自己顕示欲とは?意味や強い人の特徴・原因を解説【臨床心理士監修】
目次
自分を目立たせたいという欲求である「自己顕示欲」は、人間誰しもがもちうる欲求です。
しかし、特徴が強く出てしまうと、コミュニケーションが困難になりかねません。
この記事では、自己顕示欲について、承認欲求との違いや特徴、自己顕示欲が強くなる原因や、対処方法をお伝えします。
自己顕示欲の強い人との、適切なコミュニケーション手段の参考として、ぜひご覧ください。
自己顕示欲とは
自己顕示欲とは、「他人に対して自分を目立たせたい」「自分の能力や存在について、周囲にアピールしたい」という欲求です。
自己顕示欲は、成長過程において、誰にでも生じるものです。
とくに、若い世代では、実績も少なく、現状への不満やコンプレックスを抱えていることも多いため、自分を大きく見せたり、注目を浴びたりすることで、現状の物足りなさを満たしたくなるのは自然なことでしょう。
承認欲求との違い
自己顕示欲と承認欲求は近しい概念ではありますが、異なる点もあるため、混同しないように注意しましょう。
自己顕示欲と承認欲求の違いは、「他者に自分をアピールしたい・見せたい」という欲求をともなうかどうかという点です。
自分の存在を周囲にアピールしたい欲求である「自己顕示欲」に対し、「承認欲求」は、他者に自分の存在や考え方を認めてもらいたいという欲求です。
他者から認められたいという「承認欲求」を満たしたいときに、自分を目立たせたいという「自己顕示欲」が湧く人もいれば、自分の意見を抑えてでも他者にあわせたくなる人もいます。
承認欲求の満たし方は人によって異なりますが、自己顕示欲は、承認欲求と関わって生まれる欲求のひとつといえるかもしれません。
自己顕示欲が強い人の特徴
自己顕示欲の強い人にはどのような特徴があるのでしょうか。
自己顕示欲が強い人の特徴を5つ紹介します。
- 承認欲求が強い
- 他人からの評価に敏感
- 自分の話が多い
- 自慢話やマウンティングが多い
- 嘘や虚言癖がある
自己顕示欲が強い人の特徴をみていきましょう。
承認欲求が強い
自己顕示欲の強い人は、「承認欲求」も強い場合があります。
たとえば、「会議での発言がひときわ多い」「自分のしたことを積極的に周囲にアピールする」といった行動をとることで、自分の考え方を周囲に認めてもらおうとします。
逆に、評価が得られない業務には消極的であったり、関心を示さなかったりすることも特徴といえます。
自分の存在や考え方を、他社に認めてもらいたいという「承認欲求」が、自分を目立たせたい、アピールしたいといった自己顕示欲と強く結びついてあらわれます。
他人からの評価に敏感
自己顕示欲の強い人は、他人からの評価に敏感なことも多くみられます。
自分の存在を目立たせたい、アピールしたいという思いは、そもそも他者がいることが前提となります。
たとえば、「会議の場で、自分がよく見られる発言をしようとする」「社内外での自分の発言や振る舞いについて。周囲がどう思ったかを頻繁に確認する」といった行動をとりがちです。
なかには、他者からの評価を気にしすぎるあまりに、自分のしたいことができなかったり、自分の意思がわからなくなったりする人もいるでしょう。
自分の話が多い
自分の話が多い人も、自己顕示欲が強い傾向にあります。
たとえば、自分のしたことやされたこと、身の上話などを積極的にしたり、他者の話題を自分の話に変えてしまったりなど、常に話題の中心にいようとする特徴があります。
「自分をアピールして注目されたい」という自己顕示欲の振るまいが、行き過ぎてしまうと、周囲を困らせてしまいかねないため、注意が必要です。
自慢話やマウンティングが多い
自己顕示欲の強い人は、自慢話やマウンティングが多いという特徴もあります。
学歴や所属、年収、外見、家族関係など、話の内容はさまざまですが、「○○に褒められた」「高く評価された」といった自慢話をしがちです。
また、自分は他者より優れていることを強くアピールしたり、他者をおとしめるような発言をしたりする場合もあります。
こうした振るまいは、自分の存在を、周囲から際立たせたいという自己顕示欲の強いあらわれのひとつです。
しかし、自慢話やマウンティングは、「プライドが高い人」「見栄っ張り」という印象や「マウンティングされた」という不快感を周囲に与えやすく、人間関係の悪化を招きかねません。
嘘や虚言癖がある
自己顕示欲が、嘘や虚言癖としてあらわれる場合もあります。
たとえば、自分の実績や能力について、実際よりも大げさに伝えようとしたり、自分を良く見せるために、本音を偽ったような発言や行動をとったりすることがあります。
こうした振る舞いも、「自分の存在を目立たせて注目してもらいたい」という強い自己顕示欲のあらわれといえます。
しかし、現実と異なる「嘘」や「虚言」は、周囲を振り回し、困らせてしまう可能性が高いです。
自己顕示欲が強くなる原因・要因
自己顕示欲が強くなる要因は、ひとつではありません。
背景にはさまざまな要因が考えられ、それぞれが複雑に絡みあう場合もあります。
自己顕示欲が強くなる要因についてみていきましょう。
自分に自信がない
自己顕示欲が強くなる要因のひとつとして、「自分に自信がないこと」が考えられます。
自分の実績や能力について納得しておらず、自分で自分を認められていないときの、「もっと自信を持ちたい」という思いが自己顕示欲につながることがあります。
優れた自分でありたい、もっと他者から評価されたいという思いから、自分を目立たせたいという欲求である「自己顕示欲」が強くなることがあります。
仕事やプライベートがうまくいっていない
仕事やプライベートがうまくいっていないときにも、自己顕示欲が強くなることがあります。
たとえば、職場の人間関係で悩んでいる、仕事で成果をだせていない、家族やパートナーとの関係がぎくしゃくしている、といったケースが当てはまります。
現在の生活で抱える不満やストレスが大きくなることも、自己顕示欲が強まる要因のひとつといえるでしょう。
育ってきた環境に影響されている
自己顕示欲の強さには、育ってきた環境が影響していることもあります。
たとえば、養育者からあまり関心を向けられずに育った場合、「自分からアピールしなければ、関心を向けてもらえない」と考えるようになるかもしれません。
周囲にとっては過剰に感じられるレベルであっても、本人にとっては、育った環境のもとで身についた、自然自己顕示欲になっている場合もあります。
自己顕示欲の対処方法
自己顕示欲が強い人の特徴をみると、「自分は自己顕示欲が強いかもしれない」と感じる方もいるのではないでしょうか。
自己顕示欲のコントロール方法を知らないと、人間関係の悪化や自己肯定感の低下など、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
自己顕示欲の適切な対処方法を知り、上手に付き合っていきましょう。
自己顕示欲との付き合い方がわからない場合
「自分の自己顕示欲との付き合い方がわからない」と感じたら、まずは、自己顕示欲の高さを活かす方法を検討してみましょう。
自己顕示欲の強さは、「自分の意見を主張できる力や行動力」ととらえれば、長所にもなります。
「自己顕示欲の強さを活かせ、周囲にもうけいれられる」といった環境を見つけられれば、自己顕示欲のとらえ方も変わるかもしれません。
では、自己顕示欲の強さに悩んでいるけれど、環境は変えずに、自分を変えたい、という場合はどうでしょうか。
自己顕示欲の強さを改善したい場合
「自己顕示欲の強さを改善したい」と思う場合は、自分に自信をもてる行動をとってみるといいでしょう。
たとえば、信頼できる人と会う、好きなことをして過ごすなどです。
スマートフォンやパソコンを閉じて、デジタルデトックスをするのもいいでしょう。
周囲の目や評価が気にならない行動をすることで、自信を回復できれば、自然と自己顕示欲が気にならなくなる可能性があります。
相手に評価されていると感じない相手と話すことで、リラックスしたり、自分の頑張りを自分で認めてあげるためにご褒美を与えたりなど、肩の力を抜くことも大切です。
自己顕示欲が強い人とのコミュニケーション方法
「自己顕示欲の強い人とはコミュニケーションがとりづらい」と、周囲の人が感じることがあります。
しかし、職場や学校など、さまざまな場面で、自己顕示欲の強い人との関わりを避けられないことも多いでしょう。
では、自己顕示欲の強い人とは、どのようにコミュニケーションをとるのが適切なのでしょうか。
自己顕示欲が強い人とのコミュニケーション方法についてみていきましょう。
自己顕示欲について理解する
まず、自己顕示欲について理解することが大切です。
自己顕示欲は、誰にでもおこりうる欲求であることや、自己顕示欲の強い人には、なにかしら事情があることなどを知っておくといいでしょう。
そのうえで、できるだけ、自己顕示欲が強い人の話を、否定せずに聞いてあげられるとよいです。
自己顕示欲が強い状態の人は、否定されるとより傷つき、自信を失い、結果として自己顕示欲はさらに高まりかねません。
反対に、否定されない安心感の中で、不安に思っていることなどを話すことができれば、自己顕示欲は落ち着いていく可能性があります。
また、うそのない範囲で本人を認め、評価するのもよい方法です。
「自己主張の力」などの長所を認められたり、頼られたりすれば、心理的安全性が保たれるだけでなく、職場で力を発揮してくれることも期待できます。
ただ、どうしても「自慢話が多い」「マウンティングがひどい」などで、コミュニケーションをとることが難しく、話を聞く側が大きなストレスを感じることもあるでしょう。
話を聞いたり、認めたりするだけではうまくいかない場合は、適度な距離を保つことも考えてみましょう。
適度な距離を保つ
自己顕示欲の強い人とのコミュニケーションで、強いストレスを感じる場合は、適度な距離を保つのもよい方法です。
自己顕示欲の強い人の話を聞き続けるのがつらい場合は、否定や反論は避けつつも、うけ流す、スルーする、という方法をとりいれましょう。
話を聞いているふりをしながらも、理解しようとしすぎず、心の中で真剣にはうけとめないという態度です。
また、仕事で関わる相手であれば、「業務を進めるうえで必要な話以外はしない」というのもひとつの手です。
相手の自己顕示欲を刺激しそうな話題を避けることで、コミュニケーションでのストレスを減らせるでしょう。
相手を思いやることも大切ですが、自分の心理的安全性を保つために、仕事だけの関係と割り切り、自己顕示欲の強さに影響されすぎない距離感を保つことも大切です。
適切なコミュニケーション方法を選びましょう
自己顕示欲は誰もがもちうるものですが、さまざまな要因が影響して、強く特徴があらわれる場合もあります。
自己顕示欲の強い人と関わるときは、自己顕示欲について理解し、適度な距離を保ったコミュニケーションを心がけるといいでしょう。
適度な距離を保ったうえで、円滑なコミュニケーションをとれる手段のひとつとして、ビジネスチャットもおすすめです。
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