【社労士監修】モンスター社員とは?問題社員の特徴や対応方法を解説

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働き方改革
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【社労士監修】モンスター社員とは?問題社員の特徴や対応方法を解説

目次

仕事に対する姿勢や行動に問題がある社員は「モンスター社員」と呼ばれています。

モンスター社員への対応が遅れれば遅れるほど、離職者が増えるなど、企業に悪影響が及ぶ可能性が高くなります。

モンスター社員の特徴や行動を把握し、企業として適切な対応をとれるようにしましょう。

モンスター社員とは

「モンスター社員」とは、仕事に対する姿勢や行動に問題があり、職場環境に悪影響を及ぼす社員のことです。

たとえば、同僚や上司への誹謗中傷をおこなったり、業務命令に従わなかったりなど、繰り返し問題行動を起こす社員のことをいいます。

モンスター社員が職場に存在すると、ほかの従業員のモチベーションや生産性が下がり、企業全体に影響が出る可能性があります。

企業側は指導を徹底し、改善が見られない場合には懲戒処分や退職勧奨の検討も必要です。

モンスター社員の6つの特徴

モンスター社員の特徴は人によってさまざまですが、ここでは大きく以下の6つに分けて解説します。

  1. 社会人としてのモラルがない
  2. ハラスメント行為をする
  3. 自分の能力を過大評価しすぎる
  4. 仕事に対して不誠実・怠ける
  5. 協調性がない
  6. 家族が介入してくる

特徴(1):社会人としてのモラルがない

社会人としてのモラルがないモンスター社員は、他人への配慮に欠け、自己の利益を優先する傾向があります。

嘘や責任転嫁などを通じて自己保身を図り、法律や規則を無視することもあるでしょう。

行動によっては、企業の信用低下につながる可能性があるため、早期の対応が必要です。

特徴(2):ハラスメント行為をする

ハラスメント行為をするモンスター社員は、言葉や行動を通じて、同僚や部下を脅迫し、侮辱する行動をとります。

そのような行為は、ほかの従業員の心理的な苦痛を引き起こし、職場の健全な環境を損なうだけでなく、生産性にも悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。

>【社労士監修】ハラスメントの定義とは?に関する記事はこちら

特徴(3):自分の能力を過大評価しすぎる

自分の能力や知識を過大評価し、他人の意見やアドバイスを拒むモンスター社員もいます。

自分自身の能力を過度に強調し、他のメンバーよりも優れていると信じているため、意見が通らないと感情的になることもあります。

自己過信は、チームワークを損ない、プロジェクトの成果や効率に影響を与えることがあるため、早めの対処が求められます。

特徴(4):仕事に対して不誠実・怠ける

義務を果たすことよりも、責任を回避し、最小限の努力で仕事をこなそうとするモンスター社員もいます。

仕事に対して不誠実なモンスター社員は、納期を守らず、品質にも無頓着であるため、業績に寄与しません。

このような態度は、組織全体のモチベーションを低下させ、生産性や効率を損なう可能性があります。

特徴(5):協調性がない

チームの協力を無視したり、コミュニケーションを軽視したりなど、協調性がない人もいます。

協力関係の構築が難しくなると、チーム全体の成果に悪影響を及ぼすことがあるため、配置転換や業務配分の見直しが必要です。

また、協調性のない態度は、職場の雰囲気を悪化させ、従業員同士の対立を引き起こす可能性もあります。

>職場の人間関係が難しい理由に関する記事はこちら

特徴(6):家族が介入してくる

家族が職場の状況や問題に介入するタイプのモンスター社員もいます。

社員の家族が仕事の進め方や同僚との関係に口を出したり、配置や昇進などに意見したりするなど、家族の関与によって職場でトラブルや対立が起きることがあります。

しかし、なかには、「親が来るのを止められなかった」など、従業員本人の意思ではなくとも家族が介入する場合があるため、必ず本人と対話するようにしましょう。

モンスター社員が発生する理由

モンスター社員はなぜ発生してしまうのでしょうか。

モンスター社員が発生する理由を解説します。

自分に自信がない

モンスター社員のなかには、自分の能力や価値を過小評価し、その自信のなさから、他人に対して攻撃的になってしまう人もいます。

自分の能力に対してコンプレックスを抱いており、他人からの目を気にして、自分を大きく見せたいがために、問題行動をとるケースも少なくありません。

注目されることで周りから認めてもらっている感覚になり、承認欲求を満たしていると考えられます。

感情のコントロールができない

仕事やプライベートで大きなストレスやプレッシャーを抱え、感情のコントロールができない状態になっている場合があります。

ストレスを溜め込んでいると、物事を批判的に捉えたり、反抗的になったりしやすくなります。

なかには、仕事ができないと周りに悟られたくないという思いが強く、感情が先走るモンスター社員もいるでしょう。

能力不足

仕事に必要なスキルや知識が不足しており、業務を適切にこなせないことがあります。

自分の限界を認めずに責任を果たそうとするため、ストレスやプレッシャーを抱え込むこともあるでしょう。

本人には悪気はないため、周囲がフォローを徹底することが大切です。

教育・指導不足

適切な教育や指導を受けてこなかったことで、知識やモラルが欠けており、本人が悪意なく問題行動を起こしてしまうケースもあります。

企業側が能力不足を理由に従業員を解雇しても、十分な教育・指導がおこなわれていなければ、不当解雇になる可能性もあるため、まずは教育体制を見直すことが大切です。

モンスター社員を放置するリスク・悪影響

モンスター社員を放置してしまうと、企業にとって、さまざまなリスクや悪影響を及ぶ可能性があります。

  • 職場環境の悪化
  • 業務効率の低下
  • 人材流出
  • 取引先や顧客からの信頼喪失

それぞれのリスクを詳しく解説します。

職場環境の悪化

モンスター社員を放置すると、問題行動や不適切な態度が、ほかの従業員のモチベーションを低下させ、職場環境の悪化につながるリスクがあります。

また、組織全体の生産性が低下してしまうと、業績に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。

企業は、モンスター社員による悪影響を防ぐためにも、早期の対応と適切な是正策を講じることが大切です。

業務効率の低下

モンスター社員の不適切な行動や非協力的な行動は、仕事の進行やほかの従業員の業務に支障をきたす可能性があります。

業務の調整やコミュニケーションが困難となると、業務効率が低下し、業務の進捗に影響が出る可能性もあるでしょう。

モンスター社員の行動を早期に是正し、業務の円滑化と効率向上を図る必要があります。

人材流出

周囲に悪影響を及ぼすモンスター社員がいると、職場の雰囲気を悪化させ、優秀な人材が不快な環境で働くことに耐えかねて退職する可能性が高まります。

モンスター社員に適切に対処しなければ、人材が定着せず、事業に影響を及ぼすリスクがあるでしょう。

取引先や顧客からの信頼喪失

モンスター社員の行動や態度が、取引先や顧客の信頼関係喪失につながる可能性があります。

コミュニケーションの不備や対応の遅れが生じると、最終的には取引関係の維持や事業に悪影響を及ぼすことも考えられます。

モンスター社員への対応は、組織の信頼性と取引関係の健全性を守るためにも、必要不可欠です。

モンスター社員への適切な対応方法

モンスター社員が発生した場合、どのような対応をすればいいのでしょうか。

ここからは、モンスター社員への適切な対応方法として、5つの方法を詳しく解説します。

  • 配置転換
  • 定期的な面談
  • 注意・指導
  • 懲戒処分
  • 解雇

配置転換

適切な業務や環境への配置転換により、対象者の能力や興味にあった仕事に従事できると、モンスター社員のモチベーションや行動が改善され、適切なポジションで能力を発揮できる可能性が高まります。

ただし、適切な指導とサポートをしなければ、転換先でも問題を起こす可能性があるため、慎重に転換先を選定しなければいけません。

定期的な面談

定期的な面談を通じて、モンスター社員の進捗状況や抱えている課題や意見を共有し、改善の機会を提供することも、ひとつの対応方法です。

フィードバックを通じて、自身が起こしている行動の影響を明確にし、適切な方向へ導くことが大切です。

また、目標や評価が明確になることで、自己成長意識が高まることも期待できます。

面談を通じて問題を共有し、目標を与えてモンスター社員の能力とモチベーションを向上させましょう。

注意・指導

モンスター社員には、適切な注意・指導を通じて、行動の問題点や影響を明確に指摘し、期待する態度や仕事に対する姿勢を共有することが必要です。

具体的な改善策や目標を共有し、適切な指導を提供することで、自己改善に向けて努力できる環境を整えましょう。

また、成果や改善が見られた場合には、適切に評価することでモチベーションを高めることができます。

懲戒処分

指導・注意をおこなったにもかかわらず、問題行動を繰り返し見られた場合は、懲戒処分を検討しましょう。

懲戒処分は、モンスター社員を対処する手段のひとつですが、不用意に処分をおこなうと、懲戒処分が不当であるとして訴訟を起こされるリスクもあります。

そのため、十分に指導・注意をおこなったうえで、慎重に処分を検討する必要があります。

解雇

解雇は、教育や配置転換など、問題行動を改善する機会を十分に与えたにも関わらず、改善されない場合の最終手段です。

能力不足を理由に従業員を解雇した裁判例では、配置転換などの機会を与えずにおこなった解雇が不当解雇であると判断されたケースが多数存在します。

能力面で問題を抱えていたり、業務命令に従わないモンスター社員についても、安易に解雇を即断するのではなく、配置転換や業務変更などにより改善の機会を与えてから判断しましょう。[※1]

モンスター社員に対応する際のポイント

企業側がモンスター社員に対応する際は、どのような点を意識することが大切なのでしょうか。

ここからは、モンスター社員に対応する際のポイントを3つ解説します。

  • 指導の記録を残す
  • 客観的な事実を残す
  • 冷静に対応する

効果的に対応するためにも、3つのポイントをそれぞれ詳しく確認していきましょう。

指導の記録を残す

企業側が、モンスター社員にどういった指導をおこなったのかを記録することが大切です。

記録を残すことで、懲戒処分や解雇の手続きをする際に、企業側が問題行為に対して改善を促したことが証明されます。

客観的な事実を残す

モンスター社員を指導する際は、問題行動に対する客観的な事実を残しましょう。

たとえば、「x月x日に指示したが、実行されていない」「○○に対するメールはパワハラに該当する」など、具体的に示すことが大切です。

「協調性がない」「威圧的な態度をとる」などの主観的な言葉で指導しても、逆に反発や逆上させてしまい、トラブルになる可能性があるため、誰がみても評価が変わらない事実を残すことがポイントです。

冷静に対応する

モンスター社員に対応する際は、感情的な反応を避け、冷静に対応するようにしましょう。

冷静な態度は、感情に左右されずに問題点を把握し、適切な解決策を検討することができます。

指導する場合は感情的にならずに冷静な態度で対応することが大切です。

ケース別のモンスター社員への対応方法

モンスター社員への適切な対応は、問題行動の種類によって異なります。

ここからは、ケース別にモンスター社員の対応方法を解説します。

無断欠勤を繰り返す社員への対応

無断欠勤を繰り返す社員には、欠勤をする理由を聞き出す必要があります。

もし、やむを得ない急な理由で欠勤しているのであれば、会社に連絡するよう指導しなければなりません。

何度指導しても、無断欠勤を繰り返す場合は、懲戒処分や解雇を検討しましょう。

過去の判例では、2週間以上無断欠勤が続けば、解雇が正当と判断される目安とされています。[※2]

業務命令に従わない社員への対応

業務命令に従わない場合には、具体的な内容を書面などに残しましょう。

また、業務に従う旨を記載した誓約書を本人に提出させることで、業務に従わなかった事実を記録に残すことができます。

そのうえで、業務命令に従わなかった場合は、懲戒処分を検討しましょう。

パワハラをする社員への対応

モンスター社員が部下や同僚、上司などにパワハラを繰り返す場合には、当事者の双方にヒアリングをおこない、事実確認をしましょう。

パワハラの事実があった場合には、程度に応じて懲戒処分を検討します。

処分内容は、モンスター社員の反省の有無や被害者数なども考慮して決定しましょう。

>【社労士監修】パワーハラスメントの定義とは?に関する記事はこちら

モンスター社員を解雇することは可能なのか

日本の法律では、社員を解雇するハードルが高く、容易に解雇することはできません。

しかし、企業側が適正な指導をおこない、配置転換など十分な改善の機会を与えても、なお繰り返し問題行為がみられる場合には、解雇することができます。

安易に解雇してしまうと、不当解雇として企業側が訴えられ、トラブルになりかねません。

モンスター社員を解雇する際は、専門家などに相談し、適切な対応を取ることが大切です。

社内コミュニケーションに「Chatwork」

モンスター社員は、仕事に対する姿勢や行動に問題があり、職場環境に悪影響を及ぼす存在です。

企業は、モンスター社員の特徴を把握し、適切な対応を取るようにしましょう。

モンスター社員を辞めさせたいと思っても、即解雇することはできません。

まずは、指導を徹底し、定期的面談や配置転換などを通じて、モンスター社員に改善の機会を与えるようにしましょう。

ビジネスチャット「Chatwork」は、ビジネスシーンのコミュニケーション円滑化に効果的なチャットツールです。

個別のやりとりはもちろん、複数人でのやりとりも可能なため、部署やチームなどのコミュニケーションを活性化させ、風通しの良い職場作りにも効果的に活用することができます。

気軽にコミュニケーションをとることができるため、モンスター社員予備軍の社員に対して、密にコミュニケーションをとり、予防することもできるでしょう。

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[※1]出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「【解雇】労働者側の事情を理由とする解雇」
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/10/89.html
[※2]出典:厚生労働省「しっかりマスター労働基準法 解雇編」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/seido/kijunhou/shikkari-master/pdf/kaiko.pdf

※本記事は、2023年9月時点の情報をもとに作成しています。


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

記事監修者:北 光太郎

きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアで労働法や社会保険の情報を提供している。

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