「所用」とは?「私用」「所要」との違いや使い方・意味を解説
目次
「所用」という言葉を使ったり耳にしたりする場面は、日常生活やビジネスシーンでもよくみられます。
馴染み深い言葉ではありますが、「所用」とは具体的に何を指すのかや、どのような場面で用いるべきかについて、誤った知識のまま使うと、相手に不信感を与えてしまうおそれもある表現ともいえます。
本記事では、「所用」の意味や活用シーン、使う際の注意点や類語・言い換え表現を、例文を交えて解説します。
ビジネスシーンにおける電話対応や欠席の連絡の際など、さまざまな場面で「所用」を適切に使う方法を把握して、コミュニケーションを円滑に進めるための参考にしてください。
「所用」の読み方・意味
「所用」は「しょよう」と読み、特定の用事や仕事を指す言葉です。
実は「所用」には、「用事」の他に「あるものを用いること」という意味もありますが、ビジネスシーンにおいては「用事」を表現したい際に使用するケースが多いです。
敬語表現ではありませんが、やや堅い表現のため、フォーマルな場でも問題なく使用できます。
「所用」と混同しやすい同音異義語
「所用」と混同しやすい同音異義語について、それぞれの意味と違いを解説します。
漢字を間違えて使ってしまうと、ミスコミュニケーションの原因になりかねないため、それぞれの意味を確認しておきましょう。
所要
「所要」は、「物事に対して、必要であることやもの」を指す言葉です。
たとえば、所要人数・所要時間などのように、「所要」の後に名詞をつけて使用される場合が多いです。
「所要人数」は「それがおこなわれるのに必要な人数」、「所要時間」は「それがおこなわれるのに必要な時間」を意味します。
諸用
「諸用」は、複数あることを示す「諸」と「用事」が重なり、「複数の用事」という意味がある言葉です。
たとえば、なにかの催しごとを欠席する際に、「所用」を使用すれば、ひとつの用事があることを伝えられ、「諸用」を使うと、複数の用事があることを伝えられます。
用事の内容によって、「所用」と「諸用」を使い分けられるようにしましょう。
所用 | 公的・私的なものをすべて含めた用事 |
---|---|
所要 | 物事に対して、必要であることやもの 所要人数や所要時間など |
諸用 | 複数の用事 |
「所用」の活用シーンと例文
ビジネスシーンで用いる機会が多い「所用」は、どのような場面での活用が適切なのでしょうか。
- 欠席や休暇を申請する
- 電話対応時に担当者不在を伝える
- 上役の欠席を伝える
- リモートワーク環境下で不在を伝える
- 会議や面談の日程を調整する
- 出張や外出時に自動でメールを返信する
活用シーンと例文を確認し、使いこなせるようになりましょう。
欠席や休暇を申請する
「所用」は、社内外でおこなわれる会合や催しごとを欠席する際や、有給休暇を取得する際などに使います。
「欠席させていただきます」のみを伝えてしまうと、ややぶっきらぼうな印象を与えてしまいますが、所用がある旨と謝罪の意をあわせて述べる言い回しで、相手を気遣う表現が可能です。
- 申し訳ございませんが、所用のため今回の会合につきましては欠席させていただきます。
- 急な所用ができてしまったため、大変申し訳ございませんが欠席いただきたく存じます。
電話対応時に担当者不在を伝える
「所用」は、電話対応をした際に、担当者が不在の場合にも使用できます。
電話を受けた際に担当者がいない場合、社内の人からの電話であれば、「会議で席を外している」「○○に外出している」などと詳しい事情を説明する場合が多いでしょう。
これは、相手に事情を把握してもらい、お互いの業務を円滑に進めるためです。
しかし、取引先やお客様など、社外の人からの電話がかかってきたときは、担当者が不在である理由と詳細の内容を話さずに、「所用」として伝えても差し支えありません。
詳細な理由を伝えることができないケースも想定されるため、汎用的に使える「所用」を覚えておくと便利でしょう。
- 担当者は所用のため、席を外しております。
- ○○は所用のため、本日は休暇をいただいております。
上役の欠席を伝える
取引先との会合や交流会など、ビジネスにおけるさまざまなシーンで、代理出席者を立てる場合があります。
その際に、担当者や役職者が出席できない理由を「所用」と表現できます。
- 本日○○に急な所用が入ってしまい、△△が代理で発表させていただきます。
- 課長は所用で本日のミーティングに参加できません。代わりに私が出席いたしますので、よろしくお願いいたします。
リモートワーク環境下で不在を伝える
リモートワークやテレワークなど、オフィスに出社しない柔軟な働き方が浸透するなか、メールやチャットを使ってコミュニケーションをとるケースも増えています。
リモートワーク中は直接伝えられないため、メールやチャットを使って、席を外さなければならない用事がある旨を事前に関係者に知らせておくと、なにかあった際にも、他のメンバーが適切に対応できるようになります。
- 所用のため、午後2時から3時まで連絡が難しくなります。緊急の場合は、携帯電話にご連絡いただければ幸いです。
- 本日は所用のため、午後からリモートワークとなります。ご用件がありましたらチャットにてご連絡ください。
会議や面談の日程を調整する
会議や面談など、スケジュールや日程を調整する場合にも「所用」を使用できます。
急な予定変更が必要になった場合であっても「所用」を使って具体的な理由を明かさずにスケジュールの再調整を依頼できます。
- 所用がございますので、予定していた会議の時間を変更させていただけますでしょうか。
- 急な所用が入ってしまったため、会議の開始時間を1時間遅らせていただくことは可能でしょうか?
出張や外出時に自動でメールを返信する
出張や外出先で、メールを受信してもすぐに返信ができない場合などに、自動返信メッセージに「所用」を使えます。
「所用」を使うと、具体的な理由を明かさずに不在連絡が可能です。
何日も連絡を待たせるのではなく、即時に一次対応ができるため、送信者と受信者のお互いのストレスを軽減できるでしょう。
- 現在、所用のため不在にしております。戻り次第、順次ご連絡いたしますので、ご了承ください。
- 現在、所用により×月×日まで休暇をいただいております。緊急のご用件がございましたら、以下の担当者までご連絡ください。
「所用」を使う際の注意点
「所用」は、さまざまな場面で活用できる便利な言い回しですが、使用するシーンや頻度、相手に留意する必要があります。
- 活用シーンと頻度に注意する
- 社内の人への使用は避ける
- プライバシーに配慮する
- フォローアップを欠かさずおこなう
「所用」を使用する際の注意点について、確認していきましょう。
活用シーンと頻度に注意する
「所用」は、活用シーンを間違えてしまうと、相手に不快感を与えるおそれがあります。
たとえば、遅刻したときや、仕事上でやるべきタスクが漏れていた場合など、自分に落ち度がある場合に、理由をきちんと伝えず「所用がありできなかった」などと伝えると、印象が悪いです。
理由を説明すべき場面では「所用」は使用せず、きちんと理由を伝えるようにしましょう。
また、たとえば社内の催しごとなどに欠席をする際、毎回「所用で欠席します」を使用してしまうと、誠実さを感じられず、不信感をもたれてしまう可能性もあります。
「所用」は頻繁には使用せず、状況によって使い分けるように心がけてください。
社内の人への使用は避ける
社内の人からの連絡に対して不在を伝えるときや、社内会議の欠席を伝える際は、「所用」の使用を避けましょう。
不在・欠席の理由を伝える際に、具体的にどのような用事があるのかを明示しないと、同じ職場で働く相手に不信感を与えてしまいスムーズな社内コミュニケーションを阻害する要因にもなってしまいます。
社内の人に対しては、どのような理由で不在や欠席であるかを具体的に伝えるようにしましょう。
ただし、個人的な事情により、たとえ社内の人であっても内容を明かしたくない場合などは、プライバシーに関わる事柄であるため具体的な理由は開示せずに「所用」を使って表現する方が望ましいでしょう。
プライバシーに配慮する
前述のとおり、個人的な理由や家族の事情など詳細な内容を明かしたくない場合には、「所用」を使ってプライバシーに配慮するとよいでしょう。
欠席や休暇の理由で「所用」を使えば、相手に対して不必要に情報を伝えずに済みます。
また、企業秘密に関わる用事など、詳細の開示が適切でない場合にも便利な表現です。
もし、「所用」を理由にした連絡や説明を受ける立場になった場合には、過度に問いただすようなふるまいはしないほうがよいでしょう。
フォローアップを欠かさずおこなう
「所用」を理由に会議を欠席したり対応が遅れた場合には、その後のフォローアップが重要です。
用事が済んだあとには、速やかに相手に連絡を取り、遅れた理由や今後の対応について説明をするとよいでしょう。
たとえば、「先日は急な所用でご迷惑をおかけしました。今後のスケジュールについて再調整させていただきたいと考えております。」のように連絡をして、相手への配慮を示しましょう。
また、フォローアップの際は、具体的な対処法を明確に伝えると、相手に安心感を与えられます。
相手との信頼関係を維持するためにも、フォローアップを必ず実施しましょう。
「所用」の類語・言い換え表現
ビジネスシーンにおいて欠席や休暇を伝える際は、以下のような「所用」以外の言葉への置き換えが適切な場合もあります。
- 私用
- 用事
- 諸事情
- 用件
- 用向き
相手やシーンに応じて適切な言い回しができるように、類語や言い換え表現についてみていきましょう。
私用
「私用」は、プライベートな用事や用件を指す言葉です。
ビジネスシーンにおいては、個人的な理由で休暇を申請するときや、社内の懇親会や食事会の欠席を伝える際などに活用できます。
一方で「所用」は、公的・私的なものをすべて含めた用事を意味し、「私用」は、所用のなかでも私的な用事のみを指します。
たとえば休暇を申請する際の具体的な理由が、私的なものであれば「私用」を使い、公的なものであったり詳細を明かしたくない場合には「所用」を使うとよいでしょう。
- 本日は私用により早退させていただきますが、急ぎの案件があれば携帯で連絡をお願いします。
- 来週の金曜日は私用があるため、終日お休みをいただきます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
用事
「用事」は、「おこなうべきこと・おこなわなければならないこと」の意味をもつ言葉で、「所用」と比較してややカジュアルな表現です。
フォーマルな場での使用は避け、同僚や後輩などの親しい間柄の人とコミュニケーションをとる際や、プライベートで使用するようにしましょう。
- 明日の夜は個人的な用事があるため、参加が難しいです。
- ○○さんは、本日用事のため外出するそうです。
諸事情
「諸事情」は、多くあることを表す「諸」と、やるべきことを意味する「事情」があわさった言葉で、複数の事情が重なっていることを意味します。
たとえば、「諸事情で欠席します」とすると、さまざまな事が込みいっていて、忙しい状態であると表現できます。
ただし、電話対応などで担当者の不在を伝える際に諸事情を使用すると、不自然な文脈になってしまうため避けましょう。
- 今回の催しごとの開催は、諸事情により中止させていただきます。
- 諸事情により、○○プロジェクトは×月の開催へと延期になりました。
用件
「用件」は、用事ややるべきことの内容を意味する言葉で、「所用」と比較すると、特定の物事に焦点をあてているイメージを表します。
たとえば、電話対応で担当者の不在を伝えた際に、「どのようなご用件でしょうか」と添えると、相手が電話した目的などを把握できます。
- 本日○○の用件でお電話をさせていただきました。△△様はいらっしゃいますでしょうか。
- この用件をすぐに終わらせて、次の作業に取りかかりましょう。
用向き
「用向き」は、おこなおうとしている「用」が向いている先を指すことから、「用事の内容」を意味する言葉です。
「用向き」は、話し言葉ではあまり使用しない表現のため、口頭で使用する際は、「用件をお伺いします」など別の表現に置き換える方が、相手にも伝わりやすいでしょう。
- 彼女の用向きは、今日の会議に関する件だった。
- 彼は、急ぎの用向きがあるようだ。
円滑なコミュニケーションに「Chatwork」
「所用」は、欠席や電話で担当者の不在を伝える際など、さまざまな場面で使用できる言葉です。
使用シーンや使い方を誤ると、相手に不信感を与えてしまう可能性があるため、本記事で紹介した注意点を参考に適切に活用しましょう。
言葉の正しい意味や使い方が身に付くと、コミュニケーションの質を向上できるため、「所用」に限らず少しでも使い方に不安を覚える言葉があれば、その都度調べる習慣づけがおすすめです。
また、コミュニケーションの質を高める手段としてはビジネスチャットなどのデジタルツールを活用するのも一つの方法です。
ビジネスチャット「Chatwork」は、離れた場所にいても、対面のようにスムーズなコミュニケーションが、オンラインで実現できるツールです。
一度送信したメッセージを編集・削除もできるため、ミスコミュニケーションや誤送信の防止にも役立つでしょう。
また、チャット機能だけでなく、音声/ビデオ通話機能や、タスク管理機能、ファイル管理機能など、便利な機能が複数搭載されているため、さまざまなシーンで効率化をはかることができます。
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