時差出勤の効果とは?目的とメリット・デメリット、導入事例を解説
目次
新しい働き方としてテレワークの注目や導入も広がるなか、時差出勤と呼ばれる出勤制度を導入する企業も増えています。
フレックスタイム同様に、ライフスタイルや居住地に合わせて活用できる時差出勤ですが、どのような制度なのでしょうか。
時差出勤を導入する目的や効果、時差出勤のメリット・デメリットについて解説します。
時差出勤とは
時差出勤とは、業務の始業時間や終業時間を基準の時刻を早める、遅らせることを容認する制度です。
一般的には、基準の時刻より1〜2時間ほど幅をもたせることが多く、9時を始業時刻として設定している企業であれば、8時や8時30分、10時などに出勤できます。
企業にもよりますが、日ごとに出勤時間を自由にすることを容認している場合もあれば、1週間や1か月単位で決まった時刻での出勤を認めることもあります。
時差出勤とフレックスタイム制度の違い
時差出勤に近い制度に、フレックスタイムがあります。
まず、時差出勤は、出勤・退勤時間を前後に移すだけで、1日の業務時間は固定です。
たとえば、通常の出勤時間が午前9時で、勤務時間が8時間と決まっている場合、午前8時に出勤しても、午後5時(休憩1時間)まで勤務する必要があります。
一方、フレックスタイム制度は、コアタイムと呼ばれる時間帯にさえ出勤さえすれば、自由に出勤・退勤することができます。
1週間・1か月といった期間で決まった勤務時間を超える必要がありますが、フレックスタイム制度の方が個人の裁量が重視される働き方です。
時差出勤を導入する目的
時差出勤は、どのような目的で取り入れられているのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症対策で注目されましたが、従業員のコンディションやエンゲージメントを高めるという時差出勤の目的について解説します。
満員電車による疲労の軽減
時差出勤の目的に、満員電車による従業員の疲労を抑えることが挙げられます。
首都圏では、ラッシュアワーでの混雑が日常となっており、通勤だけで体力を奪われてしまいます。
また、車内での密集が常態化し、強いストレスを感じてしまうことでしょう。
時差出勤は、従業員が通勤する時間帯を分散し、体力の温存や密集地帯を避ける目的があります。
家庭と仕事の両立
企業に勤めている方のなかには、子育てや介護など家庭の事情を抱えている従業員も少なくありません。
時差出勤は、出勤時間を早める、遅くすることで、ある程度の時間をコントロールできるので家庭と仕事を両立しやすくすることも目的のひとつです。
フレックスタイムほどの柔軟性はありませんが、出退勤の時間を調整し、プライベートの時間を確保しやすくなります。
企業へのエンゲージメントの向上
時差出勤は、企業へのエンゲージメントを向上させる目的もあります。
時差出勤を導入することで、従業員の時間の使い方の幅が広がります。
従来の始業時間よりも早く出勤したいという従業員の要望にも応える結果となり、これまで以上に企業への信頼や、生産性向上に期待できます。
時差出勤による効果とメリット
時差出勤を導入することで、さまざまな効果やメリットを得ることができます。
今回は、時差出勤のメリットの一例として、以下の3つを紹介します。
- 残業の削減
- 従業員のストレス軽減
- 働きやすさの向上
時差出勤の導入を検討している場合は、それぞれのメリットを確認してみましょう。
残業を減らすことができる
時差出勤には、残業を減らせるメリットがあります。
たとえば、通常の終業時刻ごろに業務を抱えやすい従業員にとって、始業時間を早めることで、逆算して業務をこなせられるようになります。
脳が活性化している朝の時間帯に重要な業務を終わらせたあとに、午後の時間帯を迎えられるため、効率的なルーティンを送れるのがメリットです。
従業員のストレス軽減
朝・夕方のラッシュアワーは、従業員に対して大きなストレスを生み出します。
満員電車に乗る時間がながければ長いほど、疲労・ストレスが増し、仕事へのモチベーションの低下にもつながってしまう悪循環です。
時差出勤を認めることで、混雑する時間帯を避けられるようになり、メンタル的な消耗を抑えることができます。
また、遅刻する可能性も軽減できるようになるので、通勤に焦ることも減ることでストレス軽減につながるでしょう。
働きやすさの向上
出退勤の時間が固定されている企業では、家庭の都合により退職や休職してしまう従業員も少なくありません。
結果として、優秀な人材が流出し、企業にとってダメージにつながります。
時差出勤は認められた範囲のなかで、出退勤の時間を変更できるため、家庭への配慮も可能となります。
離職も防ぎやすくなり、人材を確保しやすくなる点がメリットです。
時差出勤のデメリット
従来の出勤形態にはないメリットがある時差出勤にも、デメリットは存在します。
時差出勤にどのようなデメリットがあるか見ていきましょう。
社内制度を整える必要性がある
一見、出退勤を1〜2時間程度変更するだけのシンプルな制度に思えますが、勤怠管理システムの導入や設定、申請方法などを組み立てる必要があります。
全従業員を対象にするのか、一部従業員のみに適用するのかといった課題もあるため、すぐに導入できる制度ではない点に気を付けなければなりません。
帰りにくい雰囲気が出てしまう
社内風土によっては、時差出勤制度を活用する従業員が、退勤しにくいと感じてしまうことがあります。
出勤時間を早くする場合、その分退勤時間が繰り上がり、ほかの従業員が仕事をしている最中に退勤するためです。
結果的に、残業すると時差出勤を導入したメリットもなくなるため、管理職が率先して利用する、制度を周知するといった対策が必要です。
ほかの従業員との連携が取りにくい
時差出勤で課題となるのが、ほかの従業員との連携が難しくなる点です。
業務の打ち合わせや、同時作業をする時間帯が限られるため、業務に支障が出ることも考えられます。
オンライン上でのやりとりや、週に1度会議などを設けるなどし、業務体制を工夫するようにしましょう。
時差出勤の導入事例
システム開発に携わる企業では、「半休制度」や「フレックス制度」を希望する従業員の意見や声に耳を傾け、時差出勤の試験導入をおこないました。
その結果、体調不良や家庭の都合で定時の出社が難しい場合に、時差出勤を効率よく活用できることから、従業員から多くの賛同を得たため、本導入に踏み切りました。
時差出勤の本導入後、従業員一人ひとりが時間の意識をしっかりもてることから、無駄な残業の削減にもつながりました。
現状は、本社に勤務する従業員のみを時差出勤の対象としていますが、ゆくゆくは対象を拡大したり、在宅勤務制度を導入したりすることも検討している事例です。
時差出勤制度を導入するならコミュニケーション方法を見直そう
時差出勤は、従業員の疲労軽減やモチベーション向上につながるだけでなく、企業にとっても離職率低下、人材の確保といったメリットがあります。
しかし、時差出勤を実際に導入するには社内の整備が必要であり、時差出勤を導入することで起こる業務上の支障が出ないような対策が必要です。
働く時間やスケジュールが時差出勤でズレることでコミュニケーションの方法を見直す必要性があるでしょう。
ビジネスチャットツールの「Chatwork」では、チームや部署ごとに専用のチャットルームを作り、気軽にコミュニケーションがおこなえます。
メンバー間でのメッセージは残り続けるため、時差出勤を利用している従業員が履歴をたどって、業務連絡や、進捗状況などを把握するのに便利です。
時差出勤のメリットを引き出すためだけでなく、社内のコミュニケーションの活性化やテレワーク導入もしやすくなるので、社内コミュニケーションの方法としてChatworkの利用をご検討ください。
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