工数とは?定義や計算方法、効果的な管理方法を解説

目次
ビジネスにおいて「工数」は、プロジェクトの進行や業務効率を考えるうえで欠かせない要素です。
工数を正しく理解し、適切に計算・管理できれば、業務やコストの無駄を削減し、生産性を上げることができます。
この記事では、工数の定義や基本的な意味、計算方法や効果的な管理方法についてわかりやすく解説します。
工数の意味・定義
工数とは、ある業務やプロジェクトを完了させるために必要な作業量を示す指標であり、「人数」や「時間」の単位で表します。
たとえば、5人で1か月かかる作業の工数は「5人月」と記載するのが一般的です。
工数は、プロジェクト管理やコスト計算、納期設定の基準となります。
工数管理の必要性
工数管理は、業務にかかる作業時間を正確に把握し、進捗をコントロールするために重要です。
適切な工数管理は、無駄な工数の削減や、作業の効率化に役立ちます。
また、見積もり段階で工数を正確に計算できれば、クライアントに対して適切な料金と納期を提示しやすくなり、納得感のある契約につながります。
一方、工数管理を適切におこなわないと、納期遅延やコスト超過のリスクが高まるため注意が必要です。
工数管理の単位と計算方法
工数管理をおこなうためには、工数の単位と計算方法を知っておく必要があります。
具体的な工数の単位、計算方法について解説します。
工数の単位
工数の単位は以下の3種類です。
- 人月(にんげつ):1人が1か月働いた場合に1とする単位
- 人日(にんにち):1人が1日働いた場合に1とする単位
- 人時間(にんじかん):1人が1時間働いた場合に1とする単位
具体的な工数の計算方法を次でくわしく解説します。
工数の計算方法
各単位ごとの計算方法は以下のとおりです。
【人月】
1人が1日8時間、1か月20日稼働として計算する作業量のこと。
- 1人が1か月かけて終わる作業→1人×1か月=1人月
- 5人が1か月かけて終わる作業→5人×1か月=5人月
【人日】
1人が1日8時間稼働するとして計算する作業量のこと。
- 1人が1日かけて終わる作業→1人×1日=1人日
- 5人で3日かけて終わる作業→5人×3日=15人日
【人時間】
人時間は人時(にんじ)とも表記します。
1人が1時間働いた作業量を「1」として計算します。
- 1人で3時間かけて終わる作業→1人×3時間=3人時
- 2人で10時間かけて終わる作業→2人×10時間=20人時
工数管理を実施するメリット
工数管理はプロジェクトにおいても重要ですが、適切に実施すると以下のようなメリットが得られます。
- 予算や見積もりを最適化できる
- 最適な人員配置が実施できる
- 適切なスケジュール管理ができる
- 業務進捗の把握・管理に役立つ
それぞれくわしく見ていきましょう。
予算や見積もりを最適化できる
工数管理をおこなうと、プロジェクトの予算や見積もりの精度を高めることができます。
必要な作業時間やリソースを正確に事前に把握していれば、実際にかかるコストを適切に見積もることが可能です。
クライアントとの交渉の場でも、工数管理によって具体的な数字を算出することで、実現性の高いコストや納期を提示できます。
最適な人員配置が実施できる
工数管理によって、業務量に応じた最適な人員配置が可能になることもメリットです。
プロジェクトメンバーごとの作業時間や負担を可視化することで、特定の担当者への業務の偏りを防ぎ、チーム全体の生産性向上にもつながります。
また、リソース不足の箇所へ適宜人員を補充すれば、納期遅延のリスクも回避しやすくなります。
工数を根拠として余裕のある人員計画を立て、必要なタイミングで増員を検討するなど、プロジェクトの柔軟性を高めるメリットもあります。
適切なスケジュール管理ができる
工数管理は、適切なスケジュール管理にも役立ちます。
工数管理をおこなうことで、プロジェクト全体の作業量や各工程にかかる時間を正確に把握でき、無理のないスケジュールを立てられるでしょう。
適切なスケジュール管理ができれば、納期遅れのリスクを減らし、クライアントとの信頼関係の維持にもつながります。
業務進捗の把握・管理に役立つ
工数管理によって、プロジェクトの進捗を定量的に把握しやすくなります。
進捗状況をリアルタイムで把握することで、予定より遅れている作業を早期に発見し、優先度の変更や追加のリソース投入などの対応を迅速におこなうことが可能です。
また、進捗を正しく把握・管理できていれば、急なトラブルや不測の事態にも柔軟に対応できるでしょう。
工数管理を実施する際のポイント
適切な工数管理のためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
主に以下のような点に留意するとよいでしょう。
- 過去のデータを参照する
- バッファを設定する
- 従業員のスキルを考慮する
- 定期的に見直しを実施する
各ポイントについて、くわしく解説します。
過去のデータを参照する
プロジェクトの内容によっては、要件や規模が類似したプロジェクトが過去に実施されているケースがあるでしょう。
この場合、過去プロジェクトのデータを参照することで、より精度の高い工数管理ができます。
類似するプロジェクトを参考にして、業務の適正な工数を見積りやすくなり、無理のないスケジュール設定やリソース配分が可能となります。
バッファを設定する
バッファにはさまざまな意味がありますが、プロジェクト管理や生産管理においては、予期せぬ遅延や問題に対応するために設けた予備の時間のことを指します。
プロジェクトの進行中に、予測できないトラブルや急な仕様変更が発生することは少なくありません。
あらかじめバッファを設定しておけば、イレギュラーな事態が発生してもスケジュールの遅れを防ぎやすく、引き続き効果的な工数管理が可能となります。
従業員のスキルを考慮する
工数管理を実施する際には、従業員ごとのスキルレベルや得意・不得意を考慮し、それに見合ったタスクの割り当てをおこなうのがおすすめです。
個人がもつスキルと、タスク実行に必要なスキルにレベルの乖離があると、時間や進捗の見積りが不正確になり、工数管理がおこないにくくなります。
定期的に見直しを実施する
最初に設定した工数の見積もりが甘かったり、不測の事態の発生で想定工数と実際の工数にずれが生じたりすることはめずらしくありません。
定期的に見直しを実施しながら工数管理を継続すれば、予測と実際のギャップが大きくなる前に差分を把握することができます。
重大な事態が発生する前に対策を講じることが可能となり、プロジェクトの成功にも役立つでしょう。
工数管理の方法・手段
工数管理には、以下のような方法や手段があります。
- Excel(エクセル)
- 勤怠管理システム
- 工数管理ツール
それぞれの特徴やできること、注意点などを紹介します。
Excel(エクセル)
「Excel(エクセル)」は、簡単にデータの入力や編集ができるため、少人数のプロジェクトから大規模なものまで幅広く対応可能です。
導入コストが発生しないことや、テンプレートの活用によりすばやく工数管理を始められるなどのメリットがあります。
ただし、Excel上で複数人が同時編集をおこなうことは避けたほうがよいでしょう。
また、レイアウトを変更しにくいため、後になってからフォーマットを変更する場合、想定以上の工数がかかるかもしれない点はデメリットといえるでしょう。
勤怠管理システム
勤怠管理システムは、おもに従業員の出勤・退勤時間、休暇日数、残業時間などを把握するためのシステムです。
従業員の出退勤時間を確認することで、どのプロジェクトに何人の従業員が何時間費やしているのかを把握できます。
勤怠管理システムの中には、工数管理機能を含むものもあるため、より効率的に工数管理ができるでしょう。
工数管理ツール
工数管理に特化した工数管理ツールを活用するという方法もあります。
工数管理ツールは、リアルタイムでの情報共有、工数の自動計算、カレンダーとの連携など、さまざまな機能を使える点がメリットです。
一方で、導入にコストがかかる点はデメリットといえます。
工数管理ツールの活用は、人件費や労働時間などのコスト削減にもつながるため、導入するツールとその効果を見極めてツールを選びましょう。
工数管理のサポートに「Chatwork」
工数とは、プロジェクトに必要な人数や時間を表す指標です。
プロジェクトの目的達成のためには、工数管理が欠かせません。
工数管理の効率化には、適切なツールの導入が必要です。
「Chatwork」は、チームのコミュニケーションとタスク管理ができるツールとして多くの企業で活用されています。
工数管理のサポートに、ぜひ「Chatwork」をご活用ください。Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。