スモールステップとは?導入のメリットや活用方法について解説

目次
スモールステップとは、目標を細分化し、小さなステップを積み重ねていくことで最終目標を達成する手法です。
スモールステップを取り入れると、大きな目標に対するプレッシャーが軽減し、着実に進められるため、ビジネスや人材育成の場面でも有効とされています。
この記事では、スモールステップの意味や導入のメリット、活用方法について解説します。
スモールステップとは?基本的な考え方
スモールステップとは、大きな目標を達成するために、目標を細かく分けて段階的に取り組む手法です。
アメリカの心理学者であるスキナーが提唱した「プログラム学習」の一部として生まれ、教育や心理療法の分野で広く活用されてきました。
現在では、ビジネスの場面でも注目されており、個人や組織の成長を促進する手法として用いられています。
小さな目標をひとつひとつ達成することで成功体験を積み重ね、最終的な目標の達成を目指します。
スモールステップの定義
スモールステップは、最終目標を達成するために、目標を細かく分け、段階的に取り組んでいく考え方です。
大きな目標をいきなり掲げると、その道のりの長さに圧倒されて挫折しやすくなりますが、スモールステップを取り入れることで、目標を小さく分解し、少しずつ確実に前進することが可能になります。
これにより、達成感を得やすく、やる気を持続させる効果が期待できます。
仕事や学習に取り組む際も「できた」という成功体験を繰り返し経験することで、自己肯定感を高め、最終的な目標達成へと到達することができます。
スモールステップという考え方が生まれた背景
スモールステップの考え方は、もともと、アメリカの心理学者バラス・フレデリック・スキナー(Burrhus Frederic Skinner)によって提唱されました。
彼は「プログラム学習(programmed instruction)」の一環として、学習内容を細分化し、学習者が段階的に取り組むことによって理解を深められる手法を確立しました。
プログラム学習には、スモールステップの他にも、学習者が自分のペースで進められる「自己ペースの原理」や、学習内容が効果的かを即時に確認できる「即時確認の原理」などが含まれています。
スモールステップの考え方は、もともと教育や心理療法の分野で活用されてきました。
教育現場では、生徒が大きな目標に対して圧倒されることなく、小さな成功を積み重ねることで自信を養い、学習意欲を高める効果があるとされています。
また、心理療法では、患者が段階的に治療を進め、無理なく精神的な問題を克服する手法として取り入れられました。
現在は、スモールステップが組織運営やビジネス戦略の達成に役立つとして注目され、幅広い分野に応用されています。
スモールステップが目指すもの
スモールステップが目指すのは、個人や組織が最終的な目標を達成するために、無理のない形で段階的に目標を達成し、成長していくことです。
大きな目標を掲げると途中で挫折しやすくなるため、スモールステップでは目標を細かく分割し、小さな目標をひとつずつ達成していくことを重視します。
小さな成功体験を積み重ねることは、自己効力感を高め、次の挑戦へ向けたモチベーションを生み出す効果もあります。
また、スモールステップでは目標達成までの過程を視覚化しやすく、段階ごとに進捗や課題を把握しやすい点も特長です。
教育現場や心理療法においても、生徒や患者が「今自分はどの段階にいるのか」「次に何をすればよいのか」を理解しやすくすることで、取り組みの効果を高めています。
ビジネスでは、プロジェクト管理や人材育成などにおいて目標達成までのプロセスを明確にし、効率的に進める手法として活用されており、組織全体の成長を促すアプローチとして注目されています。
スモールステップがビジネスで有効な理由
スモールステップは、目標達成を段階的に進める手法で、ビジネスにおいても大きな効果を発揮します。
現代のビジネスシーンでは、複雑な課題や困難な目標を前に社員が圧倒され、モチベーションの低下やバーンアウト(燃え尽き症候群)が生じてしまうことも少なくありません。
スモールステップを導入すると、社員が小さな成功体験を積み重ね、成長しながら最終目標へ到達できることから、ビジネスでも効果が得られるとして注目されています。
個人の成長にくわえ、チーム全体の生産性向上につながる点も、スモールステップがビジネスで有効とされる理由のひとつです。
現代ビジネスにおける課題
現代のビジネスの課題として、企業の掲げる目標が大きすぎて、社員の負担となってしまうケースが多いという点が挙げられます。
新規事業の立ち上げや大規模なプロジェクト推進などでは、個々の社員にとって目標達成までの道のりが長く感じられ、途中で挫折してしまうことも少なくありません。
目標が達成できないばかりか、モチベーションの低下やバーンアウトなどが生じると、組織全体のパフォーマンスも下がってしまいます。
このような状態では、企業としての成長が難しく、競争力を維持することもできません。
スモールステップは、こうした現代ビジネスの課題解決に適した方法といえます。
大きな目標を小さな段階に分けて設定することで、社員ひとりひとりの負担を軽減し、モチベーションを保ちながら目標達成へと前進できるため、企業全体としての成長も期待できます。
ビジネスにおける具体的な効果
スモールステップの導入によって、ビジネス上のさまざまな効果が期待できます。
まず、社員のスキルアップが挙げられます。
目標を小さなステップに分けることで、社員は自身の成長を実感しやすくなり、やりがいや達成感を感じながら学びを深めていくことができます。
また、目標が細分化されるため、どのスキルを磨けばよいかが明確になり、弱点の克服や得意分野の強化にも効果的です。
個々の社員が自信を持ち、成長できる環境を整えることは、組織全体の能力向上にもつながります。
さらに、スモールステップはチーム全体の作業効率化と生産性向上にも効果的です。
目標を段階的に設定することで、チーム内の役割分担やタスクの進捗状況を把握しやすくなり、コミュニケーションも円滑になります。
チームメンバーがどの段階にいるのか明確になるため、上司やマネージャーがサポートをおこなうタイミングを見極めるのに有効です。
さらに、段階ごとに進捗確認を行うことで、プロジェクトの遅延が起こりにくくなる効果もあります。
スモールステップで得られるメリット
スモールステップの導入によって、ビジネスや教育、育成の現場では次のようなメリットが得られます。
- モチベーションを保つ
- 課題が明確になりやすい
- 小さな成功が積み重なることで自己効力感が向上
以下、詳しく解説します。
モチベーションを保つ
スモールステップを取り入れると、モチベーションを保ちやすくなることがメリットです。
社員や学習者が直面する課題が大きすぎると、「達成できるか分からない」「自分には難しすぎる」と感じ、途中で諦めてしまうことが少なくありません。
しかし、スモールステップを活用することで、小さな目標の達成を通じて「できた」という成功体験を積み重ねることができます。
成功体験は自己肯定感を高める効果があるため、次のステップに向けたモチベーション維持にも効果的です。
また、細かい目標を設定することで、達成までの道のりが具体的に見えるため、ゴールに向けた明確なイメージを持てるようになり、さらにやる気の向上が期待できる点もメリットです。
課題が明確になりやすい
スモールステップを導入すると、目標達成までの課題が明確になりやすい点もメリットです。
大きな目標を設定すると、どこから手をつけてよいのか分からなかったり、全体像が把握しづらかったりする場合があります。
しかし、目標を小さく分解すると、自分がつまずいているポイントや、理解が不十分な箇所を自覚しやすくなり、克服すべき課題を明確にすることができます。
課題が明確になれば、上司や指導者が適切なフィードバックや指導、サポートをおこないやすくなるというさらなるメリットも期待できます。
小さな成功が積み重なることで自己効力感が向上
スモールステップを取り入れると、小さな成功体験の積み重ねによって自己効力感(自己の能力に対する自信)が向上する点もメリットです。
自己効力感が高い人は、新しい課題や難しいタスクに対しても積極的に取り組み、失敗をおそれずに挑戦し続ける傾向があります。
逆に、自己効力感が低い人は「どうせ自分にはできない」という気持ちから新たなチャレンジを避けてしまいがちです。
スモールステップを活用して目標を細分化し、段階的に達成感を得られるようにすると、「できた!」というポジティブな感情を何度も味わうことができ、自己効力感が徐々に高まっていきます。
これにより、社員や学習者は「自分はもっとできる」という前向きな姿勢を持ち続けられるようになり、長期的な目標達成に向けての持続力も向上することが利点です。
スモールステップの進め方:基本ステップ
スモールステップを効果的に取り入れるには、基本的なステップを理解し、順序立てて実施することが重要です。
以下では、スモールステップの基本ステップを解説します。
- 最終目標の設定
- 目標の細分化
- 細分化したステップを実践する
最終目標の設定
スモールステップを進める際には、まず最終目標を設定することから始めましょう。
最終目標はできるだけ明確で具体的なものにすることが重要です。
目標が曖昧だと、スモールステップを実施しても十分に効果を得ることができません。
目標を設定する際には、5W1H(Who、What、When、Where、Why、How)を意識し、「誰が、何を、いつまでに、どこで、なぜ、どのように行うか」を明確にすることが求められます。
たとえば、「営業部全体の売上を半年以内に15%向上させる」など、定量的かつ定性的な指標を設定することで、最終目標が達成できたかどうかを客観的に判断しやすくなります。
目標の細分化
次に、設定した最終目標を細分化していきます。
目標が大きすぎると、それを達成するまでの道のりが遠く感じられ、途中で挫折するリスクが高まります。
そのため、最終目標を達成可能な小ステップへ分解し、取り組みやすい目標を段階的に設定しましょう。
細分化した各ステップの難易度を適切に設定することも重要です。
最初は簡単に達成できる目標から始め、徐々に難易度を上げていくことで、成功体験を積み重ねながら成長を促すことができます。
たとえば、プロジェクトを進行する場合、「初期調査を終わらせる」「仮説を立てる」「仮説に基づいた資料を作成する」といった形で細分化し、進捗を段階的に確認していきましょう。
細分化したステップを実践する
続いて、細分化した各ステップを実際に進めていく段階に移ります。
実践の過程では、適宜フォローアップや修正を行い、状況に応じてステップの内容を調整することも必要です。
たとえば、想定していたよりもステップの難易度が低くて成長につながらなかったり、逆に難易度が高すぎて前に進めなかったりする場合には、内容の見直しや調整をおこないましょう。
さらに、進捗状況を可視化できるようにしておくと、全体の流れを把握しやすくなり、必要なサポートをスムーズにおこなうことができます。
フォローアップと修正を繰り返しながらスモールステップを実践することで効果を最大限に引き出し、最終目標の達成まで到達しやすくなるでしょう。
スモールステップ法の具体的な活用事例
ここでは、3つの事例に対するスモールステップの活用方法を紹介します。
売上目標を達成するためのスモールステップ
売上目標を達成するためには、年間目標を月間、週間、日次のタスクに細分化し、段階的に取り組むことが重要です。
たとえば、年間売上目標を5,000万円とする場合、これを月間売上400万円、週ごとの売上100万円に分解し、それぞれの期間で達成すべきタスクを設定します。
また、日々のタスクとして「毎日10件の営業電話をかける」「週に2回、見込み顧客とのミーティングを行う」といった具体的な行動目標を設定することで、各ステップを着実に実行し、最終目標達成に近づけます。
細分化されたタスクを一つひとつ達成していくことで、小さな成功体験を積み重ね、全体の目標を達成するモチベーションを高めることができます。
スケジュール管理が苦手な社員への指導
スモールステップは、スケジュール管理が苦手な社員への指導にも活用できます。
たとえば、紙ベースのスケジュール管理からITツールを用いたタスク管理へ移行したい場合、小さなステップに分けて進めると効果的です。
まずは「毎朝、ITツールにログインして1日のタスクを確認する」という簡単な目標から始め、その後「タスクを完了したらツール上でチェックを入れる」「1週間のスケジュールをあらかじめ入力する」といったステップを設定し、習慣化をはかるとよいでしょう。
進捗状況を定期的に確認し、フィードバックを行うことで、社員が自身の管理能力の向上を実感しやすくなります。
段階的にスケジュール管理の精度が上がり、最終的には自己管理能力を高められるようになれば、スモールステップの活用は成功といえます。
チームマネジメントでの活用
チームマネジメントの場面にも、スモールステップの活用が効果的です。
たとえば、会議中にやる気のない様子を見せる社員に対して、まずは「会議中に1回発言する」「議事録を担当する」といった役割を与え、段階的に会議への参加意識を高めることができます。
次に「会議の要点をまとめて報告する」「毎回1つの提案を持ってくる」など、少しずつ責任のある役割を増やすことで、社員の意識改革を促します。
このように、小さな役割(ステップ)を着実にこなしていくことで、社員自身が達成感を味わい、積極的にチームへ貢献する姿勢が生まれます。
結果として、チームの雰囲気改善やパフォーマンスの向上が期待でき、組織全体で目標に向かって取り組むという大きなゴールへの到達につなげることができます。
スモールステップを導入する際の注意点
スモールステップは、目標を達成するために効果的な手法ですが、いくつかの注意点があることを知っておきましょう。
ここでは、スモールステップ導入時の注意点と、具体的なアプローチ方法を紹介します。
細分化しすぎて逆効果にならないために
スモールステップを導入する際に気をつけたいのは、タスクを細かくしすぎてしまうことです。
細かすぎるタスク設定は、かえってモチベーションを低下させる要因となり、全体の目標達成に支障をきたす場合があります。
たとえば、1日の目標を「10分ごとにタスクを確認する」というように極端に細分化した場合、逆に作業を進めにくくなったり、負担になってしまったりすることが考えられます。
そのため、スモールステップにおけるタスクは、実行や進捗状況の確認に支障が出ない範囲で細分化を行い、最終的な目標を常に意識できるようにすることが重要です。
目標達成に時間がかかる場合の対処法
スモールステップは、段階的に目標を達成していくアプローチですが、目標達成までに時間がかかりすぎる場合があるため注意が必要です。
とくに緊急度の高い目標や、早急な対応が求められるプロジェクトには向いていません。
スモールステップを導入する際には、達成すべき期間や必要なリソースを事前に確認し、長期的に取り組む余裕があるかどうかを判断しましょう。
また、スモールステップが合わないと感じた場合には、従来の目標管理手法や別のアプローチを検討することも大切です。
たとえば、クイックな結果を求められるプロジェクトでは、最終目標を1つに絞り、進行管理を徹底しながら対応するほうが適している場合もあります。
スモールステップを取り入れる前に、目標達成にかかる期間や状況をしっかりと見極めることが、効果的な運用につながります。
スモールステップを成功させるポイント
スモールステップを効果的に導入し、成功させるためにはいくつかのポイントをおさえておくことが重要です。
とくに、モチベーションを維持する仕組みづくりや自己効力感を高める工夫を行うことで、目標達成への道のりをスムーズに進めることができます。
ここでは、スモールステップを成功に導くための具体的なアプローチを解説します。
モチベーションを維持するための仕組み
スモールステップを成功させるには、モチベーションを維持する仕組みを作ることが大切です。
小さな成功体験の積み重ねによって達成感を得ることは、持続的な行動を促す効果があります。
たとえば、毎日「今日の目標をクリアできた」と感じることの積み重ねがモチベーション維持につながり、最終目標に向かう意欲を高めるために有効です。
また、フィードバックの実施や報酬の設定も効果的です。
各ステップを達成した際に、上司やチームメンバーからのポジティブなフィードバックを得られると、「自分はできる」という感覚が強まり、さらなる挑戦へのモチベーションが高まるでしょう。
報酬は、金銭的なインセンティブだけでなく、承認や感謝の言葉によってモチベーション維持を促すことも有効です。
自己効力感を高めるための工夫
自己効力感とは、「自分はこの事柄をうまく実行できる」という感覚のことを指します。
自己効力感の向上は困難な課題へ挑戦し続ける原動力となるため、スモールステップの成功には自己効力感を高める工夫を取り入れることが重要です。
たとえば、目標を達成した際には、成果を具体的に承認・評価することが効果的です。
「本日の営業電話は予定の10件を達成できた」などのように、達成内容を具体的に確認し、「次は15件を目指してみよう」と次のステップへの意欲を引き出すようにします。
また、チーム全体で達成感を共有することも有効です。
チームのメンバー間で進捗を確認し、目標の達成を喜び合うことで、自己効力感をチームレベル・組織レベルで高めていけるでしょう。
社内コミュニケーション活性化に「Chatwork」
スモールステップの導入・成功には、適切な進捗管理やフィードバック、チーム内のコミュニケーションなどが重要です。
これらをスムーズに実現するツールとして、ビジネスチャットツール「Chatwork」がおすすめです。
Chatworkでは、プロジェクトごとのチャットルームやタスク管理機能を活用することで、スモールステップごとの進捗をチーム全体で共有しやすくなります。
さらに、個々のタスク達成状況を確認し、適切なタイミングでフィードバックを行うことで、社員のモチベーションを保ちながらプロジェクトを前進させることが可能です。
Chatworkの「タスク管理機能」を使えば、各スモールステップをタスクとして設定し、進捗をリアルタイムで確認できます。
また、「チャット機能」を使ってメンバー間で簡単にフィードバックを送り合い、達成時には「お疲れ様」などのメッセージを送ることで、モチベーションを高めることができます。
スモールステップを効率よく進めるために、「Chatwork」をぜひご活用ください。
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