オンボーディングツールとは?導入メリットや種類、選び方のポイントを解説

目次
オンボーディングツールは、新しく入社した社員が業務や社内システムに素早く適応できるようにサポートするツールです。
教育コストや工数を減らしながら効果的なトレーニングを可能にし、社員の即戦力化が期待できます。
しかし、どのようなツールを選べばよいか迷ってしまう担当者の方も多いでしょう。
今回の記事では、オンボーディングツールの導入メリットや種類、選び方のポイントなどについて解説します。
オンボーディングツールとは
オンボーディングツールは、新しく入社した社員が業務や社内システムに対する理解を深め、素早く適応できるようにサポートするツールです。
従来、オンボーディングは新入社員が環境にいち早く馴染めるように支援する研修を指していました。
そこから意味が転じ、最近ではユーザーにより早くサービスに慣れてもらうためのプロセスとしてもオンボーディングという言葉が使われています。
オンボーディングツールには、システムの操作方法を文章や動画のガイドで示したり、チャットボットでQ&Aに対応したりするものなどがあります。
オンボーディングツールを用いたトレーニングにより、教育コストを減らしながら社員のシステム活用促進や業務プロセス向上が期待できるでしょう。
オンボーディングツールが求められる背景
オンボーディングツールが求められる背景として、人材の流動性が高まったことが挙げられます。
現代は、終身雇用が当たり前だった時代から転職が当たり前の時代へと変化しており、社員の定着に問題を抱えている企業も多いでしょう。
入社後に職場や業務に馴染めないと、モチベーションが低下し、早期離職につながる恐れがあります。
入社後の早期離職が多いと企業イメージの低下にもつながるので、入社後の社員が定着しやすい環境を整える必要があります。
したがって、入社後の社員が安心して働けるようにするため、オンボーディングツールが必要とされているのです。
オンボーディングツールを導入するメリット
オンボーディングツールを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
- オンボーディングを効率化できる
- 社内のITリテラシーを向上できる
- 社員のエンゲージメントを向上できる
- 社員教育の質を均一化できる
ここでは、オンボーディングツールを導入するメリットについて解説します。
オンボーディングを効率化できる
オンボーディングツールを導入すると、社内のオンボーディングを効率化できます。
ツールを用いて新入社員や中途社員の教育を自動化できるので、社員教育にかかる工数や時間を減らせるでしょう。
また、共有すべき情報や新入社員、中途社員とのやりとりをツール内にまとめられるため、必要な情報を探しやすくなるのもメリットです。
その結果、疑問点を新入社員や中途社員が自ら解決できる場面が増え、既存社員の負担も軽減できるでしょう。
社内のITリテラシーを向上できる
オンボーディングツールは、社内のITリテラシー向上にも効果的です。
オンボーディングツールは24時間365日のサポートが可能なため、社員の問題解決のスピードを向上させられます。
必要な情報を自ら探して問題解決できる部分が増えることで、社員のシステムに関する理解が深まり、社内のITリテラシー向上が期待できるでしょう。
また、コールセンターや問い合わせ窓口への相談件数が減り、無駄な問い合わせ工数の削減も実現できます。
社員のエンゲージメントを向上できる
オンボーディングツールの導入は、社員エンゲージメントの向上にも有効です。
システムを素早く使えるようにサポートすることで、社員が積極的にツールを使用するようになり、業務にも素早く馴染めるでしょう。
また、ツールにはアンケート機能も搭載されており、社員からのフィードバックを生かした改善が可能です。
従業員に寄り添ったサポートが可能となるため、社員が働きやすい環境を整えられます。
さらに、研修時間の削減により、新入社員や中途社員がより早く同僚や上司とのコミュニケーションを取れるようになります。
その結果、組織や業務に素早く馴染めるようになり、社員のエンゲージメントを向上させられるでしょう。
社員教育の質を均一化できる
オンボーディングツールを活用すると、社員教育の質を均一化させられます。
共有すべき情報をツール上にまとめ、標準化された手順でトレーニングプログラムを組むことが可能です。
したがって、組織全体で共通のトレーニングを提供できるようになり、部門やチーム、教育担当者などによる情報格差をなくせます。
その結果、新入社員や中途社員に対して均一なサポートができ、業務やシステムの使い方などについて組織全体で同じ共通認識を得られるでしょう。
オンボーディングツールの種類
オンボーディングツールにはどのような種類があるのでしょうか。
- デジタルガイド型
- FAQ作成型
- チャットボット型
ここでは、オンボーディングツールの種類について解説します。
デジタルガイド型
デジタルガイド型は、実際に従業員が使用する操作画面を用いてチュートリアルやツールチップを表示するタイプです。
操作ガイドなどを作成する際に有効で、システムの操作方法を伝えたり、操作ミスを減らしたりする効果が期待できます。
また、画面上で操作を誘導できるため、システムの操作に関するトレーニングを自動化できるのもメリットです。
社員が自分自身で問題解決できる体制を整備し、既存社員が教える手間を省けます。
FAQ作成型
FAQ作成型は、社内システムを使用する際によくある質問とその回答をまとめたFAQを作成するタイプです。
社内のナレッジ構築と整理に適しており、社員が業務を進めたり社内システムを使用したりする上で必要な情報に素早くアクセスできます。
また、よくある質問とその回答をまとめることで、社員が自力で問題解決できる環境を整えられるでしょう。
その結果、社内の問い合わせ窓口への相談件数を減らし、担当者の負担を軽減する効果も期待できます。
チャットボット型
チャットボット型は、質問に対してチャット形式でリアルタイムに対応する自動会話プログラムを活用したタイプです。
チャットで前後の会話を踏まえた応答が可能で、FAQ作成型よりも複雑な疑問や質問に対応できます。
よくある質問はFAQ作成型、FAQでは対応しきれない部分はチャットボット型といった使い分けが可能です。
さらに、FAQやチャットボットでは対応しきれない問題や疑問に対してのみ人が対応する体制にすれば、担当者の負担を大幅に軽減させられます。
このように、オンボーディングツールにはさまざまな種類があるため、自社に合ったものを導入することが大切です。
オンボーディングツールの機能
オンボーディングツールにはどのような機能があるのでしょうか。
- アンケート機能
- 面談支援機能
- タスク管理機能
ここでは、オンボーディングツールの機能について解説します。
アンケート機能
多くのオンボーディングツールにはアンケート機能が備わっています。
アンケート機能を活用すれば、社員がシステムの活用や業務に対してどのような疑問を持っているのか明らかにできるでしょう。
また、社員のメンタル・ストレス状況や組織に対する不満なども調査が可能です。
アンケート結果をもとに、組織や業務を改善したり、社員一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取ったりできるので、社員が働きやすい環境を整備できるでしょう。
面談支援機能
オンボーディングツールには、面談支援機能もあります。
面談支援機能では、社員との面談で話すべき内容を事前に準備したり、面談内容をメモしたりすることが可能です。
主に上司やメンターとの1on1などで使用され、社員の目標管理に役立ちます。
面談内容の記録は人事評価にも活用でき、社員の評価に対する納得感を高められるでしょう。
新入社員や中途社員との定期的なコミュニケーションを重視する企業や、マネジメントを強化したい企業におすすめです。
タスク管理機能
オンボーディングツールには、タスク管理機能が備わったタイプもあります。
タスク管理機能を活用すれば、新入社員や中途社員が何をすべきか明確にできるでしょう。
また、タスクの進捗状況を可視化できるため、社員が業務や組織に対してどこまで理解を深められているかチェックもできます。
まだ取り組んでいない項目の学習を促したり、理解が深められていない部分の学習をしたりできるので、効率よく社員教育を進められるでしょう。
オンボーディングツールを導入する手順
オンボーディングツールを導入する際には、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
- オンボーディングツールを導入する目的を明確化する
- 自社に適したオンボーディングツールを選ぶ
- 定期的にオンボーディングツールの見直しを行う
ここでは、オンボーディングツールを導入する手順について解説します。
1.オンボーディングツールを導入する目的を明確化する
まず、オンボーディングツールを導入する目的を明確にしましょう。
オンボーディングツールにはさまざまな種類があるため、自社の課題を解決できるツールを選ぶことが大切です。
導入目的が曖昧だとどのツールを選ぶべきか判断がつかず、自社の課題に合わないツールを選んでしまい、導入費用が無駄になってしまう恐れがあります。
具体的には、以下のような導入目的が挙げられます。
- 新入社員が社内システムを使いこなせるようになるまでの時間を50%短縮する
- 新入社員の組織やチームに対する理解を深め、毎回の会議で自分の意見を最低1つは発言できるようにする
2.自社に適したオンボーディングツールを選ぶ
導入目的を明確にしたら、自社に適したオンボーディングツールを選びましょう。
ツールによって機能や特性は異なるため、自社のニーズに合ったものを見極めることが大切です。
また、ツールの操作方法やオンボーディングの方法についても確認し、社員にとって使いやすいものかチェックするのも忘れないようにしましょう。
導入するツールを選定した後は、オンボーディングツールの導入目的や導入効果、メリットなどについて社員に説明します。
社員にとってどのようなメリットがあるか理解を得られれば、導入をスムーズに進められるでしょう。
3.定期的にオンボーディングツールの見直しを行う
オンボーディングツールは、導入して終わりではありません。
導入後は、定期的に課題解決につながっているかオンボーディングツールの見直しを行い、改善を重ねることが重要です。
社員へのアンケートや面談などを行い、効果的にトレーニングができているか、疑問や不満点はないかチェックしましょう。
また、一度にインプットする情報が多すぎると、新入社員が情報を処理しきれず混乱したり覚えきれなかったりします。
業務に適応するために優先度の高い情報を取捨選択し、伝える体制を整えるようにしましょう。
オンボーディングツールを選ぶ際のポイント
オンボーディングツールを選ぶ際には、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
- コストパフォーマンスがよいか
- 誰でも簡単に利用できるか
- 自社の導入目的に合った機能が搭載されているか
ここでは、オンボーディングツールを選ぶ際のポイントについて解説します。
コストパフォーマンスがよいか
オンボーディングツールの利用には、導入費や維持費が発生します。
新入社員を毎年採用していたり、中途社員が頻繁に入社してきたりする企業は、新しい社員にいつでも対応できる体制を整えなければなりません。
したがって、初期費用だけではなく更新費用や月額費などもチェックし、長期運用が可能な価格設定のものを選ぶことが大切です。
また、純粋な費用だけではなく、自社の課題解決にどのくらい寄与できるかも比較し、コストパフォーマンスの高いツールを選ぶようにしましょう。
誰でも簡単に利用できるか
オンボーディングツールを選ぶ際は、操作性も確認することが大切です。
オンボーディングツールは全社で導入するツールであるため、ITリテラシーの高い社員だけでなく、全社員が使いこなせる必要があります。
例えば、多機能でも使用する上で専門知識が必要なツールの場合、ITリテラシーの低い社員は使いこなせないでしょう。
使用できる社員が少ないツールを導入してしまうと、社内に浸透せず効果が得られません。
したがって、シンプルな機能で誰でも簡単に利用できるツールを選ぶのがおすすめです。
自社の導入目的に合った機能が搭載されているか
オンボーディングツールを選ぶ際は、自社の導入目的に合った機能が搭載されているかもチェックしましょう。
オンボーディングツールは、オンボーディングに特化したものから複数の機能を備えたものまで、さまざまな製品があります。
自社の導入目的に合わないものを選んでしまうと、機能が足りず適切に運用できなかったり、機能が充実していても持て余したりする可能性があるでしょう。
したがって、自社の導入目的に合った機能が備わっているか確認することが大切です。
オンボーディングツールを導入する際に注意すべきこと
オンボーディングツールを導入する際にも、いくつか注意すべきポイントがあります。
最後に、オンボーディングツールを導入する際に注意すべきことについて解説します。
対面のコミュニケーションも行う
オンボーディングツールを導入すると、ついツールに任せきりになってしまい、対面のコミュニケーションが不足しがちです。
新入社員にはツールだけでは解決できない不安や疑問も多くあるため、必要に応じて対面のコミュニケーションによるフォローを行いましょう。
また、組織に馴染むことを目的とした場合、新入社員に対して上司だけでなくさまざまな部署や役職の社員がコミュニケーションを取る必要があります。
オンボーディングツールだけでなく対面のコミュニケーションも大切にし、新入社員が安心して働ける体制を整えましょう。
スモールステップで導入する
オンボーディングツールを活用する際は、スモールステップ法を意識しましょう。
スモールステップ法とは、最終目標を細分化した小さな目標を設定し、目標達成を繰り返すことで最終目標の達成を目指す手法です。
最初から大きな目標を設定してしまうと新入社員へのプレッシャーが大きくなり、ストレスを感じたり、目標を見失ったりしてしまう恐れがあります。
特に、新入社員は新しい環境に適応するため多くのストレスを抱えやすく、目の前のことに精一杯になってしまうこともあるでしょう。
一方、目標を細分化して設定すれば、目指すべき方向性が明確になり、成功体験を積み重ねやすくなります。
小さな達成感を繰り返し得られるため、新入社員が自信をつけて成長しやすい環境にできるでしょう。
オンボーディングツールを活用してエンゲージメント向上を目指そう
オンボーディングツールを活用すれば、新入社員が業務や社内システムに素早く適応できる環境を整えられます。
また、新入社員の不安や疑問をキャッチアップしながら教育を進められるため、社員一人ひとりに寄り添ったサポートが可能になるでしょう。
その結果、社員のエンゲージメントが向上し、入社後の社員が定着しやすくなります。
自社に合ったオンボーディングツールを活用し、社員への適切なオンボーディングを実現しましょう。
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