嘱託社員(職員)とは?正社員との違いや待遇面、雇用する際の注意点を解説

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働き方改革
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嘱託社員(職員)とは?正社員との違いや待遇面、雇用する際の注意点を解説

目次

嘱託社員とは、非正規雇用で働く社員のことです。

主に退職後に再雇用されて働く社員という意味で使われることが多いです。

企業にとっては、ベテランの社員を再雇用できて、教育にかかる手間を削減できるというメリットがあるでしょう。

嘱託社員と正社員との違い、待遇面や雇用する際の注意点を解説します。

嘱託(しょくたく)社員とは?

嘱託社員とは、有期雇用労働者(雇用期間が決められている)で、非正規雇用の社員を指します。

嘱託には「仕事を頼んで任せる」という意味もあります。

一般的には、「定年退職後に再雇用されて働く社員」という意味で使われることが多いです。

また、専門性の高い仕事に就く医者や弁護士などが、一定期間業務を委託される形で働く際に嘱託社員と呼ぶこともあります。

契約社員との違い

契約社員とは、有期雇用労働者で非正規社員に該当する雇用形態のひとつです。

たとえば、1~3年間などの契約期間が決められています。

雇用期間が決められているという点では、嘱託社員と契約社員は同じです。

ただ、契約社員は基本的にフルタイムで働くことが多く、嘱託社員は短時間の勤務やフルタイムなど、労働時間や日数の幅が広い点が特徴です。

企業によっては、契約社員のことを嘱託社員と呼んでいるケースもあります。

パートタイムとの違い

パートタイムとは、短時間勤務で働く非正規雇用社員のことです。

職場にもよりますが、正社員に比べると労働時間が短い傾向にあります。

働く日数や時間は、フルタイムに比べると自由が利きやすく、多様な働き方ができる点が特徴です。

一方、契約社員の場合はフルタイムで働くことが一般的です。

また、基本的にパートタイムは時給制、嘱託社員は月給制が多い点で違います。

ほかにも、パートタイムには有期雇用と無期雇用の両方があり、嘱託社員は基本的に有期雇用が適用される点で違いがあります。

委託との違い

委託とは、雇用関係を結んでいない企業から、業務を任される形で働くことです。

嘱託社員は企業と雇用契約を結びますが、委託の場合、業務を委託する契約は結ぶものの、企業と雇用契約は結びません。

また、嘱託社員は月給制が基本で、委託は業務契約や仕事の成果に応じて報酬が発生するという点で違います。

嘱託社員が必要とされる背景

労働人口の減少が課題になっており、シニア世代を再雇用する動きが高まりつつあります。

また、老後の生活の不安から、シニア世代になっても働く人が増えていることも理由にあげられます。

企業にとっては、長年働いてきた社員を嘱託社員として再雇用することで、優秀な人材を安定的に確保できるという強みにつながります。

嘱託社員と正社員の違い

正社員は、雇用期間が定められていない正規社員のことです。

嘱託社員の場合、雇用期間が決められていることや非正規社員という点で違います。

ほかには、嘱託社員と正社員では、労働条件や待遇面で違いが発生することもあります。

ただ、労働条件を満たしている場合、基本的に嘱託社員も正社員と同じように、社会保険に加入する義務があります。

嘱託社員で働くメリット

嘱託社員として働く、嘱託社員を雇用する、双方にメリットがあります。

それぞれのメリットを見ていきましょう。

企業側のメリット

企業側には、ベテランの社員を再雇用できるメリットがあります。

基本的に業務をそのまま担当してもらえるので、即戦力になるという点でも魅力的です。

また、長年のスキルや経験が身についているため、教育にかかる手間を削減できます。

ほかにも、再雇用の際に働く日数や時間を調整しやすくなるなど、社員の要望を聞き取る機会ができるといったメリットもあります。

従業員のメリット

嘱託社員で働くことで、今までの仕事を継続できるメリットがあります。

基本的には、同じ部署や仕事内容で働ける場合が多いため、一から仕事を覚える必要がありません。

もしも違う部署に配属される場合でも、企業の全体像を把握できていることが多いため、別の職場で一から働くよりも、仕事に馴染むまでのスピード感を早められます。

嘱託社員で働くデメリット

嘱託社員で働く場合のデメリットも存在します。

再雇用を検討している、嘱託社員として継続しないかと言われた、という人はしっかりとデメリットも把握しておく必要があります。

双方のデメリットを見ていきましょう。

企業側のデメリット

正社員の際とは違い、嘱託社員は契約期間が決まっているので、都度契約を結び直す手間が発生します。

また、正社員の立場と同じとは限らないので、人によっては役職や責任のある立場になれないことに、従業員のモチベーションが低下する可能性があるでしょう。

再雇用後は定期的に面談をおこなうなど、嘱託社員のアフターフォローを欠かさないようにすることが重要です。

従業員のデメリット

嘱託社員は契約が継続されるとは限らないので、契約が更新されないケースもあります。

また、正社員で働いていたときよりも、給料が下がってしまう可能性もあるでしょう。

仕事内容や待遇面で不安を感じる際は、企業側に相談して交渉するように働きかけることも必要です。

嘱託社員の待遇

正社員から嘱託社員になる際は、企業側と相談しながら、契約内容を確認しておくことが大切です。

嘱託社員の待遇について、確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 給与・ボーナスの支給
  • 有給休暇
  • 社会保険・労働保険
  • 退職金の支給

正社員との違いを踏まえながら解説します。

給与・ボーナスの支給

嘱託社員は、基本的に正社員よりも給料やボーナスが下がることが一般的です。

理由として、嘱託社員のほうが正社員よりも、勤務日数や時間、仕事内容の範囲や責任が減ることがあげられます。

ボーナス支給の有無に関しては、企業によって変わってくるので、従業員は契約時に確認することが大切です。

有給休暇

正社員から嘱託社員になった場合、有給休暇をそのまま引き継ぐことができます。

ただ、嘱託社員になった際の労働日数や時間によっては、有給休暇の日数が減る可能性もあります。

一方、新しい企業で嘱託社員になった際、有給休暇が付与されるまでに6ヶ月の期間が必要です。

>年次有給休暇の付与日数に関する記事はこちら

社会保険・労働保険

正社員から嘱託社員になる場合、条件を満たすことで社会保険に入れます。

具体的には、所定労働時間(一週間あたりの働く時間)に加えて、所定労働日数(一ヶ月あたりの働く日数)を正社員と比較したときに、4分の3以上の場合は、社会保険に加入しなければいけません。

また、労働保険に関しては、基本的に嘱託社員と正社員のどちらの場合も加入することが一般的です。

>社会保険の加入条件に関する記事はこちら

退職金の支給

嘱託社員は必ずしも、退職金が支給されるわけではありません。

給与やボーナスと同じく、企業によって変わってくるので、正社員から嘱託社員になる場合は契約時に確認する必要があります。

嘱託社員の具体例

嘱託社員として再雇用されやすい業界や分野が存在します。

資格や専門の知識が必要な業界は、特に嘱託社員として再雇用されやすいでしょう。

たとえば、以下の業界で嘱託社員が活躍しています。

  • 非常勤講師
  • 技術者
  • 専門性の高い分野の責任者

業界ごとの具体例について見ていきましょう。

非常勤講師

教育機関の非常勤講師として、嘱託社員の形態で雇用されるケースがあります。

たとえば、大学や専門学校の非常勤講師などの仕事があげられます。

専門的な知識や技術を保有する人材として、生徒に授業を通して技術を伝えていきます。

技術者

何かのプロジェクトを立ち上げる際に、外部から技術者を嘱託社員として招くことがあります。

たとえば、エンジニアが必要な開発のプロジェクトなどがあげられます。

プロジェクトの期間中に限り、協力体制を取りながら業務を進めていきます。

専門性の高い分野の責任者

企業や団体から業務を委託される形で、嘱託社員として働くことがあります。

たとえば、会計士や弁護士などの仕事内容があげられます。

専門性の高い分野の責任者として、一定期間業務を引き受けます。

嘱託社員を雇用する際の注意点

嘱託社員を雇用する際には、雇用契約において注意が必要です。

企業側と従業員側で相違がないよう、しっかりと条件を確認しておくと安心です。

特に注意が必要な点について見ていきましょう。

給料・手当の格差を作らない

正社員と嘱託社員の間で、給料や手当の格差を作らないようにすることが大切です。

国においても、同一労働同一賃金の内容が掲げられており、仕事内容や責任などの範囲が変わらない場合は、待遇面で差をつけないことが求められています。

>同一労働同一賃金に関する記事はこちら

無期転換ルールの特例制度を理解しておく

無期転換ルールとは、同じ企業で有期労働契約が5年以上になる場合、従業員の申し出により無期雇用契約ができるというルールのことです。

契約社員やアルバイトなどの非正規社員は、申し出のルールが適用されますが、嘱託社員の場合は特例制度として認められないことがあります。

具体例には、定年退職を迎えた正社員が嘱託社員として再雇用される場合、無期転換ルールが該当しなくなります。

従業員を再雇用する場合も、事前に契約書に記載しておくなど、事前に説明しておくとトラブルを減らせるかもしれません。

嘱託社員を再雇用する際は情報共有が重要

嘱託社員と正社員は、雇用形態や待遇面で変化があります。

契約を変更する際は、トラブルを避けるためにも、事前に従業員と企業側で情報共有をしておくことが重要です。

嘱託社員として再雇用したあとは、従業員のモチベーションを維持できるように、アフターフォローをおこなうことも忘れないようにしましょう。

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