業務可視化とは?実施するメリットや方法、ステップをわかりやすく紹介

目次
業務の効率化や生産性の向上を図りたい場合、「業務の可視化」は欠かせません。業務の可視化によって全体像の把握や、問題点や課題を洗い出せるためです。
この記事では、業務可視化の基本的な概念や具体例、実施することで得られるメリット、具体的な方法論を解説します。
業務可視化を実践する際の手順や成功のポイントもまとめているので、組織課題の発見、業務の効率化や品質向上、健全な経営へ役立ててください。
業務可視化とは
業務可視化とは、企業や組織内の業務内容、手順、進捗状況をわかりやすく整理し、誰でも理解できる状態にする取り組みです。
業務可視化を行うことで、業務上の課題や改善点が発見できるようになり、組織全体のパフォーマンス向上を図る手がかりになります。
ここからは、業務可視化の具体的な目的や混同されがちな概念との違い、可視化しやすい業務の例を解説します。
業務可視化の目的
業務可視化の目的は、業務全体を客観的に把握し、改善や効率化を実現する点にあります。
実際の現場では、業務フローや内容が個人の経験や知識に依存している場合が多く、課題の発見や改善策の立案が困難になりがちです。
業務可視化はこのような情報のブラックボックス化を解消し、複数人が同じ情報を共有することで問題点の特定や改善に取り組める体制を整えることを主な目的としています。
「業務の見える化」との違い
「業務可視化」と「業務の見える化」はしばしば混同されがちですが、それぞれ対象範囲や目的が異なります。
業務可視化は、すでにある業務全体の構造や流れを整理し、継続的なモニタリングや改善を可能にすることを目的とした取り組みです。
一方、業務の見える化は、業務の進捗や状況をリアルタイムで把握することに重きを置き、現場管理や迅速な対応を実現することを目的としています。
つまり、可視化は業務構造の把握と改善、見える化は現状把握と日々の監視のためのアプローチといえます。
可視化しやすい業務の例
以下のような定型作業やルーチン業務は可視化しやすい傾向にあります。
- 経理の伝票処理・月次決算
- 営業の商談管理
- 製造現場の作業手順
- カスタマーサポートの問い合わせ対応
これらの業務はおおむね手順が一定であり、マニュアル化しやすい共通点があります。マニュアルがあると実務上の効果検証や改善もしやすくなります。
上記以外にも、社内申請や承認などに代表される社内のワークフローも可視化しやすい領域です。
業務可視化のメリット
業務を可視化することで得られる代表的なメリットを5つ解説します。
- 業務の効率化につながる
- 業務の改善ポイントが明らかになる
- 業務の品質が高まる
- 情報共有が促進される
- 健全な企業経営につながる
業務の効率化につながる
業務可視化は、その後の業務の効率化につながるのが大きなメリットです。
業務可視化を行うことで、既存業務や手順にある無駄や非効率な箇所が明らかになり、それらの課題を改善していくことがそのまま業務の効率化になるためです。
このように、業務可視化で得られた情報をもとに、効果的な作業時間の短縮や工数削減が可能となり、担当者の負担軽減やリソースの最適な配分を実現できるのです。
業務の改善ポイントが明らかになる
業務可視化を行うことで、業務内に潜む改善ポイントを具体的に把握できるようになります。
たとえば、社内の承認フローを可視化した場合、不必要な承認者が設定されていたり、重複承認が見つかったりするケースがあります。
業務可視化をする過程で、このような無駄な作業が浮き彫りになるため、業務のボトルネックの特定や手順の見直しなども容易になるでしょう。
このように、具体的な改善ポイントが明確になることは、組織全体の効率化や生産性向上の重要な手がかりになります。
業務の品質が高まる
業務可視化は、品質の向上にも役立ちます。
業務を可視化することで属人化している部分が明確になり、標準化を図ることで品質のばらつきを防止できるためです。
マニュアルやフローチャートを充実させれば、経験の浅いメンバーでも一定レベルの品質をキープできるため、組織全体で均一な業務品質を維持できるようになります。
情報共有が促進される
業務可視化を実施することで、情報共有が促進されるメリットもあります。
業務可視化によって、関係者間で作業手順や進捗などを明確に共有できるようになるためです。
情報の透明性が高まることで、部署間やチーム内のコミュニケーションが活性化し、無駄な確認や誤解が減少します。
また、情報共有は意思疎通をスムーズにするだけでなく、作業効率の向上や属人化のリスク軽減など、さまざまなメリットをもたらすでしょう。
健全な企業経営につながる
業務可視化は、健全な企業経営の実現にもつながります。
経営層が現場の状況や課題、リスクなどを把握しやすくなり、適切な意思決定を行えるようになるためです。
業務可視化によって得られるデータや情報を参照することで経営判断の精度が向上するため、感覚や経験に頼った経営からの脱却が期待できます。
業務可視化の主な方法
業務可視化を実現する主な方法を3つご紹介します。
- 個人ごとのスキルマップを作成する
- 業務のプロセスマップを作成する
- 業務可視化ツールを導入する
個人ごとのスキルマップを作成する
業務の可視化には、個人ごとのスキルマップの作成が効果的です。
スキルマップとは、社員が保有している知識・技術・経験などを評価・整理したものです。
スキルマップを活用することで社員ひとりひとりのパフォーマンスを最大化できる業務への適材適所を実現しやすくなります。
また、人材育成の方向性を見定める際にも有効で、組織全体のさらなる生産性向上や成長戦略の立案にも役立ちます。
業務のプロセスマップを作成する
業務のプロセスマップを作成する方法も業務可視化に欠かせない方法です。
業務のプロセスマップは、業務の流れや各工程を視覚的に表現し、全体像を整理することを目的としたものです。
プロセスマップでは、作業の開始から終了までの各段階で行われていることや、関係部署とのやり取り、ボトルネック箇所などを一目で把握できます。
業務の全体像を把握することで、業務の無駄や課題が明確になり、具体的な改善策を立てやすくなります。
また、スキルマップやツールと併用することで、業務・人材・システムを見渡せるようになるため、可視化の効果をさらに高められるでしょう。
業務可視化ツールを導入する
業務可視化ツールを導入するのもひとつの方法です。
業務可視化ツールとは、最新のIT技術を駆使して業務状況やデータなどをリアルタイムで確認できるようにするものです。
具体的には、タスク管理ツール・ワークフローシステム・BIツールなどが代表的で、業務の進捗、担当者の作業状況、各種指標などのチェックを手助けしてくれます。
ツールの活用は人的ミスや情報の属人化の防止にもつながるため、可視化の効率や正確性を重視する場合は積極的に導入を検討すべきでしょう。
業務可視化のステップ
実際に業務の可視化に取り組む際は、以下の5つのステップで取り組むとよいでしょう。
- すべての業務と担当者を一覧化する
- 可視化対象とする業務を洗い出す
- 業務の問題点、課題、改善点を検討する
- 検討結果を踏まえて業務改善を実施する
- 定期的に効果測定を行う
1. すべての業務と担当者を一覧化する
業務可視化の第一歩は、組織内のすべての業務と担当者を一覧化することです。
業務と担当者の一覧化を行う際は、部署ごとやプロジェクト単位で行われている業務内容、各担当者の役割、関連するツールや資料などを洗い出すことが大切です。
全体像を把握することで、より重要な業務や課題がありそうな箇所が見えてきます。
この一覧化において、情報を漏らさないよう丁寧に整理することが、この後の工程の精度に直結するため、時間をかけてじっくり取り組みましょう。
2. 可視化対象とする業務を洗い出す
すべての業務と担当者を一覧化したら、次は可視化対象とする業務を選定します。
すべての業務を一度に可視化するには膨大な時間がかかり現実的ではないため、影響度や優先度を基準に対象業務を絞り込む必要があります。
具体的には、業務量が多く負担が大きいもの、頻繁に問題が発生しているもの、他部署と連携が必要なものなどから着手するとよいでしょう。
3. 業務の問題点、課題、改善点を検討する
可視化対象とする業務が決まったら、その業務の問題点、課題、改善点を検討します。
ここでは、作業フローの中でとくに時間がかかっている部分や、重複作業がありそうな部分、ミスが頻発する工程などを中心にチェックしていきます。
また、表面的な問題の把握にとどまらないよう、関係者へのヒアリングやデータ分析も行い、根本的な原因を特定することも重要です。
4. 検討結果を踏まえて業務改善を実施する
問題点、課題、改善案が整理できたら、それをもとに具体的な業務改善を実施します。
たとえば、業務フローの簡略化、承認手続きの見直し、業務分担の再調整、ツールの導入などが考えられます。
ここで重要なのは、改善内容を文書化・標準化しておくこと、改善策を実施する際に関係者全員が目的や方法を理解し、共通認識を持っておくことです。
関係者全員で足並みを揃えて取り組めるかどうかで、可視化のスピードや効果が大きく変わってきます。
5. 定期的に効果測定を行う
業務改善は一度実施して終わりにせず、定期的に効果測定を行うことが重要です。
一度の改善で最適な形になるケースは稀で、最適化が完了するまでにはある程度PDCAサイクルを回す必要があるためです。
改善策の実施後、実際に業務効率や品質が向上しているか、課題が解決されているか、データや現場の声をもとに検証しましょう。
期待した成果が出ていない場合は、再度問題分析を行い、さらなる改善施策を検討する必要があります。
業務可視化のポイント
業務可視化を成功させるために意識するとよいポイントを4つ解説します。
- 業務可視化の目的を明確にし、周知する
- 細かい業務も洗い出し・可視化の対象とする
- 理解しやすいマニュアルを作成する
- 関係者の理解・協力を得る
業務可視化の目的を明確にし、周知する
業務可視化を行う際は、「なぜ可視化を行うのか」という目的を明確にし、それを関係者にしっかり周知することが重要です。
目的が共有されていないと、現場では「余計な作業が増える」と誤解されたり、表面的な対応で終わってしまう可能性があるためです。
関係者が可視化の目的を明確に理解していれば、ひとりひとりが自分事として捉え、協力的な態度で取り組んでくれるでしょう。
細かい業務も洗い出し・可視化の対象とする
業務可視化を実施する際は、日常の細かい作業ももれなく洗い出して可視化するのがポイントです。
細かい業務は軽視されがちですが、実際にはその細かい作業が積み重なって、業務全体の効率や品質に大きな影響を与えているケースが多いためです。
適切な改善を行うためにも、細部まで丁寧に見直し、全体を把握した上で改善策を検討していきましょう。
理解しやすいマニュアルを作成する
業務可視化の成果を業務改善につなげるためには、誰もが理解しやすいマニュアルを作成することが大切です。
業務を適切に整理できたとしても、情報が断片的だったりマニュアルが複雑すぎたりすると、実際の現場では改善の効果が出にくくなってしまいます。
実用性を高めるために、実際の業務担当者の声を反映させるほか、図表やフローチャートなどをうまく活用し、視覚的にも理解しやすい形にまとめられるよう工夫しましょう。
関係者の理解・協力を得る
業務可視化を円滑に進めるためには、関係者全員の理解と協力が必要不可欠です。
業務可視化は特定の担当者だけが行うものではなく、現場の各担当者やマネジメント層、他部署の協力が必要になるケースがほとんどだからです。
業務の実態をヒアリングする際や、改善案を策定・実施する場面など、必要に応じて多くの関係者の積極的な関与が求められるため、可視化の目的やメリットを丁寧に説明し、全員が前向きに取り組める雰囲気づくりを意識しましょう。
業務可視化にはChatworkがおすすめ
業務の最適化や生産性の向上、経営判断の正確性を向上させるうえで、業務可視化は欠かせないプロセスです。
業務可視化を行う際は、この記事で紹介した手順を踏むことに加えて、スキルマップやプロセスマップの作成とツールの導入が効果的です。
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