リカレント教育とは?「学び直し」のメリットや方法、助成金を解説
目次
社会人から「学びなおし」ができるリカレント教育は、企業で働く社員のスキル向上を目的に活用されることが多いです。
社員のキャリア形成を支援するだけでなく、企業にとっても長期的な経営を安定させる工夫につながるでしょう。
企業でリカレント教育を導入する方法や支援制度をわかりやすく解説します。
リカレント教育とは?
リカレント教育とは、社会人が教育機関や講座などを通して「学びなおす」ことを意味します。
社会人が会社を辞めて教育機関に通う方法もあれば、働きながら勉強にとりくむ方法もあります。
企業では、社員のスキルアップやキャリア形成を進める方法として導入されるケースが多いです。
人材の定着化や長期的な経営の安定化につながるメリットが期待できるでしょう。
生涯学習との違い
リカレント教育は、仕事につながる勉強に限定されるという特徴があります。
一方、生涯学習は仕事からプライベートを含めたさまざまな勉強が含まれており、人生を充実させる勉強全般を表す言葉です。
リカレント教育は仕事のスキル向上につながる内容、生涯学習は仕事やプライベート(趣味・スポーツなど)全般の勉強を意味する違いがあるということをおさえておきましょう。
リカレント教育が推奨される背景
現代社会は、終身雇用の変化や社会情勢の変化など、流れが移り変わりやすい傾向があることから、時代に対応できる人材が重要視されています。
ビジネスの市場変化に応じて新しい価値を生み出すためにも、企業で働く社員はキャリア形成を兼ねた勉強に取り組む姿勢が求められるでしょう。
また、現代社会は「人生100年時代」といわれています。
日本人の長寿の傾向から、100年以上生きる可能性も考えられており、時代を生き抜くためには、仕事のスキルを高めて生涯において学び続ける姿勢が必要です。[※1]
リカレント教育を企業で導入するメリット
リカレント教育を導入するメリットの一例として、以下のようなものがあげられます。
- 経営の安定化を図れる
- 人材の定着化につながる
- 社員の人材育成になる
それぞれの項目について、詳しくみていきましょう。
経営の安定化を図れる
リカレント教育で新しい分野の知識や技術が学べると、企業の経営改善やイノベーションにつながるアイデアや対策を取り入れることができ、長期的な経営の安定化を目指せます。
また、新しい社員を雇用するよりも、既存の社員のスキルアップを図ることのほうが、企業にとって労力やコストを削減できる可能性があるでしょう。
人材の定着化につながる
リカレント教育を導入すると、社員が将来のキャリアを見据えて勉強に取り組みやすくなります。
仕事のモチベーションが高い社員にとっては、企業側から学ぶ機会を提供してもらえると、長く働きやすい環境として魅力を感じやすいでしょう。
そうすることで、社員を定着させる効果が期待できます。
社員の人材育成になる
リカレント教育の実施は、新入社員の教育や中堅社員のスキルアップなどに活用できます。
人材育成で専門知識に関するスキルを磨くことができると、役職に就くことで年収をアップしたり、資格を取得してキャリアアップしたりするなど、企業だけでなく社員にとってもメリットが多いでしょう。
リカレント教育を企業で導入する方法
社員が仕事と勉強を両立できる勉強方法を軸に、リカレント教育を企業で導入するときの方法を見ていきましょう。
キャリアコンサルティングに依頼する
企業で働く社員に向けて本人の希望を踏まえながら、キャリアプランの方向性をプロのコンサルティングに相談する方法があります。
キャリアコンサルティングに依頼するときは、対面以外にもメール・電話相談、オンラインなどから相談が可能です。
オンライン講座を使う
リカレント教育には対面で講習を受ける方法以外にも、オンラインを活用して効率よく勉強を進める方法もあります。
オンライン講座を活用することで、外部講師に依頼したり自社のオフィスまで呼んだりする必要がなく、準備にかかる手間や費用をおさえる効果が期待できるでしょう。
資格取得の費用を支援する
企業は社員のスキルアップを手助けするためにも、仕事に関わる資格取得の費用を負担する方法があげられます。
全額負担から一部の費用負担など、予算に合わせて対応を進めてみてください。
リカレント教育の導入で企業が使える助成金・職業訓練
リカレント教育の導入には、企業が使える国の助成金や職業訓練を活用できます。[※3]
人材開発支援助成金
企業の社員がリカレント教育を受けるときに、教育訓練にかかる経費や訓練期間の賃金について、一部を国が負担する助成金です。
正社員の仕事に関する基礎知識を身につけるための「一般訓練コース」や、専門スキルを高めるための「特定訓練コース」を始め、正社員が長期休暇を取って訓練に取り組む「教育訓練休暇付与コース」などの内容があげられます。
生産性向上支援訓練
企業の生産性を向上させるために、社内の課題につながりやすい分野の訓練に取り組める内容です。
- 生産管理
- IoT・クラウド活用
- 組織マネジメント
- マーケティング
- データ活用
上記の分野について学べる内容で、45歳以上の人材のキャリア形成に向けたミドルコースや、中小企業のDX推進に向けたDXコースなど、企業の課題解消に向けた取り組みが実施されています。
リカレント教育で個人が使える支援制度
リカレント教育を取り入れたいときに、個人で使える国の支援制度を見ていきましょう。[※3]
教育訓練給付金
教育訓練給付金は、雇用保険の加入経験のある人が条件を満たすことで、20~70%の給付金を受けられる制度です。
学校や施設に通う費用や資格の取得など、個人で勉強に取り組むときに活用できます。
高等職業訓練促進給付金
高等職業訓練促進給付金は、母子(父子)家庭の人が、国家資格を取得する学校や施設で勉強する場合、一定の条件を満たすことで費用の一部を支援してもらえる制度です。
経済的な自立を支援する内容で、手に職をつけたい人が活用できます。
企業でリカレント教育を導入する例
企業でリカレント教育を導入するときに、どのような内容があるのか例を見ていきましょう。
英語・外国語の勉強
企業の仕事や営業活動のスキルアップには、英語や外国語を学ぶ方法があります。
- 資格を取得する(英検、TOEICなど)
- 英語研修
- オンライン英会話
- 海外研修、海外留学
資格の勉強
新入社員の研修やデスクワークのスキルアップに、オフィス関係の資格の勉強を取り入れる方法があります。
- 日商簿記
- MOS(Word、Excelなど)
- 秘書検定
IT・プログラミングの勉強
時代の流れに合わせて、新しい市場に対応しながら価値のあるサービスを提供するためにも、IT・プログラミングの知識がある人材の確保が重要です。
たとえば、企業でITパスポートの資格取得を推進し、基本的な知識を学ぶ機会につなげる方法もあるでしょう。
また、経済産業省の調査によると、地方の企業におけるIT人材は不足している傾向があります。[※2]
ITの人材不足を感じている企業は、新しい人材を確保する方法だけでなく、自社でITの人材育成に取り組む方法として、法人向けのIT研修のサービスを活用してみてください。
ビジネス・経営の勉強
MBA(経営学修士)は、経営学の大学院を卒業した人に与えられる学位です。
論理的思考やデータ分析のスキルなど、企業の経営に関わる人が知っておきたい内容を学ぶ機会につながるでしょう。
リカレント教育は企業の長期経営につながる
企業でリカレント教育を導入すると、社員のキャリア形成につながるだけでなく、人材を定着化させる効果が期待できます。
企業が利用できる助成金や支援制度を活用しながら、社員の教育体制を整えていきましょう。
社内でリカレント教育を取り入れ、勉強に取り組む社員の仕事をサポートするためにも、社内で仕事の負担を減らす工夫が必要です。
ビジネスチャット「Chatwork」は、チャット形式で気軽にコミュニケーションができるため、電話やメールを使うよりも、業務連絡にかかる時間コストを削減する効果が期待できます。
リカレント教育を推進できる職場づくりを目指すときは、Chatworkの活用もあわせてご検討ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※1]出典:厚生労働省「「人生100年時代」に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207430.html
[※2]出典:経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/001_s01_00.pdf
[※3]出典:厚生労働省「リカレント教育」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18817.html
※本記事は、2022年4月時点の情報をもとに作成しています。