人事が突然辞めた!その理由と会社が抱える根本問題とは?退職リスクを回避して強い組織を作る方法

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人事が突然辞めた!その理由と会社が抱える根本問題とは?退職リスクを回避して強い組織を作る方法

目次

「来週から、もう来ません。」

ある日、人事担当者から、突然の退職を告げられたらどうしますか?

実は、人事担当者が突然辞めるという事態は、単なる担当者個人の問題ではなく、その会社が抱える根深い組織課題の現れであることが少なくありません。

本記事では、人事担当者が突然の退職を選んでしまう理由や、担当者が辞めてしまう会社に共通する危険な兆候、退職を回避するための具体的な対策などを徹底解説します。

さらに、人事の属人化を防ぎ、強く安定した組織を構築するための選択肢として、業務の「外注」についても詳しく掘り下げていきます。

人事担当者の業務内容とは

まず、人事担当者が担う業務がいかに広範で、経営の根幹に関わるものであるかを紹介します。

人事の仕事は、大きく「攻めの人事」と「守りの人事」に分けられます。

企業の成長に直接的に関わる業務から、組織の基盤を固める業務まで、その責任は多岐にわたります。

  • 採用業務(攻め):経営戦略に基づき、必要な人材の要件定義、募集、選考、内定者フォロー、入社手続きまで、人材獲得に関する一連のプロセスを担います。

    会社の未来を創る人材を見つけ出す、非常に重要な役割です。

  • 人材育成・研修(攻め):新入社員研修から管理職研修、スキルアップ研修まで、社員の能力開発を支援し、組織全体のパフォーマンスを向上させるための企画・運営を行います。

  • 人事制度・評価(攻め/守り):社員が納得感を持ち、正しく評価されるための評価制度や等級制度、報酬制度を設計・運用します。

    社員のモチベーションに直結する、極めて繊細な業務です。

  • 労務管理(守り):勤怠管理、給与計算、社会保険手続き、就業規則の管理、安全衛生管理など、社員が安心して働ける環境を整備し、コンプライアンスを遵守するための基盤となる業務です。

    1つのミスが大きな問題に発展しかねません。

  • 組織開発・労使関係(守り):ハラスメント問題やメンタルヘルス関連の対応、従業員からの相談対応、労働組合との交渉など、健全な職場環境を維持し、労使間のトラブルを未然に防いだり、解決に導いたりします。

このように広範な業務を、とくに中小企業では少人数、場合によっては1人で担っているケースも少なくありません。

この「ひとり人事」状態こそが、突然の退職というリスクを生じさせているともいえます。

人事担当者が突然退職する理由

会社の重要な機能を担う人事担当者が、なぜ突然の退職という選択をしてしまうのでしょうか。

その背景には、他の職種とは異なる、人事特有の深刻なストレスや構造的な問題が存在します。

理由1:経営層と従業員の板挟みになるストレス

人事は、経営層の代弁者として厳しい決定事項(評価、異動、時には解雇など)を従業員に伝えなければならない一方で、従業員の相談窓口として、彼らの不満や悩みに耳を傾ける役割も担います。

経営と現場、双方の意見を理解できるからこそ板挟みになり、精神的なストレスを抱え込んでしまうケースがあります。

誰にも本音を話せず、孤独感を深めていくことが、退職の大きな原因となります。

理由2:会社の非情な決定に関わることへの精神的負担

人事担当者は、リストラや減給、望まない異動など、従業員の人生を左右するようなシビアな判断に関わらざるを得ない場面があります。

会社の決定として遂行しなければならないとしても、対象となる従業員の顔や生活を知っているからこそ、大きな精神的苦痛を伴います。

このような経験が続くと、「自分は何のためにこの仕事をしているのか」と自問自答し、心が折れてしまうことがあります。

>部署異動の目的やメリット・デメリットに関する記事はこちら

理由3:経営方針や組織体制への不満・失望

人事担当者は、会社の内部情報を深く知る立場にあります。

そのため、経営陣の場当たり的な方針転換や、コンプライアンス意識の欠如、不公平な評価などを目の当たりにすると、会社に対する失望や不信感が募りやすくなります。

自分が従業員に説明していることと、会社の実際の方針との間に大きな乖離を感じた時、強い不満を抱き、働く意欲を失ってしまうのです。

理由4:成果が見えにくく、評価されにくい

採用や研修で成果を出しても、それが直接的な売上として現れるわけではありません。

また、労務管理やトラブル対応をはじめとする人事の仕事は、問題なくこなして当たり前という「減点方式」で見られがちです。

人事担当者は会社の根幹を支えているにもかかわらず、その貢献が正当に評価されず、給与や役職に反映されないことへの不満が、退職の引き金になることがあります。

理由5:膨大な業務量と責任の重さ

前述の通り、人事の業務は多岐にわたります。

採用活動が本格化する時期と年末調整・社会保険手続きが重なる時期など、業務の繁忙期が集中し、長時間労働が常態化することも少なくありません。

広範な知識が求められ、ひとつひとつの業務の責任も重い中でリソース不足の状態が続けば、心身ともに疲弊し、限界を感じてしまうのは当然といえるかもしれません。

人事担当者が突然退職した場合のリスク

経験豊富な人事担当者の突然の退職は、企業に計り知れないダメージを与えます。

以下では、人事担当者の退職によって生じるリスクを紹介します。

リスク1:採用活動の完全停止

ひとつめのリスクとして、進行中の採用プロセスがストップしてしまうことが挙げられます。

応募者への連絡、面接の日程調整、エージェントとのやり取りなどが全て滞れば、優秀な人材を確保する機会を逃してしまうでしょう。

会社の成長戦略そのものが頓挫する危険性もあります。

リスク2:労務管理の麻痺と法的リスク

人事担当者の退職によって、給与計算や社会保険手続きが遅延・停滞すれば、従業員の生活を脅かし、会社への信頼失墜につながります。

また、各種届出の遅れは、行政からの指導や追徴金といった法的なペナルティにつながる可能性もあります。

リスク3:機密情報の漏洩・管理不全

人事担当者は、従業員の個人情報、評価データ、給与情報といった、社内でも最高レベルの機密情報を取り扱っています。

人事担当者の突然の退職により、これらの情報の管理方法が不明になれば、情報漏洩という最悪の事態を招きかねません。

リスク4:社内トラブルの増大と組織文化の崩壊

人事担当者が担っていた従業員の相談窓口機能が失われることで、ハラスメントや人間関係のトラブルが潜在化・深刻化する恐れがあります。

社員の不満や不安の受け皿がなくなり、組織全体の雰囲気が悪化し、連鎖的な退職を引き起こす可能性も否定できません。

人事担当者が突然辞める会社では何が起きている?

人事担当者の突然の退職は、氷山の一角です。

その水面下では、会社全体が蝕まれている可能性があります。

もしあなたの会社で人事が定着しないなら、それは以下のような問題の前触れかもしれません。

兆候1:経営陣が人事を軽視している

経営陣が人事を単なる「コスト部門」「管理部門」と捉え、その戦略的重要性を理解していないケースです。

人事からの提案に耳を貸さず、採用や評価に現場の意見だけで介入したり、無理な要求を押し付けたりしてしまう経営陣の下では、人事は経営のパートナーとして機能できずにただの「雑用係」となり、やりがいを失ってしまいます。

>戦略人事に関する記事はこちら

兆候2:高い離職率を個人の問題で片付けている

離職率が高いにもかかわらず、その原因を組織の問題として分析せず、「最近の若者は忍耐力がない」「辞める方が悪い」といったように、個人の責任へ転嫁しているケースです。

人事担当者は、根本的な問題が解決されないまま、採用と退職手続きの繰り返しに疲弊し、「この会社にいても未来はない」と見切りをつけてしまいます。

兆候3:評価制度が形骸化している・不公平である

評価制度はあるものの、実際には経営者や上司の好き嫌いで評価が決まっているなど、制度が公平に運用されていない状態に陥っているパターンです。

人事担当者は、その不公平な制度の運用を従業員に説明しなければならない立場にあり、強い自己矛盾とストレスを感じます。

従業員からの制度に対する不満の矢面に立つのも人事です。

兆候4:コンプライアンス意識が低い

サービス残業が黙認されていたり、ハラスメントに対する処分が甘かったりと、会社全体のコンプライアンス意識が低い場合、その是正を求められる人事担当者は非常に苦しい立場に置かれます。

経営陣が改善に非協力的であれば、人事は「違法な状態に加担させられている」と感じ、倫理的な観点から退職を決意することもあります。

人事担当者の退職を回避する方法

人事担当者の突然の退職という経営リスクを回避するためには、彼らが働きがいを感じ、安心して能力を発揮できる環境を構築することが不可欠です。

以下で、詳しい方法を解説します。

1. 経営陣が人事のパートナーとなる

最も重要なのは、経営陣が人事の重要性を理解し、対等なパートナーとして扱うことです。

定期的に経営会議に人事を参加させ、経営戦略と人事戦略をすり合わせる機会を設けましょう。

人事からの提案に真摯に耳を傾け、組織課題の解決に向けて共に取り組む姿勢が、人事担当者のエンゲージメントを高めます。

2. 人事部門の体制強化と業務分担

「ひとり人事」にすべての業務を押し付けることには限界があります。

企業の成長フェーズに合わせて、人事部門の増員を検討しましょう。

採用担当、労務担当など、役割を分担することで専門性を高め、1人当たりの業務負荷を軽減できます。

結果として、人事担当者はストレスが軽減され、休暇も取りやすくなり、精神的な余裕が生まれます。

3. 業務の標準化とITツールの活用

特定の人事担当者にしか分からない業務をなくし、「属人化」を解消することが重要です。

採用管理システム(ATS)や労務管理ソフト、HRテックツールなどを積極的に導入し、業務を効率化・標準化しましょう。

業務の引き継ぎが容易になるだけでなく、人事担当者がより戦略的な業務に時間を使えるようになります。

4. 人事担当者のキャリアを支援する

人事担当者自身のキャリアパスについても配慮が必要です。

外部の研修への参加を奨励したり、資格取得を支援したりすることで、専門性を高める機会を提供しましょう。

また、労務から採用へ、採用から制度設計へといったジョブローテーションも、本人のキャリア形成とモチベーション向上につながります。

>人事業務の効率化に関する記事はこちら

人事関連業務は外注できる!

社内リソースだけで人事部門を強化するのが難しい場合、「外注(アウトソーシング)」は非常に有効な選択肢となります。

採用業務や労務業務など、ノンコア業務や定型業務を外部の専門家に委託することで、社内の人事担当者はより重要なコア業務に集中できます。

これにより、突然の退職リスクをヘッジしながら、人事機能全体を強化することが可能になります。

人事を外注するメリット・デメリット

人事の外注には多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。

双方を理解し、自社の課題に合った活用を検討しましょう。

外注のメリット

  • 専門性の確保:採用や労務のプロフェッショナルに業務を任せることで、業務の質とスピードが向上します。

    最新の法改正や採用トレンドにも精通しており、自社だけでは得られない知見を活用できます。

  • コア業務への集中:煩雑な事務作業や定型業務を外注することで、社内の人事担当者は、人事戦略の立案、組織開発、エンゲージメント向上といった、企業の成長に直結するコア業務に専念できます。

  • コストの最適化:担当者を1人採用するよりも、外注の方がトータルコストを抑えられる場合があります。

    とくに、採用の繁忙期だけ利用するなど、必要な時に必要な分だけリソースを確保できるため、コストの無駄がありません。

  • 退職リスクのヘッジ:最大のメリットの一つです。

    業務を外部の組織に委託するため、社内の担当者が1人辞めたとしても業務が止まることはありません。

    事業の継続性を担保できます。

外注のデメリット

  • 社内にノウハウが蓄積されにくい:業務を丸ごと委託すると、社内に実務的なノウハウが蓄積されにくいという課題があります。

    定期的なレポーティングやミーティングを通じて、情報を共有する仕組み作りが重要です。

  • カルチャーマッチの懸念:とくに採用業務を外注する場合、外部の担当者が自社の企業文化や求める人物像を深く理解していないと、ミスマッチが生じる可能性があります。

    緊密なコミュニケーションが不可欠です。

  • 情報漏洩のリスク:従業員の個人情報などを外部に渡すため、セキュリティ体制が万全な業者を選ぶことが絶対条件となります。

人事の外注先を選ぶポイント

自社に最適な外注先を選ぶためには、以下のような点を慎重に比較検討する必要があります。

  1. 対応業務の範囲:自社が依頼したい業務(スカウト配信、面接調整、給与計算、社会保険手続きなど)にどこまで対応しているかを確認します。

  2. 料金体系:月額固定制、成果報酬制、従量課金制など、サービスによって料金体系は様々です。

    自社の依頼内容と予算に合ったプランを選びましょう。

  3. 実績と得意領域:自社と同じ業界や企業規模での実績が豊富かを確認します。

    とくに、エンジニア採用に強い、スタートアップ支援に強いなど、各社の得意領域を見極めることが重要です。

  4. セキュリティ体制:プライバシーマーク(Pマーク)やISMS認証などを取得しているか、具体的な情報管理体制について必ず確認しましょう。

  5. コミュニケーションの質:報告の頻度や手段、担当者との相性も重要な選定基準です。

    パートナーとして信頼関係を築ける相手かを見極めましょう。

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メリット2:属人化の解消と業務の標準化

業務はアシスタントチームが組織として対応し、業務プロセスをマニュアル化しながら進めます。

これにより、社内の担当者が退職しても業務が滞る心配がなく、業務フローそのものが標準化・効率化されていきます。

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