エビングハウスの忘却曲線とは?正しい理解とビジネスでの活用について解説

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エビングハウスの忘却曲線とは?正しい理解とビジネスでの活用について解説

目次

エビングハウスの忘却曲線は、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが提唱した、人間の記憶に関する実験結果のことです。

エビングハウスの忘却曲線はビジネスに活用することができ、社員が学習した知識などを長期定着させたり、効果的な研修プログラムの策定をしたりする際に役立てられます。

エビングハウスの忘却曲線について、定義や記憶のメカニズム、記憶の定着方法、ビジネスシーンにおける活用ポイントと注意点を解説します。

エビングハウスの忘却曲線とは?

エビングハウスの忘却曲線について、定義と概要、特徴を解説します。

定義と概要

エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが研究・提唱した、人間の記憶に関する実験結果のことです。

忘却曲線の特徴と意義

忘却曲線は、「人間が一度覚えたことを再度覚えるにあたって、どのくらい時間を節約できたか」を表しています。

縦軸を節約率、横軸を経過した時間として、反比例の形で曲線が描かれます。

エビングハウスの実験とその結果

1885年、エビングハウスは自身を被験者として意味のない文字を記憶し、どの程度記憶を保持していられるかを実験しました。

実験によって、時間経過とともに記憶を保持できなくなることがわかり、時間経過が短いほうが再度覚え直すまでに時間がかからず、時間の節約率が高いという結果を得られました。

記憶の減衰と節約率の関係

人間は、時間が経過するごとに記憶が減退していきますが、1時間後、1日後などに復習をすれば、最初に覚えたときよりも覚えるためにかかる時間が短くなり、節約率が高まります。

節約率とは、「節約された時間 ÷ 最初に覚えるのに要した時間」という式によって求められる割合であり、時間経過とともに節約率は減少していきます。

そのため、一度覚えたことを記憶に定着させるには、復習までの時間を短くし、反復することが大切です。

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忘却曲線が示す具体的な数値

エビングハウスの忘却曲線において、記憶してからの経過時間と節約率の具体的な数値は次のとおりです。

               
経過時間 節約率
20分 58%
60分 44%
90分 35%
1日 34%
2日 27%
6日 25%
31日 21%

たとえば、最初に覚えたときには10分かかったものが、1時間後に覚え直したときには4分しかかからなかった場合、「6分(節約された時間:10分 - 4分) ÷ 10分=0.6」で節約率は60%となります。

エビングハウスの実験では意味のない文字を記憶の対象としたため、自身が興味のある分野の情報や重要な知識、ストーリー性のある内容であれば、記憶保持率はより高まり、忘却曲線のカーブが緩やかになるといわれています。

記憶と忘却のメカニズム

人は、情報を覚えるにあたり、「記銘」「保持」「想起」の順番で記憶するといわれています。

「記銘」段階では、情報を受け取り、必要だと判断した場合に覚えようとしますが、必要性を感じない場合は定着率が悪くなります。

「保持」では、受け取った情報を記憶のなかに保とうとし、「想起」は記憶のなかから情報を呼び出します。

年齢を重ねるごとに思い出すことが難しくなっていくこと、また、人によって覚えるまでにかかる時間も異なることなどから、記憶を定着させるには自身に合った反復学習が必要です。

エビングハウスの忘却曲線を活用した記憶の定着法

エビングハウスの忘却曲線を活用すると、記憶を定着させるのに効果的な方法が見えてきます。

エビングハウスの忘却曲線を活かした記憶の定着法を紹介します。

定期的な復習

人間が記憶を定着させるには、時間経過とともに忘れてしまう「短期記憶」を「長期記憶」へ変換することが大切です。

長期記憶へ変換するためには、記憶したことが重要な情報、大切な情報だと脳に認識させる必要があり、そのために復習することが効果的です。

何度も学ぶことで、脳は必要な情報だと認識し、長期記憶として定着しやすくなります。

最適なタイミングでの復習

記憶を定着させるには、最適なタイミングでの復習が効果的です。

カナダのウォータールー大学の実験によると、1時間の講義を受けて復習をおこなわなかった被験者の記憶は薄れていきますが、24時間以内に1回目、1週間以内に2回目、1ヶ月以内に3回目の復習をすると、記憶の定着度の低下を抑えられることがわかりました。

そのため、「24時間以内」「1週間以内」「1ヶ月以内」のタイミングで復習すると、記憶を定着させられる可能性が高まるでしょう。

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エビングハウスの忘却曲線をビジネスで活用する方法

エビングハウスの忘却曲線は、ビジネスでも活用できます。

ビジネスでの具体的な活用方法を解説します。

研修プログラムへの活用

エビングハウスの忘却曲線の実験結果から、なるべく早期に反復学習をおこなうと記憶の定着につながることがわかりました。

そのため、研修のプログラムを組むときなどには、前回の復習も兼ねながら複数回にわけて実施する、理解度チェックのテストをおこなう、研修を振り返って学んだことを再認識させる時間を設けるなどの工夫をしましょう。

研修内容を振り返ったり復習したりする機会があると、学んだことを記憶として留めて起きやすくなり、業務への効果的な活用も期待できます。

専門性の高い学習への活用

エビングハウスがおこなった実験は、意味のない文字を覚えるというものだったため、専門性や難易度が高い分野、興味が湧きづらい分野の学習に忘却曲線を活用すれば、効果を高められる可能性があります。

社内の人材育成において、従業員のスキルの幅を広げたり、専門性の高い人材を増やしたりする際には、エビングハウスの忘却曲線を参考に学習プログラムを組むとよいでしょう。

ビジネスシーンでエビングハウスの忘却曲線を活用する際のポイント

ビジネスシーンでエビングハウスの忘却曲線を活用する際には、マイクロラーニングの導入やフィードバックの実施など、複数のポイントを踏まえることが大切です。

エビングハウスの忘却曲線をより効果的に活用できるように、把握しておきましょう。

事前調査をしてからスケジュール策定する

エビングハウスの忘却曲線を学習に取り入れる前に、適切なタイミングであるかどうかを事前調査したうえで、スケジュールを策定しましょう。

繁忙期に学習の機会を設けても、24時間以内、1週間以内、1か月以内など、エビングハウスの忘却曲線に則した適切な時期に復習することは難しいでしょう。

そのため、適切な時期を見極めたうえでスケジュールを組むことが求められます。

忘れることを前提に設計する

人間は、一度覚えたことでも時間が経つにつれて忘れてしまいます。

そのため、研修プログラムは、従業員が内容を忘れることを前提として設計するとよいでしょう。

研修を複数回に区切り、最初に復習の時間を設けるなどすると、反復によって記憶を維持できる可能性があります。

社員が学習したことを忘れないようにする取り組みにより、長期記憶の定着率アップが期待できるでしょう。

マイクロラーニングの導入

マイクロラーニングとは、eラーニングの一種で、1〜10分程度でできる学習のことを指します。

eラーニングよりも学習時間が短く、スマートフォンなどのデバイスでもおこなえるため、隙間時間に気軽に復習ができます。

早期の反復学習が記憶定着に効果的であるという観点から、マイクロラーニングの導入はエビングハウスの忘却曲線に則した記憶定着方法といえるでしょう。

インプット・アウトプットを繰り返す

記憶を定着させるには、インプットだけでなくアウトプットも大切です。

ただ覚えるだけよりも、人への説明や実践によってアウトプットをおこなうことで復習効果が高まり、他者からの指摘などがあれば誤った記憶の修正にも役立ちます。

特に研修では、講師が一方的に教えるだけでなく、グループディスカッションやグループワークをプログラムに組み込み、アウトプットする機会も設けることが求められます。

>インプット・アウトプットに関する記事はこちら

フィードバックを実施する

記憶の定着には早期の復習が必要ですが、学習内容を復習するように従業員へ伝えても、普段の業務に追われたり必要性が認識されなかったりして、取り組んでもらえない可能性もあります。

そのため、個々の従業員が自身の学習した内容を主体的に振り返れるように、取り組み方へのフィードバックを実施することをおすすめします。

よかった点、改善すべき点などをフィードバックすることで、社員は振り返りの機会を得られるでしょう。

フィードバックを好意的に受け取ってもらい、自身の成長に活かしてもらうには、信頼関係の構築が重要であるため、日ごろから活発なコミュニケーションを心がけることも大切です。

>フィードバックに関する記事はこちら

エビングハウスの忘却曲線を活用する際の注意点

エビングハウスの忘却曲線を活用する際には、いくつかの注意点もあります。

エビングハウスの実験では意味のない文字の記憶をおこなったため、すべての学習に活用できるわけではありません。

たとえば、興味のある分野や重要な分野を記憶する場合、記憶の忘却にかかる時間や節約率も変わると考えられるため、忘却曲線を参考にした方法を取り入れても効果を得にくいおそれがあります。

記憶の定着効果を高めるには、エビングハウスの忘却曲線を活用するのにふさわしい内容を見極めることが重要です。

社員との信頼関係の構築にChatwork

エビングハウスの忘却曲線は、ドイツの心理学者であるエビングハウスが発表した、人間の記憶に関する実験結果のことです。

人間は、一度覚えたことを復習しないでいると忘れていってしまうため、早期に反復学習することが記憶の定着につながるとされています。

知識の定着を目指して従業員に復習をしてもらうには、適切なフィードバックの実施などが求められますが、素直に受け入れてもらうには信頼関係の構築が重要です。

信頼関係の構築には日ごろからのコミュニケーションが効果的なため、チャット形式で気軽にメッセージを送れるビジネスチャット「Chatwork」の活用をおすすめします。

「Chatwork」は、メールのように「いつもお世話になっております。〇〇です」「お疲れ様です」などのビジネスの形式にとらわれずにメッセージを送れるため、情報共有がスムーズだったりちょっとした雑談もしやすかったりします。

絵文字機能やリアクション機能を活用すれば、感情や意思を幅広く表現でき、温かく和やかなコミュニケーションを実現できます。

信頼関係は、エビングハウスの忘却曲線の活用のみならず、円滑な業務にも重要なため、「Chatwork」でコミュニケーションを活発化し、心の距離を縮めましょう。

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