オブジェクションハンドリングとは?意味やビジネスシーンでの活用方法について解説

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オブジェクションハンドリングとは?意味やビジネスシーンでの活用方法について解説

目次

オブジェクションハンドリングとは、自分と反対意見の相手を、自分の意見に導くことです。

相手の懸念や疑問を理解し、共感を示したうえで、適切な情報や解決策を提示して自分の意見に誘導していきます。

営業や会議などでオブジェクションハンドリングを活用すると、相手を不快にさせず、望む方向に話をもっていける可能性があります。

本記事では、オブジェクションハンドリングの意味と活用方法、具体例を解説します。

オブジェクションハンドリングとは

オブジェクションハンドリングとは、相手が持つ反論や異議に対し、効果的に対応し自分の意見に引き寄せるコミュニケーションスキルのひとつです。

具体的な流れとしては、はじめに自分の意見に対し、相手が何を懸念しているのか、不安要素は何なのか、その真意を確認する質問を投げかけ、回答に共感や同意の姿勢を示します。

その後、反対意見を払拭させる具体例を出し、自分の意見に誘導していくパターンが基本的な流れです。

オブジェクションとは

オブジェクション(objection)とは「異議」「反論」を意味する言葉です。

とくに、会話やビジネスの文脈では、相手が何かに反対したり、疑問を持ったりすることを指します。

ハンドリング(handling)は「対処」「対応」などを意味し、ビジネスや営業の分野では、顧客からの反対意見に対応し、スムーズに納得させるまでのプロセスを表現するために使われています。

ふたつを組み合わせたオブジェクションハンドリングは「反論処理」や「カウンタートーク」などとも呼ばれます。

オブジェクションハンドリングの種類

オブジェクションハンドリングには、肯定型と否定型があります。

この2つの手法は、顧客や相手の反論や疑念に応じて柔軟に対応するという目的は同じですが、アプローチが異なります。

オブジェクションハンドリングの種類について解説します。

肯定型

肯定型のオブジェクションハンドリングは、相手に対して共感を示しながら、相手の意見を尊重しつつ話を進める方法です。

肯定型のアプローチにおける目的は、相手に安心感を与えて、自然な流れでこちらの提案に対して同意してもらうことにあります。

相手の懸念や疑問に対して、「そのとおりですね」「わかります」などのフレーズで共感する姿勢を表して相手の気持ちを受け止めることで、信頼を得る手法です。

肯定型のオブジェクションハンドリング:会話例

            
発言者 会話 意図・心理
顧客 「このサービスは少し高いですね。」 懸念がある状態
営業担当 「そうかもしれません。」
「価格だけみるときになってしまいますよね。」
共感する姿勢を示す
気持ちを受け止める
「実はこの価格には1年間のサポートも含まれているんです。」
「他のサービスだと、サポートが追加料金になる場合もあるようですよ。」
懸念材料に対して価値がある点を伝える
価値について納得させる

上記した会話例のアプローチでは、顧客の懸念をまず認めたうえで、追加の価値を提示し、顧客を納得させられるため、自然な形で商談を進めることが可能です。

否定型

否定型のオブジェクションハンドリングは、相手の懸念や反論に対して適切に論理的な反論をおこない、説得力をもたせるアプローチです。

相手の意見を単に受け入れるのではなく、事実やデータを使いながら、その意見が誤解や偏見に基づいていると示すことで、相手の考えを自分の意見に導いていきます。

否定型のオブジェクションハンドリング:会話例

            
発言者 会話 意図・心理
顧客 「このソフトは導入するのに時間がかかりそうですね。」 懸念がある状態
営業担当 「一見、時間がかかりそうに捉えられがちなのですが、実際は導入プロセスがとても簡単なので、導入までに要する期間は平均で2週間以内なのですよ。」 相手の誤解を解くために、反対意見を伝える
「他のソフトの例ですと、導入までに数か月かかるケースもあります。」意見の裏付けや後押しとなるデータや事例を伝える

上記の例では、冷静に反論して誤解を解き、事実や実績を基にして自社製品の利便性も添えつつ、顧客の懸念を払拭しています。

否定型のオブジェクションハンドリングを活用すれば、適切な反論を示しつつ相手を説得し、自分の意見に賛同してもらうよう導くことができますが、対話する相手が示している感情やおかれている状況への十分な配慮も忘れないようにしましょう。

オブジェクションの必要性

オブジェクションという言葉は「異議」や「反論」などのネガティブな意味合いを持っているため、マイナスなイメージを与えやすいですが、顧客の反応としてオブジェクションが出るということは、自社製品やサービスに興味を抱いてもらえているといえます。

顧客が興味や関心を抱いていないと、こちらの説明に反応せず、適当に流される可能性が高いため、オブジェクションをされた場合はセールスのチャンスです。

顧客から反対意見が出た際には、上手にオブジェクションハンドリングをおこない、自分の意見へ誘導していきましょう。

オブジェクションハンドリングの活用方法

オブジェクションハンドリングを効果的に活用するためには、「真意を探る」「真意を把握する」「返答する」の3ステップで実施していきましょう。

ステップの順に沿って、活用方法を解説します。

ステップ(1):オブジェクション(反対意見)の真意を探る

顧客からオブジェクション(反対意見)が出たら、反対する理由を探るべく深掘りしましょう。

たとえば「価格が高い」という反論をされた場合、その真意として以下のような理由が考えられます。

  • 予算に対して、価格が高い
  • 他社製品と比較して、価格が高い
  • 製品の品質に対して、価格が高い

高いと感じたのは他社と比較してなのか、それとも費用対効果の面なのかを引き出す質問をして、真意を探っていきます。

ステップ(2):真意を把握する

ステップ(1)での質問や対話を繰り返して、真意を把握していきます。

提案のどの部分に反対しているのか、何が懸念なのかを正確に捉えられると、次のステップの切り返しが効果を発揮します。

顧客から真意を探るためには、信頼関係の構築が鍵となります。

質問の仕方や、日頃のコミュニケーションにヒントが隠されている場合があるので、提案する場合は反論された際の想定理由を事前に検討しておくとよいでしょう。

ステップ(3):返答する

「返答する」については、前述したように肯定型と否定型の2つのパターンを状況に応じて使い分けると効果的です。

オブジェクションハンドリングを実践時する時は、いずれかのパターンを使ってステップ(3)を進めてみましょう。

返答パターン①:肯定型

肯定型の場合は、把握した相手の真意に対して肯定の姿勢を見せます。

たとえば、顧客の真意が「他社製品と比較すると高い」だった場合、「確かに、他社の製品の方がお安く感じられますよね」と相手の意見を受けとめて肯定します。

相手に同調し安心感を与えることで、こちらの提案を聞いてもらいやすくします。

その後、自社製品の価格に対する価値や他社にはない利便性を提案しましょう。

顧客との関係性ができていない場合や、柔らかな対応の方が受け入れやすい場合は、肯定型の返答が有効です。

返答パターン②:否定型

否定型の場合は、相手の真意に対して同調せず、こちらの意図や価値を伝えていきます。

否定型で重要なポイントは、完全に否定するのではなく、相手の感情やおかれている状況を踏まえつつ反応をみながら、あくまで事実や論理に基づいて違う視点を提示していくことです。

相手の懸念点に対して、「その心配はこのような方法でなくすことができます」「その価格はこのような理由で設定されております」などのように根拠を添えて提案を続けていきましょう。

とくに、相手の反論が強すぎる場合は、肯定型で一度同調してしまうと相手にペースを掴まれやすいです。

相手の反対意思が強い場合、同調せずに否定型の返答で理論的に切り返しましょう。

オブジェクションハンドリングの具体例

オブジェクションハンドリングは、状況や相手に応じて異なる対応が求められます。

営業では顧客の疑問や懸念に対して価値を提示し、上司への進言では論理的な根拠を用いて提案をおこないます。

また、後輩への指導では共感を示しながら成長を促すことが重要です。

それぞれのシーンにおけるオブジェクションハンドリングの具体例を紹介します。

例1:顧客への営業【肯定型】

顧客への営業でオブジェクションハンドリングが必要になる場面は多く、たとえば「この製品は必要ない」と言われた場合、顧客の真意を探るため「現在、どのように対応されていますか?」などと質問を繰り返し、不要であると考えている背景を探りましょう。

顧客への営業【肯定型】:会話例

            
発言者 会話 意図・心理
顧客 「すでに似た製品を使っているので、変更の必要がないです。」 懸念・拒絶の表明
営業担当 「確かに、すでにお使いの製品も優れています。」
「まったく同じ機能の商品は不要ですよね。」
共感する姿勢を示す
気持ちを受け止める
「しかし、弊社の製品は省エネ性能が高く、長期的にはコスト削減にも繋がります。」
「同業で他社様の導入においては、こんな成功事例もありました。」
自社商品にしかない強みをアピールする
すでにある成功事例で信頼感を高める

営業の場面では、相手や提案内容によって肯定型と否定型を上手に使い分けるスキルが必要です。

顧客へ提案する際は、どちらのパターンでも対応できるように準備し、切り返しの裏付けとなるデータや他社事例などの準備をしていきましょう。

例2:上司への進言【否定型】

上司に新しい提案や進言を行う際、上司が「リスクが高い」や「予算がない」などの難色を示す場合の例を紹介します。

上司への進言【否定型】:会話例

            
発言者 会話 意図・心理
上司 「リスクも高く、予算の余裕もないよ。」 提案に懸念がある
部下 「リスクがある点はこのようにカバーできます。」
「初期費用がかかる分、将来的にはコスト削減効果も期待できます。」
懸念を払拭し、提案の後押しをする
「この施策が実行できると、ほかへの展開も可能となります。」発展性を伝え、提案に説得力をもたせる

論理的に対話を進めることで、上司の懸念を払拭し、提案に説得力をもたせると業務への熱意や自信が伝わるでしょう。

例3:後輩への指導【肯定型】

後輩への指導では、後輩が「自分には無理だと思います」といった反論や不安を示す場面もあるでしょう。

後輩への指導【肯定型】:会話例

            
発言者 会話 意図・心理
後輩 「やったことがないので、自分には無理だと思います。」 自信がなく、不安がある
先輩 「確かに、これまでよりも少し難しいかもしれないね。」
「初めての取り組みは不安だよね。」
共感する姿勢を示す
気持ちを受け止める
「少しずつ進めていけば必ずできるようになるよ。」
「詳細なマニュアルもあるし、私もサポートするね。」
相手の不安を解消する
フォロー体制を整えて安心してもらう

相手の不安を解消しながら適切な指導を行うことで、後輩が自信を持って成長できるようサポートしていくと良いでしょう。

ビジネスのコミュニケーションに「Chatwork」

オブジェクションハンドリングとは、反対意見を持つ相手を自分の意見に誘導することです。

相手が反対意見を述べる理由を聞き出し、その真意を把握したうえで切り返しの提案をするため、相手を納得させやすく、自分が望む方向へと円満に話をもっていける可能性があります。

オブジェクションハンドリングは、営業や折衝の場面でも大いに活用でき、多くのビジネスパーソンにとって習得しておきたいスキルのひとつといえるでしょう。

しかし、はじめに相手の真意を聞き出せなければ効果を得にくい点に注意が必要であるため、単にオブジェクションハンドリングのスキルだけを身につければよいわけではありません。

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