「固定観念」とは?意味や具体例、「固定概念」との違いを解説
目次
固定観念とは、思考が束縛され、考えや価値観が凝り固まっていることを表す言葉です。
周りの状況が変化していても自身の考え方を変えず、人の意見も聞かないという頑固な考えや意識のことを指します。
本記事では、「固定観念」の意味や使い方、よく似た四字熟語の「固定概念」との違い、類語について解説します。
さらには固定観念にとらわれるデメリットや、とらわれないための方法について解説します。
「固定観念」の意味とは
「固定観念」とは、ずっと頭から離れず、人の思考を束縛するような考えのことです。
読み方は「こていかんねん」です。
「固定」には、「一定の状態から動かず変化しないこと」という意味があり、「観念に」は「特定のものについての意識や考え」という意味があります。
思考が束縛されて凝り固まっているため、人の意見に耳を傾けない、環境に変化があっても変えることが難しい考えを「固定観念」といいます。
一般的に、「固定観念」はネガティブなニュアンスをもつ言葉として使われています。
「固定観念」と「固定概念」の違いとは
「固定観念」とよく似た言葉に「固定概念」があります。
「固定概念」は、辞書に載っていない言葉で、「固定観念」の誤用といわれています。
「概念」は、「ものごとを大まかにまとめた意味や内容」という意味です。
言葉として「固定概念」は辞書に載っていない誤用であると覚えておきましょう。
「固定観念」の使い方と例文
「固定観念」の使い方を例文付きで紹介します。
- 「固定観念にとらわれる」
- 「固定観念が強い」
- 「固定観念を覆す」
「固定観念」という言葉を正しく使いこなせるように、使い方をしっかりと押さえておきましょう。
「固定観念にとらわれる」
「固定観念にとらわれる」とは、特定の考え方が頭から離れず、周囲の人の意見や状況に合わせて考え方を変えられない状態をいいます。
- この部署では固定観念にとらわれている人が多く、デジタル化や新しいシステムの導入が進んでいないようだ。
- さらなる成長のためには、固定観念にとらわれることのない柔軟性が求められる。
なお、「固定観念にとらわれる」の「とらわれる」はひらがなで書くのが一般的です。
「とらわれる」という言葉の漢字表記には「捕らわれる」「捉われる」「囚われる」などがあります。
それぞれの漢字には以下のような意味の違いがあります。
- 捕らわれる:つかまえられること
- 捉われる:つかまること、なにかに巻き込まれること
- 囚われる:心の自由を失うこと
「捉われる」と「囚われる」には、「固定観念」のように「特定の考え方に凝り固まる」という意味があります。
しかし、「捉われる」と「囚われる」のふたつの使い分けは難しく、「固定観念にとらわれる」とひらがなが使われる場合が一般的です。
「固定観念が強い」
「固定観念が強い」とは、「特定の考え方や価値観に強く束縛されて、考えを変えるのがとても難しい状態」を表しています。
- 固定観念の強さが、新しいアイデアの誕生を阻害している。
- 彼は固定観念が強いため、周囲の人と衝突することがある。
「固定観念を覆す」
「固定観念を覆す」とは、「周囲の人の意見や外部の環境によっても変えるのが難しい考えや価値観が変化すること」です。
「覆す」は「くつがえす」と読み、「これまでの状態とは逆の状態にすること」「ものごとの価値をなくすこと」などの意味があります。
- 経営陣が変わったことで、全社的に固定観念を覆すような取り組みが進んでいる。
- 固定観念を覆すために、新しいスキルや視点を提案してみよう。
ビジネスシーンで見られる「固定観念」とは
ビジネスシーンにおける、「固定観念」の例を紹介します。
- 仕事は全員が同じ時間に同じ場所に出社してするものだ
職種などにもよりますが、同じ時間に同じ場所に集まって仕事をするのが、一般的な会社員の働き方です。
しかし、メールやチャットの普及をはじめとするオンライン技術の発展から、社員が異なる場所にいても仕事ができるようになりました。
多様な働き方を認めるようになった社会的変化の影響もあり、時短勤務やリモートワークの導入など働き方は変化しています。
働き方について「同じ時間に同じ場所で働く」という考え方は固定観念の一例といえるでしょう。
- 管理職は男性がやるべきだ
管理職の男女比率を見ると、日本では男性の管理職が過半数を占めております。[※]
しかし、近年では企業において、女性管理職の積極的な登用も進んでいます。
「管理職は男性がやるべきだ」とする考え方は固定観念のひとつといえます。
固定観念にとらわれることのデメリット・注意点
固定観念にとらわれてしまうと、以下のようなデメリットがあります。
- 視野が狭くなってしまう
- 新しいアイデアが創出できない
- チャレンジができなくなってしまう
それぞれについて詳細を解説します。
視野が狭くなってしまう
固定観念にとらわれると、主観的な考えや価値観に固執してしまうため、視野が狭くなってしまいます。
客観的にものごとを見られず、ほかの可能性を検討することができません。
多面的にものごとを捉えるようにして、固定観念にとらわれないようにしましょう。
新しいアイデアが創出できない
さまざまな人の意見を取り入れることで、新しいアイデアは生まれやすくなります。
環境の変化に適応しようとするなかで、新しい企画や発想が生まれることもあるでしょう。
そうした新しいアイデアの創出を固体観念は阻害する要因であり、デメリットといえます。
チャレンジができなくなってしまう
新しい考えや価値観を受け入れてもらえない会社では、新しいチャレンジをしようというモチベーションは生まれにくいでしょう。
固定観念をもたず、新しい提案やチャレンジを受け入れることは、企業や個人の成長につながります。
固定観念が強過ぎると、組織や個人としてのチャレンジ、成長ができなくなってしまう点に注意しましょう。
「固定観念」の類語と例文
「固定観念」には以下のような類語がありますが、いずれも特定の考え方や思考にとらわれている状態を表す言葉です。
- ステレオタイプ
- 先入観
- 偏見
- 思い込み
それぞれの意味と例文を紹介します。
ステレオタイプ
ステレオタイプ(stereotype)は、カタカナ語としても使われることの多い表現です。
ステレオタイプとは、多くの人がもつ思い込みやイメージのことです。
- 国や文化に対するステレオタイプは、時に相互理解を阻む要因となっています。
- これまではびこっていたステレオタイプを捨てて、年齢や性別に関係なく、個人の能力や経験を評価する必要がある。
先入観
先入観とは、ものごとを実際に見聞きする前に一方的につくられた考えやイメージのことです。
- 人に対する先入観をもたず、平等に接することが重要だ。
- お互いの部署同士に先入観があったために敵対意識が生まれてしまった。
偏見
偏見とは、偏ったものの見方や考え方という意味です。
差別的な考えのもと、物事を否定的に判断してしまう場合に使われることが多い言葉です。
- 学歴に対する偏見から、個人の能力を適切に評価できていなかった。
- お互いに偏見をもって接していたことが、円滑なプロジェクトの進行を妨げていた。
思い込み
「思い込み」とは、深く信じ込むこと、心に決め込んでしまうことという意味です。
ポジティブな場合とネガティブな場合、どちらの意味でも使用が可能です。
- 「どうせうまく行かない」という思い込みをなくして、積極的にチャレンジしていこう。
- 「絶対に間違いはない」という思い込みはせずに、しっかりとチェックしていく。
固定観念にとらわれない方法
柔軟な発想や適切な思考を奪ってしまう固定観念にとらわれないためには以下の方法が有効です。
- 固定観念があることを理解する
- 価値観が異なる人の話を聞く
- 過去の経験や知識を疑う
具体的な対策方法について詳しく解説します。
固定観念があることを理解する
固定観念にとらわれないためには、前提として「そもそも固定観念は存在している」と考えましょう。
「固定観念がある」という意識をもっていれば、どのような固定観念があるのか適切に把握して、対処できます。
価値観が異なる人の話を聞く
自分ひとりの考えに固執していると、自分の考えが正しいと思いがちです。
価値観が異なる人の話を聞くと、相手との違いから自分がどのような偏見をもっていたのか、よくわかります。
固定観念をなくすためには、積極的に異なる価値観の人と関わってみましょう。
過去の経験や知識を疑う
過去の経験や知識を疑うのも、固定観念にとらわれないようにする有効な手段です。
自分の考え方は正しいのか、過去の経験にとらわれ過ぎていないかをチェックすると、固定観念を捨てて新しいアイデアの創出が可能になるでしょう。
固定観念を解消するためのコミュニケーションなら「Chatwork」
「固定観念」とは、「特定の価値観や考え方に束縛された、凝り固まった考え方」という意味です。
ビジネスシーンでは、他者とのコミュニケーションを通して固定観念に気づくことも多いでしょう。
価値観が異なる人との関わりの際に、チャットツールが役立つこともあります。
ぜひビジネスチャット「Chatwork」を活用し、固定観念への気づき、解消をはかってみてはいかがでしょうか。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※]出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「課長相当以上の女性管理職がいる企業割合は約53%で、管理職に占める女性割合は約12%(国内トピックス:ビジネス・レーバー・トレンド 2022年10月号)」
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2022/10/k_05.html