ジョブディスクリプション(職務記述書)とは?導入の目的やメリット、作成方法を解説

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働き方改革
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ジョブディスクリプション(職務記述書)とは?導入の目的やメリット、作成方法を解説

目次

ジョブディスクリプションとは、特定の業務やポジションにおける職務内容が書かれた書類のことです。

必要なスキルや資格、求められる成果・目標、職務の権限、責任範囲などの詳細を記載します。

求職者が職務内容の詳細を先に知れるため、専門性が高い人材を獲得できることや、社内でスペシャリストの人材を育成できるなどのメリットがあります。

本記事では、ジョブディスクリプションを導入する目的や作成方法、具体例を含めて解説します。

ジョブディスクリプション(職務記述書)とは?

ジョブディスクリプション(job description)とは、職務内容の詳細が書かれた書類のことです。

日本語では「職務記述書(しょくむきじゅつしょ)」とも呼びます。

ジョブは「仕事」、ディスクリプションは「内容を説明する要約文章」という意味があります。

具体的な記載内容は以下のとおりです。

  • 業務の遂行に必要なスキル
  • 業務をする上で求められる成果
  • 業務の権限
  • 業務の責任における範囲
  • 業務に必要な資格

事前にジョブディスクリプションを作成しておくと、どのような仕事内容を任せるのかを明確化できます。

募集要項との違い

ジョブディスクリプションと似ている言葉に「募集要項」があります。

募集要項は「企業が求職者を募集する際に、求人に記載する内容」のことです。

以下で、それぞれの違いをまとめています。

ジョブディスクリプション 特定の業務における仕事内容を記載したもの
(必要なスキルや成果、権限や責任の範囲など)
募集要項 求職者向けに、採用に関わる条件を記載したもの
(給料や職務内容、必要な人物像、勤務地など)

ジョブディスクリプションは仕事内容に特化したもので、募集要項は採用条件を中心に記載されている点で違います。

ジョブディスクリプションが注目される背景

日本では、従来の採用スタイルにおいて「メンバーシップ型雇用」が重視されてきました。

メンバーシップ型雇用とは、職務や勤務地などの労働条件を限定されず、企業の判断により人材配置がおこなわれる雇用制度のことです。

しかし従来の方法では、移り変わりが激しい国際社会に対応できないため、最近では「ジョブ型雇用」を導入する企業が増えています。

ジョブ型雇用では、職務や勤務地などの労働条件が決められており、専門性に特化した人材を雇用できる点が魅力です。

メンバーシップ型雇用のように、ジョブローテーションで人材を育成するよりも、ジョブ型雇用のほうが企業の即戦力として活躍してもらえます。

ジョブ型雇用で採用する際にジョブディスクリプションがあると、求める人材の能力などが明確化されて、特定の業務に特化した人材を集めやすくなります。

>メンバーシップ型雇用に関する記事はこちら

ジョブディスクリプションを活用するメリット

ジョブディスクリプションを活用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 専門スキルを保有する人材の獲得につながる
  • 採用基準を明確にできる
  • 専門性のある人材を育成できる
  • 人事評価における透明性を確保できる
  • 役割分担により生産性向上につながる

それぞれの詳細を見ていきましょう。

専門スキルを保有する人材の獲得につながる

採用時にジョブディスクリプションを活用すると、専門スキルがある人材を見つけられます。

業務に必要なスキルや求められる成果、権限や責任の範囲など、入社を検討している人に向けて詳細な情報を提供できるからです。

企業側から優秀な人材をスカウトする際も、ジョブディスクリプションを共有すると、相手に業務内容の全体像をイメージしてもらいやすくなります。

採用基準を明確にできる

ジョブディスクリプションがあると、企業側も求める人物像や採用基準を明確化できます。

人事の採用担当者は、各現場の職務適性や状況など、詳細の情報まで把握しきれていないケースも少なくありません。

ジョブディスクリプションがあると、現場との認識の齟齬を最小限に抑えられます。

人材採用後のミスマッチによる早期離職や、採用担当者によって採用基準がブレてしまう状況を予防できます。

専門性のある人材を育成できる

ジョブディスクリプションを使い、ジョブ型雇用で採用できると、専門性に特化した人材を育成し続けられます。

一つの業務内容に絞ってスキルを高めていけるため、スペシャリストの人材に成長してくれるという効果が期待できるでしょう。

人事評価における透明性を確保できる

ジョブディスクリプションは、求められるスキルや成果などが記載されており、採用時の評価の透明性を確保できます。

求職者が採用に至らなかった場合も、どのような点で能力が不足していたのかが明確になるからです。

反対に、採用になった場合も、従業員はジョブディスクリプションの内容から「業務でどのような成果が期待されるのか」を事前に把握できます。

人事評価の基準が明確なため、公平に判断されているという納得感が生まれて、従業員からの不満が起きにくくなります。

役割分担により生産性向上につながる

スペシャリストの人材を採用できると、仕事の役割分担ができるようになり、社内の生産性向上に期待できます。

それぞれが何をすべきかが明確になり、本業に集中できる時間を増やせるようになるのです。

従業員にとっても、自分の専門性を活かした業務にとりくめるため、モチベーションを維持しながら目標に向かって進めるようになります。

ジョブディスクリプションを使うデメリット・注意点

人材の獲得や育成面でメリットが多いジョブディスクリプションですが、デメリットもあります。

  • 職務内容の記載に時間を取られる
  • ゼネラリストの育成が難しい
  • 仕事の対応・人事異動に柔軟さがなくなる

それぞれのデメリットと注意点を詳しく解説します。

職務内容の記載に時間を取られる

ジョブディスクリプションは、職務ごとに作成が必要なため工数がかかります。

各部署に聞き取りをおこない、現場と経営陣の両方と認識を共有していく過程が必要だからです。

本業を抱える従業員にとっては、仕事内容が増えて残業が発生するといった負担がかかる可能性もあります。

ジョブディスクリプション専用の担当者を作る際は、業務全体の調整をおこなうなど、一人だけに負荷がかかる状況を減らせるように工夫しましょう。

ゼネラリストの育成が難しい

ゼネラリストとは、幅広いスキルや知識をもって業務を担当できる人材を指します。

ジョブディスクリプションはスペシャリストを育成する目的で運用するため、ゼネラリストの育成には向いていません。

ゼネラリストのように、ジョブローテーションでさまざまな部署や仕事を経験できないからです。

将来的に経営陣としての育成を求める場合、一部においては、メンバーシップ型雇用の採用方法を併用してもよいかもしれません。

仕事の対応・人事異動に柔軟さがなくなる

ジョブディスクリプションはジョブ型雇用の採用に使うため、人事異動をおこなわないケースが多いです。

記載事項に書かれた範囲外の業務については、任せることが難しくなります。

また、従業員にとっても「自分が任された業務だけをすればいい」という認識になりやすい点もデメリットです。

事前に範囲外の業務について任されるケースがあると記載しておくなど、柔軟に対応できる仕組みを整える必要があります。

ジョブディスクリプションの作成方法

ジョブディスクリプションの作成方法は以下のとおりです。

  • ステップ(1):記載項目を決める
  • ステップ(2):担当者から職務内容をヒアリングする
  • ステップ(3):情報を精査し、項目を埋めていく
  • ステップ(4):担当者・経営者層に確認する

それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

ステップ(1):記載項目を決める

まずは、ジョブディスクリプションに記載する項目を決めます。

記載内容の項目例は、下記のとおりです。

  • 職種、役職
  • 必要なスキル、経験
  • 求められる成果、目標
  • 業務内容
  • 業務の権限
  • 業務の責任における範囲
  • 評価方法
  • 必要な資格
  • 給与、福利厚生など
  • 勤務地

上記以外にも、必要な項目があれば、自社の事業内容に合わせて追加しましょう。

ステップ(2):担当者から職務内容をヒアリングする

実際の業務内容とズレていないかを確認するために、各担当者から職務内容をヒアリングしましょう。

現場をまとめる管理職だけでなく、実際に業務を担当している従業員からも情報収集をおこないます。

現場でのヒアリングは、人事担当者が思い込みでジョブディスクリプションを作成しないためにも重要です。

ステップ(3):情報を精査し、項目を埋めていく

情報収集が終わったら、集めた情報を精査し、ジョブディスクリプションの内容を用紙やドキュメントにまとめていきます。

各情報の重要度や優先度、頻度が高いものから順番に記載しましょう。

また、業務内容について「なぜ」「何を」「どのように」という視点から、記載内容を掘り下げます。

抜け漏れがないかどうか、ヒアリングした内容をもとに確認しておきましょう。

ステップ(4):担当者・経営層に確認する

ジョブディスクリプションの作成を終えたら、現場の担当者や経営層に確認してもらいましょう。

実際の業務内容や認識に相違がないか、最終確認をおこないます。

さまざまな人の意見を取り入れられると、ジョブディスクリプションの質を高められます。

ジョブディスクリプションの作成イメージ例

ジョブディスクリプションのサンプルを紹介しますので、実際に作成する際の参考にしてください。

職種 Webマーケティング
業務内容 ・運用型広告の戦略~運用
・Webコンテンツのディレクション
・マーケティングの企画立案〜運用
必要なスキル、経験 ・運用型広告の運用経験
・Webコンテンツのディレクション経験
・マーケティング、SEOの知見
※上記業務いずれか、2年以上の経験者歓迎
求められる人物像 ・自社のビジョン、文化に共感できる方
・率先して企画の提案ができる方
・成果を重視して業務を遂行できる方
業務の権限、責任における範囲 ・マーケティング事業全般の進行管理、品質管理
・チームメンバーの指導
評価方法 各プロジェクトの成果、コストなどで評価
学歴 高卒・専門学校卒以上
※学歴よりもスキルや経験を重視
雇用形態 正社員
給与 月給20万円〜
※応相談
福利厚生 社会保険完備
休日 土日祝日、GW・夏季・年末年始
勤務地 〇〇本社

ジョブディスクリプションを作成・運用する際のポイント

ジョブディスクリプションは、作成して終わりではありません。

円滑に運用するためのポイントを紹介します。

更新や見直しをおこなう

運用後も随時内容を更新できるように、定期的に見直すようにしましょう。

ジョブディスクリプションに記載する「業務に求められる能力」などは、社会情勢や市場などの状況によって変わります。

内容を都度更新しておくと、採用活動の際に最新のジョブディスクリプションで人材採用をおこなえるようになります。

ほかの業務内容も記載する

ジョブディスクリプションには、ほかの業務内容を担当するケースがある旨なども記載しておきましょう。

業務内容の全体を網羅する形で記載しておけば「記載内容以外の仕事をしない」という状況を防げるようになります。

ジョブディスクリプションの共有には「Chatwork」がおすすめ

ジョブディスクリプションはジョブ型雇用に活用できる内容で、専門性が高い人材の獲得に役立ちます。

ただ、職務作成の記載や作成に時間がかかるため、担当者に負担がかからないように業務を調整しておきましょう。

作成時は項目を決めてヒアリングをおこない、最後に担当者や経営者層に確認してもらうとクオリティを高められます。

完成後、採用活動に使う場面では、あらためて最新のジョブディスクリプションを各担当者に共有しておく必要があります。

ジョブディスクリプションの共有方法として、ビジネスチャット「Chatwork」の活用もおすすめです。

各部署の担当者にヒアリングが難しい場合でも、アンケートのURLを共有しておくと時間がある際に回答してもらえます。

大企業や官公庁も導入できるセキュリティ水準があるため、社内情報のやりとりを安全におこないたい場合は、ぜひ「Chatwork」をご活用ください。

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