ステレオタイプの意味とは?ステレオタイプな人の特徴や具体例を紹介
目次
ステレオタイプとは、特定の人々やグループに対する固定化されたイメージや見解のことを指します。
情報の整理や処理を簡略化できる一方で、偏見や差別につながる場合があります。
たとえば、人種や性別、宗教、国籍、血液型など、それぞれのイメージで判断することも、ステレオタイプの例に当てはまるでしょう。
本記事ではステレオタイプの具体例やデメリット・メリット、ステレオタイプな人の特徴や解消方法を解説します。
「ステレオタイプ」の意味とは?
ステレオタイプとは多くの人に浸透している、過度に一般化された固定観念です。
特定の集団やカテゴリーに該当するものに対して、思い込みや先入観で見ることを指します。
たとえば「男性は外で働くべき」「女性は家庭を守るべき」という見方は、ステレオタイプの例に当てはまります。
ステレオタイプは、メディアや教育、親や友人からの影響など、さまざまな方法で形成されますが、事実に基づいておらず、誤解や無知から生じるケースも多いです。
時には偏見や差別の原因となりうるため、自身がステレオタイプとなっていないか、振り返ることも大切です。
ステレオタイプの語源
ステレオタイプの語源は、印刷業界で使われていた「ステロ版」と呼ばれる活版印刷が由来といわれています。
ステロ版の印刷方法は、完成した鉛の型で印刷し、同じ印刷物が完成するところが特徴です。
その印刷方法のイメージから、ステレオタイプは「判で押したような見方をする人」といった意味を持つようになりました。
バイアスとの違い
バイアスには、偏見や先入観という意味があります。
ステレオタイプと同じ意味合いで語られることもありますが、バイアスは偏見に加えて本人の感情が含まれる傾向にあります。
たとえば、ステレオタイプの例として「男性は外で働くべき」というイメージがあげられます。
バイアスでは、上記に加えて「男性は外で働くべき。だから、男性が家庭に入るのはおかしい」という本人の感情が加わります。
どちらの場合も偏見で相手を見てしまうため、人間関係のトラブルや争いにつながる懸念があります。
ステレオタイプの具体例
ステレオタイプはさまざまな属性に対して存在しますが、血液型やジェンダーに関わる内容は、ステレオタイプでよく見られる例といえます。
具体的に以下のようなジャンルでステレオタイプが見受けられます。
- 血液型
- ジェンダー
- 地域性・県民性
- 人種・国籍
それぞれの内容を見ていきましょう。
具体例(1):血液型
日本に見られるステレオタイプの具体例として、血液型があげられます。
たとえば「A型は神経質」「B型は自分勝手」といったイメージがあげられます。
血液型はあくまでも血液のタイプを分類したもので、本人の性格を判断できるという根拠はありません。
血液型のステレオタイプは、ネガティブな決めつけにつながる一方で、血液型の診断で「話題を広げる」といった雑談の意味合いで捉えられている場合もあります。
具体例(2):ジェンダー
ジェンダーとは、社会的・文化的に浸透した性に対するイメージをいいます。
ジェンダーに関わる「過度に一般化された固定観念」には、以下のような具体例があげられます。
- 女性はスカート、男性はズボンをはくもの
- 女性は愛嬌、男性は度胸があるほうがよい
- 女性は理数系が苦手、男性は理数系が得意
「女性は〇〇」「男性は〇〇」という偏った見方は、あくまでもステレオタイプのイメージが先行したものに過ぎません。
相手の特性はジェンダーに関係なく、個人の能力や好みによって変わります。
具体例(3):地域性・県民性
特定の地域や県民性で見てしまうことも、ステレオタイプの例に当てはまります。
たとえば「関西人はお笑いに厳しい」「都会の人は愛想がない」といった内容が挙げられます。
地域性や県民性はあくまでもイメージになるため、全員に当てはまるわけではありません。
特定の地域の人と接した際、同じような傾向があったとしても、たまたま同じ特徴をもつ人が集まっただけの可能性もあります。
具体例(4):人種・国籍
人種や国籍に関わるステレオタイプは多く存在します。
たとえば「日本人は自己主張が苦手」「アメリカ人は自己主張が得意」といった内容が挙げられます。
偏見やイメージだけで相手を見てしまうと、内容によっては人種差別につながる可能性もあるでしょう。
「〇〇人だから」という見方は、あくまでもステレオタイプのイメージに過ぎません。
人種や国籍のイメージで判断するのではなく、個人を見ることが大切です。
ステレオタイプにおけるデメリット・弊害
ステレオタイプは、情報のパターン化により効率よく整理・処理できるという見方もありますが、多くのデメリットや弊害があります。
主なデメリットは以下の通りです。
- 偏見や差別が生じてしまう
- 人の特性を見逃してしまう
- 行動や心理に影響する可能性がある
それぞれについて詳しくみていきましょう。
偏見や差別が生じてしまう
ステレオタイプによって物事を判断すると、偏見や差別が起きる原因になります。
たとえば「〇〇の国は犯罪率が高い」というイメージがあると、現地出身の人と接するときにマイナスな見方をしてしまう可能性があります。
また、ほかの人から見たときに、ステレオタイプな会話をすると「視野が狭い人だ」という印象を与える場合もあります。
ステレオタイプから偏見や差別の気持ちが生まれると、人間関係のトラブルや争いにつながりかねないので注意しましょう。
人の特性を見逃してしまう
ステレオタイプは偏った物の見方をするため、相手の特性を見逃してしまう恐れがあります。
たとえば、働きたい女性に対して「女性は家庭に入るべきだ」と決めつけ、本人の意志を無視してしまうと、働く意欲の低下を招き、優秀な人材を失う可能性もあります。
ひとりの人間として見られなくなってしまうため、相手の好みや価値観を把握するのが難しくなります。
行動や心理に影響する可能性がある
ステレオタイプによって自身にレッテルが貼られることで、その人自身の行動や選択、心理状況に影響を及ぼす可能性もあります。
たとえば、ある実験で「女子は数学が苦手」という思い込みをさせることで、その人は実際の数学テストの点数も悪くなってしまったという結果が出ています。
ステレオタイプによる刷り込みが強すぎると、本来の自分の力を発揮できずにパフォーマンスの低下や、ステレオタイプ通りの行動をする可能性もあります。
ステレオタイプにおけるメリット
膨大な情報を型にはめて理解・把握しようとするステレオタイプの考え方は、情報を効率的に処理することに役立ちます。
ステレオタイプのメリットについても見ていきましょう。
情報を処理する際に簡略化できる
ステレオタイプで物事を処理すると、情報の全体像をまとめて把握しやすくなります。
たとえば「○○は△△」といった形で情報を簡略化することで、既存の知識と情報がつながるため、スピード感をもって情報を処理できます。
また、カテゴリーごとに情報を分類できるので、新しい価値観に直面したときも、混乱することなく情報を整理できるようになります。
脳にかかる負担を減らせる
一般化して物事を見ると、脳にかかる負荷を減らすメリットがあります。
人間は情報量が多い処理については、脳に負担がかかることがわかっています。
そのため、脳はできる限り認知にかかる負荷を減らそうとする傾向があります。
ただ、ステレオタイプは悪いイメージにつながることが多いため、できる限り物事を俯瞰して見ることが重要といえます。
ステレオタイプな人の特徴と傾向
ステレオタイプな人には、どのような特徴があるのでしょうか。
主に以下のような、特徴や傾向にあるといわれています。
- 思い込みが強い
- 世間的な価値観を重視する
- 多数派の意見に流されやすい
- 新しい価値観を知っても受け止めにくい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
思い込みが強い
ステレオタイプな人は、固定観念が強い特徴があります。
実は自分の考え方に自信がなく、個人の意見を伝えると「周りから馬鹿にされるのでは」という不安を抱えています。
そのため「日本人は〇〇だ」という伝え方をすると、一般化されたイメージとして浸透しているため、自分の意見が浮きづらくなります。
自分の立場を守るために、思い込みの発言が多くなることがあります。
世間的な価値観を重視する
ステレオタイプな人は、世間一般の価値観を大切にする傾向があります。
世間の価値観を大切にするのは悪くありませんが、ステレオタイプな人は、相手に自分の価値観を押しつけがちなところが特徴です。
たとえば「常識的に考えておかしい」といった言動が多い場合は、社会性を重んじすぎてしまい、ステレオタイプになっている可能性があります。
多数派の意見に流されやすい
ステレオタイプな人は、自分軸がない傾向が強く、多数派の意見に流されがちです。
柔軟に意見を変えられるのは長所でもありますが、個人の意見がもとめられる場面では「自分の意見がない人」など、相手に悪い印象を与える可能性があります。
新しい価値観を知っても受け止めにくい
ステレオタイプな人は、思い込みが激しいところがあるため、新しい価値観を受け止められない傾向があります。
そのため、今まで出会ったことがない人と接したときに不安を感じてしまい、相手を決めつけることで安心したい気持ちがあるのです。
また、現状維持や平凡を好むところがあるなど、変化が苦手なところも特徴です。
変わらないことや安心感を好む傾向があるので、状況によっては融通が利かない人に見られることもあります。
ステレオタイプが生まれる理由
ステレオタイプは、新しい人々や価値観に触れたときに「不安を感じる」ことで起きやすくなります。
本来の理想としては、偏見やカテゴリーで物事を見るのではなく、一つひとつを丁寧に分解して見る姿勢が求められます。
ただ、人間は日々さまざまな情報に触れているため、客観的な思考を踏まえてすべての物事を判断するのは難しいといえるでしょう。
そのため、ステレオタイプで情報処理をするほうが、脳の認知にかかる負担を減らせるようになります。
また、現代ではメディアなどによって情報が拡散されやすい影響もあり、ステレオタイプの悪いイメージが広がってしまうこともあります。
ステレオタイプの解消に必要な方法
ステレオタイプを解消するには、以下のようなポイントを意識することが大切です。
- 複数の情報と見比べる
- SDGsの考え方を取り入れてみる
- 肩書きやイメージにとらわれない
ステレオタイプの解消方法について詳細を見ていきましょう。
複数の情報と見比べる
何か新しい情報を得たときは、複数の情報源からリサーチをかける方法がおすすめです。
SNSの情報だけでなく、公的機関やテレビの情報、周りの人からの情報など、情報源が多いほど総合的な判断ができます。
自分だけの思考で判断しないように注意することで、冷静に情報の内容を判断できるでしょう。
SDGsの考え方を取り入れてみる
組織においてステレオタイプを解消するには、SDGsの考え方を参考にする方法もあります。
たとえば、SDGsでは「ジェンダー平等を実現しよう」「人や国の不平等をなくそう」という目標が掲げられています。
社内でSDGsの目標を共有して、自分たちに何ができるのかという話し合いの場を設けてみるのもよいでしょう。
まずはステレオタイプの概要を知ることで、自分たちの日頃の言動を振り返る機会にもつながります。
肩書きやイメージにとらわれない
ステレオタイプにならないためにも、相手の肩書きではなく個人として見ることが大切です。
肩書きだけで判断してしまうと、先入観によるイメージが完成してしまい、相手の特性を見逃すことがあります。
たとえば「会社の部下」というカテゴリーで見るだけでなく、本人の性格や価値観を見るように心がけましょう。
ステレオタイプを避けるには決めつけないことが大切
思い込みによる決めつけを避けるには、普段から「自分にもステレオタイプなところがあるかもしれない」と自覚しておくことが大切です。
イメージだけで判断せずに、本人の特性や幅広い物の見方で世界を見るようになると、人間関係のトラブルを避けられるようになります。
また、ステレオタイプを解消するには、日頃からさまざまな価値観に触れる機会をもつことも大切です。
企業では従業員に向けて、多様性のある価値観を受け入れる教育を進めていく必要があります。
社内でステレオタイプに関わる情報共有をおこなう際は、ビジネスチャット「Chatwork」の活用がおすすめです。
グループチャットを使えば、ステレオタイプに関わる研修の伝達をおこなうことができます。
社内の意見交換を活性化させる効果もあるので、情報共有を円滑にさせたいときは、ぜひ「Chatwork」をご活用ください。
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