「小1の壁」とは?原因と対策方法、行政の取り組みについて解説

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働き方改革
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「小1の壁」とは?原因と対策方法、行政の取り組みについて解説

目次

「小1の壁」とは、子どもが保育園から小学校に上がることで、仕事と子育ての両立がより難しくなる状況を指した言葉です。

子育てをしながら働く親にとって、仕事と子育ての両立は重要な問題です。

従業員が、仕事と子育てを両立させ、キャリアを続けていくためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

この記事では、「小1の壁」とはなにか、「小1の壁」が起こる理由、対策・対応方法について詳しく解説します。

「小1の壁」とは

「小1の壁」とは、子どもが保育園に通っていたときよりも、小学校に上がってからのほうが、子育てと仕事の両立が難しくなる状況を指した言葉です。

「子どもが小学校に上がったら、手がかからないようになり、もっと働けるようになるはず」と考えている人も多いでしょう。

しかし、実際には、小学校に上がってからのほうが、仕事と子育ての両立が難しくなるケースが多いです。

なぜ「小1の壁」は生じてしまうのでしょうか。

「小1の壁」の原因を詳しくみていきましょう。

「小1の壁」が起こる原因

従業員のキャリアを阻む要因にもなる「小1の壁」は、なぜ生じるのでしょうか。

「小1の壁」が起こる原因を3つ解説します。

  • 預かり時間の短縮
  • PTAや保護者会などの活動
  • 夏休みなどの長期休み

それぞれ詳しくみていきましょう。

預かり時間の短縮

「小1の壁」が起こる原因のひとつとして、小学校に上がってからのほうが、子どもの預かり時間が短くなってしまう点が挙げられます。

保育園は、開所時間も早く、親の労働条件によっては預ける時間の延長も可能です。

また、早期保育や延長保育も可能なため、比較的仕事と子育ての両立がしやすいと言えるでしょう。

一方で、小学校でも、学童保育などの子どもを預かってくれる制度はありますが、保育園に比べて預けられる時間が短い傾向があります。

また、学童保育は、保育園に比べてお迎えの時間も早いため、仕事に当てられる時間が短くなってしまうでしょう。

PTAや保護者会などの活動

小学校では、PTAや保護者会といった学校活動への参加が必要になりますが、これも「小1の壁」が生じる原因のひとつといえるでしょう。

たとえば、PTA役員になると、平日に休みをとる必要が出てきたり、仕事との時間調整が必要になったりします。

また、授業参観など、親の参加が求められる行事が小学校に上がると増えるため、必然的に子育てにかける時間が増える傾向があります。

夏休みなどの長期休み

小学校に上がると、夏休みや冬休みなどの長期休みが発生します。

学童保育が開所しているケースも多いですが、給食は休みになるため、お弁当などの食事の準備が必要になるでしょう。

また、学童保育が休みの場合は、子供を1人にしておけなくなり、仕事を休まなくてはいけないケースも出てくるでしょう。

「長期の休みのあいだどうするか」「これ以上仕事を休めない」など、さまざまな課題が生じると、親側の余裕がなくなり、家庭内の空気が悪くなってしまう危険性もあります。

「小1の壁」を機に退職するメリット・デメリット

仕事と家庭の両立が難しくなると、退職を検討する人もいるでしょう。

後悔の残る退職にならないように、「小1の壁」をきっかけに退職するメリット・デメリットの一例を紹介します。

「小1の壁」を機に退職するメリット

退職により、子育てに専念できるようになります。

仕事と子育ての両立に頭を悩ませる必要がなくなると、仕事のストレスから解放され、落ち着いて子どもと向き合えるようになります。

子どもにとっても、親と過ごせる時間が長くなる状況や、親のメンタルが安定している状態は、安心につながるでしょう。

「小1の壁」を機に退職するデメリット

退職すると、まず、収入減少というデメリットが発生します。

それまで労働によって得られていた収入がなくなるため、経済的な不安は増えるでしょう。

また、子育てが落ち着いたタイミングで復職しようと考えている場合は、ブランクが発生し、再就職が難しくなるケースがある点も認識しておく必要があります。

「小1の壁」を機に退職することは、親のキャリア設計にも影響します。

「小1の壁」に対する行政の取り組み

「小1の壁」は、女性の活躍躍進を目指す日本にとって、解消すべき社会問題のひとつでもあります。

そのため、国もさまざまな取り組みを開始しています。

本記事では、「放課後子ども総合プラン」と「新・放課後子ども総合プラン」のふたつの取り組みを紹介します。

放課後子ども総合プラン

「放課後子ども総合プラン」は、「小1の壁」を打破するために、厚生労働省と文部科学省が連携して進めている取り組みです。

この取り組みは、2019年度末までに、約30万人分の放課後児童クラブを新たに整備する目標のもと進められ、現在「新・放課後子ども総合プラン」に移行されています。

学校施設の活用といった具体的な推進方策を設定し、就学児童が放課後などに、安全・安心に過ごし、多様な体験活動ができることを目指して取り組まれました。[注1]

新・放課後子ども総合プラン

「放課後子ども総合プラン」は、順調に進んでいましたが、近年の女性就業率の上昇に伴い、共働き家庭の児童数増加が見込まれたため、より高い目標を掲げた「新・放課後子ども総合プラン」が策定されました。

「新・放課後子ども総合プラン」は、放課後児童クラブについて、2021年度末までに約25万人分を整備し、2023年度末までに計約30万人分の受け皿を整備することなどを目標としています。

すべての児童が放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるように、取り組みが進められています。[注2]

「小1の壁」への対応・対策方法

子育てと仕事の両立をしたい場合、どのような対応が必要になるでしょうか。

従業員・企業それぞれの視点から、「小1の壁」への対応・対策方法を紹介します。

まずは、実際に子育てと仕事の両立が必要になる従業員の視点から、「小1の壁」への対応・対策方法を見ていきましょう。

働き方を見直す

まず、働き方を見直すという方法があります。

たとえば、長期休みの期間に子どもを家にひとりにしないように、テレワークやリモートワークを選択する方法などがあげられるでしょう。

昨今、新型コロナウイルス感染症の影響で、多様な働き方を採用する企業が増えています。

テレワークやリモートワークの制度がない会社の場合でも、一度上司に相談してみることで、夏休みや冬休みなどの長期休みの期間だけ、働き方を変えられる可能性もあります。

>多様な働き方のメリットに関する記事はこちら

労働時間を見直す

短時間勤務や時差出勤など、労働時間の見直しも「小1の壁」への対応方法のひとつです。

労働時間をある程度コントロールできると、仕事と子育ての両立がしやすくなるでしょう。

また、不要な残業を減らすのも方法のひとつです。

「みんなが残っているからなんとなく帰りづらい」という場合、上司や同僚に事情を伝え、理解を得るようにしましょう。

不要な業務をなくし、残業を回避することで、学童保育の時間にあわせて子どもを迎えに行けるようになるケースもあります。

>時差出勤のメリットに関する記事はこちら

学童や地域サービスを活用する

学童保育などのサービスを活用する方法もあげられます。

学童保育や地域サービスの一例として、以下のようなものがあります。

名称 特徴
放課後子ども教室
  • すべての子どもが利用可能
  • 預けられる時間が短い
放課後児童クラブ
  • 場合によっては19時まで開所している
民間学童保育
  • 民間が運営している
  • 預けられる時間が長い施設もある
  • 夕食や送迎付きの施設もある

仕事の繁忙期のみ活用するなど、働き方にあわせて各サービスを使い分けることで、仕事と子育ての両立がしやすくなるでしょう。

ファミリーサポートを活用する

「ファミリーサポート」とは、子育ての援助を受けたい「依頼会員」と、育児の援助をおこなう「提供会員」が、会員同士で子育てを支援する行政の取り組みです。

ファミリーサポートを活用すると、放課後や急用時などに子どもを預かってもらうことができます。

ファミリーサポートの利用条件や利用方法は、自治体によって異なるため、活用したい場合は、事前に確認するようにしましょう。[注3]

家族と話し合う

仕事と子育ての両立は、母親・父親どちらかだけの問題ではないため、家族内でよく話し合うことも重要です。

家事や子育ての分担を話し合ってみるのもよいでしょう。

また、子どもを学童に預ける、習い事をさせるといった場合は、子ども本人の意思を確認することも大切です。

上司に相談する

「小1の壁」を乗り越えるために、上司に相談するのもよいでしょう。

働き方や労働時間の見直しには、上司や周囲の人の理解や協力が欠かせません。

また、相談することで、上司自身や、ほかの子育てと仕事を両立している従業員の工夫など、具体的なアドバイスをもらえる可能性もあります。

「小1の壁」を乗り越えるために企業ができること

最後に、従業員が「小1の壁」を乗り越えるために、企業側ができる取り組みの例を3つ紹介します。

  • 多様な働き方の導入
  • マネジメント層への理解促進
  • 積極的な声がけ

優秀な従業員が「小1の壁」を乗り越えられず、退職してしまう状況は、企業にとっても大きな損失につながります。

企業側も「小1の壁」を問題と捉え、積極的に解消を目指していきましょう。

多様な働き方の導入

前述してきたとおり、多様な働き方の導入は、子育てと仕事の両立に効果的な方法のひとつです。

たとえばリモートワークやテレワークの導入、時差出勤やフレックスタイムの導入など、さまざまな方法があるでしょう。

多様な働き方の導入は、子育て中の従業員に関わらず、幅広い従業員のワークライフバランスの実現にも効果的な方法です。

従業員が生産性高く業務に向き合うことができるように、働き方を見直してみましょう。

マネジメント層への理解促進

「小1の壁」を企業の課題として捉え、従業員にとって働きやすい環境を整備するためには、マネジメント層への理解促進も必要な要素です。

子育てと仕事の両立に理解がないマネジメント層がいる場合、多様な働き方ができなかったり、残業時間を削減できなかったりなど、さまざまな弊害が出てきてしまいます。

このような弊害が影響して、優秀な人材の退職や人材流出が続く状況は、企業にとって大きな損失につながります。

従業員が子育てと仕事を両立させ、長く働き続けるためには、「小1の壁」を従業員個人の問題と捉えず、企業全体の問題として捉えて、向き合う必要があります。

積極的な声がけ

上司や同僚が、仕事と子育ての両立に理解を示し、積極的な声がけをしていくことで、働きやすい環境にすることができます。

たとえば、子どものお迎えの時間が近い部下に、上司から声をかけて帰りやすくするなどの声がけは効果的でしょう。

周囲からの理解があると感じられる状態は、子育てとの両立を目指す従業員にとって心強いものです。

また、マネジメント層は、子育て中の従業員だけでなく、周囲の従業員に負担が偏らないように調整する取り組みも重要です。

子育てをしていない従業員に負担が偏ってしまうと、不満が生じやすく、子育て中の従業員にヘイトが集まる可能性もあります。

マネジメント層は、人員増加や業務量の調整など、すべての従業員が健康的に働けるような体制整備を進めましょう。

多様な働き方のサポートに「Chatwork」

「小1の壁」とは、子どもが保育園のときよりも、小学校に上がってからのほうが、子育てと仕事の両立が難しくなる状況を指した言葉です。

「小1の壁」は、従業員の離職理由になりやすい問題のひとつです。

人材不足や人材流出を防ぐためには、多様な働き方を認めるなどの企業側の対策も重要です。

多様な働き方を円滑に進める方法として、ビジネスチャット「Chatwork」の活用がおすすめです。

「Chatwork」は、チャット形式でコミュニケーションが取れるビジネスツールで、メールや電話よりも、気軽でスピーディなやりとりを実現することができます。

チャット機能にくわえ、ファイル管理機能やタスク管理機能など、ビジネスシーンで活用しやすい機能も搭載されているため、ストレスが生じやすいテレワークやリモートワークのコミュニケーション円滑化に役立ちます。

「Chatwork」は、社内外問わずに無料で使うことができます。

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[注1]出典:厚生労働省・文部科学省「放課後子ども総合プランについて」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000054557.pdf
[注2]出典:厚生労働省「新・放課後子ども総合プラン」
https://www.mhlw.go.jp/content/shinnplan.pdf
[注3]出典:内閣府「子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の概要」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/setsumei8-2.pdf

※本記事は、2023年11月時点の情報をもとに作成しています。


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