コミュニケーションコストとは?高い人の特徴・生まれる問題・削減方法5選

目次
職場では日々多くの情報をやり取りしています。情報の伝達に時間がかかると、業務の遅延を引き起こすだけでなく、本来取り組むべき業務に割く時間が失われてしまいます。
このような状態をコミュニケーションコストが高いと呼び、円滑に業務を進めるためにも改善が必須です。
本記事では、コミュニケーションコストが高い場合に起こる問題や、具体的な改善策について解説します。ぜひ参考にしてください。
コミュニケーションコストとは?
コミュニケーションコストとは、意思疎通にかかる時間や労力を指します。
伝えるべき情報が短時間で正確に相手に伝わる状況は「コミュニケーションコストが低い」状態といえます。
一方、何度も説明が必要だったり、表現を変えて伝えなければ理解されなかったりする状態は、コミュニケーションコストが高い状態にあり、業務にも支障が生じるため、対策が必須です。
コミュ力おばけはコストが低い?
コミュニケーション能力が高く、誰とでもすぐに打ち解けて話せる人を「コミュ力おばけ」と呼びます。
彼らは相手に合わせて言葉や話題を選ぶのが得意で、初対面であっても会話が弾み、信頼関係の構築もスムーズです。
まさに、コミュニケーションコストが低い人の特徴を兼ね備えた存在と言えるでしょう。
現在は、テレワークやフレックスタイム制の導入により、従業員同士が顔を合わせる機会は減少しています。
対面でのコミュニケーションが減っても、同僚や上司、部下としっかり意思疎通を図り、信頼関係を築かなければ、スムーズに業務を遂行することはできません。
周囲とすぐに打ち解けて信頼関係を築ける「コミュ力おばけ」は、今の時代に求められる特性といえるでしょう。
また、働き方の多様化によって、対面コミュニケーションだけでなく、ツールを使ったコミュニケーションも重要視されています。
何度も電話しても相手とつながらない状態は、コミュニケーションに必要以上の時間がかかっており、コミュニケーションコストが高いといえます。
そうした際に、連絡手段を電話からビジネスチャット「Chatwork」に切り替え、メッセージを送信するといった手法を取れると、コミュニケーションコストは下がります。
臨機応変に連絡手段を選択できる能力も、今の時代に必須の特性です。
ブルックスの法則との関係性
ブルックスの法則とは、開発が遅れているプロジェクトに人員を追加すると、かえって効率が下がり、プロジェクトの完了が遅れるという法則です。
この法則は、IBMのシステムエンジニアであるフレデリック・ブルックス博士が提唱しました。
一見すると、人員が増えれば開発スピードが増すように思われます。
しかし実際には、新たに加わった人員にプロジェクトの目的や手順を説明し、業務を割り振らなければなりません。
さらに人員が増えると、情報共有にも時間がかかってしまい、結果的にプロジェクトの遅延を招いてしまうのです。
ブルックスの法則は、メンバーが増えれば増えるほどコミュニケーションコストが増す現象を示しています。
コミュニケーションコストは新たに加わるメンバーの2乗で算出することができ、メンバーが2倍になるとコミュニケーションコストは4倍になるとされています。
コミュニケーションコストは目に見えないため軽視されがちですが、業務に大きな影響を及ぼすので注意が必要です。
コミュニケーションコストが高い「上司・同僚・部下」がいる問題点
職場にコミュニケーションコストが高い人がいると、意思決定から業務遂行まで、多くの場面で問題が生じます。
ここからは、その問題点を「上司・同僚・部下」のパターンに分けて解説します。
コミュニケーションコストが高い「上司」の問題点
コミュニケーションコストが高い上司は、指示が抽象的になりがちです。
数字・期日・例などをあまり用いず具体性に欠けた指示をするため、部下は何をすればよいのかわからず、混乱してしまいます。
部下が上司の意向を汲み取れずに作業のやり直しが発生するケースなどもあり、部下の仕事に対するモチベーションは低下しがちになります。
部下の報告や他部署からの連絡事項がきちんと伝わっておらず、的外れな指示が重なったり、取引先に迷惑をかけたりするケースもあるでしょう。
コミュニケーションコストが高い上司は、意思決定に必要な情報収集が苦手で決断が遅いことも特徴であり、経営にもマイナスの影響を与えてしまいます。
コミュニケーションコストが高い「同僚」の問題点
コミュニケーションコストが高い同僚とは、同じ業務を担当する際に誤解や行き違いが発生しがちです。
情報がうまく共有できないと、「情報を隠している」と逆恨みされたり、敵対心をもたれてしまったりすることもあり、業務の円滑な遂行は難しくなるでしょう。
コミュニケーションコストが高い人は、相手に合わせた言葉選びや説明が苦手であるため、「同僚だから伝わるだろう」と思い込んで最小限の説明しかしないケースもあります。
作業の注意点や顧客の要望などが十分に共有されないと、作業中のミスやセキュリティ事故につながったり、顧客満足度の低下を招いたりします。
コミュニケーションコストが高い「部下」の問題点
コミュニケーションコストが高い部下は、報告・連絡・相談(報連相)が遅れがちです。
報連相のタイミングがわからず、やっと報告をしに来たときにはすでに手遅れになっているケースもあります。
自ら積極的に周囲とコミュニケーションを取ろうとせず、受け身の姿勢も見られます。
周囲がわざわざ情報を聞き出したり伝達したりしなければならないため、上司や同僚の負担は増すでしょう。
消極的な姿勢は周囲に悪影響を及ぼし、ほかの従業員のモチベーション低下につながるおそれもあるので注意が必要です。
そもそもコミュニケーションコストが高い人にはどんな特徴がある?
コミュニケーションコストが高い人には、年齢や性別を問わず、共通した特徴があります。
以下、それぞれの特徴を詳しくお伝えします。
物事の全体像をすぐに把握できない
コミュニケーションコストが高い人は、理解力が乏しい傾向にあります。
物事の全体像を把握することが苦手なため、人の話を聞いていても、何について話しているのかわからず、重要度や緊急度も判断できません。
コミュニケーションコストが高い人に説明する際は、背景や現状から説明しなければならないため、ほかの人に説明するよりも時間がかかってしまいます。
自己の役割を正しく理解していない
自分の役割を認識していない人も、コミュニケーションコストが高くなりがちです。
例を挙げると、会議の欠席者に決定事項を伝える役割を担っているメンバーが役割を理解していなければ、十分な情報共有がされないままになってしまいます。
欠席者はいちいち出席者を探して決定事項を尋ねなければならないため、必要以上に時間も労力もかかります。
本来伝えるべき情報をほかのメンバーに伝えないどころか、不必要な話をしてほかの人の時間を無駄にしてしまい、さらなるコミュニケーションコストの悪化を招くケースもあります。
他者への関心が薄く自分本位になりやすい
コミュニケーションコストが高くなる理由として、他者への関心の薄さも挙げられます。
相手に関心があれば、相手の話を注意深く聞き、理解に努めるでしょう。
しかし、相手への関心が薄いと、相手の話を右から左に受け流してしまうことがあります。
また、他者への関心の薄さに加えて自分本位な傾向も見られます。
相手が知りたい情報ではなく、自分が話したい情報を優先して話すため、相手は必要な情報を得るまで我慢しなければなりません。
そのため、コミュニケーションコストが高い人との会話は、周囲の人にストレスを与えてしまいます。
職場のコミュニケーションコストが高くなる3つの原因
コミュニケーションコストが高くなる理由として、本人の性格だけでなく、職場の仕組みに問題がある場合もあります。
以下のような原因が考えられるため、もし自分の職場のコミュニケーションコストが高いと感じたら改善を検討しましょう。
原因①|コミュニケーションの「手段」が多すぎる
コミュニケーションが取りやすいように手段を増やすと、かえってコミュニケーションコストが高くなることがあります。
工場と営業部のやり取りを例に考えてみましょう。
営業部が在庫確認のためにメールで問い合わせをしても、工場の担当者が普段電話やFAXしか使っていなければ、問い合わせのメールには気づきません。
結果として在庫を確認できず、店舗や顧客に迷惑をかけてしまいます。
こうしたケースでは、事前に連絡手段を取り決める必要があります。
また、複数のツールを利用していると、常に各ツールをチェックしなければならないため、時間の無駄が発生するでしょう。
ある程度、コミュニケーションの手段を絞り込んだほうが、効率的に仕事ができます。
>コミュニケーションツールの種類や選び方に関する記事はこちら
原因②|コミュニケーションの「情報」が多すぎる
ほかのメンバーとコミュニケーションを取る際に、不必要な情報まで伝えると、重要な情報が伝わりにくくなります。
良かれと思って多くの説明をしても、かえって相手が混乱するケースもあるため、相手の知識や経験を踏まえて情報を取捨選択すると良いでしょう。
情報を伝達する側が事前に伝えるべき情報を整理すると、余計な情報を伝えずに済みます。
原因③|コミュニケーションの「人数」が多すぎる
情報を伝達・共有すべき人数が多すぎる場合も、コミュニケーションコストが高くなりがちです。
情報を共有するためにミーティングを開催しようとしても、人数が多いと日程調整にも苦労します。
また、メンバーによって理解力は異なるため、同じ説明でも人によっては理解できず、追加で説明しなければなりません。
間に人を介して情報を伝えると、正確に伝わらず、誤解を招くケースもあるでしょう。
繰り返し説明が必要になるため、コミュニケーションコストを高めてしまうことにつながります。
コミュニケーションコストの増加によって企業を襲う問題とは?
コミュニケーションコストが高い状態を放置すると、さまざまな問題が生じます。
以下では、各問題を具体的に解説します。
問題①|業務の進行が滞り、効率に支障が出る
コミュニケーションコストが高いと、情報共有に時間がかかり、業務が遅延します。
同じチーム内だけでなく、部署間の連携においても同様です。
営業部と工場の間で取引先からの要望の共有に手間取れば、生産工程にすぐに反映できません。
その間、生産工程がストップすると、従業員の手空きが発生してしまいます。
さらに納期に間に合わなければ、違約金の発生や契約の打ち切りも考えられるなど、あらゆる面で支障が生じます。
問題②|意思決定が遅れ、対応が後手に回る
現場や他部署からの情報がマネジメント層に伝わっていないと、意思決定にも影響を及ぼすケースがあります。
仮に新店舗をオープンするには、コンセプト決定からターゲット選定、資金調達や物件の選定など、各段階で意思決定が求められます。
競合他社の動向や仕入れ業者の情報が十分に集まらなければ意思決定が遅れ、その分無駄なコストも発生してしまうでしょう。
コミュニケーションコストが高い人のために正確な情報がマネジメント層に伝わらないと、誤った意思決定がなされる可能性もあります。
方向性の誤りに気づいてからでは後手に回った対応となり、スケジュールの遅れや無駄なコストなどが生じます。
問題③|認識のズレにより、従業員の負担が増える
コミュニケーションコストが高い職場は、従業員の負担も増えがちです。
同じ内容を何度も説明しなければならないため、時間や労力がかかり、本来集中すべき業務に集中できません。
結果として、修正やトラブル対応が増え、仕事がはかどらず、ストレスも増します。
そうした状態で働き続けると、生産性の低下や離職にもつながってしまうでしょう。
コミュニケーションコストを下げる施策5選
コミュニケーションコストが高いと、企業の業績にも悪影響が及ぶため、早急に対策を講じなければなりません。
ここでは、すぐに取り組める施策を5点紹介します。
コミュニケーションコストの高さに悩んでいる企業は、ぜひ参考にしてください。
施策①|Chatworkを導入する
コミュニケーションコストを下げるには、ビジネスチャット「Chatwork」の導入がおすすめです。
部署やプロジェクト単位で作成したグループチャットにメッセージでやり取りをすれば、グループのメンバー全員と情報共有ができ、手間がかかりません。
メッセージを確認したら、リアクション機能でリアクションしてもらうようにルールを決めれば、メッセージの確認状況も把握できるでしょう。
写真や動画などのファイルも共有できるため、テキストだけでは伝わりにくい情報もスムーズに伝えられます。
また、メッセージ検索機能で過去のやり取りを探せるため、「言った」「言わない」といったもめ事を防止できます。
施策②|PREP法で結論から伝える
PREP法とは「Point(結論・要点)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論・要点の再確認)」のそれぞれの頭文字を組み合わせた造語で、コミュニケーション手法の一種です。
はじめに結論や要点を伝え、続けて理由や具体例を伝えることで、相手へスムーズかつ短時間に要点を伝達できます。
最初はなかなか慣れないかもしれませんが、会議やプレゼン、上司への報告に役立つ手法です。
会社全体のコミュニケーションコストを下げたい場合は、PREP法の研修を実施するのも良いでしょう。
施策③|現在のコミュニケーションを棚卸しする
コミュニケーションを取るためのツールが多すぎる職場は、ツールの棚卸しを行い、メインで使うツールを絞るとよいでしょう。
情報の正確な伝達ができ、コミュニケーションを取りやすいツールをメインで使うようにし、使用頻度や使用目的を従業員に周知します。
複数の店舗を運営している場合などは、店舗間の連絡手段が電話だと接客中には対応できず、何度もかけ直さなければなりません。
モバイル端末でも利用できるビジネスチャットを導入すれば、お客様がいないときにメッセージを確認して返信できるため、コミュニケーションコストを下げられます。
施策④|マニュアルを整備・共有する
コミュニケーションコストを下げるには、マニュアルの整備や共有もおすすめです。マニュアルがあれば、ツールの使い方や作業手順を何度も説明せずに済みます。
もしマニュアルを整備しなければ、担当者によって教え方が異なり、作業手順や品質にもばらつきが生まれてしまいます。
教育が得意ではない担当者が教えると、教えられる側は何度も質問しなければならず、コミュニケーションコストがかかってしまうでしょう。
施策⑤|自社の企業理念を再確認する
従業員の意思疎通が円滑に行われるためには、企業理念の浸透が必要不可欠です。
企業理念は、意思決定の際の判断基準であり、従業員の行動指針にもなります。
従業員一人ひとりに企業理念が浸透すると、従業員間のコミュニケーションも企業理念を念頭に置いたものになるため、意思疎通が図りやすくなります。
コミュニケーションコストを下げるなら「Chatwork」
コミュニケーションコストが高いと、従業員間の意思疎通がうまくいきません。
業務が非効率になり、従業員の負担も増えてしまうため、改善が必須です。
改善には、企業理念の浸透やコミュニケーションツールの見直しが役立ちます。
加えて改善に役立つのが、ビジネスチャット「Chatwork」です。
テキストだけでなく写真や動画も共有できるため、情報が正確に相手に伝わります。
コミュニケーションコストを下げたいと考えている企業は、利用を検討してみましょう。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。