GX(グリーントランスフォーメーション)とは?DXとの関係や国内の企業事例を解説

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働き方改革
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GX(グリーントランスフォーメーション)とは?DXとの関係や国内の企業事例を解説

目次

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、クリーンエネルギーを主とした社会システムの変革により、地球環境をよくしようとする取り組みを指します。

現在多くの企業がGXに取り組んでおり、GXに関するニュースも多く聞かれるようになってきたため、社会の注目を集めています。

地球環境をよくするだけでなく、取り組む企業にもメリットがあるGXについて、言葉の意味やDX(デジタルトランスフォーメーション)との関係、国内の企業事例を解説します。

GX(グリーントランスフォーメーション)とは

GXとは「Green Transformation」の略で、経済、産業の発展を化石燃料に頼るのではなく、クリーンエネルギーに転換していき、経済社会システム全体への変革を目指す取り組みを指す言葉です。

化石燃料を主としている場合、温室効果ガス(CO2等)が排出され、地球温暖化などの気候変動をさらに加速させてしまう懸念が指摘されています。

気候変動を食い止めるためには、太陽光発電や風力発電などの、環境に負荷がかからないクリーンエネルギーを利用した経済活動への転換が、必要であるといえるでしょう。

GXとDXの関係性

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「Digital Transformation」の略で、デジタル技術を発展させ、人々の生活をよりよくしていこうとする活動を指す言葉です。

GXとDXは、それぞれ並行しながらの取り組みにより、地域、とりわけ地方の課題解決につながる可能性をもっています。

現在の日本は、人口が都市部に集中傾向にあり、都市から地方への移動も活発ではなく、地方の経済活動が停滞し、エネルギーなどの地産地消が難しい状況です。

たとえば、DXの促進によりワーケーションが可能になれば、地域に人が増える効果が期待できたり、デジタル技術の活用によってクリーンエネルギーがうみだされたら、経済の発展やエネルギーの地産地消を促進できたりなど、地方の課題解決につながるでしょう。

GXとDXは、どちらか一方に取り組むのではなく、それぞれ並行しながら注力することが重要です。[※1]

>DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する記事はこちら

GXが注目されている理由

GXが注目されている理由は、大きく3つあります。

  • 地球温暖化などの環境問題
  • カーボンニュートラル宣言
  • 重点投資分野のひとつであること

3つの理由について、詳しくみていきましょう。

地球温暖化などの環境問題

環境省によると、2020年において、世界の平均気温は1850年から1900年代の工業化以前と比較し、約1.1度上昇しています。

今後、温室効果ガス(CO2等)の排出が非常に多い状態が続く場合には、2050年には約2.5度、2100年には約5度も気温が上昇する予測が発表されています。

一方で、温室効果ガス(CO2等)の排出が非常に少ない場合では、2050年から2100年にかけての気温上昇は2度未満に抑えられ、緩やかに気温が低下していく予測です。

また、地球温暖化は気温の上昇だけでなく、生態系への影響や、気候変動による海面上昇、豪雨・洪水など自然災害の増加にもつながるため、環境問題に配慮した経済活動であるGXは、とりわけ注目を浴びています。[※2]

カーボンニュートラル宣言

2020年当時の日本政府は、2050年までに温室効果ガス(CO2等)の排出をゼロにする「カーボンニュートラルを目指す宣言」をしました。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガス(CO2等)を「排出」せざるを得なかった分と同じ量を、植林などの森林管理で「吸収」する量によって、実質的に差し引きゼロ(ネットゼロ)にすることをいいます。

現在、世界的にもカーボンニュートラルの機運が高まっており、日本だけでなく、多くの国々がカーボンニュートラルの旗を揚げています。

日本を含む、世界の120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」の実現を表明しており、GXが注目される理由のひとつとなっています。[※2]

>カーボンニュートラルに関する記事はこちら

重点投資分野のひとつになった

2022年6月、日本政府はGXを重点投資分野のひとつとし、この先10年程度の民間投資を前倒しして150兆円超の官民投資を引き出す考えを示しました。

重点投資分野とは、「経済財政運営と改革の基本方針 2022」(いわゆる「骨太の方針」)で示された、日本政府が重点的に投資をおこなう分野を指します。

2022年度の基本方針では、以下の4分野が「新しい資本主義に向けた重点投資分野」として示されており、GXはそのひとつとなったため、注目されています。

  1. 人への投資と分配
  2. 科学技術・イノベーションへの重点的投資
  3. スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進
  4. GX(グリーントランスフォーメーション)およびDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資

この方針のなかで、GXへの取り組みが示されています。

2030年度46%削減、2050年カーボンニュートラルに向け、経済社会全体の大変革に取り組む。
...(中略)...
官民連携の下、脱炭素に向けた経済・社会、産業構造変革への道筋の大枠を示したクリーンエネルギー戦略中間整理に基づき、本年内に、今後10年のロードマップを取りまとめる。
[※3]

GXをはじめとして、上記分野に重点的に投資することで、日本経済の持続的成長と、国民の生活の向上を目指しています。[※3]

日本政府のGX(グリーントランスフォーメーション)の取り組み

日本においては、経済産業省が2022年2月に、2050年のカーボンニュートラル目標達成を目指して「GXリーグ」を設立しました。

GXリーグは、2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、 GXヘの挑戦をおこない、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が 官・学と共に協働する場です。

社会システム変革のための議論や実践を目的として、2023年1月31日までに合計679社の企業が、GXリーグ基本構想に賛同しており、製造業や情報通信業、金融業・保険業など、賛同企業の業種はさまざまです。

GXリーグが目指すのは、企業の意識や行動変容によってうまれた価値が新たな市場の創造につながり、生活者の意識や行動変容を引き起こすような世界です。

また、企業のさらなる意識、行動変容につながるという循環構造によって、企業が成長するとともに生活者の生活が豊かになり、地球環境もよくしていく世界を目指しています。[※4]

企業がGXに取り組むことのメリット

前述した、世界的なGXに関する機運の高まりを踏まえて、GXへの取り組みを前向きにとらえている企業も多く存在するでしょう。

自然環境を守りつつ経済発展させるGXへの取り組みは、企業にとってもメリットをもたらします。

GXへの取り組みにより企業が得られるメリットは、主に2つあると考えられます。

  • 企業ブランディングにつながる
  • コスト削減

2つのメリットについて、詳しく解説します。

ブランディングにつながる

GXに取り組むメリットとして、企業ブランディングにつながる可能性が挙げられます。

近年では、SDGsという言葉をよく耳にしたり、異常気象による被害が多かったりするため、地球環境問題に意識を向ける人が増えています。

社会で注目が集まってきている地球環境問題に対して、配慮した事業活動を企業がおこなっていると、世間やステークホルダーからの好感度や信頼度があがり、環境問題に取り組む企業としてブランディングできる可能性があります。

また、環境保護観点からのブランディングにより、地球環境に貢献すべくGXを推進している企業としての認知が高まると、長期的には資金の調達や人材の獲得などにもつなげられる可能性もあるでしょう。

>SDGsの必要性と企業にもたらすメリットに関する記事はこちら

コスト削減

企業は、GXへの取り組みにより、コストを削減できる可能性があります。

もし、クリーンエネルギーである風力発電や太陽光発電に移行していけば、燃料費を軽減できコスト削減につながるでしょう。

クリーンエネルギーを導入する費用や発電費などのコストが懸念事項として挙げられますが、2020年と2030年の資本費を比較すると減少する予測であり、クリーンエネルギー導入へのハードルも徐々に低くなってくると考えられます。

資源エネルギー庁にもうけられている、総合資源エネルギー調査会によると、事業用の太陽光発電コストは、2020年では12.9円/kWhでしたが、2030年では8.2~11.8円/kWhまで下がるとの試算結果がでています。

事業用太陽光発電コストに限らず、陸上、洋上風力発電コストも下がると予測されています。[※5]

GXの取り組みを後押しする制度や補助金

2023年時点で、GXに取り組むにあたって活用できる補助金などの制度が徐々に増えてきています。

代表的な補助金制度としては、事業再構築補助金「グリーン成長枠」や、ものづくり補助金のなかに設けられた「グリーン枠」があります。

ほかにも、身近な例を挙げると、2023年5月時点で、自動車の購入においては期限付きでの特例措置などが設けられています。

GXの取り組みを後押しする制度や補助金の例

  • 事業再構築補助金のグリーン成長枠
  • ものづくり補助金のグリーン枠
  • 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
  • グリーンイノベーション基金
  • 自動車購入に係る車体課税のグリーン化措置

対象となる事業規模や事業・サービスや設備などが、細かく要件として設定されていますが、中小企業などでも積極的に活用できる補助金も増えてきていますので、GXへの取り組みを強く後押ししてくれるでしょう。

2023年5月時点の情報をもとに、主な制度・補助金の概要を紹介します。

事業再生構築補助金のグリーン成長枠

事業再構築補助金のグリーン成長枠とは、2050年のカーボンニュートラル実現にむけて成長が期待される次世代再生可能エネルギー分野や自動車産業など、14の重点分野において掲げられた課題の解決に資する取り組みをおこなう事業者を対象とした、経済産業省・中小企業庁管轄の支援です。

補助上限金額は、企業規模や従業員数等に応じて4,000万円〜1億5,000万円となっています。

補助金の申請方法や公募要項、必須申請要件等の詳細は、事業再構築補助金のWebサイトで閲覧できますので、GXへ取り組む際には、対象となるかどうかを確認するとよいでしょう。[※6]

ものづくり補助金のグリーン枠

ものづくり補助金のグリーン枠とは、「温室効果ガス(CO2等)の排出削減に資する取り組みとして、革新的な製品・サービス開発」または「脱炭素にむけた生産プロセスやサービス提供方法の改善」の活動における生産性向上に必要な設備・システム投資等への支援で、経済産業省・中小企業庁が管轄している補助金です。

補助上限金額は、従業員数に応じて750万円〜4,000万円となっています。

ものづくり補助金の公募要領やスケジュール等は、ものづくり補助事業公式ホームページ「ものづくり補助金総合サイト」に随時情報が公開されています。[※7]

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金とは、企業における省エネ設備への入替を促進するために、「先進設備・システム」・「オーダーメイド型設備」の導入を支援するものです。

経済産業省・資源エネルギー庁が管轄している補助金であり、GXへの取り組みを検討していく際には念頭においておくとよい制度です。

導入予定の設備が、どの補助対象設備に該当するかを整理し、事業要件や省エネルギー効果の要件を満たす事業区分で申請します。

補助金限度額は、企業規模によって補助率が異なり、100万円〜15億円(いずれも年度あたり)となっています。

また、複数年の投資・事業計画に切れ目なく対応できる新たな制度として、複数年度事業を支援しています。

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金についての詳細は、経済産業省・資源エネルギー庁が運営する「省エネポータルサイト」にて公開されています。[※8]

グリーンイノベーション基金

グリーンイノベーション基金とは、グリーン成長戦略の実行計画を策定している重点分野において、性能・コスト・生産性・導入量・二酸化炭素(CO2)削減量等を「野心的な2030年目標」に据えて達成を目指すプロジェクトを対象とした支援です。

2050年カーボンニュートラル宣言を踏まえ、経済と環境の好循環へとつなげるために、日本の新たな成長戦略のもと、企業の野心的な挑戦を後押しすべく、国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)によって創設された基金です。

社会実装までを視野に入れた事業であるため、基金の対象となるのは「企業等」と括られていますが、中小企業・ベンチャー企業の参画や、大学・研究機関からの参画も促進すべく、対象事業者の想定に含まれています。

前述した2022年の骨太の方針では、GXを実現するためにグリーンイノベーション基金による支援の拡充や規制改革など、社会システム・インフラ整備へ取り組むことが示されました。

NEDOのグリーンイノベーション基金Webサイトで公募等情報が公開されていますので、プロジェクトの参画を希望する際にはチェックするとよいでしょう。[※9]

自動車購入に係る車体課税のグリーン化措置

自動車の購入においては、車体課税のグリーン化措置として、自動車重量税(エコカー減税)、自動車税・軽自動車税の環境性能割が、現行制度が2023年12月末まで継続されます。

くわえて、自動車・軽自動車のグリーン化特例は、現行制度が2026年3月末までの延長が決定しています。

2023年5月時点では、時限的な軽減となる特例措置となっていますが、個人でも取り組めるGXとして、自動車を購入する際に考慮ができるポイントのため、積極的に活用するとよいでしょう。[※10]

企業ができるGXの取り組み

GXの取り組みは、小さな行動から大きな施策・プロジェクトまで、さまざま考えられますが、企業規模にかかわらず着手しやすい取り組みとして、以下のような例が挙げられます。

  • 温室効果ガス(CO2等)排出量の削減
  • サプライチェーンにおけるカーボンニュートラルの取り組み
  • グリーン購入

企業ができるGXの取り組みについて解説します。

温室効果ガス(CO2等)排出量の削減

自社が排出する温室効果ガス(CO2等)の削減目標を掲げ、実際に削減できるように戦略を立てて実践し、進捗状況を公表する施策により、GXを推進できます。

削減のための具体策としては、節電やクールビズ・ウォームビズの実施、廃棄物(ゴミ)を減らすなど、比較的取り組みやすいものが多いため、GXへの第一歩として企業にとって検討のハードルも低いでしょう。

日本政府は2030年までに46%の温室効果ガス(CO2等)削減を目標として掲げており、日本政府の目標より排出量削減目標を引き上げることも、GXリーグの任意項目として設けられています。

GXリーグに参画していない場合でも、具体策を複数取り入れながら、企業として目標を設定したり、進捗を定期的にチェックする体制を整備し社内外に公表したりすれば、前述したGXのメリットである企業ブランディングにもつなげることができるでしょう。[※4]

サプライチェーンにおけるカーボンニュートラルに向けた取り組み

サプライチェーンにおいても、カーボンニュートラルに向けた取り組みをおこないましょう。

サプライチェーンとは、材料の調達、製造から顧客のもとに製品が届けられる流れにおいて、工場や小売店、運送業者など関わりのあるすべての企業と顧客を意味します。

取り組みを推進するためには、原材料調達から、製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生する温室効果ガス(CO2等)排出量を、カーボンニュートラル、つまり差し引きゼロにする目標達成にむけて、各工程で仕組みづくりをする必要があります。

サプライチェーンにおけるカーボンニュートラルの取り組みについては、環境省が公開しているWebサイト「グリーン・バリューチェーン・プラットフォーム」で、わかりやすく紹介されています。

■サプライチェーン排出量のスコープ(Scope)図 サプライチェーン排出量のスコープ(Scope)図 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

[※11]

サプライチェーンにおける工程がScopeという基準でわけられており、自社における直接排出がScope1、自社が購入・使用した電力、熱、蒸気などのエネルギー起源の間接排出がScope2、Scope2以外の間接排出(自社事業の活動に関連する他社の排出)がScope3として定義されています。

各Scopeの具体例を以下に挙げますので、自社や関連企業・関係者間で働きかけて取り組める活動をさがして、できることから着手してみましょう。


■Scope1・Scope2の例                                                          
区分該当する排出活動(例)
Scope1直接排出自社での化石燃料の燃焼、セメントの製造(CaCO3→CaO+CO2)、フロンガスの漏洩
Scope2エネルギー起源の間接排出自社が購入・使用した電気・熱・蒸気の生産

■Scope3の例                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  
区分該当する排出活動(例)
1購入した製品・サービス原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達
2資本財生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上)
3Scope1・2に含まれない燃料及びエネルギー活動調達している燃料の上流工程(採掘、精製等)、調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等)
4輸送、配送(上流)調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主)
5事業から出る廃棄物廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送、処理
6出張出張
7雇用者の通勤雇用者の通勤
8リース資産(上流)自社が賃借しているリース資産の稼働(算定・報告・公表制度では、Scope1・2 に計上するため、該当なしのケースが大半)
9輸送、配送(下流)出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売
10販売した製品の加工事業者による中間製品の加工
11販売した製品の使用使用者による製品の使用
12販売した製品の廃棄使用者による製品の廃棄時の輸送、処理
13リース資産(下流)自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働
14フランチャイズ自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1・2 に該当する活動
15投資株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用
その他(任意)従業員や消費者の日常生活

上記の例を参考に、企業間でカーボンニュートラルに向けた取り組み支援をおこなったり、製品に温室効果ガス(CO2等)の排出量を表示して顧客にも意識してもらう活動を推進したりといった取り組みもできるでしょう。[※11]

グリーン購入の推進

グリーン購入とは、製品やサービスを購入する際に、環境を考慮して、必要性をよく考え、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入することです。

グリーン購入は、消費者の活動を環境にやさしいものにするだけでなく、企業側にも環境負荷の少ない製品の開発を促すことで、経済活動全体を変えていく可能性を持っています。

企業においても可能な取り組みとしては、環境負荷の少ない物品等及び環境負荷低減に努めている事業者の選択や、環境負荷を考慮した物品等の調達、そして、調達した環境物品等の長期的かつ適正な使用や分別廃棄に留意するなど、環境負荷が着実に低減されるような施策が挙げられます。

グリーン購入法の基本方針では、とくに重点的に調達を推進すべき環境物品等を特定調達品目に定めています。

特定調達品目及びその判断の基準等については、毎年度、定期的に見直しが行われ特定調達品目数は、令和5年度には22分野 287品目となりました。[※12]

企業が、判断の基準を正しく理解し、環境物品等の調達を容易におこなうことができるよう、環境省は「グリーン購入の調達者の手引き」を公開していますので、取り組む際には参考にするとよいでしょう。[※13]

GXの企業事例

企業ができるGXの取り組みの概要がつかめたら、実際の企業事例も参考にしてみるのも、GX推進の手がかりとなりうるでしょう。

本記事では、GXに取り組んでいる企業事例を2つ、紹介します。

GXのために投資をおこなう自動車メーカー

GXリーグに賛同している大手自動車メーカーは、新技術開発によって電動車を増やし、二酸化炭素(CO2)排出削減を目指したり、工場のカーボンニュートラルを目指したりなど、多くの取り組みにより、GXを推し進めています。

また、バッテリーを二次利用するための施設を拡大したり、カーボンニュートラル技術などの分野でコスト削減を進めたりなどの取り組みも実施しています。

短期ビジョンではなく長期ビジョンを掲げ、持続可能な企業となることを目指し、エコシステムの構築から社会の可能性を広げていこうとしています。

エコシステムとは、本来は生態系を指す英語を由来としている言葉で、複数の企業が商品開発や事業活動などで協働し、互いの技術や資本を生かしながら、企業だけでなく消費者や社会を巻き込んで、業界の枠を超えて共存していく仕組みを指します。

とくに、自動車メーカーは、社会的にも環境観点で注目されやすいことから、GXに高い関心を向けて、エコシステムの構築から熱心に取り組んでいる業界のひとつであるため、事例を参考にするとよいでしょう。

自社目標を掲げる大手金融機関

多くの大手金融機関は、GXリーグに賛同し、カーボンニュートラル宣言を公表しており、グループ企業全体で2030年までに温室効果ガス(CO2等)の排出量ネットゼロを目指したり、投融資ポートフォリオでは2050年までにネットゼロにする方針を掲げたりしています。

また、企業Webサイトやディスクロージャー誌(統合報告書)で、取り組みの状況や今後の展望などを公開して、ステークホルダーや社会に向けてわかりやすい情報発信に取り組んでいます。

投融資のみでなく、資産運用や資産管理ビジネスからも新たな投資機会を創り出すことで、持続可能な社会を実現する考えを示しています。

簡単な取り組みからGXに着手してみよう

GXとは、クリーンエネルギーを主とした社会システムへの変革を目指す取り組みをいい、カーボンニュートラルの実現のために世界の多くの国が活動しています。

日本においてもGXリーグに多くの企業が賛同し、持続可能な社会の実現に向けてGXに取り組んでいます。

GXの取り組みは難しいものではなく、節電を意識したり、廃棄物(ゴミ)を減らす努力をしてみたりなど、仕事においてもプライベートにおいても、簡単にその第一歩を踏み出せます。

全社でGXに取り組む際には、ビジネスチャットのような、気軽に周知したり確認したりできるツールを使うと、推進に一役買うでしょう。

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[※1]出典:DXとGXの同時推進による地域課題の解決|環境省
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/dai6/siryou12.pdf
[※2]出典:カーボンニュートラルとは - 脱炭素ポータル|環境省
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/
[※3]出典:新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画|内閣官房ホームページ
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2022.pdf
[※4]出典:GXリーグ|GXリーグ設立準備公式Webサイト
https://gx-league.go.jp/
[※5]出典:電気をつくるには、どんなコストがかかる?|資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/denki_cost.html
[※6]出典:必須申請要件(グリーン成長枠)|事業再構築補助金
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/about.php#as03
[※7]出典:公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html
[※8]出典:各種支援制度 (省エネ関連情報)|省エネポータルサイト
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/
[※9]出典:グリーンイノベーション基金とは|NEDO グリーンイノベーション基金
https://green-innovation.nedo.go.jp/feature/to-business/support/
[※10]出典:令和5年度税制改正(車体課税の見直し及び延長)|METI/経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/tax/pdf/R5FY_tax.pdf
[※11]出典:排出量算定について:グリーン・バリューチェーンプラットフォーム|環境省
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html
[※12]出典:環境物品等の調達の推進に関する基本方針|環境省
https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/net/kihonhoushin.html
[※13]出典:参考資料(グリーン購入の調達者の手引き等)|環境省
https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/net/shiryou.html


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GXに関するQ&A

GXとは?

GXとは「Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)」の略で、経済・産業の発展を化石燃料に頼るのではなく、クリーンエネルギーに転換していき、経済社会システム全体への変革を目指す取り組みを指す言葉です。

GXは、温室効果ガス(CO2等)が排出されることによる、地球温暖化などの気候変動を食い止めるために、化石燃料への依存から脱却し、太陽光発電や風力発電などの、環境に負荷がかからないクリーンエネルギーを利用した経済活動への転換を目的としています。

GXとDXの関係性は?

GX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を発展させることで人々の生活をよりよくしていったり、クリーンエネルギーへの転換によって社会経済システムの変革を促進させていったりなど、大きな可能性をもっており、それぞれ並行しながら取り組むことによって相乗効果を生み出す関係性であるといえます。

地方経済活動の停滞を解消させたり、エネルギーなどの地産地消を実現するなど、地域、とりわけ地方の課題解決につながることが期待されています。

企業がGXに取り組むメリットは?

GXへの取り組みにより企業が得られるメリットは、主に2つあります。
・企業ブランディングにつながる
・コスト削減

環境保護観点からアプローチしたブランディングにより、長期的には資金の調達や人材の獲得などにもつなげられたり、クリーンエネルギーである風力発電や太陽光発電への移行により、燃料費を軽減できたりする可能性があります。

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