「イシュー(issue)」とは?意味や特定するメリット、方法を解説
目次
「イシュー(issue)」とは、「問題」や「課題」「論点」などを意味する言葉です。
日常生活で耳にする機会は少ない言葉ですが、ビジネスシーンでは、クリティカルイシューやイシュードリブンなどの用語で使われることもあるため、正しい意味を確認しておきましょう。
イシューの意味や類語との違い、良いイシューを特定する手順や思考方法を解説します。
イシューの意味とは
「イシュー(issue)」とは、「問題」や「課題」「論点」などを意味する言葉です。
イシューが意味する「問題」は、越えられない壁や打破できない現状というネガティブなイメージではなく、「解決できること」「変えられること」というポジティブなイメージで使われます。
イシューと類語との違い
問題や課題という意味をもつイシューと混同しやすい言葉として、「プロブレム」や「アジェンダ」という言葉があげられます。
ミスコミュニケーションを防ぐためにも、それぞれの言葉の意味と違いを確認していきましょう。
プロブレムとの違い
プロブレムとは、「問題」を意味する言葉です。
プロブレムは、納期に間に合わない、システムエラーによって作業が進まないなど、早期解決が求められる問題のことを指す際に用いる表現です。
一方で、イシューは、企業の成長に必要な課題など、長期的な目線で解決すべき問題を意味する表現です。
それぞれ適切なシーンが異なるため、正しく使い分けるようにしましょう。
アジェンダとの違い
アジェンダは、「検討課題」「予定表」「行動計画」などの意味をもつ言葉です。
アジェンダが意味する「課題」は、「検討すべき課題」「実行されるべき課題」を指しますが、イシューは「根本的な課題」を指すため、意味合いが異なります。
イシューの使い方と例文
前述した通りイシューは、ビジネスシーンにおいて、主に「問題」「課題」「論点」などの意味で使われます。
そのため、「問題点をあげる」ことや、「論点を明確にする」ことなどを表すときに「イシュー」を使うことができます。
使い方の例文は以下の通りです。
- 自社のイシュー(問題点)は、従業員のエンゲージメントが低いことです。
- イシュー(課題)を特定できれば、自社の成長につながるでしょう。
- A商品の売上をさらに伸ばすためのイシュー(論点)を考えます。
イシューを使った言葉
ビジネスシーンでは、イシューを使った言葉を使うことも多くあります。
本記事では、イシューを使った言葉の代表例として、以下の4つの言葉を解説します。
- クリティカルイシュー
- イシュードリブン思考
- ソーシャルイシュー
- イシューマネジメント
正しく使いこなせるように、それぞれの言葉の意味を確認していきましょう。
クリティカルイシュー
「クリティカルイシュー」は、「重要な課題」や「優先順位が高い課題」を意味する言葉です。
クリティカルイシューの「クリティカル(critical)」は、「危機的な」「きわめて重大な」という意味を示します。
イシュードリブン思考
「イシュードリブン思考」とは、問題や課題を考え、解決していくために行動することを意味する言葉です。
イシュードリブン思考は、まず行動するのではなく、問題はなにかを考えて行動する思考法のため、効率的な行動をとることができます。
ソーシャルイシュー
「ソーシャルイシュー」は、「社会的な課題」のことを意味する言葉です。
たとえば、環境問題など、社会において高い関心を集めていたり、今後関心が高まったりする課題を指す際に、ソーシャルイシューという言葉を用います。
イシューマネジメント
「イシューマネジメント」とは、問題点や課題を明確にして、危機管理をおこなうことです。
危機管理をおこなうことで、リスクを防止することができるでしょう。
良いイシューとは
問題や課題という意味をもつ「イシュー」は、良い悪いという表現で評価されます。
では、良いイシューとは、どのようなものでしょうか。
本記事では、イシューの良し悪しを判断する3つの観点を紹介します。
- 本質的な問題になっているか
- 解決できる内容になっているか
- 大きなインパクトを与える内容になっているか
イシューを特定する際は、ぜひ参考にしてみてください。
本質的な問題になっている
良いイシューとは、解決によって状況が好転したり、事業が発展したりする本質的な問題のことです。
たとえば、自社の商品が売れていない状況の場合、「売れるにはどうすればいいか」を考えるよりも、「なぜ売れないのか」という要因を考えたほうが、本質的な問題をとらえているといえるでしょう。
解決できる内容になっている
解決できる内容になっているイシューは、良いイシューです。
課題を解決するには、時間やコスト、人材などのリソースが必要なため、解決できないイシューを掲げていても、体力を消耗するだけになる恐れがあります。
イシューを掲げる際は、解決可能かを見極めることも大切です。
大きなインパクトを与える内容になっている
イシューは、解決することで、世間や従業員などに大きなインパクトと良い影響を与える内容になっていることが望ましいです。
小さなイシューを解決しても、成果は微々たるものかもしれませんが、大きなインパクトのあるイシューを解決できた場合は、企業が大きく発展したり、企業価値が大きく向上したりする可能性があります。
そのため、大きなインパクトを与えるイシューは、良いイシューといえます。
ビジネスシーンでイシューを特定するメリット
企業や従業員がイシューを特定することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
良いイシューを特定するメリットを解説します。
会議や議論の円滑な進行につながる
良いイシューを特定すると、会議や議論を円滑に進行できるようになります。
なぜなら、良いイシューを特定できると、自社の課題が明確になり、課題解決に向けた建設的な議論ができるようになるためです。
また、会議中に熱がはいるなどして話がそれた場合も、イシューが掲げられていることで本題に戻りやすいでしょう。
業務効率化につながる
良いイシューが特定されていれば、自社の課題を把握できるようになるため、課題解決に向けた能動的な活動が期待できるようになります。
また、従業員が課題解決を目標に動けるようになれば、自分が取り組む業務の意味を理解でき、モチベーションが向上したり、業務改善などを実施して、業務効率化をはかれたりするでしょう。
新しいアイデアの発見につながる
良いイシューが掲げられると、従業員の業務や思考の方向性が定まるため、ひとつの課題に対して、従業員一人ひとりが真剣に向き合えるようになり、新しいアイデアや斬新なアイデアが浮かぶ可能性があります。
発見したアイデアを実行に移すと、イシューが解決でき、企業成長につながることもあるでしょう。
良いイシューを特定する手順
ここまで、良いイシューの判断方法や与えるメリットを確認してきました。
では、実際にイシューを特定する際は、どのような方法で取り組めば、良いイシューに辿り着けるのでしょうか。
良いイシューを特定する4つの手順を紹介します。
- ステップ(1):複数の仮説を立てる
- ステップ(2):イシューを書き出す
- ステップ(3):隠れた前提がないか確認する
- ステップ(4):イシューを特定する
4つのステップを、それぞれ詳しく解説します。
ステップ(1):複数の仮説を立てる
まずは、イシューとして掲げられる要因を洗い出し、複数の仮説を立てます。
たとえば、自社の商品の売上がなぜ低いのかを考え、「値段が高い」「デザインがユーザーに受けない」など、複数の仮説のなかから、最も影響のある要因を特定しましょう。
最初のステップで、思い込みからイシューを特定した場合、良いイシューにならない恐れがあるため、多角的な視点で分析することが重要です。
ステップ(2):イシューを書き出す
次に、イシューの書き出しをおこないましょう。
イシューを書き出すことで可視化できると、次のステップで注目する「隠れた前提の把握」をスムーズに進めやすくなります。
ステップ(3):隠れた前提がないか確認する
書き出したイシューに、先入観や思い込み、自社における慣習など、隠れた前提がないかを確認しましょう。
隠れた前提をとり払い、客観的な情報を集めることが、良いイシューを特定するうえでは、重要なステップです。
>【臨床心理士監修】アンコンシャスバイアスとは?に関する記事はこちら
ステップ(4):イシューを特定する
書き出したイシューから、隠れた前提を排除すると、客観的な情報から、イシューを特定することができるようになります。
イシューの特定ができたら、イシューの解決をはかっていきましょう。
良いイシューを特定するための思考方法
最後に、良いイシューを特定するための思考方法を紹介します。
良いイシューの特定には、下記の4つの思考を普段から意識しておくことが効果的です。
- 問題を常に意識する
- 問題を多角的にとらえる
- 問題の解決後を考える
- 慣例やルーティンを疑う
日常的に取り入れられるように、それぞれの思考方法を確認していきましょう。
問題を常に意識する
業務をおこなう際に、問題を常に意識するようにしてみましょう。
なにも考えずに仕事に取り組んでいると、問題に気付かず、非効率な方法をとっていたり、重要な点を見落としたりする恐れがあります。
一方で、問題に気付ければ、業務効率化を実現できたり、成果を出せたりする可能性があります。
後述もしますが、ルーティン的に取り組んでいる物事に対しても疑問をもち、問題がないかを意識して仕事をおこなうようにしてみましょう。
問題を多角的にとらえる
問題や課題を、一面的にではなく、多角的に捉えられるようになると、問題の本質部分に気付きやすくなり、課題解決を促進させることができるでしょう。
多角的な視点で物事を捉えられるようになると、隠れた前提の排除や、新たなアイデアの発見にもつながるため、良いイシューの特定に効果的です。
問題の解決後を考える
問題を解決したあとのことを考えると、問題解決までの工程も、最善の方法を選べる可能性が高まります。
たとえば、問題を解決することで、自社にもたらされる影響を考えると、複数ある解決策のなかで、より好影響がもたらされる策を選べるようになるでしょう。
慣例やルーティンを疑う
イシューを特定する際は、慣例やルーティンを排除する必要があるため、自分や自社に根づいている暗黙のルールや慣例などを疑うクセをつけるようにしましょう。
慣例やルーティンのなかには、必要なものもあるため、すべてを悪とみなし、排除する必要はありません。
思い込みや先入観にとらわれず、客観的なデータに基いて思考することが、良いイシューの特定には必要です。
良いイシューの特定にも「Chatwork」
イシューとは、「問題」「課題」などを意味する言葉で、ビジネスシーンにおいては「解決によって企業の発展につながる課題」というポジティブなイメージがあります。
良いイシューを特定するには、複数の仮説を立てたり、隠れた前提を探したりすることが大切です。
問題を常に意識したり、多角的に捉えるようにしたりなど、思考方法のクセをつけることで、良いイシューを特定しやすくなるため、紹介した4つの思考方法を、日常業務のなかに、意識的に取り入れてみましょう。
イシューの特定に必要な議論やコミュニケーション、思考をおこなう方法として、ビジネスチャット「Chatwork」の活用もおすすめです。
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