アサーティブ・コミュニケーションとは?実践方法とメリットを例を交えて解説
目次
同僚や上司とコミュニケーションを行うなかで、自分の意見を言えずに、ストレスを抱えたことがある方も多いのではないでしょうか。
ストレスを抱えてしまうのは、コミュニケーションの方法自体に問題があり、改善する必要があります。
自身の意見を率直に相手に伝える方法として、アサーティブコミュニケーションが役立つとされています。
アサーティブコミュニケーションの方法やメリット、ビジネスシーンでどのように役立つかを紹介します。
アサーティブとは
まずは、アサーティブコミュニケーションの意味を理解しましょう。
また、現代のビジネスシーンにおいて、アサーティブコミュニケーションが重要視されている背景を解説します。
アサーティブコミュニケーションとは
アサーティブ(assertive)とは、自他ともに尊重することを指します。
アサーティブなコミュニケーションのことを、アサーティブコミュニケーションと呼びます。
アサーティブコミュニケーションでは、一方的に主張したいことを伝えるのではなく、相手の意見も大切にしながら適切な方法で表現します。
アサーティブの代わりに、アサーション(assertion)やアサーティブネス(assertiveness)という言葉が使われることがありますが、基本的には同様の意味です。
もともとは、1949年に「条件反射療法」のなかで紹介されたコミュニケーション方法で、1960年代以降の黒人差別に対する運動や、女性の権利を求める運動で発達していきました。
アサーティブコミュニケーションが重要視される背景
アサーティブコミュニケーションが重要視されている背景に、人間関係の複雑化があげられます。
言葉が足りずにコミュニケーションに支障が出たり、人間関係を優先するあまり、相手に言いくるめられてしまったりしたという経験を持つ方も、多いのではないでしょうか。
自身の意見を正確に伝えられずに、トラブルが起こるのを防ぐためにも、アサーティブコミュニケーションの必要性が高まっているといえます。
アサーティブコミュニケーションを支える「4つの柱」
アサーティブコミュニケーションには、「誠実、率直、対等、自己責任」の4つの柱によって表現されます。
それぞれ、どのような意味を持つのか確認しましょう。
誠実
アサーティブコミュニケーションにおける誠実とは、自分だけでなく、相手にも嘘を付かないように発言することです。
相手を優先しすぎることで、自分の気持を抑えすぎてしまわないように、誠実な気持ちを持つ必要があります。
率直
率直は、自分の意見を主張する際に、遠回しな発言をしないようにすることです。
具体的には、主語を明確にすることや、第三者の発言を代弁しないように気を付けます。
対等
対等は、相手がどのような人物であれ、対等にコミュニケーションを取ることです。
会社の上司、先輩、取引先といった相手とコミュニケーションを取る際に、相手を見下したり、威圧的な態度をとったりしないようにします。
自己責任
自己責任は、自分の主張した内容や考え方に責任感を持つことです。
自分がストレスを抱えてしまったり、相手を遠ざけてしまったりしている原因を、相手に押し付けないようにしましょう。
アサーティブとアサーティブではない自己主張の種類
アサーティブによる自己主張を行う際には、アサーティブではないコミュニケーションに注意する必要があります。
混合されやすいアグレッシブな自己主張や、ノンアサーティブな自己主張との違いを紹介します。
アグレッシブ(攻撃型)
アグレッシブ(攻撃型)とは、相手を尊重することなく、自分さえよければ良いという考え方です。
相手の考えや感情を無視し、自分だけの要求のみを押し付ける形で主張を続けます。
アグレッシブな自己主張をおこなう人は、何事に対しても勝ち負けの執着が強く、相手に負けることができない性格であることが多いです。
アサーティブ(主張と尊重)
アサーティブ(主張と尊重)は、自己主張を行うと同時に、相手の考え方や感情を理解できる考え方です。
アグレッシブとノンアグレッシブの中間となる方法で、相手と意見がぶつかり合っても、納得のできる回答を導くことができます。
アサーティブな自己主張をできる人は、相手の意見を受け止められる、その場に合った適切な表現を選べる人です。
ノンアサーティブ(非主張型)
ノンアサーティブ(非主張型)は、他人の意見を尊重することを重要視してしまい、自己主張がなかなかできない考え方を指します。
自己主張がそもそも苦手であるだけでなく、相手のことを優先しすぎてしまう人が当てはまります。
職場で例えると、自分の仕事で忙しいのに、相手に頼まれたら断れないタイプです。
アサーティブコミュニケーションをおこなうメリット
アサーティブコミュニケーションには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ビジネスシーンで、アサーティブコミュニケーションを行うメリットを解説します。
コミュニケーションスキルの向上
アサーティブコミュニケーションは、コミュニケーションスキルの向上につながる点がメリットです。
自身の考え方を、適切に相手に伝える方法を学ぶことで、表現力を磨けます。
また、その場の雰囲気を理解しながらコミュニケーションをおこなうと、相手も自身の意図を理解し、関係性を向上できます。
生産性が高まる
アサーティブコミュニケーションは、生産性を高めるきっかけにもなります。
自分と相手のなかで、無理のない条件で仕事を進められるため、トラブルやリスクを回避できます。
曖昧になりやすいポイントも鮮明になりやすく、集中して業務に取り組めるのがメリットです。
ストレスが軽減する
発言したいことが言えなくなってしまう状況は、ストレスを溜める原因です。
アサーティブコミュニケーションを身につけることで、自分が考えていることを率直に伝え、ストレスの軽減につながります。
また、自分にも納得しながら仕事を進められ、仕事でストレスが発生しにくくなるのがメリットです。
働きやすい環境作りができる
アサーティブコミュニケーションは、働きやすい環境作りにもつながります。
同僚や上司、取引先の顧客とのコミュニケーションを円滑に行えるため、仕事上に発生しやすいトラブルも減少するでしょう。
お互いにとって気持ちのいいコミュニケーションを実現することで、ストレスなく働くことができます。
アサーティブコミュニケーションを「DESC法」で実践する方法
アサーティブコミュニケーションを実践する場合には、「DESC(デスク)法」と呼ばれる方法が有効です。
DESC法は、Describe(事実の描写)、Explain(気持ちの説明)、Specialy(提案)、Choose(行動の選択)の頭文字を取った言葉です。
詳しくみていきましょう。
Describe(事実の描写)
Describe(事実の描写)は、相手に対する評価や自分の考え方を含めずに、客観的な情報のみを伝えることです。
コミュニケーションのミスを防ぐためにも、事実でないことを伝えないようにします。
Explain(気持ちの説明)
Explain(気持ちの説明)は、事実に対しての感情的・攻撃的にならないように注意することです。
常に冷静な態度を取りながら、適切に相手とのコミュニケーションをおこないます。
Specialy(提案)
Specialy(提案)は、自分が何を求めているのかを具体的に伝えることです。
抽象的な説明とならないように、表現方法に注意しながらコミュニケーションをおこないます。
Choose(行動の選択)
Choose(行動の選択)は、自分が求めていることを提案したあとに、相手の反応に応じて行動することです。
相手の考え方や感情を汲み取りながら、適切な行動を図ります。
アサーティブコミュニケーションの例
アサーティブコミュニケーションには、実際にどのような事例があるのでしょうか。
社内で起こり得る例を通して、アサーティブコミュニケーションが役立つ場面を紹介します。
上司や先輩から無理な要求をされたとき
アサーティブコミュニケーションは、上司や先輩から無理な要求をされたときに活用できます。
すでに多くの仕事を抱えているときに、急ぎの仕事を頼まれた場合、自身の状況と代替案を説明することで解決につながります。
会議で発言をしたいとき
会議中に自身の意見を発言する際にも、アサーティブコミュニケーションが役立ちます。
周りの意見も尊重しながら、自身の意見を発言することで、意思疎通の齟齬やチームワークのトラブルを防げます。
部下や後輩の誤りを指摘したいとき
部下や後輩が誤りを犯してしまったときに、アサーティブコミュニケーションを取り入れてみましょう。
相手のミスを理解することや、ミスを犯さないための具体的な方法を提示することで、モチベーションを落とさずに指摘できます。
アサーティブコミュニケーションにChatworkを活用しよう
アサーティブコミュニケーションは、相手とのコミュニケーショントラブルを防ぐ役割があります。
一方的に自身の意見や考え方を押し通さずに、相手を尊重することで、良好な関係性を保てます。
また、アサーティブコミュニケーションを行う際には、ビジネスチャット「Chatwork」を活用できます。
「Chatwork」を使うことで、チャット形式で相手とのスムーズな意思疎通を図りながら、自分の意見を周りに伝えることができます。
快適な職場の環境づくりのためにも「Chatwork」の導入を検討してみてください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。