相対評価と絶対評価の違いとは?それぞれのメリット・デメリットを解説
目次
人事評価の方法次第で、社員のモチベーションや社風は変動します。
相対評価と絶対評価のメリット・デメリットを把握したうえで、自社にはどちらが最適な評価方法か検討するようにしましょう。
ふたつの評価方法の違いや、メリット・デメリットについて解説します。
相対評価とは?
相対評価とは、能力や成果を他者と比較したうえで、相対的に評価をおこなう方法で、あらかじめ各評価の定員人数を決めたうえで、成果や取り組みの評価が高い人から順に当てはめていく評価方法です。
所属する組織における、他者との比較で評価が決まるため、所属する組織が変わると、今までの評価が大幅に変わることもあります。
相対評価のメリットとしては、よりよい評価を得ようと互いに切磋琢磨しあうことで、モチベーションが上がることがあげられます。
学校での活用例
学校では、通知表をつける際に使用されることが多くありました。
5段階評価における、それぞれの段階の定員をあらかじめ決めたうえで、評価が高い生徒から順に成績をつけていく方法です。
評価5 | テストの成績が上位10~20%の生徒 |
---|---|
評価4 | テストの成績が上位20~40%の生徒 |
評価3 | テストの成績が上位40~60%の生徒 |
評価2 | テストの成績が上位60~80%の生徒 |
評価1 | テストの成績が上位80~100%の生徒 |
学校では、2002年まで相対評価が採用されていましたが、学習指導要領が変更になったことがきっかけで、絶対評価が採用されるようになりました。
企業での活用例
相対評価を活用している企業は多くあります。
成果のみで評価する方法と、仕事への取り組み方やプロセスを加味して評価する方法の、二通りの方法が主に活用されています。
前者は定量的であり採点が容易ですが、後者は定量的でないために採点が困難になる恐れがあります。
相対評価は、あらかじめ各評価の定員が決まっているため、予算のブレが少ないですが、絶対評価は、よい成績をとった人が多い場合、想定より予算がかかってしまいます。
絶対評価とは?
絶対評価とは、個人の成長や成果に焦点をあて、評価をおこなう方法のため、評価を受けた側は、自分の成長や採点結果に納得感を得やすいです。
また、相対評価のように、他者と比較することがないため、自分の成長や成果に対して、内省し、次の目標を見つけることができます。
相対評価と絶対評価との違い
相対評価では、他人と比較したうえで評価が決まりますが、絶対評価は、個人の成果やプロセス、成長により評価が決まります。
また、相対評価は、評価の段階ごとに定員を決めたうえで評価をおこないますが、絶対評価は、定員の概念がないため、成果やプロセスによって、どの評価になるかを決める点で異なります。
相対評価と絶対評価それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
相対評価 |
|
|
絶対評価 |
|
|
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
相対評価のメリット
相対評価のメリットを解説します。
- 人件費のコントロールができる
- 評価格差がつけやすい
- 競争意識が働く
詳しくみていきましょう。
人件費のコントロールができる
評価をおこなう前に、給与や賞与などの予算がどれくらいかかるかを把握することができます。
部署内で相対評価をおこなう場合、「A評価が何人、E評価が何人」などと、あらかじめ各評価の人数を決めるため、おおよその給与や賞与などを把握することができ、人件費をコントロールできるというメリットがあります。
評価格差がつけやすい
各評価の定員が決められているため、評価格差をつけることができます。
成果を出している社員には、給与や賞与を増やすなど、適切な人材に労働対価を還元することができます。
競争意識が働く
社員同士で切磋琢磨することによる、社内全体のモチベーション向上を期待できます。
相対評価では、他者よりも優れた結果を出そうと、社員は熱意をもって仕事に取り組むようになるため、自発的に勉強をおこなったり、業務改善をはかったりします。
結果として、業務でよい成果を出す社員が増え、組織の業績アップを期待することができます。
相対評価のデメリット
次に相対評価のデメリットを解説します。
- フェアな評価にならない可能性がある
- 評価の説明が難しい可能性がある
- 所属する集団によって評価が変わる
相対評価を導入する際は、メリットだけでなくデメリットも把握しておく必要があります。
詳しくみていきましょう。
フェアな評価にならない可能性がある
フェアな評価ではないと、社員の不満が出る可能性があります。
能力や成果に大きな差異が見られない場合、小さなプロセスや努力で採点が変わってしまうこともあるため、社員によっては公平な評価でないと不満を感じる可能性があります。
評価の説明が難しい可能性がある
なぜこのような結果になったのかを、具体的に説明するのが難しい場合があります。
相対評価では、同じ能力の社員でも、些細な能力や成果の違いで順位が決まるため、順位の理由や説明を求められた際に説明が難しく、社員の納得感を得られない可能性があります。
所属する集団によって評価が変わる
所属する組織次第で評価が変わってしまいます。
ある組織では優秀であった社員が、ほかの組織に転職したり出向したりすると、周りの能力次第で評価が下がってしまう可能性があります。
相対評価は、所属する組織内における、他者との比較のため、所属する組織によっては評価が下がってしまい、自信を喪失してしまう可能性もあります。
絶対評価のメリット
絶対評価のメリットを見ていきましょう。
- 個人の努力を評価しやすい
- 納得を得やすい
詳しく確認していきましょう。
個人の努力を評価しやすい
努力をした分、評価されやすいです。
絶対評価は、個人の努力や成長によって評価が変わるため、努力が見られ、成果を上げた場合は、評価を上げることができるなど、個人の頑張りを結果に組み込むことができます。
努力や成長が採点結果に大きく反映されるため、社員のモチベーション向上が期待できます。
納得を得やすい
絶対評価では他人と優劣をつけることなく、個人に焦点をあてた評価方法のため、評価した側は、なぜこのような結果になったのか明確に説明ができ、納得感を得やすいです。
評価の理由が明確なため、不公平性を感じることもなく、組織への信頼感を高めることができます。
絶対評価のデメリット
最後に絶対評価のデメリットについて見ていきましょう。
- 人件費のコントロールが難しい
- 評価者に左右される可能性がある
- 評価基準の設定が難しい
相対評価のデメリットと比較してみてください。
人件費のコントロールが難しい
絶対評価では、よい成果を出した社員が予想外に多かった場合、その分給与や賞与が増えるため、人件費を予測し、コントロールすることが難しいでしょう。
評価者に左右される可能性がある
評価者の観点次第で、評価が大きく変化してしまいます。
成果を重視する場合でも、ただ単に売上を採点するのか、契約件数を採点するのかでも結果は異なるでしょう。
評価者が、成果のどの部分を評価するのかで結果が異なってしまうため、あらかじめ評価範囲などを決めておく必要があります。
評価基準の設定が難しい
他者と比べる基準がないため、どのような観点で採点をするかを、組織側で熟考する必要があります。
「個人が以前の評価時より成長したら評価する」、「一定の成果基準を満たす人を高評価とする」など組織内で独自の基準を設けましょう。
企業内の経営理念や目標に沿った、独自の評価基準を設けるのもよいです。
相対評価と絶対評価は組織風土に応じ活用を
ふたつの評価方法の特徴をつかんで、適切に使い分けましょう。
社員同士が切磋琢磨する環境づくりや、予算コントロールをしたい場合は相対評価、社員の納得感を大切に、努力や成長を評価に反映させたい場合は、絶対評価を選択するのが適切です。
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