マルハラとは?「。」に威圧感を抱く理由や発生を防止する方法を解説
目次
リモートワークやテレワークなど、働き方に多様化が生まれている昨今、電話やメールなどの従来のビジネスコミュニケーション手法に、「ビジネスチャット」という新たな手法が加わりました。
このビジネスコミュニケーションの変化にともない、「マルハラ」という新たなハラスメントが生まれ、注目を集めています。
マルハラの概要や具体例、また、マルハラが生まれた理由や防止方法を解説します。
マルハラとは
「マルハラ」とは、「マルハラスメント」の略です。
マルハラスメントとは、文章のやりとりの最後に句点の「。」が付くことにストレスを感じる現象をいいます。
SNSやコミュニケーションアプリが発展し、短い言葉でスピーディにやりとりする機会が増えている昨今、若者世代は、メッセージに句点を使う機会が少なくなりつつあります。
句点の「。」は自分で使う機会が少なく、見慣れていないため、メッセージに使われていると冷たさを感じてしまったり、突き放されているように感じてしまったりする現象が、マルハラスメントのはじまりと考えられます。
マルハラの具体例
マルハラの具体例として、「わかりました。そのようにしますね。」を挙げてみましょう。
一見すると、末尾に「ね」があるため語尾が柔らかくなっているような印象を感じますが、
「ね」の後ろに句点の「。」があることによって、威圧感があると受け止められる場合があります。
ほかにもいくつか具体例を挙げてみます。
- 承知しました。
- ありがとうございます。目を通しておきます。
- 誤字が見受けられました。修正してください。
- x日までに振り返りを提出してください。
- お願いしていた資料修正の進捗はいかがでしょうか。
冷たい印象や、突き放されているような印象を受けるでしょうか。
マルハラを感じるか否かは、世代や普段のコミュニケーション手段によって異なります。
マルハラが生じる原因について、より詳しく確認していきましょう。
マルハラが生まれた背景
マルハラが生まれた背景には、世代間のギャップがあると考えられます。
SNSなどで短いメッセージを複数回にわたっておこなう若者世代と、挨拶から本題、署名までを1通のメールや手紙などでおこなう世代では、一度のコミュニケーションにかける目的やゴールが異なります。
生まれたときからインターネットやSNSが身近にある若者世代は、一度のメッセージで結論を決めようとせず、複数回に渡って、相手の意見や気持ちを伺いつつ、合意形成をしようとする傾向があります。
一方、SNSが身近ではない世代では、「○○します」、「△△しましょう」と、一度から二度のやりとりで、結論をはっきりさせようとする傾向があります。
世代によって、コミュニケーションの目的やゴールが異なる点に、マルハラの発生原因があると考えられます。
また、要件や気持ちを伝えるためのツールの違いも、マルハラが発生する原因のひとつと考えられます。
メールでは、基本的に用件を一度にまとめて伝えようとするため、長文になりやすいです。
長文を作成する際、句読点を使わずに文章を作ると、文章が冗長になってしまったり、読みにくくなってしまったりするため、必然的に「。」が使用されます。
一方、チャットなどを活用して短文でやりとりをする場合、「。」や「、」などを使用せずにやりとりを重ねていく傾向があります。
メール | ○○の進捗はどうなっていますか。 x日までに提出する必要があるため、進捗状況を教えてください。 また、△△の件についてもあわせて確認する必要があるため、進捗状況を本日中に連絡してください。 |
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チャット | ○○の進捗はどうなっていますか? x日が提出の締め切りなので、進捗状況を教えてください! △△の進捗も一緒に教えてください! |
メールや手紙の場合、一度のメッセージで要件をすべて伝える必要がありますが、SNSやチャットの場合、自分が送ったメッセージと相手から送られてきたメッセージの違いがわかりやすいため、「。」をつけて、文章に区切りをつける必要がありません。
また、短いメッセージに慣れていると、長文が送られてくること自体に威圧されてしまい、ストレスを感じるケースもあります。
このように、日常的に使うツールや、メッセージを送る際の目的やゴールの違いで、マルハラが生まれるようになったと考えられます。
マルハラの発生を防ぐ方法
マルハラは、コミュニケーションの目的やゴールが異なる世代間で生まれるハラスメントです。
ほかのハラスメントと異なり、意図的に相手に嫌がらせをしようするケースが少ないため、発生を防ぐ方法に悩むケースがあるでしょう。
企業には、さまざまな世代や価値観の人が存在するため、一概にコミュニケーション手段を絞る対応は適切ではありません。
従業員全体が、コミュニケーションにストレスを感じることなく、生き生きと働くために、個人・企業側それぞれができるマルハラ対策を解説します。
ぜひ、社内周知を実施し、世代問わずにコミュニケーションが活発な企業を目指してください。
相手の立場に立ったコミュニケーションを意識する
マルハラの発生を防ぐためには、相手の立場に立ったコミュニケーションを心掛ける必要があります。
コミュニケーションは、相互の協力や理解がなければ成立させることができません。
そのため、世代や立場にかかわらず、個々人が、相手に対する思いやりをもって、コミュニケーションを工夫する必要があります。
まずは、相手が大切にしている文化や習慣、仕事のスタイルなどを観察し、それを尊重する姿勢を持ちましょう。
また、相手に対して、共感的理解を示す姿勢も大切です。
相手の感情を汲み取るような聴き方をし、共感的な理解を元に、伝え方の工夫をしましょう。
一人ひとり、コミュニケーションの取り方には違いがあります。
たとえば、マルハラが生まれた背景で挙げたような、一度のやりとりで結論を出したい人のなかには、長文であっても句点の「。」を省略して問題ない、という考えを併せもつケースもあるでしょう。
相手の立場に立ったコミュニケーションをとるためには、メールや手紙、チャットなど、コミュニケーションの手段によって、「。」や「、」を使うか否かを決めるのもひとつのポイントとなるでしょう。
メールや手紙などのやりとりは比較的オフィシャルなため、句読点の使用を心掛けるが、社内向けチャットなどの、比較的カジュアルなやりとりは、短文でのスピーディーなやりとりを心掛けるなど、手段によって使い分けると、冷たい印象などは受けづらくなります。
自分の価値観に固執するのではなく、目的や手段によって柔軟に考え方を変え、お互いにとって気持ちのよいコミュニケーションを心掛けることで、マルハラを防止できるでしょう。
顔を合わせたコミュニケーション機会を設ける
マルハラの発生を防ぐ方法として、顔を合わせたコミュニケーション機会を設ける取り組みも効果的です。
テレワークやリモートワークなどの直接顔を合わせない働き方を採用する企業が増えている昨今、画面の向こうの相手の顔や温度感がわからない状況に対して、感じるストレスもあるでしょう。
しかし、一度でも顔を合わせて話したことがある相手の場合、相手の話し方や温度感がわかり、句点「。」への感じ方が異なる可能性があります。
たとえば、実際に会ってみると、人あたりが良かったり、笑顔が多かったりと、接しやすい人柄であることがわかると、仮に「。」を使用されても、冷たい印象は受けにくいものです。
逆に、顔を合わせたことがない相手とのコミュニケーションは、「。」に対して必要以上に威圧感を覚えてしまいかねません。
業務で関わりがある相手とは、一度顔を合わせる機会を設けるなどの工夫をする取り組みで、マルハラの発生を防止できるでしょう。
リアクション機能を積極的に活用する
マルハラの発生を防ぐための方法として「リアクション機能」の活用も効果的です。
リアクション機能とは、チャットやSNSにおける「いいね」のスタンプや「絵文字」のことです。
プライベートSNSなどで、スタンプや絵文字を使う機会はあっても、ビジネスの場での使用には抵抗感を覚える方もいると思います。
しかし、ビジネス専用のチャットに搭載されているリアクション機能は、文章だけでは充分に表現できない感情を伝えることができ、加えてワンタップで反応ができたり、メッセージが流れてしまう状態を防いだりなど、業務効率化に効果を発揮する側面もあります。
たとえば、「○○を確認してください」というメッセージに対して、全員が「承知しました。」と文章で返すと、最初のメッセージが埋もれてしまいメッセージを探す手間が増えてしまうでしょう。
このような場合に、リアクション機能を活用すればメッセージが埋もれずに済み、さらに一目でだれが確認済みなのかをチェックすることもできます。
リアクション機能を活用する際は、曖昧なやりとりにならないように、絵文字の意味をチームや部署で決めておくこともおすすめです。
「確認しました」を意味する場合は星マークのリアクション、「あとで確認します」を意味する場合はハンドサインのリアクションなど、あらかじめルールを設けて周知しておくと、認識の齟齬を生みにくくなり、スピーディなコミュニケーションが実現できるでしょう。
円滑なコミュニケーションに「Chatwork」
働き方やコミュニケーション手段は、今後もさまざまな変化が想定され、それに伴い、価値観にも多様性が生まれていくことが想定されます。
外的環境が変化していくなかで、自分だけ従来のやり方やルールに縛られていると、周囲人から一緒に働きづらいと思われてしまう恐れや、最悪の場合、ハラスメントの加害者になってしまうケースも恐れがあります。
時代とともに、働き方や働き方に関する価値観などが変化していくことを理解し、柔軟に受け入れる姿勢をもちましょう。
「Chatwork」は、ビジネス専用のコミュニケーションツールで、専門スキルや高いITリテラシーをもっていなくても、簡単に安全に利用できます。
チャットに馴染みがない世代の方でも簡単に使うことができ、本文中で紹介した「リアクション機能」も搭載されているため、マルハラの防止にも役立ちます。
無料で利用を開始できるため、まずは使ってみて、社内に浸透するか試すことも可能です。
ぜひ円滑なコミュニケーションの実現に「Chatwork」をご活用ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
記事監修者:竹内 和美
キャリアカウンセラー・研修講師。 ビジネススキルに不可欠なコミュニケーション力の教育に従事。重要な「聴く力」「話す力」「論理的に考える力」を高める研修はじめ、企業研修の内製化のコンサルティング、人事政策のアドバイスなど、人事に関する総合的な支援をしている。大手キャリア系メディアにて執筆経験も豊富。