ディスカッションとは?目的や種類・方法、進め方のポイントを徹底解説
目次
就職活動や講演会などのイメージが強いディスカッションは、ビジネスシーンでも課題解決や意見交換の際におこなわれる手法です。
しかし、ディスカッションの意義や目的を定めないまま進めても、十分な効果を得ることはできません。
また、テーマや参加者にあわせてディスカッションの種類や形式が選択できると、より活発な議論が交わせるようになるでしょう。
企業でディスカッションを実施する目的や方法、ディスカッションの効果を高めるためのポイントを解説します。
ディスカッションとは
ディスカッションとは、討論や議論といった意味を表す言葉です。
あるテーマについて、複数人の参加者が自身の意見を出し合いながら、最適解を導く作業を示します。
ビジネスにおけるディスカッションでは、業務で発生したトラブルを解決するためや、経営をさらによい方向に導くために有効な手段となります。
ディスカッションと「ディベート」「ブレスト」「グループワーク」との違い
ディスカッションと似た言葉に、「ディベート」「ブレスト」「グループワーク」があります。
1つ目の「ディベート」は、あるテーマに対して「賛成か反対か」「肯定か否定か」など、ふたつのチームに分かれて討論をおこない、最終的に勝敗や優劣をつける取り組みです。
2つ目の「ブレスト」はブレインストーミングの略語で、グループ内で自由に意見を出し合い、お互いの意見を否定せずにまとめながら、新たなアイデアを生み出す方法を指します。
3つ目の「グループワーク」は、グループで議論をしたあと、共同作業をして成果物を発表する取り組みで、主に社内研修や選考のひとつとして実施されます。
一方でディスカッションは、問題解決をはかったり、状況をよりよくしたりすることを目的としており、相手の誤った意見を正すこともあるため、ディベートなどほかの取り組みとは意味合いが異なります。
【形式別】ディスカッションの特徴
ディスカッションには、複数人のグループに分かれて意見を出し合うグループディスカッションと、「パネリスト」や「パネラー」と呼ばれる代表者が意見を出し合うパネルディスカッションがあります。
それぞれの形式について、詳しく解説していきます。
形式(1):グループディスカッション
グループディスカッションとは、複数のグループに分かれて、グループごとにディスカッションをおこない、結論を出す形式です。
主に、企業の採用活動や研修などで用いられることが多く、グループごとに結論を発表したり、プレゼンを行ったりする場合は、グループワークと呼ばれることもあります。
形式(2):パネルディスカッション
パネルディスカッションとは、「パネラー」「パネリスト」とよばれる代表者を中心に、意見を出し合う形式のディスカッションです。
「パネラー」「パネリスト」の意見に対して、進行役が、さまざまな意見をもった聴衆の声をくみとり、議論を進めていきます。
「パネラー」「パネリスト」は、ディスカッションのテーマに関連した専門家が担うことが多く、セミナーや議論会などのイベントで用いられる形式です。
パネルディスカッションは、直接パネラーと聴衆が議論する形式ではなく、進行役を介して、「パネラー」「進行役」「聴衆」の三者で議論することが特徴のディスカッションです。
ディスカッションをする目的
ディスカッションをおこなう際には、なにを目的とするかを明確にしておく必要があります。
目的が曖昧なまま実施してしまうと、議論が迷走してしまったり、着地を見失ってしまったりする恐れがあります。
ディスカッションの主な目的として、以下の3つを意識しておきましょう。
- 多様な意見を取り入れるため
- 抱えている問題解決のため
- 画期的なアイデア創造のため
それぞれについて、詳しく解説していきます。
多様な意見を取り入れるため
ディスカッションの目的として、多様な意見を取り入れることが挙げられます。
たとえば、新商品の販売戦略についてディスカッションをおこなうと、参加者からさまざまな意見が出され、より適切な戦略の構築が可能になるでしょう。
思考のタネとなる意見やアイデアは多いほうが最適解を導きやすいため、多様な意見を取り入れられるディスカッションは、多くの企業で実施されています。
抱えている問題解決のため
ディスカッションは意見を集めるだけでなく、課題を解決する役割もあります。
具体的には、プロジェクトのトラブルにおける解決策の提案や、業務効率を改善する方法などを参加者で話し合うことにより、抱えている問題解決に近づきます。
参加者が解決策を出し合うことで、よりよい方向に軌道修正し、トラブルを解決しやすくするために、ディスカッションをおこないます。
画期的なアイデア創造のため
これまでになかった画期的なアイデアを生み出す目的として、ディスカッションがおこなわれる場合もあります。
ある領域に関する専門的な人材や、経験がある人材が集まることで、一般人には思いつかないようなアイデアの創造に期待ができます。
アイデアの創造に加え、新たなビジネスを作り出す際にも、ディスカッションの場は重要です。
ディスカッションで得られるものとは
ディスカッションをおこなうと、問題解決や新たなアイデアの創出など、企業成長につながるだけでなく、個人の能力向上も期待できます。
ディスカッションで得られるスキル・能力には、以下のようなものが挙げられます。
- ロジカルシンキング
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
それぞれのスキル・能力について解説します。
ロジカルシンキング
さまざまな意見が出るディスカッションの場では、自分の意見を全員にしっかりと理解してもらう必要があります。
相手が理解しやすいように自分の意見を伝えるには、筋道を立てて話したり、結論と根拠を明確に示したりするロジカルシンキング(論理的思考法)を意識するとよいでしょう。
自分の意見を理解してもらえると、その意見に対して賛同を得たり、さらに議論が交わされたりするため、まずは自分の考えを分かりやすく伝えることが大切です。
ディスカッションの経験を積み重ね、意見する際に理論的に考えるように癖をつけるとロジカルシンキングの思考力が鍛えられます。
リーダーシップ
ディスカッションは、ただお互いに意見を出すのではなく、最終的に最適解を導き出したり、課題解決につなげたりする必要があるため、場を取り仕切るリーダーが必要です。
リーダーは、参加者から意見を引き出し、話の方向性がずれたらもとに戻したり、結論を出したりなどの役目を担い、状況を見ながら適宜適切な判断をおこなうリーダーシップが求められます。
ディスカッションをすると、従業員のリーダーシップ能力を高められて、将来の管理職候補などの創出につながるでしょう。
コミュニケーション能力
ディスカッションは、参加者同士が意見を伝え合い、聞き合う場のため、コミュニケーション能力を高められます。
自分の意見をわかりやすく伝える、相手の意見を傾聴するというコミュニケーションが生じるため、意見を伝えることが苦手な人でも苦手を克服できたり、初めて話す相手とも相互理解が深まったりするでしょう。
コミュニケーションが活発になると、従業員同士の信頼関係も深まるため、人間関係のトラブルや業務の停滞などのマイナスな出来事が生じにくくなります。
ディスカッションの開催方法
企業でのディスカッションは、さまざまな方法でおこなうことが可能です。
業務環境や目的に応じて、ディスカッションの方法を選ぶようにしましょう。
3つの開催方法と、それぞれの特徴を紹介します。
対面式でディスカッションを実施する
多くの場合で、ディスカッションは対面式でおこなうのが一般的です。
対面式でディスカッションをおこなう際には、会議室など複数人が入れるような部屋を使用します。
また、ディスカッションの内容を共有できるように、ホワイトボードやプロジェクターの用意も必要です。
参加者がお互いに顔を見られる状態であるため、より真剣な雰囲気や活発な意見交換が期待できるでしょう。
Web会議システムを使う
テレワークを取り入れる企業では、Web会議システムを活用したディスカッションも増加しています。
Web会議システムは、モニター越しでありながら、参加者の顔を見ながら議論をおこなうことが可能です。
機材やネット環境の整備が必要ですが、自宅やセカンドオフィスなどさまざまな場所や遠方の相手ともディスカッションを実施できるというメリットがあります。
ビジネスチャットツールを使う
テキストベースでディスカッションをおこなう際には、ビジネスチャットツールを利用する方法があります
ビジネスチャットを利用することで、文章として整った意見を出せるため、参加者同士の相互理解に便利です。
また、ファイルの送信機能や、引用機能などが搭載していると、ディスカッションをスムーズにおこなえるようになるでしょう。
ディスカッションの基本的な進め方
ディスカッションを実施する際には、どのような手順で進めるかが重要なポイントとなります。
効果的に進めるためにも、ディスカッションの進め方を確認していきましょう。
- ステップ(1):ディスカッションのテーマを設定する
- ステップ(2):参加メンバーの役割分担をする
- ステップ(3):参加者からアイデアを出し合う
- ステップ(4):アイデアをまとめて結論を出す
手順を確認し、事前準備をしっかりとおこなったうえで、ディスカッションの目的を達成しましょう。
ステップ(1):ディスカッションのテーマを設定する
まずは、ディスカッションのテーマを設定します。
テーマがぼんやりしたままだと、議論の方向性が定まらず、目的を達成できない場合があります。
また、テーマを決める際には、具体性を重視し、参加者全員が内容を理解できるようなテーマにしましょう。
ステップ(2):参加メンバーの役割分担をする
次に、ディスカッションにおける参加者の役割分担です。
ディスカッションは、ただ単に参加者が発言するだけでなく、それぞれが役割をもちながら進める必要があります。
ディスカッションの進行役、参加者の意見をまとめる書記役、時間管理をおこなうタイムキーパーなどを選定しましょう。
ステップ(3):参加者からアイデアを出し合う
テーマの設定や役割分担などの準備が完了したあとは、実際にディスカッションをおこないます。
ディスカッションの目的を達成するために、参加者がそれぞれ意見やアイデアを出し合いながら、進めていきます。
途中、参加者同士の議論が熱くなったり、時間を無視して意見を出し続ける参加者が出てしまわないように、司会役がコントロールすることが大切です。
ステップ(4):アイデアをまとめて結論を出す
参加者からの意見・アイデアが出終わったら、ディスカッションでまとめた結論を出します。
結論を出す際には、それぞれの意見に関する論点を抽出し、シンプルにまとめることがポイントです。
また、意見がバラバラになってしまったときには、多数決や落としどころを決めるなど何らかの結論を出して、ディスカッションをまとめましょう。
【種類別】ディスカッションの進め方
ディスカッションは、議題となるテーマや進め方によって、以下の4つの種類に分類ができます。
- 問題解決型
- 自由討論型
- フェルミ推定型
- 選択肢型
それぞれの特徴と進め方を紹介します。
問題解決型
問題解決型は、ある課題に対して、参加者が意見を出し合うことで解決策を導き出すディスカッションです。
たとえば、「新商品の売り上げを2倍にするにはどうすべきか」などの課題を挙げ、意見を出し合いながら、最終的に解決策をひとつにまとめます。
自由討論型
自由討論型は、抽象的なテーマについて自由に討論するディスカッションです。
たとえば、「自社の30年後はどうなっているか」「AIによって暮らしはどう変わるか」など、問題解決を目的とせず、自由な意見を出し合います。
テーマの自由度が高いため、参加者がお互いの人柄や価値観といった内面を理解しやすい特徴があります。
フェルミ推定型
フェルミ推定型のディスカッションは、調査しなければわからないテーマに対して、多角的な視点から論理的に答えを導き出していくのが特徴です。
たとえば、「日本にある電柱の数」「日本で飼われている猫の数」などのテーマを設定した場合、電柱が何メートルおきに置かれているか、日本の世帯数はいくつか、という数値に当てはめられる観点から思考していきます。
フェルミ推定型は、柔軟な思考力が必要とされるディスカッションといえます。
選択肢型
選択肢型は、複数の選択肢があるテーマを設定し、参加者が意見を出し合いながら、最終的に答えをひとつに決めるディスカッションです。
たとえば、「電車通勤と自動車通勤どちらがいいか」「社内と自宅、どちらのほうが仕事がはかどるか」などの、人の価値観に左右されるようなテーマを定めます。
テーマには確実な答えがないため、論理的に考え、誰もが納得するような理由を示す必要があります。
ディスカッションを効果的にするポイント
ディスカッションは、参加人数が増えるごとに意見がバラバラになってしまう、利己的な参加者が出てしまうなどの恐れがあります。
円滑かつ効果的なディスカッションを実現するためにも、いくつかのポイントを確認しておきましょう。
ディスカッションを効果的に進めるためのポイントを3つ紹介します。
- ディスカッションのルールを定める
- テーマについての目的を明確にする
- 他人の意見に耳を傾ける
ディスカッションの効果を最大限に引き出すためにも、ポイントを押さえてディスカッションを進めましょう。
ディスカッションのルールを定める
ディスカッションを実施する際には、ルールを設けるようにします。
ルールを設けないままディスカッションを進めてしまうと、意見が出にくくなったしまったり、予想以上に時間がかかってしまったりすることも考えられます。
ディスカッションを有意義なものにするためにも、発言時間の制限や、テーマから逸れた発言をしないようにするといったルール作りが必要です。
テーマについての目的を明確にする
ディスカッションにおけるテーマの目的を明確にしておくことも大切です。
たとえば、営業成績を伸ばすためのディスカッションをおこなうのであれば、数字としての目標や、ノルマなどを議題に組み込みます。
目的を明確にすると、参加者のディスカッションに対する意識も高まりやすくなり、活発な意見交換につながるでしょう。
他人の意見に耳を傾ける
ディスカッションでは、ほかの参加者の発言をしっかりと聞くようにしましょう。
ほかの意見を参考にすることで、自分の意見に反映させられるようになり、ディスカッション自体の価値向上にもつながります。
また、複数人が参加するディスカッションは、自分の意見が他人と被ることもあるため、時間的な損失を防ぐためにも、ほかの参加者の声に耳を傾ける癖をつけましょう。
ディスカッションのツールとして「Chatwork」を活用しよう
ディスカッションは、課題解決や新たなアイデアを創出する機会であり、企業の価値向上に期待できます。
また、ITツールが発展した現代では、対面式だけでなく、さまざまな方法でディスカッションを実施できるようになりました。
ビジネスチャット「Chatwork」は、チャット形式での意見交換や、画像・文書ファイルの送信が可能です。
また、Web会議システムも搭載しているため、参加者が離れた場所にいても相手の顔を見ながらディスカッションをおこなえます。
さまざまな働き方に対応できるコミュニケーションツールとして「Chatwork」をぜひ、ご活用ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。