システム思考とは?デザイン思考との違いやメリット、方法をわかりやすく解説
目次
「システム思考(システムシンキング)」とは、課題解決の方法のひとつで、近年注目を集めている思考方法です。
さまざまな問題への対処が求められるビジネスシーンにおいて、システム思考は知っておきたい思考方法のひとつです。
この記事では、システム思考とはなにか、ほかの思考方法との違い、システム思考のメリットや取り組み方法をわかりやすく解説します。
システム思考とは
システム思考とは、解決したい課題をひとつのシステムとしてとらえ、解決を目指す思考方法です。
問題の一部だけに注目せず、問題のシステム全体をとらえることを重視しています。
システム思考は、システムシンキングと呼ばれる場合もあります。
システム全体を俯瞰的にみることで、表面的な事象にとどまらず、問題の背景や複雑な要因などを含めた理解が可能になります。
システム思考の必要性
急速かつ複雑に変化する時代に対応するために、システム思考は必要とされています。
ビジネスシーンでは、グローバル化や技術革新、ダイバーシティが日々急速に進んでいます。
また、さまざまな価値観やニーズが存在するなかで、表面的な課題を解決するだけでは、変化に対応できなくなっています。
このような時代の変化のなかで、システム思考は、課題をシステム全体としてとらえて、潜在的な要因も含めた課題解決が実現できるとして、注目を集めています。
複雑な課題解決のための方法として、システム思考は必要とされています。
システム思考と他の思考方法の違い
課題解決には、さまざまな思考方法があります。
本記事では、近年注目を集めている、以下のふたつの思考方法と、システム思考の違いについて解説します。
- デザイン思考
- ロジカルシンキング
詳しくみていきましょう。
デザイン思考との違い
デザインにおける方法論や原則を、ほかの分野に応用した思考方法を「デザイン思考」といいます。
デザイン思考は、ユーザーや顧客のニーズを重視する思考方法です。
システム思考が課題をシステム全体として俯瞰的な視点からとらえるのに対し、デザイン思考は、ユーザーや顧客目線でとらえるという違いがあります。
ロジカルシンキングとの違い
ロジカルシンキングとは、論理的・合理的な結論を探す思考方法のことです。
ロジカルシンキングでは、課題を要素に分解して、各要素を分析するのが特徴で、システム思考のベースとなる思考方法です。
要素のつながりを検討するのがロジカルシンキングで、システム思考では、要素の相互作用までとらえるという違いがあります。
システム思考に取り組む方法
具体的にシステム思考に取り組むための方法を解説します。
システム思考に取り組むにはいくつかのアプローチ方法がありますが、本記事では「氷山モデル」と「因果ループ図」について紹介します。
氷山モデル
氷山モデルでは、課題を、「できごと」「パターン」「構造」「メンタルモデル」の4つの視点からとらえます。
できごと | どのような問題が起きているのか |
---|---|
パターン | 問題が発生するのにパターンが存在するのか |
構造 | パターンが発生するのはどのような構造によるものなのか |
メンタルモデル | 構造の関係者はだれなのか |
氷山モデルでは、この4つの視点から課題をとらえて、解決を目指します。
因果ループ図
因果ループ図とは、物事の原因と結果が一対一の関係なのか、複数要因による相互作用なのかを表したもので、前述の氷山モデルを可視化したい場合にも活用できます。
たとえば、氷山モデルを可視化する場合であれば、「できごと」「パターン」「構造」「メンタルモデル」の4つの視点を言語化し、矢印でつなぎ合わせた図をつくります。
因果ループ図をつくると、問題解決のためにどの要素の変化が必要なのかを判断しやすくなります。
システム思考のメリット
システム思考には、以下のようなメリットがあります。
- 複雑な問題を理解しやすくなる
- 物事の関係性を可視化できる
- 共通認識を作りやすくなる
- 物事を多角的にとらえられる
詳しくみていきましょう。
複雑な問題を理解しやすくなる
システム思考では、複数の要素の関連性を含めてシステム全体をとらえられるため、複雑な問題も理解しやすくなるメリットがあります。
表面的な問題や、ものごとの一側面に注目するにとどまらず、俯瞰的な視点から複雑な要素をとらえられると、それぞれの関係性を理解しやすくなるでしょう。
物事の関係性を可視化できる
システム思考では、システム全体をとらえるため、ものごとの各要素の関係性をとらえやすくなります。
氷山モデルや因果ループ図を活用すると、表面化している問題と、それに関連する要素を可視化することができます。
共通認識を作りやすくなる
共通認識を作りやすくなるのも、システム思考のメリットといえます。
さまざまな役職や経験をもった人同士でも、システム思考を活用することで、共通認識をつくりやすくなります。
システム思考によって、多様な価値観の存在や相互作用をとらえることができるようになります。
物事を多角的にとらえられる
システム思考は、問題はさまざまな要素が複雑に影響しあって起こることを前提としています。
複数の要素や、複雑な相互作用を考慮しているため、物事を多角的にとらえられるようになります。
システム思考の8つのステップ
システム思考には基本的なステップが8つあります。
各ステップについて、くわしく解説します。
ステップ(1):問題を言語化する
システム思考では、まずどのようなできごとが起きているのか言語化する必要があります。
チームや組織内で、認識をそろえるためにも、言語化は欠かせないステップです。
スタートの時点で認識がずれていると、先のステップにおいてもずれが生じかねません。
まずは、問題を言語化することからはじめましょう。
ステップ(2):問題発生の経緯や時系列を調べる
次に、言語化した問題が、どのような経緯や時系列で発生したのかを調べます。
立場や役職の異なるさまざまな人の意見を取り入れると、幅広い状況理解につながります。
ステップ(3):問題に関わる因果関係を紐解く
問題が発生する経緯や時系列がわかったら、問題にかかわる要素について、なにが原因でどのような結果につながっているのか、因果関係を特定しましょう。
単一の要素だけではなく、複数の要素が原因になっていることもあります。
問題は複数の要素が絡み合って発生しているという前提のもと、因果関係を考えるようにしましょう。
ステップ(4):因果関係をループ図で可視化する
次に、問題がどのような因果関係で絡み合っているか、因果ループ図を活用して可視化しましょう。
可視化することで、重要な要素の特定につながることもあります。
もし、可視化の作業がスムーズに進まない場合、要素が不足しているなど、これまでのステップに問題がある可能性もあります。
必要があれば、要素の洗い出しのステップをやり直すようにしましょう。
ステップ(5):問題に関するメンタルモデルを調べる
次に、問題に関するメンタルモデル、すなわち問題の発生に関わっている人の特定をおこないます。
犯人さがしをするのではなく、問題解決のためのひとつのプロセスであるという点に注目することがポイントです。
関係者を特定し、その人たちがどのような価値観や考え方をもっているのか確認しましょう。
ステップ(6):メンタルモデルをループ図にくわえる
因果ループ図にメンタルモデルをくわえて、どのような影響があるのかを検討しましょう。
問題が複雑であるほど、多くの人がメンタルモデルとして関係している傾向にあります。
メンタルモデルとの関係性を見ることで、問題の本質をとらえやすくなります。
ステップ(7):問題の根本を発見する
ここまでのプロセスを元に、根本的な問題の特定をおこないます。
根本的な問題は、ひとつとは限りません。
問題発生に関係する根本的な要素を俯瞰的な視点から、特定しましょう。
ステップ(8):問題発生のパターンを防ぐ対策を立てる
問題の根本を特定できたら、問題発生を防ぐ対策を検討します。
すでに問題発生に関する要素や原因は特定できているため、対策の検討もしやすいでしょう。
どんな予防方法があるのか、最適な方法はなにか検討していきましょう。
円滑な業務遂行に「Chatwork」
システム思考とは、問題をシステムとして全体をとらえ、解決を目指す思考方法で、複雑なビジネス環境に対応するための課題解決方法として、近年注目を集めています。
ビジネスシーンでは、さまざまな問題が発生し、解決すべき多くの課題に直面します。
システム思考を活用して、ビジネスにおける業務の円滑化を目指しましょう。
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