フレーミング効果とは?マーケティングでの活用事例や活用方法のポイントを解説

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フレーミング効果とは?マーケティングでの活用事例や活用方法のポイントを解説

目次

フレーミング効果とは、同じ情報でも提示の仕方によって人々の意思決定が大きく左右される心理学の現象を指します。

マーケティングにおいて、フレーミング効果を活用した消費者の購買行動やブランドへの印象を効果的に誘導する手法があります。

本記事では、フレーミング効果とはなにか、フレーミング効果をマーケティングで活用した事例、具体的な活用方法などをわかりやすく解説します。

フレーミング効果とは

フレーミング効果とは、表現の方法が変わると情報の印象も変わり、意思決定に影響を及ぼす現象のことです。

フレーミング効果は英語で「framing effect」と表記し、「額縁」「枠組み」という意味の「frame」が由来です。

たとえば、花の撮影をするとき、手前の花を中心に撮影するか、背景の森もフレーム内に収まるようにするかによって写真の印象は異なります。

同様に、物事を伝えるときにも、どこを切りとるか(フレーミング)で印象が変わります。

フレーミング効果は、顧客の購買行動にも影響を与えることから、マーケティングに活用されています。

フレーミング効果とプロスペクト理論

フレーミング効果の発生は、「プロスペクト理論」によって説明できるといわれています。

プロスペクト理論では、人がリスクを伴う意思決定をする際に、利益よりも損失を重視する「損失回避」の傾向にあることを示しています。

たとえば、「この薬で90%の人が回復します」という案内と「この薬を使っても10%の人は回復しません」とでは、どちらも同じ情報ですが受ける印象が異なり、選択に影響を与えます。

上記はプロスペクト理論の「損失回避」の心理が働いているからです。

このような人の心理と消費行動を掛け合わせて、マーケティングに応用できる効果のひとつがフレーミング効果です。

>プロスペクト理論に関する記事はこちら

マーケティングにおけるフレーミング効果の具体例

マーケティングにおいては、フレーミング効果によって情報を意図的に提示し、消費者の意思決定を誘導する手法が用いられます。

実際にフレーミング効果が使われている例を見ていきましょう。

  • 内容量の表示
  • 割引訴求の表示
  • 勝敗の確率
  • 安全性の訴求
  • サブスクリプションの料金訴求

適切なフレーミングを用いると消費者の購買意欲や選択行動を左右し、商品の魅力を高めることができます。

内容量の表示

栄養ドリンクの表示で、「○○の成分1000mg配合」などと表記されている例を考えてみましょう。

この場合、「1g」と表示するより「1000mg」と表記する方がたくさん入っている印象があります。

もちろん、「1g」と「1000mg」は同量ですが、数字のインパクトは1000の方が大きく見えるでしょう。

ほかにも「レモン○個分の××」など個数換算の表示にして印象を変える方法も効果的です。

割引訴求の表示

割引表示で「ひと月200円お得」という表示よりも「年間2,400円お得」と書かれている方が数字が大きいため、より安い印象を受けます。

割引表示の数字を変えることで印象を操作するというフレーミング効果が活用されています。

勝敗の確率

勝敗の表現方法も「3勝2引き分け」と「5戦無敗」の場合、後者の方がより勝率の高い印象を受けます。

勝ち数や負け数の表現の違いによって、印象をコントロールできます。

安全性の訴求

クラウドサービスでは、どれだけ安全か、どれだけアクセスしやすいかが重要です。

「稼働率99.9%」と表記するより、「24時間365日、どこからでも安全にアクセスできます」と表現したほうがより安全で便利な印象を受けるでしょう。

サブスクリプションの料金訴求

サブスクリプションでよく見かけるのは、「月額3,000円」を「1日あたり約100円」と表現する方法です。

割引訴求とは逆に、価格を安く見せるために月額利用料金を日割りにし、表示する価格を下げてお手頃な印象を与えます。

フレーミング効果の3類型

フレーミング効果には、学術的に以下の3つの類型があるとされています。

各タイプは異なる状況や目的で使われ、ポジティブな側面を強調するか、ネガティブな側面を強調するかによって、その影響力が異なります。

  • 属性フレーミング
  • 目標フレーミング
  • リスク選択フレーミング

それぞれのタイプの違いを理解できると、効果的なマーケティング戦略が立てやすくなります。

属性フレーミング

属性フレーミングは、商品やサービスの特定の属性をポジティブまたはネガティブにフレーミングすることで、消費者の認識を変える方法です。

たとえば、同じ牛肉でも「脂質20%」と表示するよりも、「赤身80%」と表示した方が上質な印象を与えられます。

属性フレーミングでは、ポジティブな表現をすると印象はより好ましくなり、ネガティブな表現をするとより好ましくない印象を与えるでしょう。

商品の強みを前面に出し、弱点を隠すことで購入につながる可能性が高まります。

目標フレーミング

目標フレーミングは、特定の行動をすることで得られる利益を強調するか、行動しないことによる損失を強調するかによって、意思決定に影響を与える手法です。

健康診断の案内で「健康診断により早期発見が可能です」と利益を訴える場合と、「健康診断を受けないと病気を見逃すリスクがあります」と損失を強調する場合では、受け手の反応が異なります。

一般的に、損失回避の心理が強いため、損失を強調するフレームがより効果的であるといわれています。

行動を促す際に「今行動しなければ損をする」といったメッセージが、消費者の行動を促進しやすくなります。

しかし目標フレーミングは、ネガティブな訴求をした方がよいと一概にはいえません。

内容によって異なるため、他のフレーミング方法と比較すると不安定な型です。

リスク選択フレーミング

リスク選択フレーミングは、選択肢がリスクを伴う場合、そのリスクをどう提示するかによって選択が変わることを示しています。

ある治療法の成功率が「50%の成功率」と表示される場合と、「50%の失敗率」と表示される場合では、同じ確率であってもポジティブなフレームの方が選択されやすいでしょう。

人はリスクを避けたいという心理をもつため、損失が強調されるとリスクを避ける方に意思決定しやすく、利益が強調されるとリスクに挑む選択をする傾向があります。

リスクの提示方法を工夫すると、消費者の選択行動をコントロールでき、リスクに対する受け取り方の調整ができます。

フレーミング効果の活用方法

フレーミング効果を上手に活用できると、消費者に情報を効果的に伝え、意思決定に影響を与えられます。

特定の属性や利点の強調、損失回避の訴求により商品やサービスに対する印象を大きく変えられるでしょう。

  • インパクトがある「無料」で訴求する
  • 特定の商品を引き立てるラインナップにする
  • リスク回避を謳う
  • ポジティブな表現で不安を解消する
  • 「ポイント還元」で得した印象にする

具体的な活用方法を解説していきます。

インパクトがある「無料」で訴求する

「無料」という訴求は非常に強力なフレーミング効果を持ち、消費者の購買意欲を大きく高める手法です。

無料の提供があると、消費者はリスクを感じることなく商品やサービスを試せるため、心理的な障壁が低くなります。

たとえば、「初回無料」「配送無料」「無料お試し期間」といった訴求は、消費者に対してコストを回避できるという安心感を与え、気軽に商品を試してもらう効果があります。

また、無料で得られる価値が強調されると、消費者は「得した」という印象を強く抱き、その後の購入意欲が促進できます。

「無料」の訴求はコスト回避とお得感を同時に提供し、消費者の行動を加速させる強力なマーケティング戦略となるでしょう。

特定の商品を引き立てるラインナップにする

ラインナップフレーミングは複数の商品の価格や特徴を比較して、特定の商品をより魅力的に見せる方法です。

たとえば、2,000円、5,000円、8,000円という商品があった場合、「8000円は高いけど、5000円なら買ってみようかな」などの心理が働きます。

消費者は「中間の商品が最もバランスが良い」「中間が一番お得で無難だ」と考えやすく、意図した商品を中間に設定すると選ばれる可能性が高まるでしょう。

リスク回避を謳う

リスク回避を謳うフレーミング効果とは、「○○(商品やサービス)を使わないと、こんなネガティブなことが発生します......でも使えばこんないいことがあります」のような表現で、購買行動を促す方法です。

たとえば、「水洗いをしただけでは、こんなに汚れが残っています......でも洗剤を使えばこんなに汚れが落ちますよ」とアピールして洗剤を売り出す方法があります。

人は損失を避けたいという心理をもつため、リスクを避ける行動をする傾向があります。

リスク回避のメッセージは、保険や金融商品、健康に関わる分野で効果的に活用され、消費者の意思決定を左右します。

ポジティブな表現で不安を解消する

フレーミング効果を活用する際には、消費者の不安を解消するようなポジティブなワードを使い、購買行動をうながす方法があります。

たとえば「顧客満足度90%以上」などのキャッチコピーを添えるだけで、「みんなが良いといっているなら、この選択をすれば満足できる」という安心感を与えられます。

ネガティブな情報を避け、ポジティブな側面の強調によって、消費者に安心感や信頼感を与え、購買行動を促進する効果があります。

「ポイント還元」で得した印象にする

「ポイント還元」の活用は、消費者に得をしたという印象を与え、購買意欲を高める効果があります。

この背景には「ポイントを使えば、その分だけ無料で買い物ができる」という無料というワードの影響もあります。

また、ポイントが使えるタイミングや期間限定のキャンペーンを加えると、消費者は「今買わないと損をする」と考え、さらに購入を後押しできます。

実際の金銭的な節約以上に「お得感」を強くアピールでき、リピート購入やロイヤルティ向上にも繋がる効果的な方法です。

フレーミング効果を活用する際のポイント

フレーミング効果を効果的に活用するためには、情報の提示方法に注意を払い、消費者の意思決定に影響を与える工夫が必要です。

活用する際には、以下のポイントをおさえておきましょう。

  • 表現方法を変える
  • シンプルな表現をする
  • ポジティブとネガティブの表現方法を使い分ける

これらのポイントを理解し、効果的に情報を提示できるとフレーミング効果を最大限に引き出せるでしょう。

表現方法を変える

同じ情報でも、表現方法を変えると印象が大きく異なります。

たとえば「100人の人が満足しています」と「100人中100人の人が満足しています」では、受ける印象も違うでしょう。

表現方法を工夫して、より消費者の心に響くメッセージを考えられるかがポイントです。

ただし、誇大広告や虚偽の表示は法律で規制されているため、あくまでも事実に基づいた表現を徹底しましょう。

シンプルな表現をする

情報はシンプルな表現で伝えましょう。

シンプルなメッセージの方が受け取る側も理解しやすいためです。

情報が増えすぎると本当に伝えたい内容を見落とすリスクがあり、また印象に残りにくくなるため、他社のインパクトがある商品に目移りされてしまう可能性があります。

また、難しい単語や一般的ではない表現も避け、キャッチーでわかりやすい表現をするとよいでしょう。

ポジティブとネガティブの表現方法を使い分ける

前述したようにフレーミング効果には3つの類型があり、ポジティブな側面を強調するか、ネガティブな側面を強調するかはケースバイケースです。

強調する際のパターンとして、ポジティブフレーミングネガティブフレーミングの2つがあります。

訴求したい内容によって表現を使い分けると効果的です。

  • ポジティブフレーミング:「これまでに300人以上が効果を実感」などポジティブな側面にフォーカスする方法
  • ネガティブフレーミング:「肥満はさまざまな疾患の原因になります」などネガティブな面を表現する方法

ポジティブフレーミングとネガティブフレーミングをうまく使い分けれると、よりよいマーケティング効果が得られます。

フレーミング効果と似ている用語

フレーミング効果と似ている用語にアンカリング効果と認知バイアスがあります。

情報を提示する際の方法・先入観が意思決定に影響を与える現象を指しており、それぞれ異なる状況で作用しますが、いずれも意思決定をするときの心理に及ぼす影響と関係しています。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、一番最初に提示された情報によって意思決定が左右される現象のことです。

たとえば「本来8,000円のところ、今回は6,000円」といったように、最初に8,000円と提示されると、6,000円が安く感じられます。

アンカリング効果は、意思決定に影響する情報が最初に提示された情報であるという点においてフレーミング効果と違うといえます。

>アンカリング効果に関する記事はこちら

認知バイアス

認知バイアスとは、意思決定するときに、先入観や経験則、直感などによって正しい判断ができなくなる傾向をいいます。

代表的な例として、自分の願望の確証となりそうな情報ばかり探してしまう「確証バイアス」や、新しい方法や環境を拒絶してしまう「現状維持バイアス」があります。

フレーミング効果は「言葉のどこに注目するか」「何を強調するか」が意思決定に影響するのに対し、認知バイアスは「先入観や過去のできごと」が影響するという点が異なります。

フレーミング効果を活用してマーケティング戦略を立てよう

フレーミング効果とは、表現の方法が変わると情報の印象も変わり、意思決定が左右される現象のことです。

人の意思決定に影響を与えるため、フレーミング効果はマーケティングに活用されています。

フレーミング効果は訴求したい相手や対象によって使い分けができると、さらに効果を発揮します。

「ターゲット層をどこにするか」「プロモーションはどうするか」などの戦略に合わせて、表現をポジティブにするかネガティブにするかなど、検討するとよいでしょう。

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