【専門家監修】介護業界のICT化とは?導入のメリットや注意点、成功のポイントを解説

業務効率化
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目次

令和4年9月の介護保険最新情報で周知された「ケアプランデータ連携システム」をご存知でしょうか。

介護業界の業務効率化をはかるために、ICTを活用した情報連携のとりくみが推進されていますが、令和5年度よりケアプランデータ連係システムの開始を目指すことがアナウンスされたことで、介護業界のICT化は、より急務を要する状況となっています。

介護業界におけるICT化の重要性やメリット、LIFE(科学的介護情報システム)の活用目的などを見直し、適切なICT化を進められているかいま一度確認してみましょう。

ケアプランデータ連係システムとは

「ケアプランデータ連携システム」は、令和5年4月に開始することを目指すという内容を、令和4年9月の「介護保険最新情報」で周知がありました。[※1]

ケアプランデータ連携システムは、これまでFAXや紙ベースでやりとりしていたケアプランや毎月の提供票のやり取りを、電子データでやりとりするシステムのことを指します。

ケアプランデータ連携システムを導入することで、介護事業所の業務効率化が図れるなどのメリットがあります。

これまで、ケアプランの控えや毎月の提供表のやりとりは、居宅介護支援事業所と他の介護サービス事業所で、FAXや郵送などの紙ベースでおこなわれることが一般的でした。

この紙ベースでやりとりをした文書は、給付管理システムや介護報酬請求システムなどに手入力する二度手間、印刷費用、手渡しする場合の移動費用などの、多くのコストが発生することから課題視されていました。

しかし、ケアプランデータ連携システムを導入することで、手入力していたデータを電子データとしてとりこめるようになるため、入力の手間や、FAX・郵送の手間を削減できるだけでなく、コストも削減できる手段として、注目を集めています。

ケアプランデータ連携システムの利用コストは、一事業所当たり年間21,000円で、導入することで、居宅介護支援事業所側の業務効率化が圧倒的に高まるとされています。

このような動きからもわかるように、介護業界のICT化は急務でとりおこなわれており、注視すべき動きであることがわかります。

>ICTの必要性やメリットに関する記事はこちら

介護業界におけるICT化のメリットとは

注目を集める「ICT(情報通信技術)」ですが、導入にどのようなメリットがあるかご存知でしょうか。

ICT化を目指す際は、ICTを活用すること自体を目的にするのではなく、ICTを活用することで、「ケアの品質の向上と職員の生産性の向上を目指すこと」を目的にすることを忘れないようにしましょう。

ICT化はあくまでも手段であり、目的や目標ではありません。

ICTを活用して実施されるようになった「オンライン研修」を例にあげると、実施方法がオンラインになったことで、オフラインのときよりも時間の拘束がなくなり、自由度が増したという実感があるのではないでしょうか。

これまでは、夜勤者が眠い目をこすって、参加型の職員研修に参加していましたが、これでは職員の生産性向上、ひいては健康的な従事をはかることはできません。

職員が、「楽になった」「仕事がしやすくなった」という実感があってはじめて、ICT化は成功します。

ICTの導入が、職員にプラスに働いているか、ICTを導入すること自体が目的になっていないかを今一度確認してみましょう。

>ICTのメリット・導入のポイントに関する記事はこちら

介護業界のICT化が急務とされる理由

介護業界におけるICT化が急がれている背景には、出生率が年々低下していることが大きく影響していると考えられます。

日本の出生率は、2022年現在6年連続で低下しており、その結果、日本の労働人口は逆三角形のように、年々減少傾向にあります。

労働人口減少の対策として進めている、外国人研修生などに頼る方法も限界を迎えつつあり、この打開策として注目を集めているのがICTを活用した業務効率化です。

このような背景から、令和4年5月におこなわれた財政制度等審議会の「歴史の転換点における財政運営」の提言においても、以下のようにICTの重要性が提言されました。[※2]

介護の質低下を招くことなく、むしろ質の向上を図りながら、介護現場の業務負担軽減と人員配置の効率化を実現するには、ロボット・AI(人工知能)・ICT(情報通信技術)等の実用化の推進や、タスクシフティング・シニア人材の活用推進・文書量削減など、組織マネジメント改革などの業務効率化を進めていく必要がある。

行政主導のICT活用のとりくみとは

介護業界におけるICT化は、行政の主導により急務で進められています。

介護業界が抱える課題のひとつである、「人員不足・負担」の課題を軽減するとりくみも、進められていますが、具体的にはどのようなとりくみなのでしょうか。

具体的に解説していきます。

ICT活用による基準緩和のとりくみ

介護施設において、適切な介護・医療を提供するために、一定数以上の専門資格保有者を配置することを義務づけた「人員配置基準」という制度があります。

厚生労働省は、ICT活用によって、人員配置基準の制度を緩和することを検討しています。

具体的には、現在の介護施設等の職員配置の基準である3対1の配置を、4対1に緩和するといった内容です。

一律の基準緩和ではなく、現在の人員配置基準よりも少ない人員配置であっても、介護の質が担保されることが前提の検討である点には注意が必要ですが、職員の負担軽減につながるとりくみであることには違いありません。

そして、令和4年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」においては、介護分野でのDXを含む技術革新を通して、サービスの効率化・質の向上をはかるため、デジタルヘルスの活性化に向けた関連サービスの認証制度や評価指針による質の見える化やイノベーション等を進め、同時にデータヘルス改革に関する工程表にのっとりPHR(パーソナルヘルスレコード)の推進等改革を着実に実行するという方針が発表されました。[※3]

介護業界のICT活用は、行政主導のもと今後も急速に拡大されていくことが予想されます。

>人材不足の原因に関する記事はこちら

ICT活用によるオンライン指導の解禁

厚生労働省や各都道府県の担当者が、適正な事業運営がおこなわれているか確認するために介護事業所へ出向く「実地指導」の名称が、2022年4月に「運営指導」に変更されました。

この名称変更と同時に、オンライン会議システムを活用した指導が解禁されました。

この解禁によって、従来の介護施設・事業所に出向いて、対面でおこなわなくてはいけなかった指導が、オンラインで実現できるようになりました。

今後は、Zoomなどのオンライン会議サービスを活用したオンライン指導が実現すると想定されているため、その前提として、画面共有に用いる計画書や記録などの電子データ化・保管が必要とされています。

すなわち、オンライン指導は、介護記録ソフトなどが導入されており、書類関係が電子データ化されている場合のみが対象となります。

これまで対面でおこなっていた指導が、オンラインで実現できるようになったことで、時間的なコストだけでなく、計画書や記録書などの書類を電子データ化することによって、管理コストなども削減できるようになるでしょう。

また、オンライン指導が実現できれば、感染症の拡大期でも指導の実施が可能になるとされていますが、介護事業所のICT化が進んでない場合は、実現できる施設が限定的となってしまいます。

そのため、介護業界のICT活用が急務を要する背景がわかるのではないでしょうか。

ICT活用による電子申請化のとりくみ

厚生労働省は、対面での書類の受け渡しや郵送など、従来の申請方法に代わる「電子申請届出システム」を活用した電子申請化も進めています。

このとりくみを進めるなかで問題視されているのが「自治体ごとに異なる届出様式や独自ルールの存在」です。

厚生労働省は、この問題を解消するために、地方公共団体による独自ルールの明文化を徹底したうえで、地方公共団体ごとの独自ルールの有無・内容を整理し、定期的に公表するとしました。[※4]

また、令和6年の「介護保険法改正審議」おいても、介護施設入居者に対するケアの質確保と介護職員の負担軽減・処遇改善を両立させるため、介護現場におけるデータ・ICT技術の活用推進が不可欠であるという論点が明示されています。

今後の介護報酬改定においても、処遇改善加算などの算定要件に、ICT化がくみこまれることがあるかもしれません。

現状、介護業界のICT化は、行政主導でさまざま実施されていますが、職員の負担を軽減し、介護の質を確保するためには、各事業所でのとりくみが必要不可欠といえるでしょう。

LIFE(科学的介護情報システム)の活用の意味とは

令和3年4月に運用がスタートした「LIFE(科学的介護情報システム)」ですが、活用の目的を正しく認識しているでしょうか。

介護施設や事業所などで、利用者の基本情報や実施したケア内容などのデータを蓄積するデータベースとして運用がスタートしたLIFEですが、導入目的のひとつとして「ケアの質の向上」があげられます。

しかし、フィードバック表が未だ不十分な状態のため、単にLIFE加算を算定するためだけにデータを提供している介護施設や事業所も多いです。

介護サービスを提供する時間が長くなればなるほど、サービス提供のなかで利用者を一面的にしかみることができなくなり、気づきが減ってしまいがちです。

フィードバック票が不十分であっても、LIFEには多くのプラス効果があることを意識しておくことが重要です。
たとえば、「科学的介護提供体制加算を算定するなかで、Barthel IndexでADLを評価し、DBD13で認知症ケアを測定し、BMIや口腔ケアを評価する」などの記録も、定期的に利用者の状況を評価するという習慣になります。

このような習慣で蓄積されたデータは、直接的に全国の介護施設・事業所の介護の質を向上させることにつながります。

LIFEを活用すると、従来、各施設や事業所の単位で検討していたケア方法が、全国の介護施設・事業所のデータ・知見をもとに、最適な方法を検討することができるようになります。

たとえLIFE加算の算定が目的であったとしても、定期的に利用者の状況を評価する習慣がつくこと自体が、介護業界全体の底上げにつながるといえます。

LIFE自体は無料で利用することができますが、導入にはインターネット環境の整備が必要です。

介護の質を向上させるためにも、インターネット環境の整備を進めましょう。

LIFEをより効果的に活用する方法

LIFEを活用するメリットを解説してきましたが、職員の負担を軽減しつつ、効果的にLIFEを活用するためには、「LIFE対応の介護記録ソフト」の導入が必要不可欠です。

介護記録ソフトは、タブレットを用いて、日々の介護記録を入力するだけで、コンピューター本体に自動的にデータを転送でき、管理が可能になります。

紙の書類を手入力するなどの従来の方法から脱却して、業務の効率化を実現することができるため、LIFEを導入する際には、並行して導入するようにしましょう。

ICT化に潜むセキュリティ対策の重要性

急務で進められているICT化ですが、セキュリティリスクが潜んでいることも、忘れてはいけないポイントです。

令和4年3月に長崎県警察発行の「もってこいネットワーク通信 第7号」において、長崎県県内の介護施設で、ランサムウェア被害が発生し、サーバー内のデータが暗号化されてしまう事件が発生したと報告されています。[※5]

「ランサムウェア」とは、いわゆるコンピュータウイルスの一種で、感染すると、パソコンやサーバーに保存しているデータが暗号化されて使用できなくなってしまいます。

また、データを復元する対価として、金銭を要求されることや、金銭を支払わないと、データを公開するなどの二重恐喝なども発生しており、注意すべきウイルスであることがわかります。

令和4年4月には、大阪府内の病院で、同じくランサムウェアによる金銭の請求があり、患者の電子カルテが使えない状況となったことが報道されています。

これらの問題は、金銭を支払ったらといって解決するわけではありません。

ランサムウェアの身近な例としては、クレジットカード会社やECモールなどをかたり、指定のURLへのアクセスを促すメールがあげられます。

メールには、「あなたのクレジットカードが不正利用されました」「あなたのアカウントに不正なアクセスがありました」など、思わずクリックしたくなるような文面が記載されていますが、間違ってもクリックしてはいけません。

クリックした時点から、パソコンのデータが外部に抜きとられ、重大なデータ流出や漏洩につながってしまいます。

これらのウイルスを防止するためには、パスワードを強固なものに設定したり、アクセス権限を最小の範囲に限定したりすることが重要です。

また、定期的にバックアップをとることや、セキュリティやITツールの危険性に関する職員への研修実施も必要不可欠な対応といえます。

デジタル技術の発展やICT化は、今後も急速に拡大していくことが予想されますが、介護業界においても、この変化に柔軟に対応し、効率的に活用していく姿勢が求められるでしょう。

介護の質を向上させながらも、職員の負担軽減を実現するICTと、今後もうまく付き合っていくために、十分なセキュリティ対策がとれているかを、各介護施設・事業所で、いま一度見直してみましょう。

>実施すべきITリテラシー教育とは?に関する記事はこちら

介護業界のICT化にChatworkを導入しよう

ICT化が急がれる介護業界ですが、さまざまなとりくみが行政主導で実施されています。

介護の質向上を目指しながら、職員の負担も軽減できるため、人員不足や人員負担に課題を感じる介護施設・事業所は、積極的に導入を検討するようにしましょう。

また、ICT化が進むにつれて、セキュリティリスクが高まっていることも、注意しなくてはいけないポイントです。

多くのウイルスが、メールを介して侵入することを考えた際に、メールに変わるツールとして、ビジネスチャット「Chatwork」の導入を検討する企業が増えています。

また、このようなセキュリティリスクを防ぐだけでなく、自然災害時の緊急連絡の方法やBCP対策のツールとしても、「Chatwork」の有効性が実証されてきています。

>BCP対策においてChatworkを使うことで情報共有の円滑化に成功した事例

ビジネスチャット「Chatwork」は、大企業や官公庁も導入できるセキュリティ水準を満たしており、システムが苦手な方でも簡単にご利用いただけるシンプルな機能・設計のICTツールです。

ICT化は、職員が、「楽になった」「仕事がしやすくなった」という実感をもってはじめて成功したといえるものです。

「Chatwork」の導入で、人材配置の最適化やコミュニケーションコストの削減に成功した事例を参考に、ぜひ導入をご検討ください。

>Chatworkの導入で人材配置の最適化に成功した事例

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[※1]参照:厚生労働省老健局高齢者支援課「介護保険最新情報 令和4年9月6日」
https://www.mhlw.go.jp/content/000986033.pdf

[※2]参照:財政制度等審議会 「歴史の転換点における財政運勢 令和4年5月25日」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/01.pdf

[※3]参照:内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2022 令和4年6月7日」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf

[※4]参照:厚生労働省「第13回介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28815.html

[※5]参照:長崎県警察「もってこいネットワーク通信第7号 令和4年3月8日」
https://www.police.pref.nagasaki.jp/police/wp-content/uploads/2022/03/f7269e2b48514a1546058763c7075f37.pdf


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

記事監修者:小濱道博(こはま みちひろ)

小濱介護経営事務所 代表。日本全国で、介護経営のコンプライアンス指導、BCP、LIFE、実施指導対策などのコンサルティングをおこなう。介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで年間250件以上。全国の介護保険課・各協会・社会福祉協議会・介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。「これならわかる〈スッキリ図解〉介護BCP(業務継続計画)」(翔泳社)「おさえておきたい算定要件シリーズ」(第一法規株式会社)など、著書多数。「日経ヘルスケア」「Visionと戦略」など連載多数。

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