ラテラルシンキングの考え方とは?ロジカルシンキングとの違いやメリット、鍛え方や例題を解説
目次
ラテラルシンキングは、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングと並び、ビジネスの場で欠かせない思考法のひとつです。
社会に革新的なイノベーションをうみだせる可能性のあるラテラルシンキングは、ビジネスシーンにおいて注目されています。
ラテラルシンキングとはどのような思考法なのか、意味や注目される理由、ラテラルシンキングをおこなうメリットなどを解説します。
ラテラルシンキングとは?
ラテラルシンキングとは、固定観念や既成概念にとらわれず、物事を多角的な視点から見定め、考察する思考法です。
ラテラルシンキングをおこなうことで、直感的に新たな発想ができるため、社会に前代未聞のイノベーションをもたらせる可能性があるでしょう。
ラテラル(lateral)は、「水平の」「側面にあるもの」という意味があるため、「水平思考」とも呼ばれます。
ラテラルシンキングの提唱者
ラテラルシンキングの提唱者は、マルタ共和国の医師であり、心理学者、発明家、作家、コンサルタントとさまざまな立場で活動したエドワード・デボノです。
1967年、エドワード・デボノは、論理的思考の「垂直思考」に対し、何物にもとらわれず直感的な発想をする思考を「水平思考」と提唱しました。
2015年に出版されたエドワード・デボノの著作『水平思考の世界』には、ラテラルシンキングの大切さなどが記されています。
ラテラルシンキングが注目される理由
企業が継続してビジネスの場に存在するためには、立ち塞がる課題を解決したり新たな商品やサービスを考案したりして、社会のニーズを満たしていくことが重要です。
しかし、固定観念にとらわれたり思考が論理的だったりした場合、課題の打開策や新商品の案が、誰もが想像できる枠を超えず、安直なものとなってしまう恐れがあります。
そのため、物事を多角的に考察し、斬新なアイデアを直感的にうみだすラテラルシンキングは、企業が事業を継続するために必要な思考法であり、ビジネスの場で活躍する個人のスキルとしても重要なものとして、注目されています。
ロジカルシンキングとの違い
ロジカルシンキングとは、論理的思考法を意味し、ラテラルシンキングの「水平思考」に対し「垂直思考」とも呼ばれます。
ロジカルシンキングは、物事を論理的に考えるため、原因や進捗状況を客観的に分析することに長けており、主に課題解決を目指す場面で活用される思考法です。
一方で、ラテラルシンキングは、事実や固定観念にとらわれない直感的な発想をする思考法のため、主に新たなイノベーションをうみだす場面で活用できます。
クリティカルシンキングとの違い
クリティカルシンキングは、批判的思考法とも呼ばれ、前提条件を「本当に合っているのか?」と疑う思考法です。
前提条件を疑うことにより物事の本質を見極め、根本的な課題解決を目指すため、主に課題自体の正誤を問う場面で活用できるでしょう。
ラテラルシンキングの考え方
ラテラルシンキングは、4つのステップで深めることができます。
- 「なぜ」を追求する
- 「ならば」を言語化する
- 解決策を考える
- ほかに不満はないか見直す
4つのステップについて、それぞれ詳しくみていきましょう。
ステップ(1):不満に気づき「なぜ」を追求する
職場環境や業務内容の不満に気づき、改善することで、従業員満足度が上がったり、より効率的に業務をおこなえたりします。
不満に気づいた際には、「なぜこの業務をおこなうのか」「なぜこのような業務フローなのか」など、不満に対する「なぜ」を追求することで、不満を改善する糸口が見えてくるでしょう。
ステップ(2):「ならば」を言語化する
洗い出した不満に対し、「ならばどうすればいいのか」と理想を考える際に重要なのが、常識や固定観念にとらわれないことです。
ラテラルシンキングは自由に思考し、斬新な発想をすることが大切なため、理想の実現が難しいと感じる場合も、ひとつのアイデアとして言語化するようにしましょう。
ステップ(3):解決策を考える
不満を洗い出し、理想像を導き出したあとは、「どのように実現するか」を考えます。
解決策考案にあたり、常識やルールなどを考慮して思考してしまうと、革新的なアイデアであれば最短ルートであった解決策を見落とす恐れがあるため、多角的な視点から解決策を自由に発想しましょう。
ステップ(4):ほかに不満はないか見直す
ラテラルシンキングにより不満の解決策を導き出したあとは、ほかに不満がないかを再度見直します。
不満に対し「なぜ」を追求しましたが、再度「なぜ」と追求していくことで、不満の深堀ができるため、見落としていた不満が見つかるかもしれません。
ラテラルシンキングをおこなうメリット
ラテラルシンキングをおこなうメリットは2つあります。
常識にとらわれない
ラテラルシンキングは、固定観念や既成概念などを度外視して思考するため、常識にとらわれない斬新な発想ができるようになります。
斬新な発想ができることで、新たな商品やサービスを考案できたり、行き詰まっていた課題解決の打開策が浮かんだりするでしょう。
結論を導くのが早い
論理的思考法のロジカルシンキングの場合は、アイデアが論理的であることが求められるため、物事を分析し客観的に正しいことを証明する準備をするなど、アイデアを提案するまでに時間がかかり、結果として結論を導くのも遅くなってしまいます。
しかし、ラテラルシンキングは、直感的な発想で提案されたアイデアを精査し、直面している課題解決を図れるか否かを判断するため、結論を導くのが早く、物事を迅速に実行できます。
ラテラルシンキングの鍛え方
ラテラルシンキングは、ビジネスの場でも鍛えることが可能です。
具体的には、以下の2つの方法で鍛えることができます。
- 前提を疑う癖をつける
- 研修で学ぶ
ラテラルシンキングを鍛える2つの方法を、それぞれ紹介します。
前提を疑う癖をつける
ラテラルシンキングは常識やルールにとらわれない思考法のため、前提条件を疑う癖をつけることで、自由な発想をしやすくなったり、アイデアを物怖じせず発言できたりするでしょう。
自由な発想は、課題解決の新たな糸口になったり、革新的なイノベーションをうみだしたりするため、事業の発展のためにも、まずは前提を「これは正しいのか?」と疑う癖をつけることが大切です。
研修で学ぶ
ラテラルシンキングは研修で学ぶことも可能です。
講義やワークなど、さまざまなプランのラテラルシンキングの研修プログラムがあるため、自社にあったものを申し込むといいでしょう。
また、「オレンジの分け方」などのクイズ形式や、「6色シンキングハット」というグループディスカッション形式で学ぶ方法もあるため、社内研修で取り入れるのもいいかもしれません。
ラテラルシンキングの例題
ラテラルシンキングは、ビジネスの場だけでなくさまざまなシーンで活用できます。
たとえば、13個のオレンジを3人でわける方法を問う「オレンジの分け方」というクイズでは、答えの例として、3等分したあと残りをさらに3等分する、オレンジジュースにして3等分する、などがあり、オレンジジュースにする答えは「オレンジのままわける」という前提を取り払った発想です。
ほかにも、「ウミガメのスープ」という例題では、前提条件を取り払い、物語の背景を想像する力が問われています。
このように、ラテラルシンキングは広い視野で自由な発想をするため、日常生活の問題解決や物事の背景を想像するのにも活用できます。
ラテラルシンキングの思考法を業務で活用しよう
ラテラルシンキングは、「水平思考」とも呼ばれ、固定観念や既成概念にとらわれず物事を多角的にとらえ、新たな発想で課題解決したりイノベーションをうみだしたりする思考法です。
ラテラルシンキングをおこなうことにより、すでに市場にある商品やサービスとは異なる、革新的な商品やサービスをうみだせる可能性があるため、ラテラルシンキングは企業の継続的な発展のために欠かせないでしょう。
企業にもたらすメリットの大きいラテラルシンキングをクイズ形式や研修で学び、業務に活用していきましょう。
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