自己効力感とは?高める方法や自己肯定感との違いを解説

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働き方改革
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自己効力感とは?高める方法や自己肯定感との違いを解説

目次

自己効力感とは、目標達成をするための能力を自分が持っていると信じる気持ちのことです。

ビジネスにおいては、従業員の行動力を高めたり過度な落ち込みを防いだりして、自社の成長や発展をはかるために、従業員の自己効力感を高めることは重要です。

ビジネス以外にも教育や医療現場などで注目を集めている自己効力感について、意味や混同しやすい「自己肯定感」との違い、3つの種類、高めるメリットと向上させる方法を解説します。

自己効力感とは

自己効力感とは、目標達成をするために必要な能力を自分が持っていると信じる気持ちのことです。

「自分はできる人間だ」「いつもうまくいく」と思う「自信がある」状態で、自信が大きいほど自己効力感が高いといえます。

自己効力感は、カナダ人の心理学者であるアルバート・バンデューラ氏によって提唱され、英語では「Self-efficacy」と表します。

自己肯定感との違い

自己効力感と混同されやすい言葉に、「自己肯定感」があります。

自己肯定感とは、能力や財力、容姿などに関係なく、無条件に自身の存在意義や価値を認められることです。

一方で自己効力感は、自分の能力を信じる能力のため、意味合いが異なります。

ただし、自己肯定感も自己効力感も人生やビジネスにおいて重要な概念として挙げられ、自己肯定感が高ければ自分を大切にしながら生きやすくなり、自己効力感が高ければ行動力が上がってさらに成長できるきっかけを得られます。

3種類の自己効力感

自己効力感は、心理学的に下記の3種類にわけられます。

  • 自己統制的自己効力感
  • 社会的自己効力感
  • 学業的自己効力感

それぞれの意味を解説します。

自己統制的自己効力感

自己統制的自己効力感とは、「自分ならできる」と信じる気持ちのことです。

「自己効力感」は、この「自己統制的自己効力感」を意味することが一般的で、自信があるからこそ失敗しても何度も挑戦して、目標達成にいそしむことができます。

また、自己統制的自己効力感を持つ人は、行動や感情をコントロールすることも得意で、複数メンバーで目標達成を目指す場合にも自身を制御し、上手に周りと協力しながらモチベーションを高く維持して取り組みます。

>自信がある人・ない人に関する記事はこちら

社会的自己効力感

社会的自己効力感は、「自分ならよい人間関係を築ける」という対人関係に関する自信のことです。

乳幼児から幼児期の経験で発達する社会的自己効力感が高いと、積極的に他者とコミュニケーションをとることができます。

社会的自己効力感は、さまざまな人と関わるビジネスシーンにおいて、良好な人間関係を構築するために必要な気持ちといえます。

学業的自己効力感

学業的自己効力感は、ビジネスシーンにおいて「新しいスキルを習得する」など、新たなことを学ぶ際のモチベーションとなる気持ちを指します。

学業的自己効力感は、学校などの学業において味わった達成感で育まれ、難易度の高い学校へ進学できたといった大きな成果を残したケースほど、高まる傾向があります。

学生だけでなく、社会人でも新たなスキル習得やリスキリングなどで学ぶ機会があるため、ライフステージを問わず必要な気持ちです。

自己効力感が重要視される背景

自己効力感は、ビジネスシーンや教育現場、臨床、医療現場などで重要視されています。

自己効力感が高いと、自分の能力を信じる力が強いため、行動的になれたり、失敗しても再度挑戦しようとモチベーションを保てたりします。

また、行動や感情をコントロールできる力は、他者との良好な関係構築にもつながります。

ビジネスや教育、医療など、どのような場面でも、まずは行動しないとなにもはじまりません。

自己効力感があれば積極的に行動できるようになるため、ビジネスや学業で成功できたり、セルフケアで患者の治癒が早まったりなどの効果が期待できます。

自己効力感が高い人・低い人の特徴

自己効力感が高い人と低い人の特徴をまとめました。

あわせて自己効力感が低いことのデメリットも紹介しているため、確認しておきましょう。

自己効力感が高い人の特徴

自己効力感が高い人の特徴は以下のとおりです。

  • 物事をポジティブに考える
  • 行動力がある
  • 自信がある
  • 失敗しても諦めず再挑戦する
  • 行動や感情をコントロールできる
  • すぐに諦めない
  • 上手くいかなくてもすぐに気持ちを切り替える
  • ストレス耐性がある

自己効力感が高い人は、ポジティブで自信があり、物事に積極的に挑戦するため、成長が早かったりチャンスを逃さなかったりする特徴があります。

また、失敗してもすぐに気持ちを切り替えて挑戦し、目標達成を目指す強さがあります。

>リフレーミングスキルの付け方に関する記事はこちら

自己効力感が低い人の特徴

自己効力感が低い人には、以下のような特徴があります。

  • 自信がない
  • ネガティブに考えてしまう
  • 自分にはできないという気持ちが強い
  • 行動する前に諦める
  • 失敗を引きずる
  • 努力することが苦手

自己効力感が低い人は、自信のなさから行動できず、行動できても失敗した場合「やはり自分には無理だ」とひどく落ち込んでしまい、しばらく引きずる傾向があります。

また、自己効力感が低いと、行動できないから成長できない、本来の能力を発揮できないという悪循環に陥るため、仕事で評価されにくかったり、やりたいと思ったことを実現できなかったりするデメリットもあります。

>自信がある人・ない人の特徴に関する記事はこちら

自己効力感を高めるメリット

自己効力感を高めると、ビジネスシーンでもさまざまなメリットを得られます。

自己効力感を高めるメリットを紹介します。

高いモチベーションを維持できる

自己効力感を高めると、高いモチベーションを維持できるようになります。

自分の能力を信じることができると、自信をもって物事に取り組めるため、困難なことがあってもモチベーション高く目標達成に向けて邁進できます。

また、チームで取り組んでいる場合は、高いモチベーションを発揮することにより、他メンバーの意欲を引き出す効果も期待できます。

>モチベーションに関する記事はこちら

失敗から学ぶことができる

自己効力感を高めるメリットとして、失敗から学べることも挙げられます。

自己効力感が高ければ、失敗もポジティブにとらえられるため、失敗を糧にして次の挑戦に活かそうと思えるでしょう。

失敗を失敗で終わらせず、経験のひとつや目標達成へ必要な要素として、継続して意欲的に取り組んでいきます。

過度に落ち込まないようになる

ビジネスにおいて、一度も失敗せずに成功したという人は多くないでしょう。

成功するために大切なのは、失敗しても過度に落ち込まず、なるべく早く気持ちを切り替えて挑戦し続けることです。

自己効力感が高ければ、失敗しても「自分の能力ではやはり無理だ」と自身を否定し、過度に落ち込むことがなくなるため、エラーからトライまでのスパンが短くなり、早期の目標達成が可能になります。

チャレンジが怖くなくなる

新たな分野への挑戦や高いスキルが求められる業務をする際には、誰もが少なからず不安を感じると考えられます。

しかし、自己効力感が高い場合、「自分ならできる」と強く思えるようになるため、不安や心配などのネガティブな感情よりも好奇心やチャレンジ精神が勝り、積極的に挑戦できるようになります。

ポジティブな行動力が上がれば、スキルアップやキャリアアップにつながったり、高い評価を得られたり、成功するとさらなる自信の強化が期待できるでしょう。

自己効力感を高める4つの方法

自己効力感を高める方法を4つ紹介します。

  • 方法(1):自らで成功体験を積む
  • 方法(2):他者の成功体験を観察する
  • 方法(3):言葉を活用して自信をつける
  • 方法(4):健康状態を維持し、いつもどおりを意識する

自己効力感を身につけていると、さまざまなビジネスシーンでプラスに働きます。

自分にあった方法を見つけ、自己効力感の向上を目指しましょう。

方法(1):自らで成功体験を積む

自己効力感を高める方法のひとつとして、成功体験を積むことを指す「遂行行動の達成」があります。

自分の力で成功した体験を積むと、自信につながり、自己効力感を高めることが可能です。

行動を起こすには、自己効力感を構成する「結果予期」と「効力予期」の2つの要素が関わります。

「結果予期」とは、経験や知識から行動による結果を予測し、結果を出した場合のメリットを把握することです。

「効力予期」は、結果を出すために求められる行動を、自分なら問題なくできると信じることです。

結果予期と効力予期が高いほど、積極的に物事に取り組めるようになり、成功体験を積みやすくなります。

いきなり高い目標を設定すると挫折する恐れがあるため、まずは小さな目標を設定し、成功体験の数をこなすようにしましょう。

方法(2):他者の成功体験を観察する

他者の成功体験を観察し、「自分にもできそう」と思う「代理的経験」をすることで、自己効力感を高めることが可能です。

参考にするのは、成功体験をイメージしやすい、自身と類似した身近な人物がいいでしょう。

たとえば、職場の人や友人、家族などであれば、他者の成功体験を自身に置き換えて考えられたり、自分にもできるという自信につながりやすかったりします。

自信につなげるには、成功体験の結果だけでなく、プロセスも詳細に把握することが大切です。

プロセスと結果がわかれば、自身に置き換えた場合のイメージも明確になるため、自信と実力が釣り合わないという状態を防げます。

方法(3):言葉を活用して自信をつける

「君ならできる」「自分ならできる」などと、他者や自身の言葉によって自信をつける「言語的説得」も、自己効力感の向上につながります。

他者からポジティブな言葉をかけられたり、自身を励ましたりすることで、行動しようという意欲が湧くでしょう。

ただし、ポジティブな言葉を受けることがプレッシャーになったり、失敗した際に申し訳ないという気持ちが湧いたりするケースもあります。

ネガティブな感情になりそうになったら、「自分は期待されている」「失敗によってまたひとつ成長できた」などとポジティブな視点でとらえるようにして、自己効力感を下げないように気を付けましょう。

方法(4):健康状態を維持し、いつもどおりを意識する

自己効力感を高めるには、規則正しい生活をして健康状態を維持し、いつもどおりを意識して過ごすことも大切です。

「情動的喚起」と呼ばれる観点では、自身の身体の調子がいつもどおりであることで「大丈夫だ」という認識になり、自信や意欲が湧くようになります。

いつもどおりでいるためには、睡眠や食生活のバランス、ストレスとの付き合い方を意識し、心身に悪影響を及ぼさないことが求められます。

また、健康維持だけでなく、わくわくやドキドキなどの高揚感を得られるような場にいることも、自己効力感を高めるのに効果的です。

自己効力感を測定する方法

自己効力感は、アルバート・バンデューラ氏が提唱した「一般性セルフ・エフィカシー尺度」で測定できます。

「一般性セルフ・エフィカシー尺度」は、英語で「General Self-Efficacy Scale」と表記されるため、「GSES」と表されることもあります。

人間の行動を「先行要因」「結果要因」「認知的要因」の3つにわけ、質問への回答結果から自己効力感を測定する方法です。

日本においては、心理学者の坂野雄二氏、東條光彦氏によって確立され、次の3つの項目に対する計16個の質問に「はい」「いいえ」で答えて測定します。[注]

項目 質問
行動の積極性 なにか仕事をするときは、自信を持って行動するほうである
人と比べて心配性なほうである
なにかを決めるとき、迷わずに決定するほうである
引っ込み思案なほうだと思う
結果の見通しがつかない仕事でも、積極的に取り組んでゆくほうだと思う
どんなことでも積極的にこなすほうである
失敗に対する不安 積極的に活動するのは、苦手なほうである
過去に犯した失敗や嫌な経験を思い出して、暗い気持ちになることがよくある
仕事を終えた後、失敗したと感じることのほうが多い
何かをするとき、うまくゆかないのではないかと不安になることが多い
どうやったらよいか決心がつかずに仕事にとりかかれないことがよくある
小さな失敗でも人よりずっと気にするほうである
能力の社会的位置づけ 友人より優れた能力がある
人より記憶力がよいほうである
友人よりも特に優れた知識を持っている分野がある
世の中に貢献できる力があると思う

「行動の積極性」ではポジティブな内容に「はい」が多い、「失敗に対する不安」では「いいえ」が多い、「能力の社会的位置づけ」では「はい」が多いほど、自己効力感が高いといえます。

自己効力感の醸成にも「Chatwork」

自己効力感は、積極的な行動や、失敗しても意欲的に再挑戦する意識を高める効果があるため、ビジネスで成功や成長をするために重要な概念です。

自己効力感を高めるには、成功体験を積んだりお互いに励まし合ったりする方法が挙げられます。

ビジネスチャット「Chatwork」は、成功体験やノウハウを共有したり、フィードバックをし合ったりする文化の醸成が可能なコミュニケーションツールです。

チャット形式で気軽にメッセージを送れるため、目標達成の報告や物事をスムーズに進められるようになるノウハウの共有、ポジティブなフィードバックを、個別チャットやグループチャットでおこなえます。

挑戦しやすい環境、お互いを認めて尊重し合う環境は、従業員の自己効力感を育むことにつながるでしょう。

従業員の自己効力感の向上によって自社のさらなる成長や発展を目指し、ビジネスチャット「Chatwork」の導入をぜひご検討ください。

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[注]出典:坂野 雄二・東條 光彦「一般性セルフ・エフィカシー尺度作成の試み」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbt/12/1/12_KJ00008937421/_pdf


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