メンター制度とは?目的やメリットデメリット、導入方法、ポイントを解説
目次
大手企業から中小企業まで、さまざまな企業がメンター制度を導入しています。
メンター制度は、若手社員の定着や業務効率化の観点からも注目されている制度です。
メンター制度とは具体的にどのような制度なのか、導入のポイントから、メリットやデメリットを解説します。
メンター制度とは
メンター制度とは、指導者を指す「mentor」からくる用語です。
指導する側は「メンター」、指導される側は「メンティ」とよばれます。
メンターの主な役割は、職場の人間関係の悩みなど、精神面でサポートをすることです。
もともとメンター制度は、女性社員の活躍を推進する手段のひとつとしても推奨されてきました。
現在は、メンティになりえるのは必ずしも女性だけではなく、新入社員をはじめとした若手社員と考えられています。
メンター制度は、別の部署の先輩がメンタル面のサポートを中心におこなうため、気軽な雑談や相談などがしやすいとされています。
メンター制度とエルダー制度の違い
メンター制度に似た制度として、エルダー制度なども知られています。
エルダー制度で指導する役割を担うのは、同じ部署の上司や先輩です。
また、エルダー制度はメンター制度と同様、主に精神面でのサポートをおこなうことが想定されています。
メンター制度とOJT制度の違い
先輩社員について実践的に実務研修をするOJTは、実際の業務に参画しながら進めるケースが多く、メンター制度と似ている点もあります。
メンター制度は、後輩社員の所属している部署とは違う部署の先輩社員が担当になりますが、OJTでは同じ部署内でサポートすることが基本です。
また、実務指導がメインとなるOJTでは、担当の先輩社員の年齢が若手かどうかはそこまで考慮されません。
メンター制度の導入を支援する助成金もある
以上をふまえたうえでメンター制度の導入を決める場合は、助成金制度の活用も合わせて検討しましょう。
メンター制度に対して受けられる補助金は「人材確保等支援助成金」と呼称されており、「雇用管理制度助成コース」によって受給を申請することができます。
2021年3月現在公表されている情報によると、助成額は、離職率の低下を達成すると57万円、生産性要件を満たしたと認定されると72万円です。
受給するには、雇用管理制度整備計画を策定し、認定を受けることや、メンター制度の導入・実施にあたってメンターに講習を受講してもらうなどの要件があります。
また、受給要件を満たすのは新たにメンター制度を導入する企業に限られます。[注]
メンター制度の導入が必要な理由
メンター制度が注目されているその最大の理由は、導入することで、新入社員や若手社員が抱える不安を解消できるという点にあります。
仕事に関連する悩みや不安を抱いたまま生活をしていると、早期離職や精神的な疾患をわずらう可能性にもつながりかねません。
若手社員の悩みの解消という側面ももちつつ、年の近い社員同士のつながりを強化するという点でも、メンター制度は有効な手段といえます。
メンター制度のメリット
メンター制度には、どのようなものがあるのでしょうか。
メンター制度を導入するメリットをご紹介します。
コミュニケーションの活性化
メンター制度を導入することで、従業員同士の対話やコミュニケーションが増えます。
制度の一貫でありながら、コミュニケーションを活性化させ、社内の繋がりを強化するというメリットも兼ねています。
メンター制度は、部署間を越えたメンバー内でサポートをおこなう制度なので、部署間を超えたつながりも形成できます。
>社内コミュニケーションを活性化する方法に関する記事はこちら
離職率の低下
メンター制度を導入することは、離職率の低下にもつながります。
ひとりで不安を抱え込む傾向にある若手社員に対して、メンター制度があることで、先輩社員に気軽に相談ができる場が用意されることになります。
不安が解消することにより、離職率をおさえることができるようになり、仕事へのモチベーションも維持しやすく業務効率の向上にもつながるでしょう。
キャリア形成支援につながる
メンター制度は、指導に当たるメンター側のキャリア形成にも役立ちます。
メンター制度で若手社員をサポートすることで、メンター側も、今まで考えたことがなかった点でキャリアを見直したり、自分自身と向き合うきっかけになったりもします。
相談をする従業員に限らず、相談を受ける側のキャリア形成支援につながる点もメリットといえます。
職場やチームの課題がみつかる
フレッシュな若手社員や新入社員の声を取り入れることで、これまで意識していなかった新たな視点から、組織を見直すきっかけになることもあります。
目を背けていた課題などに対して、改めて改善策を考える機会にもなるでしょう。
メンター制度であがった意見は、積極的に反映し、問題を改善できるよう心がけましょう。
メンター制度のデメリット
メンター制度にはさまざなメリットがありますが、デメリットの側面もあります。
メンター制度を導入する際に、どのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。
メンターの業務負荷が高くなる
メンターは、自身が抱えている業務に加えて、若手社員のサポートをする必要があるので、業務負荷が高くなってしまうというデメリットがあります。
メンター制度は、ただ単に話を聞くだけではなく、若手社員がより働きやすくなるように業務環境を改善する必要があります。
場合によっては、会社の上司や他部署のメンバーにも、協力を仰ぐ必要が出てくるケースもあるでしょう。
メンター自身の業務負荷が高くなり、業務に手がまわらなくなってしまっては本末転倒なので、都度調整するようにしましょう。
相性次第では信頼関係の構築が難しい
メンターとメンティーの組合わせは、基本的に人事部が決めていくことが多いですが、相性が合わないというケースもあります。
せっかく相談ができる場であるにも関わらず、信頼関係が構築しにくい相性だと、逆にストレスに感じてしまい逆効果です。
相性が合わない場合は、担当を変えるなど臨機応変な対応をおこなうことを心がけましょう。
サポート度合いに差が生じる
メンター制度は人と人とのやりとりになるので、サポートの手厚さや内容に差が生まれてしまいます。
担当者によっては、まめに面倒を見る人もいれば、放任的な人もいるでしょう。
メンター制度のクオリティを担保できるよう、何かしらの基準やルール作りをおこない、全員が平等にサポートを受けられる仕組みを作りましょう。
メンター制度の導入方法とポイント
メンター制度を導入したいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
メンター制度を導入するための手順やポイントを、分かりやすく解説していきます。
導入する目的を明確にする
まずは、メンター制度を導入する目的を明確にしましょう。
メンター制度を導入することで得られるメリットがさまざまあるのと同様に、「新入社員の定着」「社内間のコミュニケーション活性化」など、導入目的も企業によって異なります。
企業が抱えている課題感に合わせて、目的を設定するといいでしょう。
必要に応じて、専門家に相談することも可能です。
実施計画を策定する
目的が確定したら、実施計画を策定していきます。
メンター制度の実施期間や、メンタリングをどれくらいの頻度で実施するのか、どれくらいの時間をかけて実施するのかなど、決めなければならない内容は多くあります。
目的や会社の風土に合わせて、制度を導入しやすい実施計画を策定しましょう。
運用方法やルールを決める
メンター制度を導入し、円滑な運用をおこなうには、きちんとした運用方法やルールは定める必要があります。
事前にルールを決めておかないと、必要以上にメンターに負荷がかかってしまうことがあり、トラブルにもつながりかねないので注意が必要です。
守秘義務や一回あたりの面談の時間、コンタクトの方法、相談窓口を設置するなど、あらゆるリスクを想定して運用方法とルールを決めるようにしましょう。
メンターとメンティーの組み合わせを決める
メンター制度は本格的に始めるには、メンターとメンティーの組み合わせを決めなければなりません。
組み合わせの決め方は、主に「アサインメント方式」と「ドラフト方式」の2種類があります。
アサインメント方式は、人事担当が両者の組み合わせを決める方法で、ドラフト方式は、候補者リストのなかからメンティーがメンターを選ぶ方法です。
好みで組み合わせが決まらないように、事前に経験者や人事担当者が選び方をレクチャーできるといいでしょう。
研修を実施する
メンターとなった従業員に向けて、研修をおこなうようにしましょう。
メンタリングのやり方からコミュニケーションの方法など、人材育成や教育に関する内容を学ぶ必要があります。
メンターへの研修は、一度限りではなく、定期的にフォロー研修やエンディング研修をおこなうことで、メンター制度の品質担保につながり、効果をより得られるようになります。
運用と振り返りを繰り返す
目的や実施計画の作成、ガイドラインなど全てを決めたら、メンター制度の運用を開始します。
メンター制度を始めたら、定期的に関係者へのヒアリングやアンケートを実施し、振り返りをおこなうようにしましょう。
あがった意見やフィードバックを参考に、メンター制度をよりよいものにできるよう、改善していくことが重要です。
メンター制度のコミュニケーションにChatworkを活用
メンター制度においては、メンター期間のコミュニケーションだけではなく、信頼関係を構築するための日頃のコミュニケーションも大切です。
コミュニケーションの活性化には、ビジネスチャット「Chatwork」が活用できます。
「Chatwork」は、誰にでもわかりやすく直感的に使えるビジネスチャットツールなので、グループや個人間など任意の相手と気軽にコミュニケーションを取ることができ、メールと比較し気軽なやりとりが可能です。
業務中の接点が少ないメンターとメンティ間のコミュニケーションツールとしても大いに活躍するでしょう。
メンター制度を効果的に運用するためにも、ぜひ「Chatwork」の導入を検討してください。
>Chatworkで社内コミュニケーションの活性化に成功した事例
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[注]出典:雇用管理制度助成コースの詳細(リーフレット)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000617722.pdf