公休とは?有給との違いや給与の仕組み、導入の注意点について解説

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働き方改革
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公休とは?有給との違いや給与の仕組み、導入の注意点について解説

目次

「公休」という言葉をよく耳にすると思いますが、その意味や仕組みをご存じでしょうか。

公休は有給や特別休暇など、企業が管理している休みのうちのひとつです。

この記事では、公休の意味や有給との違い、給与の仕組みを詳しく解説します。

公休とは

公休とは「企業が定めた休日」のことで、一般的には就業規則に規定されている休日を意味しています。

多くの企業では土曜日や日曜日、祝日を休日としていますが、企業や所属する部署によって公休の曜日は異なります。

また、公休は大きく分けて以下の2種類に分類されます。

  • 法律で定められた休日:法定休日
  • 法定休日以外の休日:法定外休日

法律で定められた休日が「法定休日」、企業が任意で定めた法定休日以外の休日が「法定外休日」です。

法律により、週1日または4週間を通じて4日間を法定休日として設定しなければならず、多くの企業では週1日を法定休日として設定しています。

「公休扱い」とは

業務で「公休扱い」という言葉を耳にすることは多いのではないでしょうか。

「公休扱い」とは、勤怠管理上でよく使われる言葉で「欠勤にならない休日」のことです。

たとえば、結婚式や葬式などに参加する際に企業が休日として認めていれば、その日は「公休扱い」になります。

公休として休んでいるため、人事評価や有給の付与条件である出勤率には影響しません。

公休の最低日数

公休の最低日数は、1日8時間勤務のフルタイムだと105日になります。

105日である理由は、労働時間の上限と関係しています。

労働基準法では、労働時間が週40時間を上限としているため、1年が52週だと最大労働時間は2,080時間になります。

1日の労働時間が8時間だとすると、最大の労働日は「2,080時間÷8時間」で260日です。

1年は365日なので、「365日-260日」で105日となります。

よって、1日8時間勤務のフルタイムは105日が公休の最低日数となり、105日を下回ることはできません。

ただし労働基準法の最低休日日数は、週1日または4週間を通じて4日間としているため、105日を下回っても違法ではありません。

実際に労働時間が8時間未満の場合は、105日を下回る場合もあります。[※1]

公休の給与の仕組み

公休は、基本的に給与が発生しません。

これは「ノーワークノーペイの原則」にのっとった、労働者が働いていない場合は、その部分についての賃金を支払う義務はないという、給与計算の基本原則があるためです。

そのため、基本的に労働者が労務を提供しなければ、給与は発生しない仕組みになっています。

公休と有給の違い

有給とは「給与が支払われる休暇」のことです。

有給は勤続年数に応じて付与され、労働者の権利として任意の日に取得ができます。

また「労働の免除」としての役割があるため、公休では取得ができません。

つまり、公休が「企業が定めた無給の休日」であるのに対し、有給は「労働者が自由に取得可能な有給の休暇」ということです。

>【社労士監修】有給休暇とは?に関する記事はこちら

公休と法定休暇との違い

法定休暇とは「法律で定めのある休暇」のことをいい、主に以下の休暇を指します。

  • 年次有給休暇
  • 育児休暇
  • 介護休暇
  • 子の看護休暇
  • 生理休暇

上記の休暇は、法律で定められた条件を満たしていれば誰でも取得が可能です。

一方、公休は企業が定めた休日であり、休むために特定の条件はありません。

>【社労士監修】介護休暇とは?に関する記事はこちら

>【社労士監修】子の看護休暇とは?に関する記事はこちら

>【社労士監修】生理休暇とは?に関する記事はこちら

公休と特別休暇との違い

特別休暇とは法律に定めがない休暇で、企業が福利厚生のひとつとして従業員に与える休暇のことをいいます。

法定休暇とは違い、法律では定められておらず、企業が自由に条件や日数を定めることができます。

代表的な特別休暇は以下のとおりです。

  • 私傷病休暇
  • 慶弔休暇
  • 結婚休暇
  • ボランティア休暇
  • リフレッシュ休暇

上記の休暇は、公休や法定休暇とは別に取得が可能です。

公休が「企業が定める休日」であるのに対し、特別休暇は「企業が定める休暇」ということです。

>【社労士監修】リフレッシュ休暇とは?に関する記事はこちら

公休に出勤する際の注意点

公休はもともと出勤する予定のない日です。

しかし、仕事の都合上どうしても出勤せざるを得ない場合があります。

そのときに総務や人事などの管理部門が注意すべきことは以下の2点です。

  • 割増賃金が必要になる
  • 代休や振替休日が必要になる

それぞれを解説します。

割増賃金が必要になる

公休に従業員が出勤したときは、割増賃金の支払いが必要になる場合があります。

割増賃金の計算は、出勤した日が法定休日か法定外休日かで違いがあります。

計算の違いは以下のとおりです。

  • 法定休日に出勤:休日の労働時間×1.35倍
  • 法定外休日に出勤:週40時間を超えた労働時間×1.25倍

>【社労士監修】割増賃金の引き上げとは?に関する記事はこちら

法定休日に出勤

法定休日に出勤したときは、通常の1.35倍の割増賃金が発生します。

たとえば、従業員が法定休日に8時間働いた場合は「8時間×1.35倍」の割増賃金の支払いが必要です。

法定外休日に出勤

法定外休日に出勤したときは、週の労働時間が40時間を超えた時間から1.25倍の割増賃金が発生します。

たとえば、従業員が週35時間働いた状態で法定外休日に8時間働いた場合は、40時間を超えた3時間分、つまり「3時間×1.25倍」の割増賃金の支払いが必要です。

このように、法定休日か法定外休日かで割増賃金の計算が異なるため、給与計算のときにはよく確認したうえで計算を行いましょう。

代休や振替休日が必要になる

代休や振替休日は法律で定められてはいないものの、多くの企業で導入されている制度です。

代休や振替休日を付与することで従業員の休日が確保でき、人件費も抑えることができます。

まずは代休と振替休日の違いについて解説します。

代休

代休とは休日出勤が行われた場合に、その代わりとして休日出勤日以降の労働日を休日とする制度です。[※2]

代休を取得した場合は所定労働時間分の賃金を控除し、休日出勤分と相殺します。

たとえば、時給1,500円の従業員が法定休日に8時間働いた場合は「1,500円×8時間×1.35」で16,200円の割増賃金の支払いが必要です。

しかし、従業員が後日代休を取得した場合は「1,500円×8時間」の12,000円を控除します。

つまり「16,200円-12,000円」で割り増し分の4,200円が従業員に支給されるということです。

ただし、企業の規定によっては計算が異なる場合もあるので、就業規則を確認してから代休の計算を行いましょう。

振替休日

振替休日は事前に休日と労働日を入れ替える制度です。

たとえば、法定休日の日曜日に出勤を予定している場合、振替休日を使って事前に木曜日と日曜日を入れ替えることができます。

そうすることで木曜日が休日となり、日曜日が休日出勤にならず割増賃金が発生しません。

ただし、週をまたいで入れ替えた場合は労働時間が週40時間を超える可能性があります。

振替休日により労働時間が週40時間を超えた場合は、超えた分の割増賃金の支払いが必要です。[※2]

代休と振替休日が両方ある場合

企業の規定により、代休と振替休日の両方がある場合は、就業規則に従って判断しましょう。

もし、就業規則に具体的な処理方法の記載がない場合は「事前に休日出勤が分かっていたかどうか」が判断のポイントです。

振替休日は「事前」に日を入れ替えることから、休日出勤が事前に分かっていなければ使用できません。

一方、代休はやむを得ず休日に出勤せざるを得ない状況で、後日代わりに休むための制度です。

判断に迷った際は、休日出勤が事前に分かっていたかどうかで判断するとよいでしょう。

公休の注意点

最後に公休の注意点として以下3つの対応を解説します。

  • 自然災害発生時の対応
  • アルバイトやパートへの対応
  • 繰り越しはできない

自然災害発生時の対応

通常、従業員の休日労働は時間外・休日労働の上限規制で定められている時間を超えてはいけません。

しかし、労働基準法第33条により自然災害時は上限に関わらず、時間外・休日労働をさせることができます。

また原則、事前に届出が必要になりますが、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける時間がない場合は、事後に遅滞なく届け出れば問題ありません。[※3]

アルバイトやパートへの対応

アルバイトやパートなどの非正規社員に対しても法律は適用されます。

たとえば、労働時間が1日4時間のアルバイトでも法律の最低条件である週1日以上または4週間を通じて合計4日以上の休日が必要です。

また、休日出勤の割増賃金も適用されます。

雇用形態に関わらず勤怠を管理し、法律を遵守しましょう。[※1]

繰り越しはできない

公休は休日出勤した分を次の年に繰越すことはできません。

一方、有給は付与してから1年間経過して使用していない分は翌年に繰り越しが可能です。

公休と有給は区分して管理するようにしましょう。

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公休とは企業が定めた休日のことです。

公休は有給や特別休暇と扱いが異なるため、休日と休暇をしっかり区分し、適切な勤怠管理を行いましょう。

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[※1]出典:厚生労働省「労働時間・休日」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html
[※2]出典:厚生労働省「振替休日と代休の違いは何か。」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_12.html
[※3]出典:厚生労働省「労働基準法第33条(災害時の時間外労働等)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001autj.html
※本記事は、2022年8月時点の情報をもとに作成しています。


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。


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記事監修者:北 光太郎(きた こうたろう)

きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアで労働法や社会保険の情報を提供している。

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