課題管理リストとは?メリットや作り方、作成に役立つツールを紹介

目次
業務が増えるほど、対応すべき課題も複雑になりがちです。
「誰が」「いつまでに」「何をやるのか」が曖昧なままでは、対応漏れや遅延が生まれ、チーム全体のパフォーマンスにも影響します。
そのようなときには、課題リストの作成が有効です。
この記事では、タスク管理やWBSとの違いから、リスト化によるメリットや作成手順、活用に役立つツールまでをまとめて紹介します。
課題管理とは
業務を進めていると、想定外のトラブルや調整事項が次々と発生します。
こうした「今すぐに解決できない問題」をひとつひとつ洗い出し、対応状況や担当者、期限などを整理して可視化することを「課題管理」と呼びます。
課題管理はタスク管理と似ていますが、扱う内容や目的が異なります。
また、WBSのような工程管理ともアプローチが異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。
タスク管理との違い
タスク管理は、日々の業務や定常的な作業を整理し、誰が何をするかを明確にしたうえで効率的に処理していくための手法です。
「やるべき作業」を抜け漏れなく進めることを目的に実施します。
一方、課題管理は「業務中に発生した問題」を対象とし、未解決の事象をリストアップして対応を促す管理手法といえます。
比較項目 | タスク管理 | 課題管理 |
---|---|---|
主な目的 |
|
|
管理対象 |
|
|
運用タイミング |
|
|
表現形式 |
|
|
タスク管理はルーティン業務をスムーズに進めるのに有効ですが、突発的に起こる問題には対応しきれない場合があります。
そのため、課題管理によって進行中に見えてきた「想定外の問題」を後回しにせず、適切な対策を講じることがプロジェクトの成功につながります。
WBSとの違い
WBS(作業分解構成図)は、プロジェクトの全体像を整理するために、作業を細かく分解・構造化する手法です。
あらかじめ決まった作業の流れを「見える化」して、計画的に進めるのがWBSの目的です。
一方で課題管理は、プロジェクト中に発生した問題や障害に対し、対応策を検討しながら記録していくアプローチです。
比較項目 | WBS | 課題管理 |
---|---|---|
主な目的 |
|
|
管理対象 |
|
|
運用タイミング |
|
|
表現形式 |
|
|
WBSは「業務の全体像を正確に把握する」ことに向いており、作業の抜け漏れ防止や担当の明確化に役立ちます。
一方、課題管理は突発的な問題への対応が中心であり、WBSだけでは拾いきれない「実務上の障害」に対応する補完的な役割を担います。
どちらか一方ではなく、場面ごとに使い分けることが、プロジェクト全体の円滑な進行につながります。
課題管理が失敗する原因
課題管理の仕組みを整えても、うまく運用できなければ意味がありません。
ここでは、運用の上で陥りがちな失敗パターンを解説します。
課題をすべて洗い出せていない
課題管理が機能しない背景には、そもそも課題を十分に洗い出せていないケースが多く見られます。
一見小さな不具合や、すぐに対応しなくてもよさそうな懸念点も、後に大きなトラブルにつながる可能性があります。
「これくらいは大丈夫」と個人で判断せず、現場の声を拾いながら、漏れなく課題をリストアップすることが重要です。
特定の人だけで課題をピックアップするのではなく、定期的にチーム全体で確認し合う仕組みを取り入れることが見落としの防止につながります。
担当者や期限が決まっていない
課題が明らかになっても、「誰が対応するのか」「いつまでに終わらせるのか」が決まっていなければ、実行に移すのは困難です。
判断がつかずに後回しになったり、「誰かがやってくれるだろう」といった曖昧な状態になったりしがちです。
こうした状況を防ぐには、課題ごとに明確な担当者を割り当て、対応期限を設定することが不可欠です。
さらに、進捗を可視化しておけば、課題を放置せず解決に向けて前進させることにもつながります。
情報共有がされていない
課題の洗い出しや担当者・期限の設定ができていても、情報共有の不足が原因で停滞することがあります。
たとえば、チーム全体に課題の内容が正しく伝わらなければ、誰が対応中なのか、どこまで進んでいるのかがわからず、対応の遅れや重複を招きます。
課題管理は一人で抱え込むものではなく、チームで共有しながら進めるものです。
リアルタイムでメンバー同士の状況を確認できる共有手段を取り入れ、変化があればすぐに伝え合える環境を整えましょう。
課題管理リストを作成するメリット
課題をリストによって一元管理することで、対応の優先順位が見えやすくなり、チーム全体の動きもスムーズになります。
ここでは、課題管理リストを作成する具体的なメリットを3つ紹介します。
課題の対応漏れを防げる
日々の業務が多忙になるほど、対応すべき課題の存在を忘れたり、うっかり見落としたりするリスクが高まります。
課題管理リストを作成することで、対応が必要な項目を明確に記録できるため、メンバー同士の認識のズレや対応漏れを防止できます。
さらに、対応状況や完了日などもあわせて記録することで、「今どの課題がどこまで進んでいるか」がひと目でわかり、次に取るべき行動も明確になります。
進捗状況を共有できる
課題がどこまで対応されているのかをチーム全体で把握できていないと、「終わっていると思っていた」「まだ着手していないのか」といった認識のズレが生じます。
課題管理リストを活用すれば、誰が・何を・どこまで進めているかを見える化できるため、チーム内の情報共有がスムーズになります。
また、進捗を定期的に更新することで、フォローが必要なタイミングや業務のボトルネックも発見しやすくなります。
報告や確認の手間を減らしながら、無理のない形でチームの連携を強化できることも、課題管理リスト作成の大きなメリットです。
社内のナレッジが蓄積する
課題管理リストは、単なる「対応メモ」ではありません。
どのような課題が発生し、どんな対応を行い、どう解決したのかを時系列で記録しておくことで、再発防止やノウハウの共有につながります。
とくに、同じような問題が繰り返し起こる現場では、過去の対応履歴が貴重なヒントとなるでしょう。
また、担当者が異動や退職で不在になった場合でも、記録が残っていれば引き継ぎがスムーズになり、業務の属人化防止にも役立ちます。
課題管理リストは、対応の効率化だけでなく、組織としての知見を積み上げる土台としても活用できます。
課題管理リストの作り方
課題管理リストは、課題の洗い出しから優先順位付け、進捗管理までを的確に行うことで、実用性が高まります。
ここでは、リスト作成の基本的な6つのステップを紹介します。
1.課題を洗い出す
まず、業務やプロジェクトの中で発生している問題点を、できるだけ具体的に書き出します。
「対応が遅れている」「担当者が不明」「必要な資料が揃っていない」など、大小問わず気になる点をすべて挙げることが大切です。
このとき、関係者からのヒアリングや過去のトラブル事例を参考にすると、抜け漏れのない洗い出しにつながります。
最初の段階では、深掘りや分類よりも「気づきを拾い集めること」を優先しましょう。
2.課題の内容や解決策を整理する
洗い出した課題のなかには曖昧な状態のものもあるため、具体的な内容に落とし込むことが重要です。
「何が問題なのか」「どこで発生しているのか」「どのような影響があるのか」を明確にし、必要に応じて解決の方向性や選択肢もあわせて整理します。
課題の背景まで深掘りすることで、表面的な対応ではなく、根本的な改善につながります。
3.優先順位を決める
すべての課題に同じ重みを持たせてしまうと、取り組むべき順番が見えにくくなります。
「影響の大きさ」「緊急性の高さ」といった観点から優先順位を設定し、効率的な対応を意識しましょう。
ABCランクやスコア方式を用いると、判断の軸が明確になり、チーム内でも認識を統一しやすくなります。
対応にかけられるリソースが限られている場合こそ、優先順位の整理が不可欠です。
4.担当者を決める
課題に対して「誰が責任を持って対応するのか」を明確にすることは、遅れや抜け漏れを防ぐための基本です。
担当者が曖昧なままだと、「誰かがやるだろう」という状態に陥り、対応が後回しになる可能性があります。
課題の内容や関係部署との調整を踏まえ、最適な担当者を選定しましょう。
必要に応じてサポート役や確認者を設定しておくと、より安心して進めることができます。
5.期限を決める
期限が設定されていない課題は、つい後回しにされがちです。
対応のスピード感や優先度を明確にするためにも、実行可能なスケジュールを具体的に設定しましょう。
「いつまでに終えるのか」を決めることで進捗管理がしやすくなり、遅延の早期発見にもつながります。
期日は無理のない範囲で調整し、必要であればチームや関係者とすり合わせながら決定しましょう。
6.進捗状況を管理する
課題は記録して終わりではなく、その後の進捗を継続的にチェックすることが必要です。
「未着手」「対応中」「完了」「保留」などのステータスを設定し、状況を可視化しておくと、対応の遅れや停滞にもすぐに気づくことができます。
また、進捗が滞っている課題にはフォローを入れたり、必要に応じて再調整をおこなったりすることで、課題管理の効果を維持しやすくなります。
「課題リストは常に更新しながら使うもの」という認識で運用をおこなうことが重要です。
課題管理リストの作成に役立つツール
課題管理リストを手書き・メモなどの形式で作成すると、情報が分散しやすく、更新や共有にも手間がかかります。
運用が形骸化する原因にもなりやすいため、実務では専用ツールの活用が効果的です。
ここでは、実際の管理に役立つ代表的なツールを3種類紹介します。
エクセル
エクセルは、表計算ソフトの定番として多くの企業で利用されています。
フォーマットの自由度が高く、用途に合わせた課題管理リストを簡単に作成できます。
・自由な項目設計で、プロジェクトに合わせたリストを作成できる
・フィルターや条件付き書式で、進捗や優先度の整理がしやすい
・豊富なテンプレートを使えば、すぐに運用を開始できる
シンプルで直感的に使えますが、複数人での同時編集が難しく、バージョン管理に手間がかかる点には注意しましょう。
小規模なチームや個人での運用に向いているといえます。
Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートは、Googleが提供するクラウド型の表計算ツールです。
エクセルに似た操作性を持ちながら、リアルタイムでの共同編集が可能な点が大きな特長です。
・同時編集やコメント機能により、チーム内での連携がスムーズになる
・自動保存機能でデータの消失リスクが少ない
・Googleドライブ上で一元管理でき、どこからでもアクセス可能
無料で利用できる上に操作もわかりやすいため、中小企業やリモートワーク環境でも活用しやすいツールです。
ただし、関数や共有設定など一部の操作にはITリテラシーが求められる場合もあるため、最初はシンプルな形式から始めるのがよいでしょう。
プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理ツールは、タスクや進捗、課題などの情報を一元管理できるクラウド型のサービスです。
チームでの業務を整理し、誰が・何を・どこまで進めているかを見える化することで、作業の抜け漏れや認識のズレを防ぎます。
・課題ごとに担当者や期限を設定でき、対応漏れを防止できる
・コメントや通知機能で、情報共有やフォローアップがしやすい
・ガントチャートやカンバン方式で、進捗状況を視覚的に把握できる
システム上で管理することで情報がリアルタイムに更新され、担当者に依存しないチーム全体での対応が可能になります。
複数のプロジェクトが並行している現場では、チーム全体の動きを整理する上で非常に役立ちます。
課題管理を行う際のポイント
課題管理リストは、作成後の運用方法も重要です。
ここでは、運用時に意識したい2つのポイントを紹介します。
進捗状況を定期的に更新する
課題管理リストは、一度作って終わりではなく、定期的に見直しながら活用することで、効果を発揮します。
進捗状況が古いままだと、現場の判断が遅れたり、不要な確認作業が増えたりする原因になります。
対応ステータス(未対応・対応中・完了など)を定期的に見直し、必要に応じて期日の調整や担当者のフォローをおこなうことが重要です。
更新のタイミングは、週次ミーティングや日報など、チームの業務サイクルに合わせて設定すると無理なく定着させられます。
タスクを細分化する
課題の中には、対応に複数の作業や判断が必要なものも多く、そのままでは着手しづらい場合があります。
そうした場合は、対応内容を小さなタスクに分解して整理することで、「まず何をすべきか」を明確にします。
たとえば「顧客対応フローの見直し」という課題であれば、「現行フローの確認」「改善点の洗い出し」「関係部署とのすり合わせ」などのように具体的なステップへ落とし込むイメージです。
タスクを細分化することで作業の見通しが立ちやすくなり、進捗管理の精度も高まります。
課題管理リストを活用し、効率的な課題解決を実現しよう
課題管理は、単に「困っていることを書き出す」だけでなく、その後の対応をチームで着実に進めていくための土台です。
課題を正しく洗い出し、担当者・期限・優先順位を明確にした上で、進捗を共有しながら運用すれば、対応漏れや手戻りを減らし、業務全体の質を高めることができます。
そのためには、運用しやすく、情報が整理・共有しやすいツールを使うことも大切です。
Chatworkは、タスク管理とコミュニケーションを一体化したクラウド型の業務支援ツールです。
課題の整理・対応・共有を一つの場所で完結できるため、情報の分断を防ぎながら、チーム全体の動きをスムーズに整えることが可能です。
課題管理をよりシンプルかつ確実なものにしたい場合は、ぜひChatworkの導入をご検討ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。