「よしなに」の意味とは?ビジネスでの使い方や言い換え表現を例文付きで解説

目次
「よしなに」という言葉は、日常生活やビジネスシーンでよく使われる言葉です。
「適切に」や「よろしく」を意味する「よしなに」は、ビジネスのさまざまなシーンで使えますが、使う相手や状況によっては違和感や不快感を与える恐れがあるため、注意が必要です。
「よしなに」の意味と使い方、使う際の注意点、類語・言い換え表現を例文付きで紹介します。
正しい意味や使い方で「よしなに」を活用できるように、把握しておきましょう。
「よしなに」の意味とは
「よしなに」とは、「いい具合になるように」「適切に」「よろしく」という意味をもつ副詞で、相手に依頼するときや、挨拶の言葉として使われています。
すべて平仮名で書く「よしなに」は、漢語や外来語が渡来する以前からある大和言葉(和語)のひとつとする説があります。方言といわれることもありますが、江戸時代の文献にも多く登場し、一般的に浸透していた言葉であるため、方言には該当しません。
「よしなに」の語源
「よしなに」の語源は、古事記に載っている神話だといわれています。
木花之佐久夜毘売(このはなさくやひめ)が三つ子を出産した際に、4人の信濃(しなの)の県主(あがたぬし)が赤ん坊のへその緒をわけてほしいと言いました。
へその緒は3つであったため、「4人でわけられるように上手くやってほしい」と木花之佐久夜毘売が言い渡したことから、「4人の信濃に計らう」が「よしなに計らう」になったそうです。
ビジネスにおける「よしなに」の使い方・例文
ビジネスにおける「よしなに」の使い方を、例文付きで紹介します。
不適切に使ったり意味を誤ったりしないように、確認しておきましょう。
よしなにお願いします
「よろしくお願いします」を意味する「よしなにお願いします」は、やわらかい印象を相手に与えます。
「よしなにお願いします」は、相手に物事を依頼するときに使える言葉です。
- 本日はよしなにお願いします。
- 不慣れなため、よしなにお願いします。
よしなにお伝えください
「よしなにお伝えください」は、「○○さんによろしくお伝えください」のように、その場にいない人に対して、自分の代わりに挨拶をしておいてほしいことを伝えるときに使います。
- Aさんにお会いできなくて残念です。よしなにお伝えください。
- 社長によしなにお伝えください。
どうぞよしなに
「どうぞよしなに」は、「どうぞよろしくお願いします」や「このあとのことは適切によろしく」という意味をもつ言葉です。
挨拶として使えるほか、相手に次のことを任せるシーンなどで使います。
- お初にお目にかかります、○○です。どうぞよしなに。
- 先方と打ち合わせの場を設けたので、どうぞよしなに。
何卒よしなに
「何卒よしなに」は、「どうかよろしくお願いします」を意味する言葉です。
「何卒」は、相手に強く願う気持ちを表すため、「何卒よしなに」は相手へ強く依頼する際に使えるでしょう。
- お会いできて光栄です。今後とも、何卒よしなに。
- 実現したいプロジェクトですので、何卒よしなに。
よしなにお取り計らいください
「よしなにお取り計らいください」は、「いい具合に対応してください」という意味があります。
「取り計らう」とは、物事がいい具合に進むように考えて処理することを表す言葉です。
そのため、「どうぞよしなに」と同じような意味合いで使えますが、「よしなにお取り計らいください」のほうがより丁寧な印象です。
- このたびのプロジェクト、どうぞよしなにお取り計らいください。
- 次の開発チームリーダーの選任ですが、よしなにお取り計らいください。
よしなに頼みます
「よしなに頼みます」は、「いい具合に頼みます」「適切に対応してください」という意味です。
相手の手腕に期待し、あてにして任せるときなどに「よしなに頼みます」を使うケースもあります。
- 当日の進行は任せるので、よしなに頼みます。
- 明後日の商談は同席できませんが、よしなに頼みます。
「よしなに」を使う際の注意点
「よしなに」をビジネスシーンで使う際には、注意するべきポイントがあります。
注意点を把握しておき、「よしなに」を正しく使うようにしましょう。
公式の文書では使わない
「よしなに」は、不特定多数に向けて発行されるような公式の文書では使わないように気をつけましょう。
「よしなに」は話し言葉で使うのが一般的なため、公式文書などで使うと相手に違和感や軽い印象を与える恐れがあります。
公式の文書では、「よろしくお願いいたします」などの表現を使うことが望ましいです。
目上の人には使わない
「よしなに」は敬語ではないため、目上の人に使わないように注意が必要です。
「よしなに」を目上の人に使う場合は、「どうぞよしなによろしくお願いいたします」「何卒よしなによろしくお願い申し上げます」のように、敬語表現にしましょう。
一方で、「いい具合になるように対応して」などの意味をもつ「よしなに」を目上の人に対して使うことが、そもそも失礼と思われるケースもあるため、相手との親密度や関係性なども考慮して使用する必要があります。
仕事の指示には使わない
「よしなに」は「いい具合に」「適切に」など、曖昧な表現のため、明確な意図がある指示には使わないようにしましょう。
自分のなかで明確なビジョンがあるのに「よしなに頼む」と指示すると、予期せぬ結果を招いたり、物事が思いどおりに進行できなかったりする恐れがあります。
また、指示された側もよかれと思って対応したことに修正を求められたり叱責されたりするとモチベーションが下がるだけでなく、労働時間の増加にもつながって不満を抱きやすくなるでしょう。
指示する側、指示された側の双方がスムーズに気持ちよく仕事をするためにも、「よしなに」の使いどころには注意が必要です。
「よしない」と混同しない
「よしない」とは、「理由がない」「くだらない」「つまらない」などを意味する言葉で、「由無い」と書きます。
「よしない」は「よしなに」とは別の言葉であり、意味も異なるため、混同しないように気をつけましょう。
「よしなに」の言い換え・類語表現
「よしなに」には言い換え表現や類語表現があります。
「よしなに」を使うべきでないシーンやほかの言葉に言い換えたいときには、いまから紹介する表現を使うことをおすすめします。
適宜
「適宜」とは、「その時々に適するような行為をすること」「状況に適当なこと」を意味する言葉です。
「よしなに」の「いい具合に」の意味合いで使えるため、適当に対応してほしいときに使用しましょう。
- 当日は適宜休憩をとるように。
- 不明な点があれば適宜ご質問ください。
適当に
「適当に」は、「ちょうどよいこと」や「状態にふさわしいこと」を意味します。
「よしなに」と同じ意味合いである「適当に」は、「いい加減なさま」「雑なさま」という意味で使われたり認識されたりするケースもあります。
そのため、状況や相手によっては、「相応に」など、ほかの言葉にしたほうが適切に伝わるかもしれません。
- この資料を適当に配布してください。
- 適当な対応でトラブルを解決した。
よろしく
「よろしく」は、「適当に」「ほどよく」を意味する言葉で、相手へのポジティブな気持ちを表したり、物事を頼んだりする際に使います。
「よしなに」には「よろしく」の意味も含まれているため、「よしなにお願います」を「よろしくお願いします」と言い換えられます。
- 今後ともよろしく。
- 明後日の会議は、よろしくお願いいたします。
相応に
「相応(そうおう)に」は、「つりあっていること」「ふさわしいこと」を意味する言葉です。
状況に応じていることを表す際に「相応に」を使えるでしょう。
- 状況に合わせて、各自相応にふるまうように。
- 相応に行動すると、目標達成に近づく。
しかるべく
「しかるべく」は、「適切に」「相応に」「よいように」を意味する言葉です。
「しかるべく」の意味合いは「よしなに」と同様ですが、言葉の響きや漢字にしたときの「然るべく」という字面が、堅い印象を与えるでしょう。
- しかるべく処置をお願いいたします。
- しかるべくお取り計らいください。
円滑なコミュニケーションに「Chatwork」
「よしなに」は、「適切に」や「よろしく」などの意味をもつ言葉で、ビジネスシーンでもよく使われます。
一方で、敬語ではないことや曖昧な表現であることなどから、誤ったシーンで使わないように注意が必要です。
相手に的確な指示出しや円滑な意思疎通をはかるには、ビジネスチャット「Chatwork」の活用をおすすめします。
「Chatwork」は、チャット形式で気軽にコミュニケーションをとれるため、必要な情報を伝えるべき相手へスムーズに共有できます。
また、メッセージを見返せることから、あらためて指示を確認し、業務の失敗やミスコミュニケーションを防げます。
ビジネスの世界は日々状況が変化したり情報が飛び交ったりするため、迅速かつ漏れなくコミュニケーションをとれるビジネスチャット「Chatwork」の導入をぜひご検討ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。