【社労士監修】子の看護休暇とは?対象者や給与、条件をわかりやすく解説

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働き方改革
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【社労士監修】子の看護休暇とは?対象者や給与、条件をわかりやすく解説

目次

子育てをしながら仕事をしている従業員は、子どもの病気や怪我によって仕事を休まざるを得ない日もあります。

子の看護休暇は、そんな子育て世代を支援する制度として、企業に導入が義務付けられている休暇制度のことです。

子の看護休暇の制度内容について、対象者や給与の支給方法、条件や注意点などを詳しく解説します。

子の看護休暇とは

子の看護休暇とは、小学校就学前の子どもを養育する従業員が、子どもの世話をする目的で、取得できる休暇制度のことです。

対象となる子どもが、1人につき5日、2人以上の場合は10日を、有給休暇とは別に取得することができます。

介護休暇との違い

介護休暇とは、介護が必要な家族がいる従業員が取得できる休暇制度のことです。

介護休暇は、介護を目的として、有給休暇とは別に、介護対象者が1人につき5日、2人以上で10日の休暇を取得することができる制度のことです。

一方で、子の看護休暇は、小学校就学前の子どもを養育している従業員が対象となる休暇制度です。

子どもの看病や予防接種など、子どもの看護を目的として取得できることから、介護休暇とは別の休暇として設けられています。[※1]

子の看護休暇を利用する際の条件

子の看護休暇を取得するためには、一定の条件を満たしている必要があります。

子の看護休暇を利用する際の条件ついて詳しくみていきましょう。

子の看護休暇の対象者

子の看護休暇の対象者は、男女問わず小学校就学前の子どもを養育する従業員です。

日雇い労働者を除いて、正社員だけではなく、パートやアルバイトなど雇用形態に関わらず取得することができます。

ただし企業側は、労使協定を締結することで、以下に該当する従業員に対して取得を拒むこともできます。[※1]

  • 入社6か月未満の従業員
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

子の看護休暇を利用できるシーン

子の看護休暇を利用できるシーンとしては、以下の事例などが考えられるでしょう。

  • 急な発熱で看病をする
  • 怪我をして病院に付き添う
  • 予防接種に付き添う

上記の事例のように、子どもの世話を目的にしていれば、子の看護休暇を取得することができます。

子の看護休暇の給与

子の看護休暇の取得日に対して給与を支給するか否かは、企業側の判断に任せられています。

そのため、子の看護休暇を無給とすることも可能です。[※1]

ただし、有給にすることで企業イメージの向上や、助成金の対象となる場合もあり、従業員の育児支援の観点からすると、有給とする方が望ましいでしょう。

子の看護休暇の取得方法

従業員に子の看護休暇を申請してもらうにあたり、以下の事項は必ず提示させるようにしましょう。

  • 子どもの生年月日
  • 取得年月日
  • 申請理由

生年月日や申請理由を記載してもらうことで、法律に遵守した運用が可能になります。

子の看護休暇は、まとめて取得することも認められているため、申請のフォーマットを作成する場合は、複数日を記載できるフォーマットを用意しておくようにしましょう。

子の看護休暇の注意点

子の看護休暇は、取得する目的が明確にあることから、有給休暇や欠勤とは異なる対応をしなければいけません。

ここからは、子の看護休暇を円滑に運用するための注意点を解説します。

時季変更権が適応できない

子の看護休暇は、有給休暇とは異なり、時季変更権を適用することができません。

そもそも子どもの看護が目的の休暇制度であるため、時季を変更すれば、子どもの世話ができなくなるためです。

そのため、事業の運営を妨げる状況であっても、従業員から取得の申し出があった場合は、企業側は、休暇の申請を拒むことができません。

>【社労士監修】有給の時季変更権とは?に関する記事はこちら

通常の欠勤とは扱いをかえる

通常の欠勤は、評価の査定に影響することがありますが、子の看護休暇の取得は、評価に影響させることができません。

企業は、育児・介護休業法によって義務付けられた制度を利用した従業員に対して、不利益に取り扱うことが禁止されています。

そのため、子の看護休暇を取得した日は、欠勤とは扱いを変えて運用する必要があることを覚えておきましょう。

時間単位で取得できる

2021年1月1日の育児・介護休業法施行規則等の改正により、子の看護休暇が、時間単位で取得できるようになりました。

企業は、子の看護休暇の勤怠管理において、残時間数の管理をしなければいけません。

なお、法律ではいわゆる「中抜け」がない休暇を想定しているため、より取得しやすくなるよう「中抜け」を認めるよう配慮も求められています。[※2]

子の看護休暇に関わる助成金

子の看護休暇に関わる助成金には、「両立支援等助成金の育児休業等支援コース」があります。

これは、職場復帰後の支援として、育児休業から復帰した従業員に対し、法律を上回る取り組みをした中小企業事業主に支給される助成金のことです。

受給条件や金額について、詳しくみていきましょう。[※3]

助成金の受給条件

両立支援助成金の育児休業等支援コース(職場復帰後支援)を受給するためには、法律で定められている子の看護休暇の条件を上回る必要があります。

具体的には、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 有給の休暇となっている
  • 中抜けを許可している

上記2点の要件を満たしていれば、助成金に有効な子の看護休暇として認められます。

また、申請の対象となる従業員は以下のとおりです。

  • 1か月以上の育児休業(産後休業を含む)取得後、現職に復帰している
  • 従業員1名につき、育休復帰後6か月間で有給の子の看護休暇を10時間以上取得している

なお、制度の利用は、最初の申請日から3年以内5人までが対象となります。[※3]

助成金の金額

両立支援助成金の育児休業等支援コース(職場復帰後支援)の金額は以下のとおりです。

  • 制度導入:28.5万円
  • 子の看護休暇取得:1時間あたり1,000円(10時間以上の取得で申請可能)

上記2点をあわせて申請する必要があります。

なお、子の看護休暇取得に対する上限は、200時間までです。[※3]

子の看護休暇を運用する際のポイント

子の看護休暇の利用を促進させるためには、職場の環境整備や制度の周知が大切です。

ここからは、子の看護休暇を運用する際のポイントについて、詳しく解説します。

従業員フォローを欠かさずにおこなう

従業員が、子の看護休暇を取得しやすくなるように、できるだけ属人化した業務をなくし、組織で業務をフォローしあえる体制を構築することが大切です。

また、子の看護休暇を取得しない従業員に対しても、業務が偏らないように、バランスを考えながら業務を配分することが大切です。

休暇を取得しない従業員に業務が偏ってしまうと、職場の雰囲気や人間関係が悪化する恐れもあるため、業務を円滑に遂行するためにも、欠かせない対応といえるでしょう。

制度目的を社内周知する

子の看護休暇は、産休や育休とは異なり、認知度が高いとは言えない休暇制度のため、取得できる条件や申請方法が従業員に周知されていなければ、利用されにくいでしょう。

社内の掲示板やポータルサイト、社内報など、従業員が目にしやすい場所に掲示し、積極的に周知をおこなうことが大切です。

また、育児休業から復帰した従業員に対して、子の看護休暇の制度内容を個別に説明することも、ひとつの周知方法です。

>Web社内報のメリットに関する記事はこちら

円滑なコミュニケーションには「Chatwork」

子の看護休暇は、小学校就学前の子どもを養育する従業員が、子どもの世話をする目的で取得ができる休暇制度です。

取得日を有給にするか無給にするかは、企業側の判断に委ねられていますが、有給にすることで助成金が受給できるメリットなどがあります。

共働き世帯が増えている昨今では、子の看護休暇を取得しやすい環境を整えることが、従業員が生き生きと働くうえでも重要と考えられるでしょう。

ビジネスチャット「Chatwork」は、無料で簡単に利用できるコミュニケーションツールです。

休暇を取得したい従業員がいた場合、チャット形式で簡単に連絡ができるため、従業員の負担を軽減することにつながります。

また、チャット機能だけでなく、タスク管理機能やファイル管理機能も搭載されているため、子の看護休暇に限らず、申請をおこなう必要がある業務を、円滑に運用するうえで、役立てることができるでしょう。

>Chatworkの機能についてはこちら

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[※1]出典:宮城労働局雇用環境・均等室「子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得について」
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/content/contents/000618703.pdf
[※2]出典:厚生労働省「⼦の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf
[※3]出典:厚生労働省「両立支援等助成金のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/000927607.pdf
※本記事は、2023年4月時点の情報をもとに作成しています。


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。


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記事監修者:北 光太郎

きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアで労働法や社会保険の情報を提供している。

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