【例文あり】議事録とは?議事録の目的や書く際のポイントを10個紹介

目次
会議の内容や決定事項、進行状況などを確認したいときに役立つのが「議事録」です。
議事録は、複数の人が会議に対して同じ認識をもつために重要な文書であり、情報共有や業務の引き継ぎにも役立ちます。
しかし、「どう書けばいいかわからない」「何を記録すべきか迷う」と悩む人も多いのではないでしょうか。
この記事では、議事録の基本的な役割や目的、書き方のコツを初心者にもわかりやすく解説します。
実務ですぐに使える例文も紹介するため、ぜひご活用ください。
議事録とは
議事録とは、会議で話し合われた内容や決定事項、今後の対応などを整理し、記録としてまとめた文書のことです。
単なるメモとは違い、参加者全員の認識を揃えるための公式な記録として機能します。
出席できなかったメンバーへの情報共有や、業務の引き継ぎ、トラブル発生時の確認資料としても有用です。
規模の大きな会議や、社外のメンバーも参加する会議の議事録は、証拠や履歴としての性質をもつため、内容の正確性と客観性が求められます。
議事録の目的
議事録の作成には、単に会議内容を記録する以上の目的があります。
ここでは、議事録がもつ5つの目的を具体的に解説します。
会議の内容を共有する
会議の議題や内容によっては、その場に参加した人だけでなく、関係部署や別のチームにも共有する必要がある場合が少なくありません。
議事録を作成しておけば、出席できなかったメンバーにも議論の流れや決定事項を伝えることができます。
また、口頭での伝達は人によって異なる受け取り方をされるケースもあるため、文書の形で伝えることで認識のずれを防げます。
会議の参加者・欠席者双方に会議の内容を正しく共有することが、議事録作成の大きな目的です。
責任の所在を明らかにする
会議では、「何を言ったか」とともに「誰が発言したか」が重要となる場面が多くあります。
発言内容と発言者を議事録に明記しておけば、責任の所在が明らかになります。
明確な記録があることで、「言った・言わない」のトラブルを避けることにもつながります。
タスクを明確化する
会議では多くのアイデアや意見が出る反面、「誰が・いつまでに・何をするのか」といった具体的なタスクが整理されないまま終わることがあります。
これらの情報を議事録に明記しておけば、各タスクの担当や期限を全員がすぐに把握できます。
タスクが明確であれば業務の進行もスムーズになり、実行力の向上にもつながります。
また、進捗状況を後日確認する際のチェックリストとして議事録を使うこともでき、タスク管理においても大きな効果を発揮します。
備忘録にする
会議で話された内容は、時間が経つにつれて記憶が薄れてしまいます。
とくに、会話の細部を正確に思い出すことは容易ではありません。
そのようなときに備忘録となるのが議事録です。
しばらく時間が経過した後でも必要な情報をすぐに確認でき、記憶に頼らず行動できます。
プロジェクトが長期にわたる場合や、定例会議のように継続的な確認が求められる場面でも、過去の議事録が役立ちます。
情報を記録として残しておくことが、正確な共有と円滑な業務進行につながります。
意思決定や次の行動を迅速に把握する
会議での意思決定や次に行うべきアクションを議事録へ明確にまとめておけば、迅速な実行につながります。
また、新たにプロジェクトへ加わったメンバーが経緯を短時間で把握する際にも、議事録が大きな手助けとなります。
誰が読んでも判断の経緯や意図が理解できるように、記録の内容は具体的かつわかりやすく整理しておくことが大切です。
議事録の2つの形式
議事録には主に「会話形式」と「要約形式」の2つの書き方があり、会議の目的や内容に応じて、適切な形式を選ぶことが重要です。
ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。
会話形式
会話形式とは、会議中の発言を時系列に沿って記録する方法です。
発言者ごとの内容を詳しく残すため、議論の経緯や会議の流れ、現場の雰囲気を把握しやすいという特徴があります。
とくに、質疑応答の多い会議や、やり取りの過程そのものが重要となる場面に適しています。
会話形式の議事録のメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
・発言者が明確になり、責任の所在がはっきりする
・会議の流れや空気感を伝えやすい
・議論の展開を詳細に把握できる
【デメリット】
・重要なポイントが埋もれてしまい、要点が伝わりにくくなる
・作成に時間がかかる
・情報量が多くなり、読み手の負担になる可能性がある
会話形式を採用する際は、重要な内容を目立たせたり、要点を別途まとめたりする工夫が求められます。
要約形式
要約形式は、会議全体の内容を整理し、重要なポイントや決定事項を簡潔にまとめる方法です。
発言者ごとの記録は行わず、議論の要点や結論に焦点を当てて記述するため、情報を効率的に伝えることができます。
多くの会議でこの形式が採用されており、情報の共有や会議内容の振り返りに適しています。
議事録の種類
議事録には、会議の目的や法的要件に応じてさまざまな種類があります。
ここでは、日常的な業務で作成される「社内・社外会議の議事録」と、法律で作成が義務付けられている「会社法で定められる議事録」について、それぞれの内容・形式・作成目的を解説します。
社内・社外会議の議事録
社内会議の議事録は、情報共有やタスク管理を目的として作成するのが一般的です。
記録すべき主な項目は、以下のとおりです。
- 会議の日時・場所
- 出席者
- 議題および議事内容
- 決定事項
- 次回の予定やタスク
一方、社外会議では、取引先や顧客との認識のずれを防ぐため、社内会議以上に正確で具体的な記録が求められます。
敬語表現を意識し、会議後はできるだけ早く内容を共有することが、社外メンバーとの信頼関係の構築にもつながります。
会社法で定められる議事録
会社法では、取締役会や株主総会などの重要な会議について、議事録の作成が義務付けられています。
法的効力をもつ正式な記録として、以下のような内容を記載する必要があります。
- 会議の日時と場所
- 出席者の氏名(役職名も含む)
- 議題、およびその議事経過と結果
- 出席取締役の署名または記名押印
作成した議事録は、本社・本店で10年間保管しなければならず、厳密な管理体制が求められます。
また、万が一の法的トラブルに備えるうえでも、内容の正確さや記録の信頼性がいっそう重視されます。
議事録の書き方
議事録は、情報を整理して誰が読んでもわかるように記録することが、業務のスピードや正確性にも直結します。
ここでは、議事録に書くべき基本項目と、実務で使える具体的なサンプルを紹介します。
議事録に書く項目
議事録を作成する際は、以下の項目を押さえることで、誰が読んでもわかりやすい内容になります。
- 会議名・タイトル:会議の目的や内容が一目でわかるように記載します。
- 日時・場所:会議が行われた日時と場所を明記します。オンライン会議の場合は使用ツールも記載します。
- 出席者・欠席者:役職や部署名とともに参加者を記載し、欠席者も明記します。
- 議題:会議で話し合われたトピックをリストアップします。
- 議事内容:各議題に対する議論の概要や発言内容を簡潔にまとめます。
- 決定事項:会議で決定された内容を明確に記載します。
- アクションアイテム(ToDo):次に行うべきタスクと、その担当者・期限を明記します。
- 次回の会議予定:次回の会議日時や予定されている議題を記載します。
- 議事録作成者:議事録を作成した人の名前を記載します。
これらの項目をおさえて議事録の内容を整理することで、関係者全員が共通の認識をもちやすくようになります。
議事録の例
以下は、実際の会議で使用できる議事録のサンプルです。
会議名:新商品プロモーション会議
日時:2025年4月16日 14:00~15:00
場所:本社3階会議室
出席者:営業部:田中部長、佐藤課長、鈴木係長、マーケティング部:高橋部長、伊藤主任
欠席者:なし
議事録作成者:鈴木係長
議題1:新商品Aの発売スケジュール
・発売日は5月20日に決定。
・生産部門との調整は完了済み。
・販売店への告知は5月1日までに実施。
議題2:プロモーション施策
・SNS広告を5月10日から開始予定。
・インフルエンサーとのタイアップ企画を検討中。
・キャンペーン内容は次回会議で最終決定。
決定事項
・新商品Aの発売日を5月20日に設定。
・販売店への告知を5月1日までに完了させる。
・SNS広告を5月10日から開始する。
アクションアイテム(ToDo)
・佐藤課長:販売店への告知資料を4月25日までに作成。
・伊藤主任:SNS広告のクリエイティブ案を4月28日までに提出。
・高橋部長:インフルエンサー候補のリストアップを4月30日までに完了。
このように議事録を項目ごとに整理して記載することで、会議内容を後から確認しやすくなり、タスクの実行や情報共有に役立ちます。
議事録作成が得意な人が実践している10のポイント
議事録作成が得意な人は、いくつかの工夫を実践しています。
事前の準備や書き方のコツを押さえるだけで、読みやすさや情報の伝わりやすさは格段に向上します。
このセクションでは、議事録の作成が得意な人が実践している10のポイントを具体的に紹介します。
会議の目的を明確化する
議事録を書き始める前に、まずは会議の目的を明確に把握しておくことが重要です。
目的が明確であれば、何を重点的に記録すべきか、どの部分に注目してメモを取るべきかが判断しやすくなるためです。
たとえば、意思決定を行う会議なのか、情報共有を目的とする会議なのかによって、記録する内容の比重も自然と変わります。
会議の目的を理解したうえで記録を進めると、「この会議で何が決まったのか」が読み手にも伝わりやすくなり、議事録の精度も高まります。
事前に情報を整理しておく
会議が始まる前に、アジェンダや関連資料にあらかじめ目を通しておくこともコツです。
会議の背景となる情報や過去の議事録を確認しておくと、会議中に注目すべきポイントや流れを事前に把握しやすくなります。
また、頻出するキーワードや関係者の役職・名前などを整理しておくと、メモが取りやすくなり、会議そのものに集中しやすくなります。
指定のフォーマットに従う
議事録は、社内で統一されたフォーマットに沿って作成することで、必要な情報を見つけやすくなります。
フォーマットが統一されていないと、記載場所がまちまちになり、内容を確認するのに時間がかかってしまいます。
一般的に、フォーマットには記載項目の順序や記載ルールが記されているほか、推奨される文体のトーンなどが定められているケースもあり、議事録の品質を一定に保つのに有効です。
また、社外向けと社内向けでフォーマットが異なる場合は、どちらを使用するのが適切か事前に確認しておきましょう。
5W1HやPREP法を活用する
情報をわかりやすく整理して伝えるには、「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」といった5W1Hの視点を意識するのが効果的です。
例えば、「誰がどの業務を担当するのか」「なぜその結論に至ったのか」といった内容を丁寧に記録しておくことで、読み手の理解が深まります。
あわせて、PREP法(Point:結論、Reason:理由、Example:具体例、Point:再度結論)を活用すると、話の要点を論理的に整理しやすくなります。
議事録を単なる記録で終わらせず、読みやすい文章として仕上げるためのテクニックとして、5W1HやPREP法を上手に取り入れましょう。
要点を整理してわかりやすい文章にする
会議の内容を時系列に書き起こすだけでは、情報が散らかってしまい、読み手にとって理解しづらくなります。
議事録では、「何が重要だったのか」「どのような結論に至ったのか」といった要点を整理し、簡潔にまとめることが重要です。
とくに、議題が複数ある場合には、それぞれの内容を分けて記録すると、全体が見通しやすくなります。
また、ひとつの文章が長くなりすぎないように注意したり、専門性の高い言葉に簡単な補足を加えたりすることも、読みやすく伝わりやすい議事録を作成するための大切なポイントです。
代名詞は避ける
議事録では、「これ」「それ」「あれ」といった代名詞を、できる限り使わないようにしましょう。
会話の中では便利な言葉でも、後から読み返したときに「何を指していたのか」がわからなくなってしまいます。
たとえば、「それについては来週対応」と書かれている場合、代名詞が何を意味するかが不明では、タスクの明確化につながりません。
議事録では、具体的なタスク名や固有名詞を用いて記載するようにし、「プロジェクトAの進捗報告は⚪︎月×日までに実施する」のように、対象を明示した表現を心がけましょう。
意見と決定事項を混ぜない
会議では、さまざまな意見や提案が出されますが、それらがすべて決定事項になるわけではありません。
議事録を作成する際は、誰の発言なのかを明記しつつ、アイデアや意見と最終的な決定内容を明確に区別して記録することが大切です。
意見と決定事項が混在していると、後から「決まったと思っていたのに、実は提案のひとつだった」といった認識のずれが生じやすくなります。
たとえば、「Aさんの提案:〜」「決定事項:〜」のように見出しを使って書き分ければ、読み手の理解も深まります。
同席した人に内容を確認してもらう
議事録を一人で作成すると、会議内容に関する抜け漏れや認識違いがあっても、自身では気付けないことがあります。
重要な会議の議事録についてはとくに、自分以外の参加者にも一度目を通してもらい、内容の正確性を確認してもらうことが大切です。
「この表現で問題ないか」「意図がきちんと伝わっているか」といった視点でチェックしてもらうことで、より信頼性の高い議事録に仕上がります。
短い時間でも他のメンバーに確認してもらうと、内容の精度を高めることができるでしょう。
録音・録画ツールを活用する
会議中にすべての発言をメモすることが、現実的に難しい場合もあります。
そのようなときは、録音や録画ツールを活用すると、発言内容を正確に記録しやすくなります。
ツールで記録した音声や映像を確認しながら議事録を作成すれば、発言の言い回しやニュアンスを正しく反映できるだけでなく、議論の流れも客観的に伝えやすくなります。
ただし、録音・録画を行う際は、事前に参加者から了承を得ることがマナーです。
社外との会議では特に配慮が必要なため、メモとの併用を前提とした補助的な手段として、慎重に活用しましょう。
議事録は速やかに提出する
会議後の議事録は、できるだけ早く提出・共有するのが基本です。
迅速にまとめることで、関係者の記憶が新しいうちに確認してもらうことができ、必要な修正や補足もスムーズに行えます。
議事録は会議が開催された当日中に作成・共有することが望ましいですが、難しい場合は翌営業日中を目安に仕上げましょう。
スピードと正確さを両立する姿勢が、信頼される議事録作成者への第一歩です。
評価されない議事録の特徴
議事録は、ただ書き残せばよいというものではありません。
記録としての正確さはもちろん、読み手にとってわかりやすく整理されていることが求められます。
ここでは、「評価されない議事録」の特徴を紹介しながら、改善すべきポイントを説明します。
読み手の立場を考慮できていない
議事録は、さまざまな人が読むことを前提に作成する記録です。
そのため、発言を時系列でただ並べただけの内容や、専門用語・略語の多用は避け、読み手の立場を考慮した記述を心がけましょう。
とくに、会議に欠席したメンバーが議事録を読む場合、文脈や背景情報が整理されていないと、正しく内容を把握できません。
「この情報は誰に向けたものか」「どう書けば伝わるか」を意識して構成することが、わかりやすい議事録づくりの基本です。
要点が整理されていない
議事録は、情報を「記録する」だけでなく、「伝える」ことも大切な役割のひとつです。
しかし、話の流れをただ書き連ねるだけでは要点がぼやけてしまい、読み手には結局何が重要だったのかが伝わりません。
とくに、複数の議題や意見が出た場合は、内容の主旨があいまいになりやすくなります。
読み手に意図を正しく伝えるには、見出しや箇条書きなどを活用し、構造を整理して記載する工夫が効果的です。
必要に応じて、要点や結論を先に示すことで、内容の流れがつかみやすくなります。
読み終えたときに「何が決まったのか」「どこが重要だったのか」がすっきりと頭に残るような構成を意識しましょう。
ポイントをおさえた議事録で迅速な情報共有を!
議事録は、会議の内容を正確に記録し、関係者と迅速に情報を共有するための欠かせない文書です。
書き方のポイントを押さえて情報を整理すれば、読み手にとってもわかりやすく、すぐに行動に移しやすい内容に仕上げられます。
整った議事録は、業務のスピードやチーム内の連携力を高めることにもつながります。
しかし、忙しい日々の中で議事録をまとめ、共有まできちんと行うのは手間がかかるものです。
そのようなときにおすすめなのが、ビジネスチャットツールのChatworkです。
議事録をチャンネルごとに投稿できるうえ、タスクとセットで情報を共有できるので、抜け漏れを防ぎながら全体の業務効率も向上します。
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