インフルエンサーマーケティングとは?メリットやデメリット、進め方、成功事例を解説
目次
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力を持つインフルエンサーに製品やサービスを紹介してもらうマーケティング手法です。
本記事では、インフルエンサーマーケティングの概要やメリット・デメリット、進め方を解説します。
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングとは、InstagramやYouTube、X(旧Twitter)などSNSで影響力をもつインフルエンサーに製品やサービスを紹介してもらい、訴求するマーケティング手法を指します。
インフルエンサーマーケティングの特徴は、インフルエンサーをフォローしているコミュニティに対して、製品の認知度アップや販売促進ができることです。
企業から顧客に発信しているマス広告などにくらべて、広告への抵抗感がないので、製品やサービスをより身近に感じてもらいやすく、口コミでの拡散も期待できます。
インフルエンサーマーケティングが注目される背景
SNSの利用率は拡大傾向にあり、Googleなどのサーチエンジンで検索するほかに、SNSで製品やサービスを利用した生の声やレビューを検索して、情報収集する人も増えています。
そのため、SNS上でターゲットを絞って情報を届けられるインフルエンサーマーケティングが注目されています。
また、インフルエンサーマーケティングを活用するメリットとして、より消費者に近い目線で製品やサービスを訴求できることがあげられるでしょう。
インフルエンサーマーケティングは届けたい層に向けて情報発信できるため、ファン化や顧客ロイヤリティ向上につなげやすいです。
そもそもインフルエンサーとは
インフルエンサーとは、SNSで情報発信することで購買行動などに影響力をもつユーザーのことです。
フォロワーから共感と信頼を得ているため、商品やサービスを紹介してもらえると購買行動の動機づけにもつながります。
インフルエンサーはフォロワー数により、以下の4つの種類に分けられます。
トップインフルエンサー | フォロワー数100万人~ |
---|---|
パワーインフルエンサー | フォロワー数10万人~ |
マイクロインフルエンサー | フォロワー数1万人~ |
ナノインフルエンサー | フォロワー数~1万人 |
フォロワー数が膨大だとリーチ力は大きくなりますが、一方でエンゲージメント率が低くなる傾向にあります。
インフルエンサーの種類をひとつずつ解説します。
トップインフルエンサー
フォロワー数が100万人以上のインフルエンサーを、トップインフルエンサーと呼びます。
トップインフルエンサーはテレビなどのマスメディアに出演する機会が多いため、SNS以外での知名度や認知度も高くなります。
トップインフルエンサーの他に、メガインフルエンサーと呼ばれることもあります。
トップインフルエンサーになると、他のインフルエンサーにフォローされていることも多く、投稿の影響力の大きさから二次拡散も期待できるでしょう。
パワーインフルエンサー
パワーインフルエンサーは、フォロワー数が10万人以上のインフルエンサーを指します。
さらにフォロワー数50万人以上になると、セレブインフルエンサーと呼ぶこともあります。
InstagramやTikTokなどのSNS上での認知度が高いことが特徴です。
ファッションやコスメなどジャンルに特化して投稿しており、発信内容がユーザーから信頼されやすいといえます。
マイクロインフルエンサー
フォロワー数が1万人を超えるインフルエンサーを、マイクロインフルエンサーと呼びます。
フォロワー数ではパワーインフルエンサーに及ばないものの、ユーザーとの距離が近いため親近感を持ってもらいやすいです。
マイクロインフルエンサーの特徴としては、エンゲージメント数が多く、購買行動への影響が比較的高くなる傾向があげられるでしょう。
ナノインフルエンサー
ナノインフルエンサーは、フォロワー数が1万人未満のインフルエンサーで、フォロワーと積極的にコミュニケーションをとる傾向があります。
マイクロインフルエンサーよりも距離感がさらに近くなり、憧れや友人のような感覚をもってもらえるため、ニッチな層に影響を与えられます。
投稿に対していいね数やコメント数が多くなりやすく、エンゲージメント率も高めです。
インフルエンサーマーケティングで使うSNS
インフルエンサーマーケティングを実施するときは、主に以下のSNSを活用しましょう。
- YouTube
- X(旧Twitter)
- TikTok
それぞれのSNSの特徴や利用しているユーザー層などを紹介します。
YouTube
YouTubeは、動画コンテンツを配信するSNSです。
チャンネル登録者の数が、影響力を把握するひとつの指標とされています。
総務省が発表した2020年の調査では、10代から50代の8割がYouTubeを利用しており、性別や年齢問わず幅広い層に訴求できるSNSといえます。[※1]
また音楽などエンターテイメントやビジネス、子ども向けなど、さまざまなジャンルの動画が投稿されています。
ショート動画やライブ配信、チャンネル登録者に向けて画像や文章を発信できるコミュニティなどさまざまなコンテンツを配信できることがYouTubeの魅力です。
Instagramは、写真や動画を投稿するSNSです。
写真を投稿するイメージが強いInstagramですが、最近ではリールやライブ配信など動画での投稿も活発におこなわれています。
10代から30代の女性の利用者が多く、ファッションやグルメ、美容、ライフスタイルなどのジャンルに関心が高いユーザーが多い傾向にあります。
最近では、男性の利用者も増加しています。
ストーリーズにURLのリンクを載せたり、ショッピング機能がついていたりするため、商品の購入促進も可能です。
InstagramはPR投稿がわかるようにタイアップタグの設定など、ステルスマーケティング対策も実施しています。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、140文字までの文章をメインで投稿するSNSです。
文章のほかにも、画像や動画も投稿できます。
10代から20代の利用者が多く、トレンドに敏感なユーザーが活用しています。
X(旧Twitter)の大きな強みは、拡散力です。
リポストやハッシュタグ、トレンド検索などの機能があるため、フォロワー以外にも投稿が届く可能性が高く、拡散されやすいSNSといえます。
X(旧Twitter)はURLリンクを載せて投稿できるため、直接商品ページを訴求することもできます。
TikTok
TikTokは、15秒以内のショート動画を投稿できるSNSです。
10代に多く利用されているため、Z世代に向けて認知拡大したい際に最適なSNSといえるでしょう。
エフェクトやBGMなど編集機能が豊富で、オリジナルの振り付けやおもしろ動画などが拡散されやすい傾向にあります。
レコメンド機能では、フォローしているアカウント以外の投稿も関心や興味に基づき流れてくるため、投稿が多くのユーザーの目にとまる可能性も少なくありません。
インフルエンサーマーケティングのメリット
SNSでの認知拡大や購入促進が期待できる、インフルエンサーマーケティングのメリットを紹介します。
さまざまな施策をおこなえる
インフルエンサーマーケティングは、「ブランドの認知度アップ」「製品やサービスの購入促進」など目的にあわせて、さまざまな施策を実施できます。
たとえば、以下の施策がおこなえます。
施策 | 内容 |
---|---|
ギフティング |
|
イベント参加・現地訪問 |
|
ライブコマース |
|
アンバサダー |
|
認知拡大などの目的のほかにも、製品やサービスにあわせて最適な施策を選定することも可能です。
インフルエンサーマーケティングには、目的や製品などに合わせて柔軟に施策を実施できるメリットがあります。
ターゲティングをしやすい
インフルエンサーはジャンルに特化して発信していることが多いため、特定のカテゴリーに興味や関心を持っているフォロワーが集まっています。
そのため製品やサービスのジャンルに最適なインフルエンサーを選定できれば、ターゲティングして訴求できます。
また関心や興味があるユーザーに訴求できるため、口コミで話題になったり、拡散されたりすることが期待できるでしょう。
インフルエンサーマーケティングでは、製品やサービスのターゲットを明確にして効果が出やすいインフルエンサーを起用することが重要です。
製品のイメージを伝えやすい
インフルエンサーに製品やサービスを紹介してもらうことで、イメージを消費者目線で伝えられます。
たとえば、コスメの使用方法や使用感など正直な感想を投稿してもらえると、ユーザーが実際に使うときのイメージが湧きやすくなり、説得力が増します。
マスメディアなどの広告では企業目線で製品やサービスの良さを伝えられますが、インフルエンサーマーケティングでは消費者目線で良さを伝えられます。
広告に抵抗感があるユーザーにも受け入れてもらいやすく、親近感や共感を得やすくなるでしょう。
SEOの強化につながる
最近はGoogleなどの検索結果に、YouTubeやTikTokなどの投稿も上位表示される傾向があります。
そのため、インフルエンサーに製品やサービスを投稿してもらうとSEOの強化にも役立ちます。
X(旧Twitter)やYouTubeなどSNSによっては、投稿内に商品ページのURLリンクを掲載することもできるため、直接商品を訴求することも可能です。
キャンペーンの訴求もしやすく、自社ECへ誘導したい際にも活用できるでしょう。
インフルエンサーマーケティングのデメリット
インフルエンサーマーケティングは数多くのメリットがありますが、一方で炎上リスクなどのデメリットもあります。
インフルエンサーマーケティングを検討する際には、デメリットも理解しておきましょう。
選定に時間がかかる
インフルエンサーマーケティングは、起用するインフルエンサーによって成功するかどうか決まるといっても過言ではありません。
そのため、製品やサービスとマッチするかどうかや、フォロワーの属性などをしっかりと把握したうえで選ぶ必要があり、インフルエンサーの選定には時間がかかります。
インフルエンサーを選ぶ際には、以下の要素を検討するとよいでしょう。
- 製品やサービスとの親和性:ブランドの世界観とマッチしているか
- 投稿の質:写真や言葉選び、過去のPR投稿の内容を確認する
- フォロワーの反応:いいね数やコメント数、コミュニケーションの取り方はどうか
- フォロワーの属性:製品やサービスのターゲットに合っているか
ただし、製品やサービスに関わらずインフルエンサーが紹介したものを購入する「フォロワー買い」をしているユーザーは、見込み顧客になる可能性が低く、顧客の質を下げてしまう恐れがあります。
フォロー買いを避けるためにも、フォロワーの反応は注意して確認しておきましょう。
コミュニケーションコストが発生する
インフルエンサーマーケティングをおこなう際は、施策の意図がずれてしまうなど方向性の違いが起きないようにインフルエンサーと事前に話し合い、内容のすりあわせをしておく必要があります。
複数人のインフルエンサーに依頼する場合は、それぞれに対応しなければいけないためコミュニケーションコストが発生しやすく、進行管理など担当者の負担が大きくなりがちです。
施策を成功させるためには、インフルエンサーとの信頼関係を構築しておくことも重要といえます。
炎上のリスクがある
PRの記載をせずに投稿してしまうとユーザーがPRだと認識できず、ステルスマーケティング(ステマ)扱いされてしまい、炎上につながるリスクがあります。
炎上を防ぐためには、インフルエンサーに情報共有をしておき「〇〇企業から商品をいただきました」など広告主との関係性が伝わるように記載したり、PRタグの表記を入れたりしておくことが大切です。
また、投稿する側のリテラシーが問われてしまうような誇張や虚偽情報、他社に不利になるような投稿はしないように注意しましょう。
インフルエンサーマーケティングの進め方
インフルエンサーマーケティングの進め方を解説します。
1.インフルエンサーマーケティングの目的を明確にする
インフルエンサーマーケティングを始める際は、まず目的を明確にしておきましょう。
認知拡大したいのか、購入促進したいのか、イベント告知したいのかなど実施する目的によって依頼するインフルエンサーの種類や、実施するSNS媒体など、施策内容が変わってきます。
たとえば、製品やサービスの認知度アップを目的にマーケティングをおこなう場合は、拡散力があるパワーインフルエンサーやトップインフルエンサーに依頼するのもひとつの手です。
すでに認知されている製品やサービスであれば、マクロインフルエンサーに依頼を検討してもよいでしょう。
2.KPIを設定する
インフルエンサーマーケティングの効果をはかるためには、KPIを設定しましょう。
施策の効果は、設定しておいた目標数値と実際の数値を比較しながら検証します。
たとえばInstagramで実施する場合は、リーチ数や投稿保存数、UGC数などの目標数値を設定しておきましょう。
KPIの設定方法について、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
3.インフルエンサーを選ぶ
インフルエンサーの選定は、インフルエンサーマーケティングにおいて重要な工程です。
インフルエンサーを探す方法は、以下の3つがあげられます。
- GoogleやSNSで検索して自社で探す
- マーケティング会社に依頼する
- インフルエンサーが所属しているプラットフォームで探す
インフルエンサーの探し方が決まったら、ターゲット層とマッチするインフルエンサーを選びましょう。
たとえば、以下のようにインフルエンサーの投稿内容やフォロワーとのコミュニケーションの取り方などを参考にして選びます。
- インフルエンサーのコンテンツやフォロワーが興味のあるジャンル
- 過去のPR投稿内容やコメントへの対応
- ブランドの世界観を崩さないか
なかには、製品やサービスに関わらず、インフルエンサーが紹介したものを購入する「フォロワー買い」をしているユーザーも存在します。
フォロワー買いするユーザーを多く抱えているインフルエンサーを選んでしまうと、リピート購入につながらず一時的な効果しか得られないこともあるので、選定の際には注意しておきましょう。
4.インフルエンサーと契約する
インフルエンサーを選定が終わったら、次はインフルエンサーと契約しましょう。
施策意図の説明や投稿内容などマーケティング戦略の方向性を話し、インフルエンサーの同意のもと契約締結します。
契約後は、PR投稿をおこなう前にクオリティのチェックをするなど進行管理が必要です。
5.効果検証をおこなう
施策を実施したら、事前に設定した目標と比較しながら効果検証をおこないます。
リーチ数とエンゲージメント数などの反応をみて、改善点をみつけていきます。
たとえば、エンゲージメント数は見込み顧客になる可能性が高いユーザー数とも読めるため、次の施策の方向性を決めるときに活かせるでしょう。
効果検証後はPDCAを回し、次回のインフルエンサーマーケティングを実施する際に役立てます。
インフルエンサーマーケティングにかかる費用
インフルエンサーマーケティングは、マスメディアなどの広告と比較するとコストを抑えて実施できます。
インフルエンサーマーケティングは、以下の方法でおこないます。
- 自社でインフルエンサーを選定し依頼する
- マーケティング会社に依頼する
- インフルエンサーのプラットフォームで選定して依頼する
マーケティング会社にインフルエンサーの選定などディレクションしてもらう場合は、インフルエンサーのフォロワー数により報酬が変動します。
報酬の相場は1フォロワーあたり2円〜4円で、トップインフルエンサーやナノインフルエンサーなどフォロワーの数や知名度などが報酬に影響する傾向があります。
またインフルエンサーの報酬のほかにも、ディレクション費用が必要です。
一方でプラットフォームを利用する場合は、月額制や成果報酬型が採用されていることもあり、幅広い料金体系が用意されています。
インフルエンサーマーケティングの費用は、インフルエンサーへの報酬のほかにも以下の費用がかかることがあります。
- 提供する商品代や郵送代などギフティング費用
- イベント参加してもらうための交通費や宿泊費
予算にあわせて最適な方法を選びましょう。
インフルエンサーマーケティングの成功事例
インフルエンサーマーケティングで成功した、以下2つの事例を紹介します。
- Instagramでの商品PRとキャンペーン誘導
- 人気YouTuberを起用したコラボ企画
【事例1】Instagramでの商品PRとキャンペーン誘導
食品メーカーA社は、新商品の認知度拡大やキャンペーンの誘導のためにInstagramでプロモーションを実施し、ターゲットへの訴求に成功しています。
これまでA社はロングセラーのスナック菓子を主力商品として販売してきましたが、ボディメンテナンスや健康管理をしている人向けのタンパク質を多く摂取できる新商品のスナック菓子を販売しました。
Instagramでトレーナーやヨガインストラクター、モデルなどにPR投稿してもらうプロモーションを実施し、身体作りや健康管理に興味があるユーザーへの認知拡大につなげています。
またインフルエンサーのPR投稿とあわせて、トレーニング動画を投稿して商品が当たる参加型のキャンペーンを実施しています。
【事例2】人気YouTuberを起用したコラボ企画
アパレルメーカーB社は、イベント告知や商品の紹介などトップインフルエンサーを起用した企画でプロモーションを実施しています。
店舗を使った買い物バトルなどエンターテインメント性のある動画で商品を紹介することで、広告への抵抗感を持たせずに訴求することに成功している例といえるでしょう。
トップインフルエンサーを起用したことで再生数も増え、話題に上がりやすくなります。
インフルエンサーとのコミュニケーションにChatwork
インフルエンサーマーケティングは、SNSで影響力のあるインフルエンサーを使ったマーケティング手法です。
インフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらうことで、マスメディア広告よりも親近感を持ってもらいやすく、口コミでの拡散も期待できます。
インフルエンサーマーケティングを実施するためには、社内のほかにインフルエンサーとコミュニケーションをとって施策の意図を理解してもらうことが重要です。
インフルエンサーとうまくコミュニケーションをとるには、連絡がとりやすいビジネスチャット「Chatwork」を活用することがおすすめです。
「Chatwork」は、チャット形式で気軽にメッセージのやりとりができ、画像や動画などのファイルも添付できるので、クオリティチェックなどの作業がスムーズに進みます。
インフルエンサーマーケティングを実施する際には、作業の効率化やコミュニケーションの向上に役立つビジネスチャット「Chatwork」の導入もぜひご検討ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※1]令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
https://www.soumu.go.jp/main_content/000765135.pdf