DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義や目的、推進方法を解説

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働き方改革
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義や目的、推進方法を解説

目次

デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を耳にする機会が増え、デジタルトランスフォーメーションの必要性を感じている方もいるかもしれません。

しかし、デジタルトランスフォーメーションとは具体的には何を指していて、デジタル化やIT化とどのような違いがあるのか、明確になっていない人も多いでしょう。

そこで、デジタルトランスフォーメーションとは一体何なのか、企業としてDXをおこなうには何をすればよいのかについて、ご説明します。

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デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

デジタルトランスフォーメーションとは、「デジタルによる変革」を表す言葉になり、デジタル技術によって、人々の生活をよりよいものに変革することを意味しています。

「トランスフォーメーション」の和訳は「変換」ですが、「変革」のほうがふさわしい訳といえるでしょう。

英語では「Digital Transformation」と表記されますが、英語圏では「Trans」を「X」と表記するため「DX」と略されます。

DXを最初に提唱したのは、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授で、「IT技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させる」と発表しました。

DX推進のためには、企業内でのペーパーレス化やメールやチャットの採用など、単にITの仕組みやツールを導入するだけでは不十分です。

なぜなら、デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや仕組み、製品やサービスを変革させていく必要があるからです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の目的

  • 今までにない製品やサービス、ビジネスモデルを作り出す
  • 生産性の向上、コスト削減、時間短縮などのメリットをもたらす
  • 働き方を改善する

[※1]「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」

上記をデジタルトランスフォーメーションを通して実現するために、業務プロセスやビジネスモデルなどを含めた企業のあり方を見直す必要があります。

例えば、企業内でコミュニケーションツールとしてメールやチャット、テレビ会議などを導入したとしても、単なるIT化、デジタル化にすぎません。

DXを推進するなら、社内に限らず世界中のどこにいても社員同士がつながり、データを共有できる仕組みの構築など、根本的な変革が必要です。

IT技術でどこにいても社員同士がつながることができれば、社員が必ずしも毎日通勤する必要や会議のために出社する必要もなくなり、社外での営業活動もスムーズにおこなえるようになるでしょう。

デジタルトランスフォーメーションの結果、生産性の向上やコスト削減、時間短縮、働き方の改善につながります。

デジタルトランスフォーメーションは企業のあり方を見直す動きであり、簡単に実現できるものではありませんが、この難しい課題にどのように立ち向かっていけばよいのかを、企業として考えていくことが重要です。

>DXの目的とは?に関する記事はこちら

DX推進のための企業経営のあり方

DXを推進するために、企業の経営者はどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。

企業経営のあり方を考える前に、経済産業省が2018年9月に出した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」[※1]というレポートには、以下のような衝撃の事実が書かれていました。

  • 既存システムはDXを推進するうえで障壁になる
  • 2025年までにシステムを刷新しなければ、それ以降に年間12兆円の経済損失が発生する可能性がある

このレポートでは、既存システムの複雑化やブラックボックス化を課題にあげており、それらが引き起こすリスクを以下のように示しています。

  • レガシーなシステムによりビジネスモデルの柔軟で迅速な変化に対応できず、デジタル競争の敗者になってしまうこと
  • 既存システムの維持管理費が高騰し、IT予算の多くを既存システムに投じなければならなくなってしまうこと
  • システムのカスタマイズなどを繰り返したことで既存システムを理解できる保守運用の担い手が不足し、セキュリティ面でのリスクが高まること

その結果、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性を示唆しており、この危機感を産業界全体で共有し、政府における環境整備を含め、企業のDX推進をあと押ししていくことが述べられています。

>2025年の崖とは?に関する記事はこちら

経済産業省は、2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」[※2]を作成しました。

その中で、DX推進のための経営のあり方、仕組みについて、ガイドラインを定めています。

1.経営戦略・ビジョンの提示

データやデジタル技術の活用により、どのような新たな価値を目指すか、そのために必要なビジネスモデルについて、経営戦略やビジョンを提示できていることが重要視されます。

2.経営トップのコミットメント

経営トップがビジネスや仕事のやり方、組織・人事、企業文化・風土の変革に対して強いコミットメントをもって取り組めている必要があります。

3.DX推進のための体制整備


マインドセット

各事業部門で、新たな挑戦に積極的に取り組むマインドセットを生み出す仕組みを作る必要があります。

具体的には、仮説検証の繰り返しプロセスの確立、プロセスをスピーディーに実施し評価する仕組みなどがあげられます。


推進・サポート体制

DX推進部門の設置など、必要な体制が整えられている必要があります。


人材

DX推進のために必要な人材の育成や確保をおこなう必要があります。具体的には、デジタル技術やデータ活用に精通した人材、各部署においてDXの取り組みができる人材の育成や確保をおこなうことです。

4.投資などの意思決定のあり方

以下について投資などの意思決定ができることも重要です。

  • コストだけでなく、ビジネスにプラスになる判断をすること
  • 定量的なリターンを求めすぎて挑戦を阻害していないこと
  • DXを実現できないことによるリスクを想定していること

5.スピーディーな変化への対応力

ビジネスモデルを変革した結果、経営方針の転換やグローバル展開などのスピーディーな対応が可能である必要があります。

これらはDX推進における経営のあり方について多角的な視点で定められたガイドラインなので、DX推進の際に活用しましょう。

>DXで実現できる働き方改革に関する記事はこちら

DX推進のためのIT基盤の構築

DXを推進していくために、どのように企業のIT基盤を構築していけばよいのでしょうか。

前出の経済産業省のガイドラインでは、DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築について定めています。

ガイドラインのIT基盤構築に必要な企業がおこなうべきプロセスの内容について、簡単にまとめました。

1.体制・仕組み


1-1.体制

全社的なITシステムを構築するための体制、つまりITシステムの全体設計ができる体制や人材を確保できていること。


1-2.ガバナンス
  • 各部署が連携し全社的に最適なITシステムを確立するために、必要なガバナンスを確立していること
  • ベンダー企業に丸投げせず、ユーザー企業自らが企画・要件定義をおこなっていること

1-3.事業部門のオーナーシップと要件定義能力
  • 各事業部門がオーナーシップをもってDXで実現したい事業企画や業務企画を明確化していること
  • ベンダー企業からの提案に対し、各事業部門が自ら要件定義をおこない、完成責任までを担っていること

2.実行プロセス


2-1.IT資産の分析・評価

現状のIT資産を分析・評価できている必要があります。


2-2.IT資産の仕分けとプランニング

以下を勘案し、IT資産の仕分けから新たなITシステムへの移行のプランニングができている必要があります。

  • 企業の強みと弱みを踏まえ、データやデジタル技術の活用によるビジネス環境の変化に対応し、迅速にビジネスモデルを変革できるよう、システム環境を構築すること
  • 全社横断的なデータ活用を可能にするなど、システム間連携を取れていること
  • 競争領域と協調領域を正しく精査し、リソースの重点配分を図っていること
  • 廃棄すべきITシステムを、コストをかけずに廃棄できていること
  • 無駄なシステムの保守費用などの技術的負債を低減していること

2-3.変化への追従力

刷新後のITシステムは、ビジネスモデルの変化にスピーディーに追従できるようになっている必要があります。

そのため、導入の結果、ビジネスがうまくいったかという基準で評価する仕組みを整えておきましょう。

DX推進のための補助金もある

企業はDXを推進していく際に、補助金を利用できます。

中小企業向けのDX推進のための助成金や補助金についてご紹介しますので、ぜひ活用してください。

さらに詳しく学びたい方はこちら

IT導入補助金

中小企業に対して、IT機器やソフトウェア、各種システムなどの導入経費の一部を支給する補助金です。

枠によって異なりますが、申請が受け付けられれば30万円~450万円の補助を受けられます。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

中小企業の生産性の向上を支援するための補助金です。

DXを推進して生産性を向上できれば、必要なIT機器などの経費に充てることも可能です。

補助金額は、一般形の申請で100万円~1,000万円となっています。

キャリアアップ助成金

パートやアルバイト従業員を非正規雇用から正規雇用の労働者として、処遇を改善した場合に支給される助成金です。

DXを進めるにあたり、必要なIT技術をもつ人材を正社員として育成する際に役立つでしょう。

デジタルトランスフォーメーションの取り組みを始めよう

デジタルトランスフォーメーションは、企業が今後生き残っていくために必要不可欠な対策であることがわかっていただけたでしょうか。

DXを推進するためには、単なるIT化にとどまらず、全社的な取り組みとして新たなビジネスモデルや製品、サービスを導入する必要があります。

DXの推進に向けて、経営者は事前の準備を入念におこない、経営トップを巻き込んだ全社的な取り組みを推し進める必要があるでしょう。

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[※1]出典:平成30年9月経済産業省
DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-1.pdf

[※2]出典:平成30年12月経済産業省
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf


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