HRBPとは?仕事内容や役割、求められるスキル、人事との違いを解説

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HRBPとは?仕事内容や役割、求められるスキル、人事との違いを解説

目次

新型コロナウィルス感染症の蔓延などにより、社会情勢の変化のスピードを実感する近年、HRBPが注目を集めています。

HRBPは人事機能のひとつで、戦略人事をおこなうため、人事体制を攻めの姿勢に転換したい企業は導入を検討するといいでしょう。

HRBPの役割や求められるスキル、導入方法について解説します。

HRBPとは

HRBPとは、「Human Resource Business Partner」の頭文字をとった略語で、「HRビジネスパートナー」とも呼ばれます。

人事機能のひとつであるHRBPは、企業の経営者や事業責任者のパートナーとして戦略人事をおこない、人と組織の両面から企業を成長させることを目指しています。

一般的な人事活動は、従業員をとりまく制度を整備したり、従業員を管理したりしますが、HRBPは事業目標や経営計画に関わり、戦略的に人材を配置します。

そのため、早期の経営目標達成や事業成長が見込めるでしょう。

HRBPが注目される背景

社会環境の変化

新型コロナウィルス感染症の蔓延により、ペーパーレス化やテレワークが求められる社会情勢になるなど、現代は物事の移り変わりが激しいため、人事担当者は変化する社会情勢に適応する必要があります。

しかし、従来の人事担当者は既存業務があるため、新たなとりくみを導入したり実施したりすることが難しい傾向にあります。

このような社会環境の変化から、経営者目線に立ち、人事を戦略的におこなうHRBPが注目を集めるようになりました。

人材獲得競争の激化

少子高齢化の影響による労働人口の減少や、働き方の変化による終身雇用制の衰退などで、企業の人材不足は大きな問題となっています。

優秀な人材を獲得するためには、人材獲得競争を勝ち抜く必要があるため、従来の人事業務のみでは勝負が難しくなっています。

このような人材獲得競争激化の影響で、人事領域にも戦略が求められるようになったことで、その機能を担うHRBPが注目を集めるようになりました。

HRBPの役割

HRBPは、アメリカのミシガン大学教授であるデイビッド・ウルリッチによって提唱されました。

ウルリッチが提唱したHRBPの4つの役割を解説します。

 

組織改革をリードする

企業目標の達成には組織改革が必要となるケースもあるため、HRBPは組織改革をリードすることが求められます。

組織改革は企業全体に関わるため、経営者の意見だけでなく、関連部署や従業員の意見も聞いたり、組織改革の必要性を理解してもらったりすることが必要でしょう。

 

従業員と組織のパフォーマンス最大化

HRBPは、従業員と組織が最大のパフォーマンスを発揮するために、戦略的観点から企業に必要な人材を導き出したり、従業員の能力を経営目標達成に向け高めたりする役割があります。

HRBPが企業に必要な人材を把握するためには、企業の方向性や現在の課題を、経営者目線で理解することが大切です。

 

従業員と経営者の架け橋になる

HRBPは、従業員よりも経営者に近い立ち位置のため、架け橋としての役割も担います。

企業規模が大きくなるほど、従業員と経営者の距離は遠のいてしまうため、HRBPが従業員の意見や不満などをヒアリングし経営者に届けることで、組織体制の改善へとつながるでしょう。

HRBPと従来の人事の違い

HRBPと従来の人事の違いを解説します。

 

人事との違い

人事とは、従業員に関わる幅広い役割のことを指します。

たとえば、従業員の給与の算出や勤怠管理、採用活動などが人事の役割に該当し、HRBPの役割も人事の中に含まれています。

HRBPの広義は人事であると考えるといいでしょう。

 

部門人事との違い

部門人事は、従業員の人材管理を担うため、戦略的に人事をおこなうHRBPと違い、保守的な業務といえるでしょう。

しかし、企業によっては、部門人事とHRBPを同義であつかうこともあります。

 

労務管理との違い

労務管理とは、従業員の職場環境や福利厚生、給与などの労働に関する事柄を管理することです。

HRBPは、組織改革をリードする役割もあるため、労務管理業務も担っているといえるでしょう。

 

企業戦略を実現する

HRBPは、経営者の目線に立ち、企業を成長させていくための戦略人事を実行することが求められています。

戦略人事の実行は、従業員を適材適所に配置する必要があるため、従業員のスキルや特性を把握することが大切です。

また、人事異動について従業員の理解を得るために、企業戦略を共有することもHRBPの役割です。

HRBPに求められるスキル

HRBPは従業員と経営者の橋渡しをしたり、戦略人事をしたりするため、さまざまなスキルが求められます。

HRBPに求められるスキルを解説します。

 

人事領域の深い知識と経験

HRBPは、自社に必要な人材を見極めたり、経営目標達成に向けて戦略的に人事配置をしたりする必要があるため、人事領域の深い知識と経験が必要です。

人事領域の知識や経験は、事務処理能力ではなく、企業を成長させるために人材を見極める能力や人材育成の手腕がより求められます。

 

経営者視点

HRBPは、企業経営者や事業責任者のビジネスパートナーとして活動するため、経営者視点で物事を見ることが大切です。

企業内に目を向けるだけでなく、社会情勢にも目を走らせ、変化を敏感に把握する必要があります。

経営者の相談に対し的確なアドバイスをしたり、経営者の判断が誤っていると感じた場合は、客観的な視点で意見することも求められるでしょう。

 

コミュニケーションスキル

HRBPは、経営者と従業員の橋渡しの役割を担うため、高いコミュニケーションスキルが必要です。

経営者や従業員から本音を聞き出すことは、双方との信頼関係が結ばれていなければ難しいでしょう。

適切なコミュニケーションで相手との信頼関係を結べた場合、組織改革など大きな事柄を実行する際にも、事情を明確に説明できたり、早期に理解を得られたりしてスムーズにはこぶ可能性があります。

>対人コミュニケーションスキルの高め方に関する記事はこちら

 

事業に対する理解

HRBPが戦略的な人事を効果的におこなうためには、事業が目指す方向性や現在抱えている課題の理解を深めることが重要です。

事業に対する理解が浅いまま人事をおこなった場合、事業の本質が見えていないため新たな人材とのミスマッチが起きたり、不要な組織改革をおこなったりする恐れがあります。

企業の成長をうながすというHRBPの目的を果たすためにも、経営者と同一の事業理解が求められるでしょう。

 

課題解決能力

HRBPは企業成長をうながし、経営目標を達成することが求められるため、企業が抱える課題の解決が必要です。

課題解決能力を高めるために、論理的思考法であるロジカルシンキングを鍛えるといいでしょう。

ロジカルシンキングは、物事を論理的に客観的な視点から考えるため、企業の課題を客観的に分析できたり、導き出した解決法を相手へ論理的に説明できたりします。

>ロジカルシンキングの鍛え方に関する記事はこちら

HRBPの導入方法

HRBPを導入することで、企業がより早期に発展する可能性があります。

企業にとってメリットのあるHRBPを導入する方法について解説します。

 

(1)人事戦略を検討する

はじめからHRBPを導入することを考えるのではなく、まずは人事戦略を検討し、今後の企業の在り方や経営戦略をまとめましょう。

企業にとって必要な人材を採用するか、在籍従業員を育成して企業成長につなげるかなどを含めた人事戦略の計画を、3年ほどの期間を目安に立案します。

 

(2)人事戦略の実行体制を検討する

立案した人事戦略の実行に関して、HRBPが必要であるか否かを検討します。

現在の人事体制で人事戦略を達成できる場合は、HRBPを導入せずに済むケースもあるでしょう。

 

(3)テスト運用を開始する

HRBPを導入したあとは、経営者や従業員との信頼関係を構築するためにも、まずはテスト運用をおこないましょう。

はじめから大きな課題解決をはかろうとしたり、従業員の不満を聞き出したりすることは、信頼関係が構築されていないため、導入が難しい可能性が高いです。

まずは小さな課題から解決策を立案したり、コミュニケーションをとったりすることを意識して活動するといいでしょう。

HRBPを成功させるポイント

HRBPを成功させるポイントは、経営者や従業員と信頼関係を構築することです。

信頼関係が構築できていない場合、相手の本音を聞き出せず、企業の改善点を把握できなくなってしまいます。

企業の改善点が判明した場合、解決できれば従業員満足度の向上につながり、組織としての活気がわくでしょう。

また、HRBPは従業員と経営者、双方の意見を相手に届ける役割がありますが、ただ伝えるだけではHRBPの役割を全うしているとはいえないでしょう。

HRBPは、従業員の意見に対し経営者目線で賛同した場合や、経営者の考えに賛同できない場合は、経営者に意見する必要があります。

HRBPとしての役割を明確に理解し、実行することが成功につながるため大切です。

>従業員満足度を高めるメリットに関する記事はこちら

HRBPの導入事例

食品メーカーの事例

飲料、食品、調味料などをとりあつかう大手総合メーカーは、「従業員により充実した人生を実現してもらう」という目的のもと、HRBPの設置をおこないました。

この企業では、人材の自律的成長や現場の人事課題明確化を目指すために、組織横断的なヒアリングやキャリア開発プログラムを実施し、従来の人事機能をこえたHRBPを推進しています。[※1]

フリマアプリを取り扱う企業の事例

フリマアプリをとりあつかう企業では、採用だけでなく、「育成」に強い企業を目指すためにHRBPを導入しました。

各部署に専門の人事担当者をつけたり、人事を専門性によって細分化したりなど、従来の人事機能をこえた仕組みで、従業員のフォローをおこなっています。

また、孤立化しがちなマネージャー同士の交流などを仕組みづけることで、育成の課題解決や新入社員フォローなどにも成功している事例です。[※2]

HRBPを導入し戦略的人事を進めましょう

HRBPは、経営者や事業責任者のビジネスパートナーとして、戦略人事をおこない、企業の成長をうながすことを目指しています。

HRBPは人事機能のひとつですが、従来の人事業務ではなく、戦略的観点から人事をおこない、ときに経営者に意見することも求められます。

HRBPが活発化されるためには、経営者や従業員との信頼関係の構築が重要なため、チャット形式で気軽にメッセージが送れるビジネスチャット「Chatwork」の導入をおすすめします。

ビジネスチャット「Chatwork」は、チャット形式のコミュニケーションツールのため、業務連絡はもちろん、悩みを抱えていそうな従業員に声をかけることも容易におこなえます。

個別チャットだけでなくグループチャットも作成できるため、企業の経営戦略や経営者の意見の共有もスムーズにでき、都度意見や感想を求めれば、活発なコミュニケーションをはかれるでしょう。

HRBPを導入して戦略人事を進めるために、ビジネスチャット「Chatwork」の導入をぜひご検討ください。

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[※1]出典:日本の人事部HRカンファレンス「株式会社博報堂コンサルティング HR Design Lab.:戦略人事を実現する~カゴメとグーグルのHRBP事例から学ぶ"経営に資する人事"」
https://jinjibu.jp/hr-conference/report/r202011/report.php?sid=2074
[※2]出典:HRzine「エンジニアリング組織のHRBP、その立ち位置と提供価値」
https://hrzine.jp/article/detail/1911
※本記事は、2022年7月時点の情報をもとに作成しています。


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