ディベートとは?定義とルール、実施の流れ、ディスカッションとの違いを解説

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ディベートとは?定義とルール、実施の流れ、ディスカッションとの違いを解説

目次

ディベートとは、テーマに対してあえて肯定側・否定側にわかれ、ルールに則ったうえで議論することです。

ディベートには、論理的思考力や、自分の意見を相手にわかりやすく伝える能力などを鍛えられるメリットがあります。

ビジネスにも取り入れられるディベートには、ルールや流れがあるため、実施を検討する際には内容を把握しておくことが求められます。

ディベートの定義やルール、実施の流れと、テーマの設定方法やテーマ例を解説します。

ディベートとは

ディベートとは、第三者を説得するために異なる立場のもの同士がルールに則って議論することです。

たとえば、「自社にリモートワーク制度を導入すべきである」というテーマに対し、肯定側と否定側にわかれ、聞き手である第三者の支持を得られるように論理的に議論します。

ディベートは、個人的な意見で肯定・否定にわかれるのではなく、あえて異なる立場にわかれるという特徴があり、ビジネスにおいては論理的思考力や相手に言いたいことを適切に伝える能力などを鍛えられます。

ディスカッションとの違い

ディスカッションとは、テーマに対する意見交換やブレストなどを意味します。

ディスカッションも、広い意味ではディベートと同様に「議論」を表しますが、建設的に問題解決策を打ち出し、合意を得る方法という意味合いが強いです。

一方でディベートは、ひとつのテーマについて異なる立場から深掘りし、隠されている課題や本質を見抜く行為のため、複数の視点から分析・探求する方法といえます。

また、ディスカッションには優劣をつけませんが、ディベートは異なる意見のうち、優れていたのがどちらかをジャッジするという違いがあります。

>ディスカッションに関する記事はこちら

ディベートを実施する際のルール

ディベートは、肯定側、否定側、ジャッジする第三者が三角形の形に位置して実施します。

また、ゲームであることを前提にして実施すると、参加者から意見を引き出しやすいです。

ディベートは、以下のようなルールのもと議論します。

  • ルール(1):議論余地のあるテーマを選ぶ
  • ルール(2):発言内容と人格を混同しない
  • ルール(3):意見には理由や根拠を示す
  • ルール(4):制限時間を設定する
  • ルール(5):記録を取る

それぞれのルールを把握しておきましょう。

ルール(1):議論余地のあるテーマを選ぶ

テーマは、議論余地のあるものを選びます。

たとえば、「裁量労働制を導入すべきである」などの一部の人しか内容を理解していないテーマでは、裁量労働制を使っている人や人事経験者に有利となり、議論の余地がありません。

そのため、「仮眠室をつくるべきである」「忘年会は不要である」など、誰もが理解でき、論理的に意見を述べられるテーマを選ぶことが大切です。

ルール(2):発言内容と人格を混同しない

ディベートは、あえて肯定側と否定側にわかれて議論することであり、意見と人格が一致しているわけではありません。

意見を否定されたことで人格も否定された、相手の人格を否定して意見も否定した、という状況にはならないため、議論をするにあたって「人格」は無関係であることを念頭におきましょう。

ルール(3):意見には理由や根拠を示す

意見を主張する際には、理由と根拠も示します。

論理的に物事を考え、相手が納得のいくように伝えるには、主張を裏付ける客観的な根拠と理由が必要です。

ディベートは論理的な議論であり、第三者を説得する目的でおこなわれるため、意見、理由、根拠をセットにして示すことが求められます。

ルール(4):制限時間を設定する

ディベートをおこなう際には、「立論」や「反対尋問」などの各段階に制限時間を設定しましょう。

制限時間を設定しないと、要領を得ない主張や論理的でない理由が出されるなどして、ディベートのメリットである、簡潔にわかりやすく相手に伝える能力の向上につながりません。

制限時間を設定することで、時間内に意見を述べられるように伝え方や伝えるべきポイントを意識するため、時間の無駄を省けたりスキルアップにつながったりします。

ルール(5):記録を取る

ディベートは、第三者の支持を得るために相手の意見の矛盾を突き、こちらの主張のほうが理にかなっていることを示していきます。

相手の矛盾を攻撃したり、第三者が正しいジャッジを下したりするには、議論の記録を取ることが求められます。

適切に記録を取れると、スピード感のある議論でも話についていけたり、相手の主張を崩す反論ができたりするでしょう。

ディベートを実施する際の流れ

ディベートを効果的におこなうためには、以下のような流れで実施します。

  • ステップ(1):肯定側の「立論」
  • ステップ(2):否定側の「立論」
  • ステップ(3):反対尋問
  • ステップ(4):反駁
  • ステップ(5):最終弁論
  • ステップ(6):判定

ディベートの各ステップについて解説します。

ステップ(1):肯定側の「立論」

肯定側の「立論」は、テーマを肯定する立場として、以下の5つを争点として立証していきます。

  • 現状分析
  • 現状の問題点
  • 問題解決のプラン
  • プランの実現性
  • プラン実行のメリットとデメリット

基本的にディベートは、相手の意見を聞き、自身がシミュレーションしてきた原稿を即興で修正して意見として伝えますが、肯定側の「立論」はディベートの最初の段階のため、原稿をそのまま活用できます。

ステップ(2):否定側の「立論」

否定側の「立論」では、肯定側の「立論」について批判的に傾聴し、以下の5つを争点として組み立てます。

  • 現状分析の内容は?
  • 問題点は重大か?
  • 問題解決できるプランか?
  • プランの実現性があるか?
  • プランの実行によってメリットは生じるのか?

ポイントとしては、テーマを肯定した場合のデメリットを提示することです。

否定側は、肯定側の意見を攻撃する義務を負っているため、ただ単に「メリットは生じない」と否定するのではなく、「メリットどころか○○というデメリットが生じる」と主張すると、否定側が攻撃に転じられます。

ステップ(3):反対尋問

反対尋問とは、肯定側、否定側の双方が相手の話をさえぎったり、誘導尋問したりしながら議論を交わす、攻防の段階です。

意味のある議論になるように、相手の主張を漏れなく確認すること、矛盾点を積極的に指摘することがポイントです。

また、自分たちに有利な状況をうむために、「~といえるのではないですか?」「~するべきではないですよね?」などと断定的な質疑をすることも有効でしょう。

反対尋問は、否定側の「立論」の前にもおこなわれ、否定側立論を確立するために、肯定側立論の聞き漏らした点や不明点を確認することが求められます。

ステップ(4):反駁

反駁(はんばく)は、議論を深掘りしていく段階です。

反対尋問で反論を受けた議論を立て直し守りを固める、相手の争点の弱いところにさらに反論を重ねて攻撃に転じる、自分たちの議論をさらに伸ばしてリードする、のように展開するのがポイントです。

否定側から始まる反駁は、反駁より前の段階である否定側の「立論」と合わせて、否定側の主張や反論の時間が続いているような状況のため、否定側が優勢になります。

優位な立場を活かせるように、否定側は自分たちの議論をさらに伸ばすことを意識しましょう。

一方の肯定側は、否定側の相次ぐ攻撃に対して守りを固めることを重視しつつ、最終弁論での立場が弱くならないように、攻撃に転じることが求められます。

ステップ(5):最終弁論

最終弁論は、否定側、肯定側の順番で、お互いの意見を主張する最後の場です。

最終弁論のポイントとしては、立論を繰り返すだけにならないことと、お互いの意見のぶつかりによってテーマの本質をわかりやすく示すことです。

ディベートの各段階で出された相手の主張を踏まえたうえで、自分の主張のほうが勝っていることを証明します。

また、第三者に対して、「テーマのなにが議論されていたのか」をわかりやすく伝えることを意識します。

ステップ(6):判定

判定は、ロゴス(論理)、パトス(情熱)、エートス(信頼性)の3要素に沿っておこないます。

ロゴス、パトス、エートスは、哲学者のアリストテレスが述べた、人を説得するために必要な3要素です。

ロゴスの観点では、根拠があるか、メリットや主張に関わる人はどのくらいか、などをチェックし、パトスの観点では情熱的な話し方であったかを見ます。

エートスは、話し手の身だしなみや話し方から信頼性があるかをチェックします。

ディベートは、「話し手が誰か」ではなく「なにを話したか」で判定するため、有名人であることや権威があることなどに惑わされないように注意が必要です。

ディベートに求められるスキル

ディベートにおいては、効果的に自分の立場を主張し、かつ相手の主張に対して適切に反論することが求められます。

効果的なディベートをおこなうためには、以下のようなスキルが必要とされています。

  • さまざまな視点を持つ
  • コミュニケーション能力
  • 論理的思考力

それぞれのスキルの詳細と必要性について解説します。

さまざまな視点を持つ

さまざまな視点を持つことは、ディベートをするうえで必須です。

一方向からの視点で物事を見ていると、裏の部分や隠された部分が見えないため、相手を説得するだけの材料を集められません。

説得力のある主張や有効な反論をするには、多角的な視点が求められるでしょう。

コミュニケーション能力

物事を論理的に考えられたとしても、相手に伝えられるだけのコミュニケーション能力がなければ、正確かつスムーズに理解してもらえません。

ディベートには制限時間があり、その中で説得すべき第三者がいます。

異なる立場の相手や第三者に対し、わかりやすく簡潔に伝える能力が必要です。

>コミュニケーション能力に関する記事はこちら

論理的思考力

ディベートは、論理的に議論することが求められるため、論理的思考力が不可欠です。

意見に論理性がなく、感情論や主観での主張になると、誰も説得できないでしょう。

論理的思考力はディベートの実施のほか、研修を受けたり、日ごろから主張と根拠をセットにして考えたりすることで鍛えられます。

>ロジカルシンキング(論理的思考法)に関する記事はこちら

ディベートテーマの設定方法とテーマ例

ディベートのテーマは、大きく以下の3つにわけられます。

  • 政策論題
  • 価値論題
  • 推定論題

各テーマの設定方法と例を紹介します。

政策論題

政策論題とは、特定の政策や制度の実施について、肯定側と否定側にわかれて議論します。

政策や制度に関するテーマは、誰の生活にも関係があるため、わかりやすく、自分事として捉えやすいです。

政策論題のテーマ例は下記のとおりです。

  • 週休三日制を導入すべきか?
  • 首都は東京であるべきか?
  • 消費税は増税すべきか?
  • 定年の年齢は上げるべきか?
  • 救急車の無償利用をやめるべきか?

価値論題

価値論題は、各人の価値観をもとに議論するため、個人差が出たり、抽象的になりやすかったりします。

ほかの論題と比べると扱いにくく、答えを出しにくい価値論題は、第三者を説得するだけの根拠を出せるかがポイントといえるでしょう。

価値論題の例を以下に示します。

  • 犬と猫ならどちらを飼うか?
  • 家を購入すべきか、賃貸にすべきか?
  • 結婚することは幸せなのか?
  • 外見と性格のどちらが大事か?
  • 友情と恋愛はどちらが大切か?

推定論題

推定論題は、テーマの事実や物事に対して「正しい・間違い」「必要・不必要」などいずれかの答えを出します。

テーマの自由性が高い一方で、個人の価値観が影響しやすいテーマが多く、根拠を示すことが難しかったり、結論が出にくかったりします。

推定論題の例として、以下があげられます。

  • 宇宙人は存在するのか?
  • 宿題は必要か?
  • 学校に制服は必要か?
  • 超能力は存在するか?
  • 子どもにスマートフォンを持たせるべきか?

社内協議の場に「Chatwork」

ディベートは、第三者を説得することを目的に、異なる立場のもの同士が論理的に議論することです。

ディベートを実施すると、論理的思考力や物事をわかりやすく簡潔に伝える能力が鍛えられるメリットがあります。

ビジネスでは、自分の意見をわかりやすく相手に伝えたり、客観的に考えたりすることが求められるシーンが多いため、意見交換や協議の際にビジネスチャット「Chatwork」の活用をおすすめします。

「Chatwork」は、チャット形式で相手とコミュニケーションを取れるオンラインツールで、自分の意見をテキストで可視化できるため、伝えたいことをロジカルに組み立てたうえで相手に伝えられます。

また、グループチャットを作成すると、チームのメンバー間で気軽に議論でき、最適な答えを導き出せるかもしれません。

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