高齢者のデジタルデバイド問題とは?対策方法と影響を解説
目次
アクティブシニアと呼ばれる高齢者も増え、65歳を超えても働いている人も多い時代となりました。
しかし、デジタル技術も日々変化し、日常生活ではスマートフォンやPCなどのインターネットを使い利便性が高まる中で、高齢者が情報弱者となりやすい傾向があります。
高齢者におけるデジタルデバイドの現状や原因を把握し、企業がどのような対策を進めるべきか解説します。
デジタルデバイドが進む高齢者の現状とは
インターネットによる情報収集や、SNSなどコミュニケーションがオンラインでおこなわれるなか、高齢者の情報リテラシーの低さにより格差が生まれています。
まずは、高齢者におけるデジタルデバイスが進んでいる現状を紹介します。
インターネットを使いこなせない
デジタル機器が日常的に存在し使いこなす世代に比べ、高齢者はインターネットを使いこなせていないのが現状です。
インターネットを使いこなせていないのは、知識不足やデジタルデバイスに触れてきた経験が少ないのが背景にあります。
また、昨今のIT事情に対する関心も低いため、インターネットでどのようなことを実現できるかを理解していない高齢者層も存在します。
デジタル機器の低い保有率
高齢者でデジタルデバイドが発生している現状を鮮明に表しているのが、デジタルデバイスの保有率の低さです。
平成29年に総務省がおこなった調査によると、高齢者のモバイルデバイスの所有率は60歳代が88.8%、70歳代が72.5%、80歳代は39.7%となっています。
この数字は、20代~50代の若年層が約95%以上を超えているのに対して、格段に低い保有率です。
また、モバイル80歳以上になるとモバイルデバイスを保有していないのは60.3%にも上り、20歳~30歳代の3.1%に比べ約20倍以上の人が保有すらしていない状況です。[※1]
デジタルデバイドが高齢者に発生する原因
ITへの知識や関心が高い若者世代と比較し、高齢者層ではデジタルデバイドの加速が進んでいます。
なぜ若年層に比べて高齢者にはデジタルデバイドが起こるのでしょうか。
デジタル機器の操作に難がある
高齢者層でデジタルデバイドが起きている原因に、デジタル機器の操作に難があることが挙げられます。
新しい機能が加わるだけで、「どのボタンを押せばいいのかわからない」、「説明書を読んでも理解できない」といった問題が起きます。
また、横文字が理解できないことも操作を難しくしている原因のひとつです。
デジタルデバイスを使いこなしている世代からみて当たり前のことでも、慣れていない高齢者は理解し記憶するのに多くの時間が必要です。
利便性が向上するがゆえに複雑化するデジタル機器の操作方法は、高齢者にとっては難解となっています。
正しい情報の判別が難しい
高齢者層でのデジタルデバイドは、正しい情報を判別することができないことも原因です。
たとえば、普段からインターネットを使っていると、迷惑メールや怪しいWebサイトなどの不審な情報を見分けがつけることができます。
しかし、デジタルデバイスに触れる機会の少ない高齢者にとっては、どのような情報が悪質で、どう対策するべきかを判断するのが難しくなります。
結果として、デジタルデバイスへの敬遠が進み、必然的にデジタルデバイドが起きてしまっているのです。
Webサイトのデザインがわかりにくい
若者向けのデザインは、高齢者にとってわかりにくいデザインとなっている可能性があります。
Webサイトのデザイン性を優先することで、文字が小さくなる、操作性がわかりにくいなど、高齢者が利用しにくい環境が生まれています。
デジタルデバイドが高齢者層に与える影響
高齢者層でのデジタルデバイドによって、日常生活だけでなく、仕事にも悪影響を及ぼす可能性があります。
PCやスマートフォンなどのICTが必須になった現代において、業務にどのような支障が出てしまうのでしょうか。
業務における生産性の低下
高齢者層でのデジタルデバイドは、企業の生産性を低下させる原因となります。
現代のオフィス業務では、デジタルデバイスやソフトウェアを活用し効率よく業務を進めることが当たり前になっています。
たとえば、顧客管理システムを使っていれば、営業活動も効率的に進み、企業としても業績を伸ばすことが可能です。
デジタルツールに不慣れな高齢者が多い場合、生産性や競争力の低下を招く危険性があります。
社会的な孤立を生み出す
高齢者のデジタルデバイドは、社会的な孤立を生み出してしまうことも考えられます。
家族や友人とのコミュニケーションにおいても、デジタルツールの使用が当たり前となりました。
また、企業でもPCを使える人材が一般的となっており、デジタルデバイスを使いこなせない高齢者にとって社会とのつながりがなくなる恐れがあります。
災害や緊急時の避難の遅れ
災害や緊急時においては、デジタル機器は命綱ともいえるライフラインです。
緊急性の高い情報に関しても、スマートフォンやPCなどからすぐに得られます。
一方で、デジタルデバイドが起きている高齢者層では、デジタルデバイスからの情報取得が難しく、災害時において避難の遅れてしまう可能性があります。
高齢者のデジタルデバイド解消に向けた対策
高齢者でのデジタルデバイドが起きているなかで、どのような対策をおこなえばいいのでしょうか。
私生活だけでなく、業務に支障が出ないようにデジタルデバイドの改善をおこないましょう。
社内でITリテラシーに関する教育を実施する
企業がおこなえる改善策として、ITリテラシーに関する教育をおこなうことをおすすめします。
たとえば、事務職なら書類作成にまつわるソフトウェアやツール、営業職なら売り上げ向上につながるソフトの使い方など、各業務に必要なデジタル操作の研修や、マニュアルを作成することもできます。
また、インターネットによるビジネスの危険性を教育し、高齢者が安心してPCを使えるような環境を作る必要もあります。
高齢者向けのデジタル機器教室を開く
高齢者向けのデジタル機器学習会を開くことも検討しましょう。
教室を開く際には、専門用語が分からない、どのボタンを押してよいか分からないなど、高齢者の悩みに寄り添いながら教えることが大切です。
また、業務中で不明なことが出た際には、フィードバックをしながら改善をし、不自由なく使いこなせるように教育をしましょう。
高齢者にフレンドリーなWebサイトの設計
小さな文字が見えない、カタカナ文字の意味が分からないなど、高齢者にとっては理解が難しいことでWebサイトの活用が難しくなっています。
クリックする場所を大きくしたり、文字の大きさを調整したりし、利用する高齢者にフレンドリーなサイト構築がWebサイト利用の向上にもつながります。
ITツールを使用してコミュニケーションを取る
電話などのアナログな手段になりがちなものも、ITツールを使用してコミュニケーションを取るのも大切です。
紙文書での配布をメールにしたり、ちょっとした会話もチャットツールを使ったりすることで、デジタル機器への苦手意識が薄まります。
他人とのコミュニケーションをしやすくすることで、高齢者の社会的な孤立も防ぐことができます。
高齢者に適したITツールを活用してデジタルデバイドを改善しよう
今後、日本は超高齢化社会に突入し、アクティブシニアと呼ばれる働く高齢者も少なくありません。
しかし、若年層に比べて、高齢者が情報弱者となりやすい面から、さまざまな問題が起きることが予想されます。
高齢者層でのデジタルデバイドを改善するためには、「高齢者の悩みに寄り添ったITツール」が必要不可欠となってきています。
ビジネス向けチャットツール「Chatwork」は、シンプルな操作でコミュニケーションを取れるため、高齢者でも扱うハードルが低いでしょう。
Chatworkを社内でのコミュニケーション用途に導入することで、少しずつITへの興味を高められるのに役立ちます。
高齢者でも使いやすいITツールを企業内で用意し、デジタルデバイドを改善しましょう。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※1]出典:総務省「「平成29年通信利用動向調査の結果」の訂正」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/180525_1.pdf
※本記事は、2021年6月時点の情報をもとに作成しています。