コンピテンシーとは?意味や導入方法、メリットや注意点を解説

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コンピテンシーとは?意味や導入方法、メリットや注意点を解説

目次

コンピテンシーをうまく活用することができれば、社員の生産性や企業の利益を上げることにつながります。

コンピテンシーは、複数のモデル化のポイントを確認して作成しましょう。

スキルやケイパビリティなどの類似語との違いや、モデルの種類、活用場面まで幅広く解説します。

コンピテンシーの意味とは

コンピテンシーとは、規範となるような優れた結果を出す人の行動特徴のことです。

コンピテンシーをうまく活用するためには、有能な人の行動特徴をインタビューしたり、調査をおこなったりして、データ化をおこない、運用していく必要があります。

データを分析・収集することで、コンピテンシーを教育や採用など、さまざまな場面で活用することができます。

 

コンピテンシーが生まれた背景

コンピテンシーは、1970年代前半にアメリカで生まれた概念です。

コンピテンシーが生まれるきっかけとなったのは、米国文化情報局(USIA)の採用選考です。

従来の採用選考では、学歴や頭の良さを採用基準にしていましたが、学歴や頭の良さが、必ずしも仕事のできと相関するとは限らないことがわかりました。

採用選考のデータを元に調査を進めた結果、規範となるような優れた結果を出す人は、行動に特徴があることがわかりました。

このことから、採用基準に「行動」を取り入れたことが、コンピテンシーが生まれるきっかけとなりました。

スキルとの意味の違い

コンピテンシーとスキルは、能力と知識を発揮する行動ができるかどうかという点で異なります。

スキルとは、その人に備わっている能力や、専門的な知識のことを指します。

一方でコンピテンシーは、備わっている能力や身に着けた専門的な知識を、行動に移す力や行動特性のことを指します。

スキルが高くても、コンピテンシーのような行動特性がなければ、成果につなげることはできません。

 

ポテンシャルとの意味の違い

ポテンシャルは、その人にもともと備わっている知力や特性のことをいいます。

一方でコンピテンシーは、あくまでも優れた結果を出す人の行動特徴を指すため、意味が異なります。

コンピテンシーをもつ人は、経験から高い成果を出すための行動の特徴を身に着けた可能性もあるため、元から備わっているポテンシャルとは異なります。

 

ケイパビリティとの意味の違い

ケイパビリティは、その人の能力や資質のことを意味します。

ケイパビリティは「もともと持っている能力」、コンピテンシーは「その能力を生かせるかどうか」という意味のため、意味が異なります。

 

アビリティとの意味の違い

アビリティは、特定の物事に対しての能力を指す言葉です。

スキルとほぼ同義の言葉ですが、比較すると、能力の意味合いがやや弱まります。

コンピテンシーは、物事の能力ではなく、高い成果を出す行動の特徴を指すため、アビリティとは意味が異なります。

コンピテンシーモデル化のポイント

コンピテンシーのモデル化とは、コンピテンシーを業務で活用するために、概念を型化したものです。

コンピテンシーを活用して、社員の生産性向上や企業の利益拡大を目指すため、職種や業種によって、目指すコンピテンシーは異なります。

コンピテンシーのモデル化を活用する場合は、自社の特性にあったモデルを選択するようにしましょう。

コンピテンシーのモデル化のポイントについて解説します。

実在型

ひとつ目のポイントは、実在型モデルを参考にすることです。

実在型モデルとは、業績の高い行動特徴をもつ社員をモデル化することです。

実際に働いている人をモデル化するので、具体的な行動特徴を抽出しやすいというメリットがあります。

理想型

実在型モデルと反対の意味をなすものが理想型モデルです。

理想型モデルとは、企業側が求める特性に沿って、モデルを設定することです。

理想型モデルの場合、企業理念や会社の雰囲気にあったモデルを設定することが可能です。

ハイブリッド型

ハイブリッド型モデルとは、実在型と理想型を混同させたモデルです。

実際に社内で高いパフォーマンス力を出している社員(実在型)に、企業がほしい行動特性(モデル型)を足し合わせることで、ハイブリッド型モデルになります。

コンピテンシーの活用場面

コンピテンシーの活用場面を見ていきましょう。

研修・教育

コンピテンシーは、研修・教育分野で活用することができます。

規範となる社員がもっている行動の特徴を、研修を通して社員に伝えたり、新入社員の教育にも使用したりできるでしょう。

とくに、入社して間もない社員は、自分の行動の特性が確立されていないので、高い効果が期待できるでしょう。

面接

コンピテンシーは、面接の場面でも活用できます。

コンピテンシーを面接で導入する際には、面接のトレーニングを受けている人は、有利になりやすいという点に注意しましょう。

面接のトレーニングを受けている人は、企業がコンピテンシーを大切にしていることや、面接官に好印象を与えるポイントについて知っている可能性があります。

コンピテンシーを面接に活用する場合は、コンピテンシー評価だけに偏らないように注意してください。

人事評価

コンピテンシーは、人事評価に活用することもできます。

コンピテンシーを人事評価に活用するメリットは、社員が結果に対して納得感を持ちやすいことです。

具体的な活用方法としては、定量的な成果にあわせて、行動の特徴であるコンピテンシーを評価項目に追加するなどです。

評価配分や評価基準は、企業によりさまざまです。

コンピテンシーを活用するメリット

コンピテンシーを活用するメリットを見ていきましょう。

 

社員の生産性があがる

コンピテンシーを活用すると、仕事の生産性向上が期待できます。

規範となる社員の行動特徴を知り、それを取り入れることで、生産性を上げる糸口を発見することができます。

また、生産性があがると、仕事の成果も出やすくなるというメリットもあります。

>生産性向上の実現方法と注意点に関する記事はこちら

社員のモチベーションがあがる

コンピテンシーの活用は、社員のモチベーション向上の効果もあります。

コンピテンシーの考え方を知ることで、どのように行動すべきかが分かるようになり、目指すべき指針ができます。

目標のコンピテンシーに近づくと、自分が高いパフォーマンスを発揮できていると気がつくこともできるため、さらにモチベーションを上げることができるでしょう。

人事評価によい影響がでる

コンピテンシーの活用は、人事評価によい影響を与えます。

コンピテンシーを活用した人事評価を、コンピテンシー評価と呼びます。

人事評価におけるコンピテンシーとは、企業が設定したコンピテンシー項目に対して、行動の特徴が見られたかどうかで評価をおこなうものです。

人事評価の項目として設定することで、目標のコンピテンシーに沿った社員の行動が増えるでしょう。

企業の利益につながる可能性がある

コンピテンシーを取り入れることは、将来的に企業の利益につながる可能性があります。

コンピテンシーを社内に提示すると、社員はコンピテンシーの特性について知り、それに近づこうとするでしょう。

高い成果を出すための行動特徴に近づく社員が増えることで、企業の利益増大につながります。

コンピテンシーの注意点

コンピテンシーを導入する際は、導入を検討してから運用をおこなうまで時間を要することに注意しましょう。

導入するためには、優れた結果を出す社員の行動特徴を、さまざまな観点で調査する必要があります。

また、調査後にはデータを分析して、社員の模範となる特性をまとめる必要もあります。

導入にあたって必要となる時間や費用のコストを考慮した上で、導入を検討しましょう。

コンピテンシーの導入方法

コンピテンシーの導入方法について見ていきましょう。

ヒアリング

導入を決めたら、まずはヒアリングをおこなう必要があります。

社内で高い成果を出している社員を集め、仕事に対する考え方や、気をつけていること、業務の取り組み方など、さまざまな観点からヒアリングをおこないましょう。

データ集計

成果を出している社員の調査をおこなったら、データの集計をおこないます。

どのような行動の特徴がある人が、高いパフォーマンスを出しているかなどを確認しましょう。

また、行動特徴をおおよその項目別に分けることで、評価項目の設定がしやすくなります。

評価項目の設定

集計したデータをもとに、評価項目の設定をおこないましょう。

評価項目を設定するときは、実際に集計したデータに加えて、企業理念や企業目標などを加味しながら、評価すべき項目を設定するとよいでしょう。

また、コンピテンシーモデルに関しても、実在型、理想型、ハイブリッド型のどれを活用するか社内で検討し、具体的な評価項目を決めていきましょう。

テスト運用をおこなう

評価項目を設定したら、テスト運用をおこないましょう。

一部の社員にコンピテンシー評価の流れをシミュレーションし、運用項目に漏れがないか、評価項目は適当であるかを確認します。

テスト運用の時点で不足点が見つかった場合、軌道修正をおこない、完成を目指します。

コンピテンシーの評価方法

コンピテンシー評価は、社員の具体的な行動について評価をおこないます。

能力評価では、スキルや能力などを評価しますが、コンピテンシー評価では、社員の行動特徴が、企業が設定したコンピテンシーに、どのくらいあてはまっているかで評価をおこないます。

設定するコンピテンシーは、影響力や、レジリエンス、前向きに取り組む力など、企業ごとに異なるでしょう。

コンピテンシーの活用企業事例

コンピテンシーの活用事例について見ていきましょう。

Eコマース・デジタルコンテンツ事業

Eコマース・デジタルコンテンツ事業をおこなっている企業は、理想の社員像を反映したコンピテンシー評価を取り入れています。[※1]

成功のための5つのコンセプトに必要な11個の要素を、評価項目に設定しています。

企業風土を反映したコンセプトを設定し、理想の社員像に必要な要素を定義しています。

通信事業

ある日系の通信企業も、コンピテンシーを取り入れています。[※2]

この企業では、成果を出すために発揮されている行動のことを、コンピテンシーとしています。

また、この企業はコンピテンシーを構成する要素を定義しており、入社3年目までの若手を対象に、能力開発プログラムを実施することで、コンピテンシーを浸透させています。

化粧品製造業

ある日系の化粧品製造業では、人事評価にコンピテンシーを取り入れています。[※3]

この企業は、2020年度に「TRUST8コンピテンシー」というコンピテンシー評価を取り入れました。

定量目標の達成度と合わせて、TRUT8コンピテンシーに沿った行動特徴を評価項目とすることで、社員のグローバルな活躍と持続的成長を目指しています。

コンピテンシーはさまざまな場面で活用を

コンピテンシーは、社員研修や教育、人事評価など、多くの場面で活用することができます。

コンピテンシーを導入することで、社員の生産性向上やモチベーション向上が期待でき、会社の業績アップも見込むことができます。

導入までに時間がかかるというデメリットもあるので、メリット・デメリットを加味した上で、導入を検討しましょう。

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[※1]出典:楽天グループ株式会社
https://corp.rakuten.co.jp/careers/career-development/

[※2]出典:株式会社NTTドコモ
https://information.nttdocomo-fresh.jp/environment/education/

[※3]出典:株式会社資生堂
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/labor/training.html

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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

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