「適宜(てきぎ)」とは?意味やビジネス上での使い方や言い換えを例文付きで解説
目次
ビジネスシーンの文書では、普段あまり使わない難しい言葉や、独特の表現を使うことがあります。
「適宜」は、ビジネスシーンで使われる機会が多い表現のひとつですが、意味や使い方を詳しく知らないまま、なんとなく使っているという人も多いでしょう。
「適宜」の意味や使い方、類語・言い換え表現などを、例文を交えつつ、確認していきましょう。
「適宜」の意味
「適宜(てきぎ)」は、以下のような意味をもつ言葉です。
- 状況に適していること
- 各自で判断してそのときの状況に合わせること
- 最善と思われる判断をすること
ビジネスシーンでは、各自で臨機応変に対応する必要があるときなどに用いられています。
「適宜」の詳しい使い方を確認していきましょう。
「適宜」の3つの使い方・例文
「適宜」は、大きくわけて3つの使い方があります。
- 状況に応じる意味
- 各自の判断の意味
- 最善の判断の意味
3つの場面それぞれにおける「適宜」の使い方を、例文を交えて解説します。
状況に応じる意味
さまざまな状況に応じて行動する際に、「適宜」という表現を使用することがあります。
柔軟に対応したり、臨機応変に対応したりする際に、以下の例文のように使うことができます。
- 面談の受付時間は10時から15時で原則予約が必要ですが、適宜予約なしでも受け付けています。
- 掃除当番はあらかじめ決められているけれど、スケジュール次第で対応できないときは、適宜当番を交代するなどして対応して欲しい。
- 先日の一次審査に通過した社員については、二次審査に向けた対策の指導を適宜実施しましょう。
各自の判断の意味
その場の状況にあわせて、各自が自分で判断・行動する必要がある場面に、「適宜」という表現を使うことがあります。
とくにビジネスシーンでは、指示どおりに動くだけではなく、各自が状況にあわせて自分で判断・行動しなければならないシーンも少なくありません。
- 有給休暇は、各自で適宜仕事やプライベートの状況に合わせて計画的に取得するようにしてください。
- お昼休憩は、仕事の進捗状況にあわせて適宜とるようにして構いません。
- 追加発注は、各店の店長の判断で適宜おこなって欲しい。
最善の判断の意味
「適宜」には、臨機応変に、その場における最善の判断を各自がおこなうという意味もあります。
「各自の判断」と似ていますが、この場合の「適宜」は、「最善」というニュアンスを含んでいる点が特徴です。
- ○○社との交渉について、原則は先日話したとおりの方針で進めて欲しいが、相手が新しい条件を提示した場合などは適宜対応してください。
- ここ数日、売り上げの数に波があるから、在庫を切らさないように適宜発注作業をおこなうようにして欲しい。
- 最近、イレギュラーな事態がよく起こるから、その場合はチームで相談のうえ適宜対応するように。
「適宜」の類語・言い換え表現
「適宜」には、さまざまな類語・言い換え表現があります。
言い換え表現が必要になることも多いため、語彙を増やして、円滑なコミュニケーションを実現しましょう。
今回は、適宜の言い換え表現として、以下の7つを紹介します。
- 適当
- 適切
- 適正
- 都度
- 然るべき
- 相応しい
- 必要に応じて
例文を参考に、それぞれの表現の使い方を確認していきましょう。
「適当」
「適当(てきとう)」とは、「要求や目的、条件などにあっていること」「程度がほどよいこと」といった意味をもつ言葉です。
「適当」は、普段の会話のなかでもよく使われる表現で、使いやすいでしょう。
- お昼ごはんはみんな適当にとるようにして。
- 新規の依頼を発注するのに適当な依頼先を探しておいて欲しい。
「適切」
「適切(てきせつ)」とは、「目的や状況にあっていて、ふさわしいこと」という意味をもつ表現です。
ビジネスシーンの使用頻度も高い表現のため、使い方を覚えておきましょう。
- 新商品の発表は、適切なタイミングでおこなうようにしたい。
- 先日のイベントではトラブルもあったが、現場での適切な判断のおかげで無事に乗り越えられた。
「適正」
「適正(てきせい)」とは、「適当で正しいことやそのさま」を意味する言葉です。
- 先日導入したシステムは大変便利だが、適正な運用を心がけたい。
- いくらイベント価格とはいえ、この値段の高さは適正な価格とはいいがたい。
「都度」
「都度(つど)」とは、「なにかしらのものごとがおこなわれるたびに」という意味をもつ表現です。
- 人員を増やすかどうかは、都度判断して欲しい。
- 会議の都度、各支店の売り上げ状況を確認して欲しい。
「然るべき」
「然るべき」は、「しかるべき」と読み、「適当な」「ふさわしい」という意味をもつ言葉です。
- 不確定な要素も多く、なかなか先が読めないが、然るべきタイミングで中止するかどうかの判断をしよう。
- 然るべきタイミングで報告をするようにしてくれ。
「相応しい」
「相応しい」は、「ふさわしい」と読み、「つり合いがとれていること」という意味をもつ表現です。
「適宜」のように、状況や条件に適している際に使われます。
- 今度の食事会は高級レストランらしいので、相応しい服装をしていこう。
- 新規プロジェクトは、かなり大規模で人員も多いので、スケジュール管理が得意な人物がリーダーに相応しいだろう。
「必要に応じて」
「必要に応じて」とは、「なにかしらの対応や用意が必要になった場合に応じる」という意味をもつ表現です。
- 必要に応じて、ほかにも追加で資料を用意して欲しい。
- 最近、人員不足が深刻なため、必要に応じて派遣による人員補充をして対応しよう。
「適宜」と混同しやすい言葉
「適宜」と似ていて混同しやすい言葉として「随時」と「適時」があります。
意味や使い方によっては、「適宜」と同じ意味として使うこともできますが、違いもあるため、適切に使い分けられるようになりましょう。
「随時」
「随時(ずいじ)」とは、「必要なタイミングでおこなうさま」や、「なにかをおこなうのに適したタイミング」という意味をもつ言葉です。
「随時」には、「適したタイミング」など、時間を対象としているニュアンスがあり、「適宜」は時間だけではなく、状況や条件など、時間以外にも幅広い要素について適当であることをさしている点で違いがあります。
「適時」
「適時(てきじ)」は、「なにかをするのにちょうどいいとき」という意味をもつ言葉で、「随時」と同様に、時間やタイミングという要素に注目している点が特徴です。
時間やタイミングという意味で、適している場合には「適時」という表現を使い、時間以外の要素についても適した状態をさすときには、「適宜」を使うようにしましょう。
適宜(てきぎ) | 時間・状況・条件などが適しているさま |
---|---|
随時(ずいじ) | 時間やタイミングが適しているさま |
適時(てきじ) | 時間やタイミングが適しているさま |
ビジネスシーンで「適宜」を使う際の注意点
「適宜」という言葉は便利な言葉ではありますが、ビジネスシーンで使う際には、注意すべき点があります。
注意点をおさえて、円滑なコミュニケーションの実現を目指しましょう。
ミスコミュニケーションに注意する
「適宜」という言葉を使う際は、ミスコミュニケーションに注意する必要があります。
「適宜」という言葉が指す判断や行動の内容が、相手と自分で異なっている可能性があるためです。
たとえば、「昼休みの休憩は各自で適宜とってくれ」と上司がいった場合、上司は、「業務の忙しい時間帯を避けて、仕事のキリがいいタイミングで」という意味で「適宜」を使っているかもしれません。
その場合、「業務の状況にかかわらず自分の好きなタイミングで」という意味で解釈してしまうと、コミュニケーションにズレが生じてしまいます。
「適宜報告して欲しい」「適宜対応して欲しい」など、ビジネスシーンではよく使われる表現ですが、「適宜」が指す内容が曖昧な場合は、具体的な範囲を確認しておくようにしましょう。
また、自分が「適宜」と使う際は、補足の言葉を添えたりして、ミスコミュニケーションの発生を防ぐことが大切です。
目上の人への依頼で使わない
「適宜」という表現は、目上の人に依頼する際に使用するのは避けたほうがよいとされています。
目上の人への依頼に「適宜」を使うと、指示をしているニュアンスがあるためです。
たとえば、「適宜○○してください」などの依頼の仕方は、上から目線の印象を与えます。
目上の人に対してどうしても「適宜」を使う場合は、「適宜○○していただけますと幸いです」など、敬語表現とともに使うようにしましょう。
円滑なコミュニケーションの実現に「Chatwork」
「適宜」は、状況に適していること、各自で判断すること、最善の判断をすることといった意味をもつ表現で、ビジネスシーンでも使われることの多い表現のひとつです。
便利な表現ですが、示す意味がやや曖昧なため、「適宜」が具体的になにを指しているかの判断が、人によって異なってしまう可能性があります。
そのため、「適宜」のイメージのずれから、ミスコミュニケーションが発生することもあるでしょう。
会話やチャットなどで「適宜」という言葉が使われたときには、自分のイメージや認識があっているか、相手に確認するようにしましょう。
また、自分が「適宜」を使う際は、相手に異なるニュアンスで伝わらないように、言い換え表現や補足事項を添える配慮をすることで、円滑なコミュニケーションが実現できます。
チャットツールであれば、メールよりも気軽にコミュニケーションがとれるため、お互いの認識を共有するのが簡単でしょう。
ビジネスシーンの気軽なコミュニケーションには、ビジネスチャット「Chatwork」の利用がおすすめです。
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