マッチポンプの意味や使い方とは?ビジネスにおける例や自作自演との違いをわかりやすく解説

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マッチポンプの意味や使い方とは?ビジネスにおける例や自作自演との違いをわかりやすく解説

目次

ビジネスシーンで「マッチポンプ」という言葉を耳にしたことはありますか。

言葉を聞いたことがあっても、正しい意味や使い方、どのようなおこないを指す言葉であるかは、知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、マッチポンプの意味や使い方、ビジネスシーンにおける具体例、自作自演との違いを解説していきます。

一時的な利益を得やすい一方で、信頼喪失のリスクがともなう「マッチポンプ」ついて、理解を深めましょう。

「マッチポンプ」の意味とは

マッチポンプとは、自らが意図的に起こした問題を解決することで、報酬や評価を得る行為のことです。

自分の利益のために「意図的に問題を起こす」というのがポイントで、結果的に報酬や評価などを得ることになっても、偶然起こった問題が原因の場合は「マッチポンプ」とは呼びません。

ビジネスシーンにおいては、ステルスマーケティング(ステマ)や、口コミサイトのサクラレビューなどを指す言葉としても、マッチポンプは使われます。

「マッチポンプ商法」と同じ意味で使われることもある

マッチポンプのなかでも、詐欺行為や詐称の悪質性が高い手法を、「マッチポンプ商法」と呼びます。

「自作自演による行為」という基本の意味がマッチポンプと同じであるため、行為の悪質性にかかわらず、同義で使われることは少なくありません。

「自作自演」との違い

マッチポンプと似ている言葉として「自作自演」があります。

ふたつの言葉は非常に意味が似ているため、同義で使う人もいるようですが、3つの点で違いがあります。

自作自演とマッチポンプの違いについてみていきましょう。

マッチポンプは、トラブルの解決によって、名声や金銭などの見返りを求めるのにくわえて、相手を騙して金銭的・精神的な損失を与える可能性が高い行為です。

そのため、一般的には「悪い行為」に対して使う言葉を「マッチポンプ」といいます。

一方で自作自演は、計画から実行までを、ひとりですることを指す言葉であるため、相手や第三者に見返りを求める行為とは限らず、損失を与えるとも限らないため、「悪い行為」に使う言葉とはいい切れません。

マッチポンプ 自作自演
名声や金銭の見返り 求める 求めるとは限らない
金銭的・精神的な損失 与える可能性が高い 与えるとは限らない
言葉が使われる対象 悪い行為に対して使うことが多い 悪い行為に対して使うとは限らない

「マッチポンプ」の語源や由来になった出来事

マッチポンプは、火をつける「マッチ(match)」と火を消す「ポンプ(pomp)」を組み合わせた和製外来語です。

英語とオランダ語を組み合わせてできた言葉なので、正式な英語表記は存在せず、海外で「マッチポンプ」といっても通じないでしょう。

ここからは、言葉の由来や世間に認知されるきっかけとなった出来事についてみていきましょう。

言葉の由来とされる国会での出来事

「マッチポンプ」という和製外来語が使われたことが確認できる最古の記録は、昭和36年の国会本会議の会議録です。

これが、現在の「マッチポンプ」という言葉の由来になったといわれています。

「世に、いわゆるマッチ・ポンプ方式といわれるものがあります。右手のマッチで、公共料金をあげて、もって物価値上げに火をつけながら、左手のポンプでは、物価値上げを抑制するがごとき矛盾したゼスチュアを示すのをいうのでございましょう」

また、言葉の認知度があがったのは、上記の記録から約5年後に世間を騒がせた政界汚職事件がきっかけといわれています。

この事件を報道する際に、「政界のマッチポンプ」という言葉が使われたことがきっかけで、「マッチポンプ」という言葉が世間に広まりました。[※1]

ビジネスシーンにおける「マッチポンプ」の具体例

マッチポンプは、シーン問わずに使われる言葉ですが、ビジネスシーンではとくに、利益や名声のために自作自演するおこないを指す言葉として使われます。

ビジネスにおける言葉の使い方をおさえるために、具体例を参考にみていきましょう。

ステルスマーケティング(ステマ)

ステルスマーケティングは、消費者に宣伝や広告であることを隠して、商品やサービスを紹介する方法で、一般的には「ステマ」と呼ばれることが多いマーケティング方法です。

身近な例では、芸能人やインフルエンサーに宣伝目的であることを隠したうえで、SNSやブログなどで商品やサービスを紹介してもらい、協力の見返りに金銭を渡すケースです。

なお、芸能人やインフルエンサー以外にも、社員が身分を隠して、自社の商品・サービスを紹介する行為も、ステルスマーケティングに該当します。

サクラ(偽客)を利用した集客

サクラとは、一般の消費者や観客に紛れて、雰囲気や売れ行きなどを偽装する人のことを指します。

マッチポンプの例としては、サクラを利用して行列をつくり、あたかも人気のあるお店のように偽装して集客する手法があります。

また、イベントなどで一般の観客にサクラをまぎれさせ、人が集まっているように偽装して、消費者の興味や関心を惹く手法も、マッチポンプの一例です。

収益を目的とした意図的な商品の欠陥

マッチポンプ商法のなかに、故障のしやすい商品や欠陥のある商品を販売し、修理するよう誘導し、修理費用で収益をあげる手法があります。

親切を装っているぶん、悪質性が高い方法といえるでしょう。

自作自演の害虫駆除

マッチポンプ商法のなかには、自作自演によって害虫駆除をおこなう手法もあります。

具体例としては、実際は害虫のいない住宅にあらかじめ害虫を仕込み、害虫駆除の話をもちかけて、作業を請け負うケースです。

ただし、悪質な害虫駆除をまとめて「マッチポンプ商法」と呼ぶこともあるため、害虫を仕込まずに「害虫がいる」と事実を偽る場合でも、マッチポンプと呼ばれることがあります。

口コミサイトのレビュー偽装

商品やサービスの印象を操作するレビューの偽装や、購買の後押し・購買意欲の増進を目的にしたレビューを偽装する手法も、マッチポンプにあてはまります。

ほかにも、レビューの評価数を偽装する手法や、偽装したレビューの消去を申し出て、金銭を要求する手法も、マッチポンプ商法となります。

顧客の不安を利用した商品・サービスの販売

マッチポンプは、営業テクニックのひとつとして使われることもあります。

たとえば、営業トークで顧客や消費者に不安を抱かせ、不安を解決する方法として、自社の商品やサービスを紹介する手法です。

日常に馴染みのある手法であるため、自覚をせずに使っている人も少なくないかもしれません。

必要のない治療や投薬

病院や動物病院で使われる例として、健康な患者に対して治療や投薬をおこない、これによる副作用に対して、さらに治療や投薬をする手法があります。

また、これと似ている例として、消費者の不安を煽ったうえで、健康の向上や病気の治癒を謳うサプリメントを販売するマッチポンプ商法もあります。

「やらせ」行為

「やらせ」とは、事実とは異なる状況を意図的に偽装し、あたかも事実かのように見せる手法です。

身近な例では、テレビやSNSなどで、視聴者の興味や関心を惹くために利用されています。

やらせ行為は、演出としてとり入れられることが多いですが、昨今では、消費者の間でもコンプライアンスの意識が高まっているため、節度を守らない場合は、消費者の信頼を著しく失なうリスクがある方法といえるでしょう。

炎上行為の利用

炎上行為は、昨今「炎上商法」ともいわれるもので、SNSなどを活用して、わざと炎上するような行為をおこなうことで、集客や収益、売名につなげる手法のことです。

インターネットの発達やSNSの普及にともない増加している方法ですが、一時的には利益を得られる可能性が高い一方で、消費者の信頼や企業ブランドの価値を損なう可能性も非常に高い手法といえます。

ビジネスシーンにおける「マッチポンプ」の使い方や例文

ここまで解説してきた通り、「マッチポンプ」は、行為を指す直接的な表現として使うこともできますが、たとえ表現として使うこともできる言葉です。

ビジネスシーンの会話においては、どのように使うことができるのでしょうか。

ビジネスシーンにおける「マッチポンプ」の使い方を、例文とあわせてみていきましょう。

直接的な言葉として使う例

以下は、マッチポンプ商法を指す、直接的な言葉として使うときの例文です。

  • あの害虫駆除業者は自分たちで害虫を仕込んで、駆除の話を持ちかけてきたそうだ。マッチポンプ商法をおこなっている会社だから、信頼できない。
  • 必要以上の治療を勧められ、高額な医療費を支払うことになりそうだ。あの医師はマッチポンプをしようとしているのではないか。

信頼関係の損失に相当する行為に例える例

以下は、マッチポンプ商法を、信頼関係の損失に相当する行為の例として使う例文です。

  • 顧客にマッチポンプ商法だと言われたら、会社への信頼を失くすことになる。不安を煽るような営業はやめよう。

ビジネスシーンにおける「マッチポンプ」の危険性

ここまでみてきたとおり、マッチポンプは、ネガティブな印象の強い言葉であるため、顧客や消費者のなかには、マッチポンプに対して否定的な感情を抱く人も少なくないでしょう。

マッチポンプは、ビジネスシーンにおいて、信頼を喪失したり、企業ブランドを悪化させたりする恐れのある行為です。

取り返しのつかない事態を避けるためにも、マッチポンプが与える影響や危険性を理解しておきましょう。

企業の社会的信頼を失う恐れがある

すべてのマッチポンプが悪質性の高いおこないではないものの、一般的には相手を欺いたり損失を負わせたりする行為が多いと認知されています。

よって顧客や消費者は、マッチポンプをネガティブにとらえる可能性が高いといえるでしょう。

そのため、マッチポンプをおこなったことが認知されれば、企業の社会的信頼を失う可能性があります。

企業ブランドを悪化させる恐れがある

マッチポンプをおこなったことが世間に認知されれば、企業ブランドに悪影響が及ぶ可能性が高いです。

築いてきた企業ブランドのイメージによっては、ブランディングの大幅な方向転換や戦略の立て直しが必要になることもあるでしょう。

マッチポンプは、さまざまなリスクがともなう行為であることを認識することが大切です。

>ブランティングのメリットとは?に関する記事はこちら

法令違反になる可能性がある

マッチポンプ商法は、直接規制する法律がないケースもありますが、場合によっては、法令違反になる可能性があります。

たとえば、ステルスマーケティングを直接規制する法律はないものの、消費者を著しく欺く場合は、景品表示法などの法令違反に問われる可能性があります。

第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
  1. 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
  2. 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
  3. 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

[※2]

また、相手を騙して金銭などを得た場合は、詐欺罪に問われる恐れがあります。

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。  

[※3]

「マッチポンプ」の類義語・言い換え表現

マッチポンプには、上述した「自作自演」以外にも意味が似た言葉が存在します。

混同しやすい言葉として、以下の6つがあげられ、とくに「やらせ」と「捏造」のふたつは、マッチポンプと似た意味で使われることが多い言葉です。

適切な表現を使い分けられるように、それぞれの意味を確認しておきましょう。

やらせ 事実とは異なる状況を事実のように見せること
捏造 事実とは異なることを事実のように偽装すること
自作自演 自分で作った台本を自分で演じること
自己完結 物事に自分自身で決着をつけたり納得したりすること
自己解決 自分自身で問題を解決すること
自己修了 自分自身で問題を起こして解決・終了すること

ビジネスシーンでの「マッチポンプ」は慎重に

マッチポンプは、一時的な利益を得られる可能性がある一方で、顧客や消費者、社会からの信頼損失につながるリスクのある手法です。

ビジネスシーンにおいては、成果や数字を求めるあまり、営業活動のテクニックやマーケティングとして、マッチポンプを活用したいと思うこともあるでしょう。

しかし、効果的な営業活動やマーケティングをおこなうためには、相手との信頼関係が構築されていることが重要です。

そのため、顧客や消費者を欺く行為であるマッチポンプは、一時的であれ、避けるべき行為といえます。

持続的な企業成長や利益を目指すためには、信頼関係を構築できる誠実な営業やマーケティングをおこなうように意識しましょう。

ビジネスシーンにおいて信頼関係を構築するには、時間をかけて相手との関係を深めていくことが大切ですが、一方で、人材不足や残業時間の取り締まりが厳しくなる昨今では、企業活動のさまざまな面において効率化が求められています。

このような課題を解決する方法として、コミュニケーション手段を変えてみる方法があげられます。

ビジネスチャットは、メールや電話などの従来のビジネスコミュニケーションの手段よりも、手軽にスピーディーなコミュニケーションが実現できることがメリットのツールです。

成果や数字をはやく追い求めるあまり、マッチポンプのような避けるべき手法をとってしまうことがないよう、効率向上の第一歩としてビジネスチャットを活用して、コミュニケーションの活性化を図ってみてはいかがでしょうか。

重要な内容の周知にビジネスチャットを活用しよう

マッチポンプは、一時的な利益を目指すうえでは効果的な手法ですが、高いリスクや危険性がともなうことを認識しておく必要がある行為です。

しかし、ステマやサクラなど、いわゆる「マッチポンプ商法」以外にもマッチポンプは存在します。

もしかしたら、知らないうちにマッチポンプをおこなっている従業員が社内にいるかもしれません。

このような事態を避けるためにも、マッチポンプに該当する行為や注意点などを、社内で定期的に確認・周知することが大切です。

社内で重要事項の周知をおこなう際は、手軽に社内共有がおこなえるビジネスチャットが便利です。

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>Chatworkのブックマーク機能の使い方に関する記事はこちら

なお、フリープランをご利用の場合、一部のメッセージに閲覧制限がかかっている可能性があるため、定期的に見直したいメッセージや情報がある場合は、ご注意ください。

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[※1]出典:国会会議録検索システム「第38回国会 衆議院本会議第28号昭和36年4月11日(4ページ)松井誠の発言」
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detailPDF?minId=103805254X02819610411&page=4&spkNum=13¤t=-1
[※2]出典:e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000134
[※3]出典:e-Gov法令検索「刑法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045
※本記事は、2023年3月時点の情報をもとに作成しています。


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