ヒューリスティックとは?意味や種類、活用例をわかりやすく解説
目次
問題解決や思考方法には、さまざまな種類のものがあります。
この記事では、問題解決や思考方法のひとつである「ヒューリスティック」について解説します。
ヒューリスティックとはどのような意味か、また、ヒューリスティックの種類や活用例などについて紹介するので、ぜひマーケティングなどに役立ててみてください。
ヒューリスティックとは
ヒューリスティックとは、「絶対に成功する方法ではないが、うまくいけば少ない時間や労力で問題解決できる方法」を意味します。
簡単で直感的な思考方法であるため、ヒューリスティックは日常生活のなかでも、頻繁に使用されています。
ヒューリスティックを合理的に使用できれば、すばやい問題解決が可能になります。
たとえば、電車通勤で同じ時間帯の同じ路線で、何度か電車が混んでいるのを経験すれば、次も混んでいるだろうと判断するケースがヒューリスティックにあたります。
月曜日、火曜日、水曜日に電車の混雑を経験すれば、「木曜日も混んでいるだろう」と判断し、当たる可能性は高いといえます。
しかし、月曜日、火曜日、水曜日がたまたまイベント開催のために電車が混んでいただけで、予想が外れるケースもあるでしょう。
ヒューリスティックは、このように絶対に正解に至るわけではないものの、経験則などに基づいて、正しいであろう答えをすばやく見つける思考方法です。
ヒューリスティックのメカニズム
ヒューリスティックは、時間や脳のリソースなどの負担を最小限に抑えるために使います。
ヒューリスティックとは逆に、必ず正解を導き出せる方法を「アルゴリズム」といいます。
アルゴリズムは、正しい使用により必ず正解にたどり着けますが、すばやく答えを見つけなければいけない場面や、情報量が多すぎる問題の解決方法には向いていません。
日常生活のなかでは、日々さまざまな選択が求められ、限られた時間のなかでたくさんの判断を求められます。
限りあるリソースを有効活用するため、多くの場合でヒューリスティックが用いられています。
ヒューリスティックの主な種類と例
ヒューリスティックには、いくつかの種類があります。
本記事では、ヒューリスティックの代表例として、以下の5種類を紹介します。
- 代表性ヒューリスティック
- 利用可能性ヒューリスティッ
- 係留と調整ヒューリスティック
- 感情ヒューリスティック
- シミュレーション・ヒューリスティック
例を交えながら、それぞれの内容を確認していきましょう。
代表性ヒューリスティック
代表性ヒューリスティックとは、「ある物事が、特定のカテゴリーを代表しているかどうか」に基づいて判断する方法を指します。
たとえば、「バレーボールをやっている人は背が高い」などが代表性ヒューリスティックにあたります。
「○○さんは、昔バレーボール部に所属していた」と聞いたときに「○○さんは背が高い」と判断するのは、ある程度正解の確率は高く、すばやく判断できますが、外れる可能性もあります。
利用可能性ヒューリスティック
利用可能性ヒューリスティックとは、記憶から取り出して、利用しやすい情報に頼り、直感的に判断する方法を指します。
「よく目にする情報」や「衝撃的なできごと」などは記憶に残りやすく、利用可能性ヒューリスティックがおこりやすくなります。
たとえば、特定の路線の電車が、強風で運転見合わせになるのを何度も経験していると、風の強い日に「あの路線は今日も運転見合わせになりそうだ」と予測するのが利用可能性ヒューリスティックです。
係留と調整ヒューリスティック
係留と調整ヒューリスティックとは、最初に提示された情報に基づいてすばやく判断する方法を指します。
たとえば、「○○県の2020年のリンゴの生産量は全国の60%を占めていました」という情報を提示されたあとに、「○○県の2021年のリンゴの生産量は全国の何%を占めていたでしょうか」ときかれると多くの人が「60%」に近い数字を答えます。
実際にあっているかどうかはわからないものの、最初に提示された情報をもとに、「おそらくこのくらいだろう」と判断するのが係留と調整ヒューリスティックです。
感情ヒューリスティック
感情ヒューリスティックとは、快・不快などの感情に基づいて判断する方法を指します。
たとえば、人から食事に誘われたときに、相手が自分の好みの人で「うれしい」など「快」の感情が生じると、とりあえず「イエス」の返事をしてしまうでしょう。
感情ヒューリスティックが働くと、相手のことや、相手が食事に誘った意図について深く考えることなく、感情にもとづいてすばやい判断をしています。
シミュレーション・ヒューリスティック
シミュレーション・ヒューリスティックとは、自分の経験則や先入観によって、「物事はきっとこうなる」と判断する方法を指します。
過去に「大勢の人の前では緊張してしまってうまくプレゼンテーションができなかった」という経験を何度もしていると、「また今度もうまくいかないだろう」と判断してしまいます。
実際にうまくいくかどうかはわからないものの、過去の経験から将来を予測するのがシミュレーション・ヒューリスティックです。
マーケティングにおけるヒューリスティックの活用例
マーケティングでは、ヒューリスティックを活用して成果をあげている例があります。
マーケティングによるヒューリスティックの活用例について、紹介します。
イメージ戦略
イメージ戦略とは、テレビなどでCMを何度もみせてイメージをつくり、消費者に自社の製品を買ってもらうようにする戦略を指します。
テレビなどの広告で、同じ商品を何度もみていると、記憶に残りやすく、利用可能性ヒューリスティックが働き、商品を買ってもらいやすくなります。
また、何度もCMをみているうちに、親しみを感じるようになり、感情ヒューリスティックも働くでしょう。
期間限定の値引き
最初に金額の高い通常価格を提示して、そのあとに金額が安い期間限定の価格を提示すると、期間限定価格が安く感じられる場合があるでしょう。
たとえば、「通常価格2万円の商品が、いまだけ期間限定値引きで1万5千円です」といわれると、最初の2万円という価格と比較して、1万5千円が安く感じられます。
「期間限定」をうたって、消費者の判断を急かすことで、ヒューリスティックを使ったすばやい判断を促せるでしょう。
インフルエンサーの活用
インフルエンサーがおすすめしている商品やサービスは、「いいもの」と判断される傾向にあります。
商品やサービスの評判、口コミのなかでも、インフルエンサーによる発信は影響力が大きいものです。
また、インフルエンサーの発言はインパクトもあるため、記憶にも残りやすいでしょう。
自社の商品やサービスについて、インフルエンサーに発信してもらうことで、売り上げの向上が期待できます。
>インフルエンサーマーケティングのメリット・デメリットに関する記事はこちら
松竹梅戦略
松竹梅戦略とは、9,000円・6,000円・3,000円など、価格が異なる3つのコースを提示すると、真ん中の価格の商品が一番売れるという戦略です。
最も高額な9,000円と比較すると、中間の6,000円が安く感じられます。
また、「安すぎるものはよくない」という代表性ヒューリスティックが働くと、3,000円よりは真ん中の6,000円を選びやすくなります。
高いコースと低いコースを用意することで、中間価格の商品の売上向上をはかれるでしょう。
ヒューリスティックの注意点
ヒューリスティックをマーケティングに活用する際は、ヒューリスティックばかりを意識しすぎないことが重要です。
ヒューリスティックばかりを意識して、マーケティングをおこなうと、消費者に不信感を与えるおそれがあります。
また、情報の提示の仕方によっては、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)などに違反してしまう場合があるため、この観点でも注意が必要です。
ヒューリスティックの関連用語
ヒューリスティックには、いくつか関連する用語があります。
本記事では、そのなかでも、以下の2つの関連用語を解説します。
- アルゴリズム
- 認知バイアス
混同しないように、関連用語それぞれの内容を確認していきましょう。
アルゴリズム
アルゴリズムとは、時間や労力はかかるが、絶対に正解にたどり着ける方法を指します。
たとえば、「ま」「さ」「ん」の3文字を使った魚の名前はなにか、という課題に対して、すべての文字の組み合わせを試す方法がアルゴリズムです。
ヒューリスティックを使うと、「ん」からはじまる魚の名前はないだろうなどの予測を立てることで、すばやく「さんま」という正解を導き出せます。
確実に正解にたどり着ける方法ですが、時間と労力がかかるという点で、日常生活の判断では、ヒュースティックが用いられる機会の方が多いでしょう。
認知バイアス
認知バイアスとは、「経験則や先入観、偏見などによる認識の偏りやずれ」を意味します。
利用可能性ヒューリスティックやシミュレーション・ヒューリスティックと似ている心理効果で、自分の経験則や先入観で、物事を判断するものです。
認知バイアスは、育った環境などによって異なるため、人それぞれ、ものの見方や判断が異なります。
マーケティングにヒューリスティックを活用しましょう
ヒューリスティックとは、必ずしも正解するとは限らないが、少ない時間と労力で判断ができる方法のことです。
日常生活のなかでもよく使われている方法であり、マーケティングにも活用されています。
目的やターゲットによって、ヒューリスティックをうまく活用し、自社の売上向上を目指しましょう。
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