【社労士監修】生理休暇とは?働く女性が知っておくべき権利の仕組みや注意点を事例付きで解説

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働き方改革
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【社労士監修】生理休暇とは?働く女性が知っておくべき権利の仕組みや注意点を事例付きで解説

目次

働き方や雇用形態の多様性が推進されている昨今、女性労働者が活躍する場面も多くなり、生理痛やPMSなどの女性特有の健康課題に注目し、改善にとりくむ企業が増えてきています。

しかしながら、休暇の取得率は、まだまだ低く、企業によっては、従業員の意識改革が大きな課題となっていることもあります。

今回は、生理休暇の概要や仕組み、また運用するうえで考慮すべきポイントなどを、企業事例を交えてわかりやすく解説していきます。

生理休暇とは

生理休暇とは、女性従業員が、生理前および生理期間中の体調不良により、業務の遂行が困難になった場合に、基本的には、従業員の申告をもとに付与される休暇のことです。

一見、生理休暇制度を設けている企業は、福利厚生に対する意識が高いと思えますが、実は、生理休暇自体は、労働基準法第68条で規定されているものです。

そのため、たとえ、就業規則等に生理休暇の規定を置いていなかったとしても、該当する従業員の請求があれば、生理休暇を与えなくてはなりません。

使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。労働基準法「第六十八条」[※1]

生理休暇の取得状況

生理休暇は、労働基準法においても規定されている、働く女性の健康を守るうえで重要な制度ですが、残念ながら、その申請率はかなり低いものとなっています。

厚生労働省が2021年に発表した「令和2年度雇用均等基本調査」によると、女性従業員が在籍している職場のうち、平成31年4月1日から令和2年3月31日までの期間に生理休暇の請求者がいた職場の割合は、全体の3.3%でした[※2]

また同調査によると、女性従業員のなかで、生理休暇を請求した従業員は、全体の0.9%で、平成27年の調査と同様の数値となっていることがわかりました。

この調査結果から、日本においては、生理休暇制度が、ほとんど利用されていないことがうかがえます。

生理休暇の仕組み

ここまで生理休暇の概要や現状について確認してきましたが、「生理休暇」や「女性休暇」といった休暇制度を耳にしたことはあるが、実際には利用したことがない、制度の仕組みを理解できていない方も多いのではないでしょうか。

上述した通り、生理休暇は取得率も低く、その制度に関しての理解も決して高いものとはいえません。

また、「生理日なら無条件に休みがもらえる」「有給としてあつかってもらえる」のように、制度に対して誤った認識をもつ従業員も見受けられます。

改めて、生理休暇の仕組みについて確認しておきましょう。

生理休暇は、労働基準法において、「生理日の就業が著しく困難な場合に取得できる休暇」とされており、生理日であっても無条件に休暇を請求できるものではありません。

生理休暇は、あくまでも、該当する従業員本人の申告・請求をもとに、与えるべき休暇です。

また、企業側は、生理休暇の請求を拒否することはできません。

導入する際は、給与についてや取得単位についてなどを決めておき、スムーズに運用できるようにしましょう。

生理休暇を導入する際のポイント

多様な働き方や雇用形態が推進されている昨今、女性の働きやすい環境づくりの一環から、生理休暇制度の導入を検討する企業も少なくありません。

しかし、安易に運用を開始してしまうと、制度の恣意的な濫用や、不平不満の原因につながりかねません。

ここからは、生理休暇を導入・運用する際に、注意すべきポイントについてみていきましょう。

有給・無給かを決める

企業として生理休暇を導入する際は、有給か無給かを事前に決めておくようにしましょう。

「生理休暇=有給(月給なら欠勤控除されない)」と認識されているケースが見受けられますが、労働基準法においては、生理休暇について、有給で対応しなければいけないとは定めていません。

そのため、生理休暇で休んだ日に関しては、無給の休暇にすること自体問題ありません。

生理休暇は、症状が本人にしかわからないため、企業側がコントロールすることが難しい制度です。

そのため、「無給」として、不当な取得を防いでいる企業もあるでしょう。

気をつけるべきは、生理休暇を取得したことを理由とする不利益な扱いは禁止されているということです。

たとえば、賞与の額を決める際に、生理休暇の欠勤を加味するといった扱いは、生理休暇の取得を抑制してしまう可能性があり、「不利益な扱い」と認められる可能性があります。

取得単位を決める

生理休暇の取得は、1日単位である必要はなく、半日や時間単位での取得であっても問題ありません。

そのため、社内の制度で、フレキシブルな対応をとること自体は問題ありません。

しかし、月給制の企業で、生理休暇を無給とする場合、1時間単位での取得は、生理休暇で無給分となる金額を計算する際にやや煩雑となる可能性があります。

この辺りの管理に不安がある企業の場合は、時間単位での取得を認めるか否か、慎重に判断するようにしましょう。

従業員に周知をはかる

生理休暇の請求率が低い要因として、「生理休暇を請求するのが恥ずかしい」「生理の時期のつらさを男性が共感してくれない」「職場の雰囲気的に休みづらい」といった理由が挙げられます。

しかし、生理前と生理中においては、仕事に支障が出るほど体調が良くないという場面は、個人差はあれど、往々にしてあり得るはずです。

就業することが困難な体調では、生産性は高いとはいえず、従業員・企業側双方にとって、メリットはないでしょう。

従業員が本来のパフォーマンスを発揮し、安心して働くことができる職場づくりを促進するためには、生理休暇の制度の存在だけでなく、その意義についても社内に周知して、生理休暇が取得しやすい環境を整える必要があります。

不正利用への対応を検討する

生理休暇の取得について、経営層や管理職層が消極的な印象を抱く要因として、生理休暇の濫用があげられます。

たとえば、就業困難な状態ではないけれど、生理中であることを理由に、安易に休暇をとる従業員の存在を危惧されているといったケースなどがイメージしやすいでしょう。

生理前・生理中の体調不良の深刻さは、個人差があるため、「就業困難な状況かどうか」は、従業員本人の判断に委ねるしかありません。

また、そこに会社側から異議をはさむと、生理休暇の存在意義自体が薄れてしまいかねません。

こういった不正使用を防ぐためには、生理休暇は無給とする、公平性の観点から、同僚の証言等による証明を求める場合がある旨などを規定にくわえるなど、対処を検討するようにしましょう。

申請方法を検討する

生理休暇を申請することは、プライベートな情報を開示することにもなるため、生理休暇を申請すること自体をためらってしまう場面もあるでしょう。

生理前・生理中のつらさは、どうしても男性には共感しづらい側面があり、生理休暇の申請をうけた男性上司が、悪気なく「○○さんは、本日生理休暇です。」などと、職場に情報共有するだけでも、生理休暇を取得した当人や、周囲の女性従業員にとっては、居心地の悪い思いをさせてしまいます。

このため、申請方法や窓口は、限られた人物のみがアクセスできるものとする、不用意に生理休暇取得の事実が拡散されないようにするなどの配慮が必要となります。

しかし、申請方法を限定的にすることで、申請のハードルがあがり、間口をかえって狭めてしまう可能性もあるため、申請方法については、慎重に検討する必要があります。

たとえば、社内のコミュニケーションツールで、該当者のみアクセスできるようにグループ分けしておき、申請はそのツールでおこなうといった形が、現実的な手法のひとつと言えるでしょう。

生理休暇を導入する際のNG3項目

働く女性の権利である生理休暇ですが、運用を誤ってしまうと、思わぬトラブルにつながりかねません。

ここからは、生理休暇制度を導入・運用する際に、やってしまいがちなNG項目を、代表的な3点に絞って解説します。

 

取得日数を制限してはいけない

生理休暇に取得日数の制限を設けることはできません。

生理休暇制度を規定するうえで、無制限な生理休暇の取得に歯止めをかけるために、「生理休暇の取得は、年間で×日以内とする」といった規定を盛り込んでしまうケースが見受けられますが、労働基準法においては、生理休暇の上限については定められておらず、会社側で制限を設けることも不可能です。

生理休暇の趣旨から考えてみても体調不良の容態や休むべき日数は、個人によって異なるため、休暇の取得を阻害することは、好ましいものではないことがわかるでしょう。

ただし、上述した通り、生理休暇の取得単位については、1日単位や半日単位、時間単位など、どのようにするかを企業のルールで定めることができます。

職場の実態や管理体制を踏まえて、規定を整えるようにしましょう。

雇用形態を限定してはいけない

生理休暇は、正社員やパート、アルバイトなど、雇用形態に関わらず使用することができる制度です。

そのため、「生理休暇の取得は、正社員に限定し、パートタイマーの生理休暇の取得は認めない」といった、雇用形態によって、生理休暇の取得を限定するようなルールをつくることはできません。

これも、生理休暇の趣旨から考えて、当然のことといえますが、安易に休暇をとられることを避けるために規定に盛り込んでしまうケースが見受けられるため、注意が必要です。

診断書などの提出を求めてはいけない

生理休暇は、診断書などの提出を求めることもできません。

生理休暇制度の運用における実態として、生理休暇の取得日数が多い従業員について、「本当に生理痛等で就業が困難な状況なのか」を、客観的な目線で判断するために、診断書を求めるといった場面も見受けられます。

経営層の立場からすると、生理休暇の取得を全然していない従業員がいる一方で、何日も生理休暇を取得している従業員がいれば、こういった対応をとりたくなる心情も理解できます。

しかしながら、過去の判例においても、診断書の提出を求めることは妥当ではないと判断されたケースもあるため、基本的には診断書の提出を求めることはできないと理解しておきましょう。

生理休暇の企業事例

まだまだ活用が浸透しているといえない生理休暇ですが、一部の職場においては、女性従業員の福利厚生を充実させるために、積極的に制度拡充を図るとりくみがおこなわれています。

生理休暇制度の運用を成功させるために、ヒントになるようなとりくみ事例について、みていきましょう。

ITサービス企業のとりくみ事例

あるITサービスを提供する企業では、従来、生理休暇は無給扱いとしていたため、年次有給休暇を取得して、生理休暇の替わりにしている従業員が多数いるという状況が生まれていました。

この企業では、この問題を解決するために、生理休暇の活用を、月に1日までは、有給扱いとする規定を設けました。

これにより、生理休暇の取得率はあがり、低迷していた従業員満足度も向上させることにも成功しています。

また、この企業では、社内トイレに生理用品を設置し、従業員が自由に利用できるようにするなど、制度活用の促進に加えて、従業員が、健康的に働ける環境づくりに努めています。[※3]

機械メーカーのとりくみ事例

とある機械メーカーでは、生理休暇自体は導入していたものの、職場の雰囲気的に、体調が優れなくても、生理休暇の取得が申請しづらい状況にありました。

この企業では、このような状況を改善するために、女性の生理痛など、女性特有の事情を社内全体で認識できるように、外部機関を利用してセミナーを開催しました。

また、「生理休暇制度」の名称も改め、とりくみの効果を検証するチームを社内に結成し、意識改革にとりくんだ結果、以前よりも生理休暇の取得がしやすい環境になり、取得率の向上に成功しています。

[※4]

社内コミュニケーションには「Chatwork」を活用しよう

働き方や雇用形態の多様化で、女性労働者が活躍する場面は増えていますが、働く女性の健康を支える生理休暇の取得率は、まだまだ低いことが現状です。

しかし、これは言い換えると、生理休暇制度の拡充は、ほかの競合との強力な差別化の打ち手になり得るということになります。

今後、就労人口が減少する日本の将来を考えても、女性従業員にとって魅力のある職場づくりは、働き手を確保するという観点からも、非常に有意義なとりくみになるはずです。

とくに、人手不足が深刻な中小企業にとっては、先んじて生理休暇制度の構築を実現できれば、大きなアドバンテージになることが期待できます。

まずは、少しずつでも、制度構築を検討してみましょう。

生理休暇の運用に便利なツールとして、ビジネスチャット「Chatwork」があげられます。

「Chatwork」は、チャット形式でメッセージのやりとりが実現できるツールで、システムが苦手な方でも、簡単に利用できるシンプル仕様になっています。

生理休暇を申請する際に、「Chatwork」を活用すると、プライバシーの保護の観点からも、直接伝えにくいという観点からも、効果的に利用することができるでしょう。

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[※1]出典:労働基準法 | e-Gov法令検索「第六十八条 (生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
[※2]出典:厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r02/03.pdf
[※3]出典:株式会社アイル「社員の声から「生理休暇」を有給として制定。社内に生理用品も設置 」
https://www.ill.co.jp/info/201214/
[※4]出典:河村電器産業株式会社 「働く女性の健康応援サイト」
https://joseishugyo.mhlw.go.jp/health/kawamura-co.ltd.html
※本記事は、2023年3月時点の情報をもとに作成しています。

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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

記事監修者:國領卓巳

2009年京都産業大学法学部卒業、2010年に社会保険労務士の資格を取得。建設業界、製造業、社会保険労務士兼行政書士事務所での勤務を経て独立開業。行政書士資格も取得。中小企業の社長向けに「労務管理代行、アドバイザリー事業」「助成金申請代行事業」「各種補助金(事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金など)」を展開、企業経営のサポートをおこなう。

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生理休暇に関するQ&A

生理休暇とはどのような休暇ですか?

生理休暇とは、女性従業員が、生理前および生理期間中の体調不良により、業務の遂行が困難になった場合に、従業員の申告をもとに付与される休暇のことです。

生理休暇は、福利厚生のひとつと思われがちですが、労働基準法で規定されている休暇のひとつです。

生理休暇は有給ですか?

労働基準法では、生理休暇を有給とすべきと定められていません。

そのため、有給扱いとするか、無給扱いとするかは、企業が生理休暇を導入する際に決める必要があります。

生理休暇は、生理休暇を導入する際のポイントをおさえた上で、導入するようにしましょう。

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