやすいことも、トップダウンでは注意しましょう。
上層部が良いと思った判断も、現場との信頼関係が築けていなかったり、現場の声を無視した判断であったりすると温度差が生じ、反発が起こります。
上層部の意思決定がもとになっているトップダウンでは、現場が声をあげやすい組織構築が重要です。
指示待ちの組織になりやすい
トップダウンである場合、指示待ちの組織になりやすい点もデメリットです。
上層部の意思決定を待って、指示を仰いでから行動するスタイルが定着してしまうと、組織全体の発展性も見込めません。
主体的に動く従業員が減ると、従業員の成長機会が減ることも懸念されるでしょう。
トップダウンを成功させるためのポイント
トップダウンにあるメリットを最大化させてデメリットを最小化させることが、成功へのポイントとなります。
トップダウンを成功させるためのポイントを具体的に見てみましょう。
従業員の意見に耳を傾ける
トップダウンは上層部の意思決定が軸になりますが、大きな意思決定をする際には現場メンバーの意見を反映させましょう。
現場メンバーの声を反映させることで、メンバーも反発を招かずに納得感を持って動いてくれるでしょう。
小さな意思決定は上層部の判断を、大きな意思決定はメンバーの意見を取り入れるなど、状況や案件の規模間によっても使い分けましょう。
意思決定に責任を持つ
トップダウンでは、上層部が意思決定に責任を持つことでより成功するケースがあります。
先の見えない状況で判断を下せるのは上層部のみなので、その判断が企業としての意思決定になります。
責任感を持って意思決定をすることが、トップダウンによりまとまった組織をつくるポイントになります。
ボトムアップ・トップダウンが適している組織
ボトムアップ、トップダウンが適している組織は 組織の規模間や経営者の力量により左右されます。
それぞれが適しているのはどのような組織なのでしょうか。
ボトムアップが適している組織
ボトムアップは、多角経営をしている企業に適しています。
数々の事業の改革に一部の上層部だけの意見を反映させることは現実的ではなく、各事業の現場で活躍する従業員の意見を反映させる方が望ましいです。
また、人材育成に力を入れたい場合にもボトムアップが適しています。
従業員が経営を自分ごととして捉えて、主体性や判断力が高まると、人材育成にも効果が期待できるでしょう。
トップダウンが適している組織
トップダウンは、経営者のスキルが高い組織であるほど適しています。
豊富な実績やカリスマ性、リーダーシップの高さなどを兼ね備えていると、成功が期待できます。
ベンチャー企業などがスピード感を重視して、いち早くシェアを広げたい場合などもトップダウンが適しています。
また、経営不振や不祥事などで組織改革をしたばかりの組織も早急に手を打つ必要があるので、トップダウンが適しているといえるでしょう。
社内コミュニケーションに「Chatwork」
トップダウンとボトムアップは、組織の意思決定やプロジェクト管理におけるアプローチのひとつで、それぞれ異なる特徴とメリットを持っています。
これらの手段は組織の状況や目的に応じて、適切に組み合わせることが重要です。
ビジネスチャット「Chatwork」では、複数人でグループをつくり、素早く情報共有をおこなうことが可能です。
社内間の意見交換に限らず、上層部への提案などにも活用できるので、ボトムアップやトップダウンにも活かせるツールです。
社内コミュニケーションの円滑化に、ビジネスチャットツール「Chatwork」の導入を検討してみましょう。
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